大平山（鎌倉アルプス）登山ガイド 天園ハイキングコースで気軽に絶景を楽しむ低山縦走ルート
神奈川県鎌倉市の最高峰「大平山（おおひらやま）」は、標高159メートルの低山ながら、鎌倉市街や相模湾を見渡す心地よい展望が魅力です。周辺には「鎌倉アルプス」と呼ばれる尾根道が続き、天園（てんえん）ハイキングコースを中心に気軽な縦走が楽しめます。都心からのアクセスも良く、日帰り登山や里山ハイキングとして多くの人が訪れます。
この記事では、初心者にも歩きやすい天園ハイキングコースを実際に歩き、鎌倉アルプスを縦走して大平山へ向かう定番ルートをご紹介します。服装や持ち物、下山後の立ち寄りスポットなど、安心して歩くためのポイントもまとめました。
目次
大平山（鎌倉アルプス）と天園ハイキングコースの魅力
大平山へ続く天園ハイキングコースは、適度なアップダウンが続きながらも歩きやすく、初心者の方にも人気があります。途中の十王岩の展望地や、大平山の山頂からは鎌倉市街や相模湾が一望でき、低山とは思えないスケールの景色が広がります。
道中ではシダや竹林、雑木林など多彩な植生が見られ、春の新緑、夏の深い緑、秋の黄葉、冬の澄んだ空気と、季節ごとに違った雰囲気を味わえます。特に秋のイチョウの絨毯や紅葉に彩られた山道は人気の時期です。
大平山へのアクセス 北鎌倉駅から歩いて天園ハイキングコース登山口へ
大平山の起点となるのは、JR横須賀線・湘南新宿ラインの北鎌倉駅です。今回紹介するルートでは、駅東口から明月谷の登山口を目指します。駅から登山口までは約20分で、住宅街や明月院周辺の静かな道を歩くアプローチになります。
車の場合は北鎌倉駅周辺のコインパーキングを利用しましょう。周辺道路は狭いため、事前に駐車位置を決めておくとスムーズです。
大平山（鎌倉アルプス）縦走コース紹介 北鎌倉駅から天園ハイキングコースを歩き鎌倉駅へ下山する定番ルート
北鎌倉駅から明月谷登山口へ向かい、天園ハイキングコースを通って勝上山、大平山、天園、胡桃山を経て鎌倉駅へ下山する縦走ルートです。距離は約8kmあり、細かい分岐も多いので、地図アプリや紙地図で確認しながら進むと安心です。
タイムスケジュール
コースデータ
・難易度：やさしい
・歩行距離：8km
・所要時間：4時間（休憩を含む）
・最大高低差：150m
・トイレ：北鎌倉駅、大平山山頂付近広場、鎌倉駅
・登山客の数：ふつう
登山記録メモ
・時期：9月中旬
・天候：曇り
・気温：最高26℃／最低22℃
・体感メモ：登山道に入ると、大きな草木が太陽を遮ってくれるため、直射日光をあまり浴びずに登ることができた
北鎌倉駅から登山スタート 明月院と住宅街を抜けて天園ハイキングコースへ
北鎌倉駅向かっての右横から入り、沿線沿いを歩いて明月院方面へ進みます。登山口まではおよそ20分で、ウォーミングアップを兼ねて歩くのにちょうど良い距離です。
しばらく進むと明月院方面を示す案内があり、ここで左折します。
小さな川が流れる住宅街を進むと、突き当たりに明月院が見えてきます。明月院の境内は四季折々の花が咲き、特に梅雨の時期には青いあじさいで彩られることで知られています。時間があれば立ち寄るのもおすすめです。
明月院を正面に左へ進みます。道が狭いので車に注意しながら歩きましょう。
この先で右側に坂道が現れます。この分岐はやや分かりにくいため、地図アプリや登山地図でルートを確認しながら進むと安心です。
坂道の途中で1つ目の交差点を左折すると、天園ハイキングコース（鎌倉アルプス）へ入ります。ここからまず勝上山の山頂を目指します。
藪に囲まれた山道に入ると、鳥の声や土の香りが広がり、日常の喧噪から離れた静けさを感じました。
天園ハイキングコースは分岐が多く現れます。案内板が設置されていることが多いので、手元の地図と照らし合わせながら進むと安心できます。
草木が開けた場所もあり、住宅街や周囲の山々が見えました。もう少しで勝上山の山頂です。
勝上山山頂から鎌倉の景色を一望 岩場を越えて大平山へ向かう道へ
勝上山山頂の「勝上嶽（しょうじょうけん）展望台」に到着です。周辺にはベンチや案内板があり、休憩スポットとして利用できます。
山頂からは、草木の間から遠くの山々や空の景色を見ることができます。
ひと休みしたら、大平山山頂へ向けて出発します。落ち葉が積もった細い道を進みます。この辺りは雨のあとぬかるみやすいので、足元を確かめながら進みましょう。
数分ほど歩くと「鎌倉十王岩の展望」に到着します。十王岩磨崖仏近くに設けられた展望地で、鶴岡八幡宮の裏手に位置しています。鎌倉の山々や若宮大路、二の鳥居、相模湾が一望でき、かながわの景勝50選にも選ばれています。絶景を堪能したら、大平山山頂へ向けてさらに進みます。
この先で大きな岩の階段が現れ、ロープが設置されています。段差は大きめですが、ロープを使わずに下りることもできます。
分岐点では案内に従い、真っ直ぐ進みます。
しばらく進むと特徴的な形の大岩が見えてきます。この岩の周りは一周できるようになっています。
ここからは切り立った岩や大きな岩が続く岩場が目立ち始めます。スリルを感じる場面もあるので、足元に注意しながら進みましょう。
薄暗い森を抜けて前方が明るくなると、まもなく鎌倉アルプスの最高峰・大平山の山頂です。
鎌倉アルプス最高峰・大平山へ到着 天園を経て胡桃山へ下る下山パートへ
標高159メートル地点の大平山山頂に到着です。視界が開け、青空の下で開放感に包まれました。岩場を越えた達成感とともに、眼下に広がる鎌倉の街並みや相模湾の景色を楽しめます。
空気が澄んでいると、西側に富士山や丹沢山地、東側には横浜方面まで見えることもあります。
山頂から少し下ると広場があり、食事を楽しむ登山客の姿が見られます。ここから天園へ向かいます。
広場を抜けると砂利道に変わり、少し進んだところにトイレがあります。あまりきれいではありませんが、道中にあるだけでも安心です。
トイレの先の分岐を右へ進みます。
大平山から8分ほどで天園に到着しました。天園は横浜市と鎌倉市の境目となっている場所です。草木が生い茂っており、景色は楽しめませんが広場のようになっているためレジャーシートなどを敷いて休憩することもできます。
天園を出たら次は胡桃山を目指します。ここからは少し足場が悪くなってきます。ゴツゴツした石や木の根などにつまずかないように気をつけながら進みましょう。
細い道も現れ、草が生い茂っている部分は踏み跡がわかりづらいため、できるだけ土の見えている場所を選んで進みます。
天園から約20分進んだところに胡桃山があります。胡桃山は地上106ｍほどの山です。頂上はとても分かりにくいですが道が少し広くなっています。マップと照らし合わせながら頂上を確認してみましょう。
またしばらく進んでいくと分かれ道が見えてきました。案内板があるので、「瑞泉寺」の方面へ進みます。まもなく山道も終わりに近づいてきました。
天園ハイキングコースの山道を終えて鎌倉駅へ
天園ハイキングコースの山道を抜けると住宅街に出ます。ここからは舗装路を歩いて鎌倉駅へ向かいます。
鎌倉宮の前を通り過ぎ、そのまま直進します。
鶴岡八幡宮の前の通りに出るので、横断歩道を渡り、観光客で賑わうエリアを進みます。
鎌倉駅に到着したら登山終了です。
大平山（鎌倉アルプス）登山におすすめの服装・持ち物 天園ハイキングコースを快適に歩くために
低山を縦走する大平山（鎌倉アルプス）では、標高は低いものの気温差や汗による冷えに注意が必要です。天園ハイキングコースを安全に歩くためにも、快適に歩ける服装と基本の持ち物をまとめました。
季節を問わず快適に歩くための服装例
・ベースレイヤー（インナー）
・速乾Tシャツ（夏用）
・登山パンツ
・登山用靴下
標高が低く気温が高いため、特に夏は汗をかきやすいです。速乾性のある素材のウェアを着用し、タオルや水分を多めに持参しましょう。冬場は重ね着を意識し、体温調節しやすい服装がおすすめです。
持ち物チェックリスト
以下は日帰り登山における基本の装備リストです。低山の鎌倉アルプスでも、体調不良や悪天候に備えて必要なものはしっかり準備しましょう。
＜h4>必携アイテム</h4＞ ・飲み物（500ml〜1L以上、夏は多めに） ・軽食・行動食（チョコやナッツなど手軽に食べられるもの。夏は塩分補給タブレットなどが便利） ・タオル、手ぬぐい ・日焼け止め、帽子（つば付きが便利） ・レインウェア（急な雨に備えて必ず携行） ・スマートフォン＋モバイルバッテリー ・地図アプリまたは紙地図（オフラインでも確認できるもの） ＜h4>あると便利な装備品</h4＞
・トレッキングポール
・登山用グローブ
・サングラス
・虫除けスプレー
・クマ鈴、ホイッスル
・携帯トイレ、ティッシュ、ゴミ袋
・エマージェンシーシート
・救急セット（絆創膏、常備薬など）
天園ハイキングコースは森に囲まれていて、夏場は虫が多くなるため虫よけ対策をしっかり行いましょう。また、草木が道に張り出す場所もあるので、手足が隠れるウェアだと安心です。
大平山（鎌倉アルプス）下山後に立ち寄りたい温泉・グルメ・観光情報まとめ
登山道の終了地点から鎌倉駅までの間には、立ち寄りやすいお店や観光スポットが点在しています。
ここでは、大平山（鎌倉アルプス）下山後に立ち寄りやすいおすすめスポットを4つご紹介します。
ミネラルミストサウナLeFuro鎌倉
世界初とされる湯治スパ「LeFuro鎌倉」は、約40℃の蒸気に包まれながら湯を浴びる、新しいスタイルの温浴施設です。温泉由来の30種類のミネラルを含むミストが体を包み込み、下山後の体をやさしく潤します。手ぶらで気軽に利用できるため、登山後のリフレッシュに立ち寄りやすいスポットです。
アクセス：JR横須賀線・湘南新宿ライン、または江ノ島電鉄「鎌倉駅」から徒歩6分
営業時間：平日 13：00〜21：00／土日祝 10：00〜19：00
休業日：無休
公式HPはこちら
ワンダーバーグ
鎌倉小町通りの一角にある「ワンダーバーグ」では、和牛挽肉と牛粗挽き肉を合わせたオリジナルの鉄板焼きハンバーグが楽しめます。野菜や米、味噌汁など付け合わせにもこだわっており、ジューシーな肉との相性は抜群。下山後にしっかりと食事をとり、体力を回復させたい人におすすめです。
アクセス：JR横須賀線・湘南新宿ライン、または江ノ島電鉄「鎌倉駅」から徒歩3分
営業時間：11：00～22：00（L.O.21：00）
休業日：火曜 ※SNS要確認
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モン ペシェ ミニョン FUJIMORI鎌倉店
「モン ペシェ ミニョン」は、パン激戦区として知られる鎌倉の中でも特に人気の高いベーカリーです。鎌倉の風土を活かしたデニッシュやフランスパンは、家庭的でやさしい味わい。イートインスペースやテラス席での利用はもちろん、鎌倉のお土産としてテイクアウトするのもおすすめです。
アクセス：JR横須賀線・湘南新宿ライン、または江ノ島電鉄「鎌倉駅」から徒歩15分
営業時間：平日 10：00〜17：00／土日祝 8：00〜17：00
※売り切れ次第終了、2階カフェスペース〜14：00、ドリンクL.O.15：00
休業日：月・火曜（祝日は営業）※SNS要確認
公式Instagramはこちら
鎌倉宮
「鎌倉宮」は、天園ハイキングコースから鎌倉駅へ向かう途中に立ち寄りやすい神社です。護良親王を祀り、厄除けや勝運、商売繁盛などのご利益があるとされています。境内の身代わり様や獅子頭守りは、厄や災いを受けて幸せを招くと伝えられており、下山後の参拝にも適した場所です。四季折々の景観も見どころのひとつです。
アクセス：JR横須賀線・湘南新宿ライン、または江ノ島電鉄「鎌倉駅」から徒歩25分
営業時間：社務所 9：00～16：00／宝物殿 9：00～16：30（受付は30分前まで）
休業日：無休
公式HPはこちら
大平山（鎌倉アルプス）登山のよくある質問
Q. 初心者でも登れますか？
A. 標高差が小さく、天園ハイキングコースは整備されているため、初心者でも気軽に縦走を楽しめます。ただし、登山道は木々に囲まれて見通しが悪い場所もあるため、道迷いには注意が必要です。
Q. 展望スポットはどこにありますか？
A. 鎌倉十王岩と大平山山頂が主な展望スポットです。自然に包まれた静かな空間の中で、鎌倉市街地や相模湾を一望できます。
Q. どの季節に登るのがおすすめですか？
A. 春は桜、秋は紅葉が美しく、四季折々の景観が楽しめます。冬は空気が澄み、遠くまで見渡せる日が多いのも魅力です。夏は草木や虫が多く、熱中症のリスクも高いため、無理のない時期選びが大切です。
Q. 登山開始から終了までの所要時間はどれくらいですか？
A. 休憩を含めて4時間半前後が目安です。天園ハイキングコース約4.2kmをおよそ3時間半、市街地約3.8kmを約1時間歩きます。体力や天候によって前後するため、余裕を持った計画を立てましょう。
日常から少し離れて癒される大平山（鎌倉アルプス）縦走登山
低山ながら魅力の詰まった大平山（鎌倉アルプス）は、初心者でも気負わず楽しめる縦走ルートです。天園ハイキングコースは歩きやすく、森に包まれる静けさや、展望スポットから望む鎌倉らしい景色など、歩くほどに変化を感じられます。歴史ある寺社や文化が息づく街と山が近くにつながっているのも、鎌倉ならではの魅力です。
季節や時間帯によって表情を変える景色を楽しみながら、自分のペースで歩いてみましょう。コースや季節を変えて再訪すれば、同じ道でも新しい発見に出会えるはずです。
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