兵庫・北播磨の名峰「千ヶ峰」登山ガイド 初心者も歩ける滝・絶景・棚田の周回ルート

兵庫県多可町にある「千ヶ峰(せんがみね、標高1,005m)」は、北播磨の最高峰。関西・近畿百名山や兵庫50山にも選ばれ、山頂からの360度パノラマが魅力です。

登山道は全体的に歩きやすく、初心者から中級者まで幅広く楽しめます。山麓には、四季折々の棚田や歴史ある伝承地が点在し、自然と文化を同時に味わえるのも魅力。この記事では、千ヶ峰の代表的な一周登山ルートを詳しくご紹介します。

2025年8月11日 更新

名峰・千ヶ峰の魅力と登山口情報


最もメジャーな三谷登山口には、駐車場やトイレあり

「千ヶ峰」は兵庫県多可町の北播磨エリアにそびえる標高約1,005mの山で、四季折々の表情と山頂からの大パノラマが魅力です。春は新緑、夏は深い緑、秋には山肌を彩る紅葉、冬はうっすら雪をまとった静かな景観と、季節ごとに異なる美しさを楽しめます。

山頂からは氷ノ山や笠形山、遠く淡路島まで望むことができ、周辺には滝や棚田など見どころも豊富。関西・近畿百名山や兵庫50山にも選ばれ、初心者から中級者まで幅広く親しまれています。

登山口は主に三谷、岩座神(いさりがみ)、市原の3か所があり、その中でも三谷登山口にはトイレや登山者用駐車場が完備されています。

千ヶ峰のアクセス・駐車場・交通情報


どこか歴史情緒も漂う、下山ルートで立ち寄る岩座神登山口

車でのアクセス

中国自動車道「滝野社IC」または「加西IC」から国道175号線を北上し、多可町方面へ。三谷登山口まではICからおよそ40〜50分です。三谷登山口には登山者用の無料駐車場とトイレがあり、早朝から利用可能です。周辺にコンビニはないため、事前に食料や飲み物を準備しておくと安心です。

公共交通機関利用の場合

JR西脇市駅から神姫バス(鳥羽行き)に乗車し、「加美町農協前」バス停で下車。そこからタクシーで約10分(約3.5km/徒歩約60分)で三谷登山口にアクセスできます。

初心者も歩きやすい!千ヶ峰の人気周回登山ルート紹介


千ヶ峰の山頂から多可町の町を見下ろす

千ヶ峰登山では、三谷登山口から岩座神登山口へと抜ける周回コースが定番。滝や渓流、尾根道、そして山頂からの大展望まで、多彩な景色が楽しめるのが魅力です。整備された登山道が続くため、初心者でも安心して歩けます。

三谷口から渓流沿いの風景を楽しみながら登り、岩座神コースとの合流後は尾根道を経て山頂へ。帰路は岩座神コースを経て岩座神登山口へ下ります。

千ヶ峰登山情報

所要時間:約4時間
歩行距離:約5.5km
高低差:約730m

コースタイム
三谷登山口→(約20分)→三谷大滝→(約45分)→標高約760m地点の分岐→(約45分)→千ヶ峰山頂→(約30分)→標高約760m地点の分岐→(約50分)→岩座神登山口→(約50分)→三谷登山口

渓流美と名瀑を楽しむ千ヶ峰・三谷登山コース


潤いに満ちた渓流と苔が織りなす情緒を楽しむ

登山のスタートは三谷登山口(標高約400m)から。序盤は渓流沿いの比較的ゆるやかな道が続き、杉林や苔むした景色の中を、心地よく歩くことができます。静かな森の中で、杉の並木と苔が織りなす風景にはどこか趣があり、癒される道のりです。


豪快な2段の流れが魅せる、迫力満点の三谷大滝

20分ほど歩くと、三谷川に懸かる名瀑・三谷大滝へ。千ヶ峰の南東麓に位置し、上流の雄滝と下流の雌滝からなるこの滝は、力強く豪壮な姿が印象的です。


静かな杉並木を一歩一歩、ここからが踏ん張りどころ

滝を後にして30分ほど進むと渓流の姿は見えなくなり、さらに10分ほどで標高約760m地点に到達。ここで岩座神ルートと合流します。後半にはロープを使って登る急傾斜の区間もあり、登山の醍醐味を感じられる冒険心くすぐるコースが待っています。


景色が開けると、美しい山肌から麓の町まで一望

この先は低木帯を抜け、山頂直下の最後の区間へ。淡々とした登りが続きますが、開けたパノラマが広がり、気持ちが励まされます。残雪期はぬかるみや雪が残るため、チェーンスパイクなどの装備があると安心。やがて視界が開け、千ヶ峰の山頂へとたどり着きます。

360度の絶景を満喫!千ヶ峰山頂のパノラマビュー


360度の大展望が得られる千ヶ峰山頂

千ヶ峰の山頂は開けた広場のようになっており、見渡す限りの大パノラマが広がる絶景スポットです。標高1,005mの頂からは、南東に笠形山(かさがたやま、標高939m)、北西には氷ノ山(ひょうのせん、標高1,510m)を望み、天候に恵まれれば遠く淡路島や明石海峡大橋まで見通せることもあります。


澄み渡る青空と重なる稜線、千ヶ峰から広がる爽快パノラマ

千ヶ峰山頂には三角点や石塔が設けられ、記念撮影の定番スポットに。広々としたスペースでは昼食を楽しむ登山者の姿も多く、残雪期には雪の上でのひと休みも風情があります。


抜群の眺望を楽しみながら憩いのひとときを過ごす

目の前に広がる絶景とともに、登り切った充実感に浸る穏やかなひとときが待っています。一方で、風が強い日は体感温度が下がるため、防風性のあるアウターや軽めの上着を携帯すると安心です。

静かな樹林帯と「千本杉」を巡る岩座神コース(下山ルート)


行きでも通過した標高約760mの分岐。ここから岩座神方面の下山ルートへ

下山は岩座登山口へと続くルートを選ぶと、道中の景観の変化をより豊かに楽しめます。山頂からは低木帯の緩やかな尾根道を進み、岩座神・三谷両ルートの分岐を経て、やがて静かな樹林帯へと入っていきます。


緩やかな傾斜のおかげで、疲れを感じにくく歩きやすい

全体的に傾斜は穏やかで、足に負担の少ない快適な道のり。生命力あふれる木々の緑に囲まれ、心もほぐれるような癒しの時間が流れます。三谷ルートに比べて登山者が少なく、静寂に包まれた自然を堪能できるのもこの道の魅力です。


荘厳な雰囲気を醸す「岩座神の千本杉」

分岐からおよそ50分で岩座神登山口へ。そこには「岩座神の千本杉」が立っており、高さ6メートル付近から放射状に伸びた無数の枝が絡み合い、まるで巨大なキノコのような独特の姿を見せてくれます。


里山の原風景を歩き、三谷登山口へと戻る

登山口からは舗装路を歩いて三谷登山口まで戻ることができます。のどかな里山の風景を眺めながらの帰路は、登山の余韻にひたるのにぴったりの締めくくりです。

千ヶ峰登山後に訪れたい、岩座神の棚田と伝統の風景


湧き水と傾斜地を巧みに利用した、暮らしの知恵が息づく風景

岩座神登山口の周辺には、山の斜面に沿って美しく広がる棚田があり、その風景は「日本の棚田百選」にも選ばれています。


ひときわ爽やかな初夏、田植えの時期の風景

季節によって表情を変え、春の緑、秋の黄金といった色彩豊かな景観が魅力。特に田植えや稲刈りの時期には、自然と人の営みが織りなす風景美を堪能できます。千ヶ峰登山の帰りに立ち寄れば、山歩きの余韻を味わいながらゆったりと過ごせます。


七不思議を探して散策するのもディープな楽しみ方

また、この地域は「播磨国風土記」にも登場する伝承「あまんじゃこ」にまつわる地としても知られ、古くからの民俗や文化が息づく土地。美しい自然の中に、ふとした瞬間に感じるミステリアスな雰囲気が魅力です。

千ヶ峰と並び称される北播磨の名峰・笠形山登山ガイド


北播磨が誇るもう一つの大展望の山・笠形山

千ヶ峰のすぐ南隣にそびえる「笠形山(かさがたやま)」は、兵庫県のほぼ中央に位置し、標高939mを誇る播磨地方の名峰です。山頂が描く三角形の美しいシルエットが印象的で、古くから信仰の対象として人々に親しまれてきました。千ヶ峰とセットで訪れる登山者も多く、北播磨を代表する二大名山の一つです。


竜ヶ滝の水飛沫が、辺りに涼やかな空気を運んでくれる

複数の登山道がありますが、筆者のおすすめは「ネイチャーパーク笠形」奥の駐車場からスタートするルート。前半は沢沿いを進む情緒豊かな道で、「竜ヶ滝」では滝壺のすぐそばまで近づけるのが魅力。水音としぶきに包まれ、夏場は特に涼を感じられるひとときです。


千ヶ峰の綺麗な山並みを笠形山から眺める

後半は静けさに包まれた森を抜け、やがて急坂へ。途中には千ヶ峰を望める展望台もあり、景色を楽しみながらひと息つけます。距離はやや短めながら、滝や森、眺望といった見どころをコンパクトに楽しめる“いいとこ取り”のコースで、登山初心者にもおすすめです。

笠形山へのアクセス情報

千ヶ峰下山後に訪れる場合は、「加美町農協前」バス停から神姫バスでJR西脇市駅へ戻り、JR播但線で新井駅または寺前駅方面へ移動。そこからタクシーで「ネイチャーパーク笠形」奥の駐車場(登山口)へアクセスできます。

ただし、バスや電車の本数が少なく、移動時間も長くなるため、公共交通での二座周遊は日帰りでは難易度が高めです。宿泊やタクシー移動を組み合わせると、余裕を持って楽しめます。

初心者にもおすすめ!千ヶ峰登山で味わう変化に富んだ山旅


気軽に歩ける距離の中に、変化に富んだ風景がぎゅっと詰まっている

千ヶ峰は関西を代表する名峰のひとつで、三谷登山口から山頂を経て岩座神登山口へと下る周回コースでは、滝や展望、豊かな森や美しい棚田など、多彩な自然の魅力を一度に満喫できます。山頂からは遠くまで見渡せる壮大な景色が広がり、心も晴れやかに。


山頂周辺の絶景は初心者に登山の楽しさを伝えてくれる

下山ルートでは、静かな樹林帯や立派な大樹、里山の原風景とも言える棚田が続き、癒しに満ちたひとときが楽しめます。整備された道が多く初心者でも安心して歩けるルートで、歩くごとに千ヶ峰の奥深い魅力が感じられるはず。四季折々の自然をじっくり味わってみてください。

1993年生まれ、愛知県豊田市出身。同志社大学文学部を卒業後、商社やメーカーで営業職を経験。2019年より複業でトラベルライターとしての活動を始め、旅の魅力を伝える仕事がライフワークになる。2021年には本業も旅行業界へ本格転身し、国内OTAにて宿泊施設の集客支援に従事。現在は旅行系ベンチャー企業でメディアマネージャーを務める。これまでに執筆した記事は2,000本以上。地方の自然や暮らしをテーマにした発信を続けながら、「旅を通じて人生が豊かになるきっかけ」を届けたいと考えている。登山、自転車旅、温泉巡り、離島旅が趣味で、毎年の北海道旅行を家族の恒例行事にしている。 notehttps://note.com/yuhei_tonosho
氷ノ山 鉢伏・神鍋 2025
山と高原地図ホーダイ
道迷いの不安を軽減 登山専用地図アプリ
山と高原地図ホーダイ
紙地図60年以上の信頼をスマホで
複雑な登山道も、正確な地図で不安を軽減。
登山の専門家が調査した正確なルートやコースタイム、見どころ情報までを一つにまとめました。
紙地図「山と高原地図」として60年以上の信頼を重ねてきた情報が、アプリ「山と高原地図ホーダイ」で。
今すぐダウンロードして安全登山を楽しみましょう。