冬の山は、雪化粧の絶景が魅力ですが、夏山にはない厳しい寒さと危険が潜んでいます。とくに足元の冷えや滑りやすさは、楽しい山行を台無しにするだけでなく、凍傷や事故の原因になりかねません。このような冬山の不安を解消し、安全に山歩きを楽しむために不可欠なのが、防寒ブーツです。
低山であっても、朝晩は凍結箇所が多く、また日陰や沢沿いでは残雪や霜で足元が冷えやすいため、体温低下や靴の内部の結露にもつながる恐れがあります。そのため、冬山・雪山に特化した防寒ブーツを準備すると安心でしょう。
本記事では、効果的な防寒ブーツの選び方と、初心者の方にもおすすめできる信頼性が高く、冬山初心者にも実用的な5つの人気ブランドをご紹介します。是非参考にしてくださいね。
防寒ブーツを選ぶ際にチェックすべき3つのポイント
防寒ブーツには、雪の積もった山を歩くために重要な3つの機能があります。
| 機能 | 性能 | 初心者がチェックすべきポイント |
| 1. 保温性 | ブーツ内部の断熱材の量。足先の冷えを防ぐ最も重要な要素 | -10℃〜-20℃程度の環境に対応できる製品を選ぶと、低山での安心感につながる |
| 2. 防水性 | 雪解け水や地面からの水分が靴内部に浸入するのを防ぐ | ゴアテックスなどの透湿防水素材がおすすめ。汗を水蒸気として逃がし、足冷えの原因となる結露も防ぐ |
| 3. グリップ力 | 凍結した道や雪の上で滑りにくい靴底(アウトソール)の働き | 靴底の溝(ギザギザ)が深く、滑り止め素材採用のものが選定の目安。軽アイゼン装着可能なモデルは凍結箇所での安心材料に |
冬山の安全に直結する上記3つの機能を意識しながら、防寒ブーツの製品をチェックしてみましょう。
信頼と実用性で選ぶ 冬山初心者向け防寒ブーツ5ブランド
ご紹介する5つのブランドは、機能性はもちろん、多くの登山者から長年信頼されており、初めて防寒ブーツを購入する方でも安心して選べるでしょう。ご自身の登山スタイルや予算に合わせて、長く使える一足を見つけるための参考にしてくださいね。
コロンビア(Columbia)
コロンビア(Columbia)は、ウィンターブーツの分野で高い人気と知名度を誇るブランド。多くのモデルに独自の防水透湿機能と熱反射保温テクノロジーを採用している点が特徴です。豊富なラインナップがあるため、初めて防寒ブーツを選ぶ方でも予算や目的に合ったモデルを見つけやすく、安心して選べるブランドと言えるでしょう。
特徴的な機能
ブーツ内部のアルミドットが体温を反射し、効率的に保温力を高めます。中綿に頼りすぎないため、軽量で歩きやすいモデルが多いのも魅力です。
おすすめポイント
防水と保温機能のバランスが取れており、雪の少ない低山・冬のキャンプ・雪国への旅行など、幅広く活用したい初心者の方におすすめです。
ソレル(SOREL)
ソレル(SOREL)は、カナダで誕生したブーツブランドで、そのクラシックなデザインはタウンユースとしても人気があります。ラバーシェル(防水性の高いゴム製の覆い)と呼ばれる素材が足元をしっかりと覆っており、丈夫で耐久性が高いため、「長く使いたい」「失敗したくない」と考える計画的な初心者の方に適しています。
特徴的な機能
厚手のフェルト素材を使った着脱可能なインナーブーツが、非常に高い保温性を発揮。インナーを取り外して乾かせるため、お手入れがしやすい点も魅力です。
おすすめポイント
厳冬期の低山や、本格的な雪上ハイキングまで対応できる、高い保温力を持っており、デザイン性も高いため、街中で使いたい方にもおすすめです。
ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)
ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)は、アウトドア用品全般で信頼性が高いブランド。防寒ブーツも本格的な雪山登山から日常使いまで幅広いニーズに対応しており、厳しい環境下でのテストに基づいた製品開発が行われているため、機能面での信頼性は非常に高いです。
特徴的な機能
独自の防水素材と、保温材に軽量で断熱性の高い素材を採用することで、高い保温性を維持しつつ、重さを抑えたモデルが多く、軽アイゼンの装着に対応するモデルも豊富です。
おすすめポイント
機能性を最優先したい初心者の方。デザインもシンプルで、ウェアと合わせやすい点も人気の理由です。
メレル(MERRELL)
メレル(MERRELL)は、もともとハイキングシューズで評価の高いブランド。防寒ブーツにもその歩きやすさとグリップ力が活かされています。足を入れたときのフィット感が良く、長時間歩行しても疲れにくい構造のため、初めての冬山歩きでも安心感があります。
特徴的な機能
独自のフリーズコンパウンド(凍結路面にも強いソール素材)や深い靴底の溝(ラグパターン)が採用されており、雪や凍った路面で高いグリップ力を発揮します。滑りやすさが心配な初心者の方にとって、とくに心強い機能です。
おすすめポイント
凍結の可能性が高い雪のない低山や、滑りやすい場所を歩くことが多い山域で活躍し、「滑って転ぶのが怖い」という不安を抱える方に適したモデルが多く揃っています。
モンベル(mont-bell)
モンベル(mont-bell)は、高品質な製品を適正価格で提供することで知られており、初めて本格的な登山装備を揃える初心者の方に人気のブランド。価格が高くなりがちな防寒ブーツの中で、手を出しやすい価格帯のモデルが多く、費用対効果を重視する方におすすめです。
特徴的な機能
独自の防水透湿素材を使用し、保温材も十分に封入されており、機能はシンプルながらも、雪山歩きに必要な基本性能をしっかりと押さえています。
おすすめポイント
「まずは冬山を試してみたい」「道具にあまりお金をかけたくない」という初心者のニーズに対応しつつ、安全性も確保できる実用的な防寒ブーツが見つかります。
よくある質問Q&A:防寒ブーツに関する疑問を解消

Q. 防寒ブーツは、冬の低山ハイキングでも本当に必要ですか?
積雪のない低山ハイキングでも、気温が低く足元が冷えること、また凍結箇所があることを考えると、防寒ブーツがおすすめ。通常の登山靴でも歩行は可能ですが、防寒ブーツの方が保温性が高く、足元からの冷えを防ぎ体温低下を防げます。また、滑りにくい靴底になっているため、凍結や霜で滑りやすい場所でも安心です。
Q. 軽アイゼンは防寒ブーツに装着できますか?
多くの防寒ブーツは軽アイゼンの装着に対応していますが、購入時に「軽アイゼン対応」や「チェーンスパイク対応」といった記載があるかを確認するか、販売店で尋ねてみましょう。とくに、チェーンスパイクは脱着が容易で、凍結箇所での不安を解消してくれるため、持っていると安心です。
Q. 防寒ブーツはどのくらいのサイズを選ぶべきですか?
冬山では厚手のウールソックスや重ね履きをするため、指先に余裕がないと血行が悪くなり、かえって冷えの原因になります。試着時には、必ず厚手の冬用ソックスを履いた状態で、指が自由に動かせる程度の余裕があるか確認してください。
Q. 防寒ブーツの寿命はどのくらいですか?
A. 防寒ブーツの寿命は一般的に3〜5年程度を目安とすると良いでしょう。
使用頻度や保管方法によりますが、とくに、靴底とアッパー(甲の部分)を接着しているポリウレタン素材は、使用していなくても加水分解で劣化が進むことがあります。靴底が剥がれていないか、ソールが硬化していないかなど、山行前には必ずチェックしてください。
Q. 防寒ブーツを長く使うために、使用後の手入れで特に重要なことは何ですか?
A. 「乾燥」と「汚れ落とし」が非常に重要です。
使用後は、泥や雪をブラシで丁寧に落とし、インナーやインソールを取り出して完全に乾燥させましょう。濡れたまま放置すると、カビや劣化の原因になります。また、撥水性が落ちてきたら、フッ素系などの専用スプレーでケアすることをおすすめします。
疑問点は解消できましたか? さっそく防寒ブーツを探してみましょう。
冬の山歩きは防寒ブーツで安全に!

画像:Canva
冬の山は魅力的な景色を見せてくれますが、同時に厳しい環境でもあります。登山初心者の方が冬の山歩きを安全かつ快適に楽しむためには、足元の冷えや滑りやすさといった不安を解消できる防寒ブーツの存在は非常に重要です。
この記事を参考に、ご自身の登山計画や予算に合った一足を見つけ、計画的で安全な冬の山行を楽しんでください。
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