羅臼湖トレッキング 知床の自然を歩く!湿原と五つの沼をめぐる絶景ルート

知床最大の湖「羅臼湖」は、湿原や高山植物、野鳥など、知床ならではの貴重な自然が広がる絶景スポットです。トレイルには雪田や湿原、静かな沼が点在し、歩くごとに表情を変える風景に出会えます。

片道約3kmの道のりは、本格的な装備と体力が求められるものの、その先に待つ景色は圧巻。とくに雪解けの季節には、残雪と新緑が織りなす美しいコントラストも楽しめます。

この記事では、羅臼湖トレッキングの魅力やルート、注意点まで詳しくご紹介します。

2025年4月24日 更新

羅臼湖トレッキングは、知床の自然を体感できる絶景ルート

 
by fotolia – ©rujin

羅臼湖へのトレッキングは、登山経験者にこそおすすめしたい知床の奥深さを味わえるルートです。歩道の両脇には湿原が広がり、季節によってワタスゲやハイマツ、ダケカンバなどの高山植物が咲き誇ります。

5月〜7月上旬には、残雪と花々の共演が楽しめる貴重な季節。さらに、絶滅危惧種のオオジシギなど、珍しい野鳥に出会えるチャンスもあります。ただし、知床はヒグマの生息地でもあるため、非常食以外の食べ物は持ち込まない、音を出して歩くなどの基本的な熊対策を忘れずに。

所要時間は約3〜4時間。コースにはぬかるみや急傾斜もあるため、長靴とレインウエア、防寒具は必須です。

羅臼湖を目指し高山植物と残雪のトレイルを歩く

羅臼湖へのトレイルは、道中そのものが見どころの連続です。歩くごとに景色が変わり、季節の移ろいや標高差による植生の変化がダイレクトに感じられるこの道は、まさに“知床の自然を歩く”体験そのものです。

➀歩道入口をスタート

知床峠方面から2.5kmほど歩いた先にある歩道入口から、羅臼湖への道のりが始まります。朝の空気はひんやりとしていて、周囲は静かな森に包まれています。現在は一の沼には立ち入れないため、最初の目指す地点は二の沼。木立の中を進みながら、徐々に足音とともに登山のリズムが整っていきます。

➁二の沼で雪と花の出会いを楽しむ


谷などの斜面で遅くまで雪が残る雪渓

しばらく進むと、視界が開けて二の沼が姿を現します。5月から7月にかけては、雪田群落が木道のすぐそばまで広がり、雪の中から顔を出す高山植物の姿に心を奪われます。雪と新緑のコントラスト、湿原に広がる静寂な空気が、このトレイルの特別さを感じさせてくれます。

➂ 三の沼と羅臼岳の絶景に出会う

二の沼を後にして木道を進むと、ひときわ開けた場所に出ます。そこが三の沼です。天候に恵まれれば、沼の水面越しに羅臼岳の雄大な姿が現れ、シャッターチャンスに。

 

水辺に立つアカエゾマツは、北西からの強風を受けて片側の枝が失われており、自然の厳しさを物語っています。

➃ 湿原を渡りながら、生命の息吹にふれる

三の沼から進むと、やがて視界いっぱいに広がる湿原が現れます。ここは歩道の中でもっとも広大な湿地帯。

 
月中旬~7月上旬に見られるハイマツの雌花

季節にはワタスゲの白い穂が風に揺れ、ハイマツやダケカンバが緑を添えます。


雪の重みで曲がったダケカンバ

野鳥の鳴き声が響き渡る中、湿原の静けさが心を包みます。

⑤四の沼で標高の高さを実感する

湿原を抜けると現れるのが四の沼です。登山道の中で最も標高の高い場所に位置し、木々がまばらになった先に空の広がりを感じられる、開放的なスポットです。ひっそりとたたずむ沼の水面には、周囲の山肌が映り込み、どこか張りつめたような静けさが漂います。風が吹けば草の音が耳に届き、自然と足を止めたくなるような場所です。

⑥五の沼で、静けさに包まれる

ササ原を抜けると、五の沼に到着します。五つの沼の中でも最大のこの沼は、周囲にミズゴケが多く見られ、湿地ならではのしっとりとした静けさが漂います。カエルや昆虫の姿が足元に見つかり、小さな命の営みが感じられる場所でもあります。

⑦羅臼湖に到着! 圧巻の風景が広がる終着点

 
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歩道の終点、木道の向こうに広がるのが、ついにたどり着いた羅臼湖。湖面は穏やかで、周囲の山々と空を映し出す鏡のような美しさ。多くの登山者がここで足を止め、記念写真を撮ったり、静かにその景色を味わったりしています。

帰りは同じ道を引き返しますが、時間や光の加減で、行きとは違った風景に出会えることもしばしば。五感で自然を感じながら歩くこのルートは、知床の魅力をぎゅっと凝縮したような、満足度の高いトレッキングコースです。

羅臼湖トレッキングの注意点とアクセス情報

【アクセス】
阿寒バス「羅臼湖入口」下車すぐ(便数少なめ)
車利用の場合は「知床峠駐車場」に駐車し、徒歩で約2.5km

【散策可能期間】
6月〜10月中旬(知床横断道路の開通期間)

【服装・装備】
ぬかるみや泥道が多いため、長靴が必須。また、天候変化や寒さに備え、上下のレインウエアと防寒着も欠かせません。

迷いやすい道はガイドツアーが安心

羅臼湖トレイルは自然豊かな反面、残雪や分かりづらい道も多く、初心者にはガイド付きのツアーがおすすめです。おすすめは「知床ネイチャーオフィス」が実施する羅臼湖トレッキングツアー。長靴の無料貸出やレインウェア(1,000円)レンタルもあり、装備面でも安心です。

知床ネイチャーオフィス
期間:6月1日~10月15日
時間:8:00~13:00
料金:小学生以上7,000円
>>公式HP

知床の自然と向き合う、心に残る山歩き

 
6月中旬〜7月頃、白い綿毛をつけるワタスゲ

羅臼湖トレッキングは、知床の大自然を五感で味わえる貴重な体験です。五つの沼と湿原、残雪や高山植物など、歩くたびに変化する景色に魅了されます。

本格的な装備と自然へのリスペクトを忘れず、安全に配慮した登山を心がければ、ここでしか出会えない風景があなたを待っています。

次の旅先候補に、ぜひ「羅臼湖トレッキング」を加えてみてはいかがでしょうか。

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