【ニセコ】神仙沼の紅葉トレッキング 札幌から日帰りで行ける絶景湿原

秋の北海道といえば、日本一早く紅葉が始まる場所のひとつ。9月下旬から10月中旬にかけて、広大な自然が鮮やかな秋色に染まります。
今回ご紹介するのは、ニセコエリアにある絶景紅葉スポット「神仙沼」でのトレッキング体験。初心者でも歩きやすい木道コースが整備されており、子ども連れや年配の方にも人気です。もちろん、山歩きに慣れていない人でも安心して楽しめるルート設計。
札幌から日帰りで訪れることもできるので、旅行中の自然散策や週末のリフレッシュにもぴったり。“草紅葉”と呼ばれる湿原ならではの紅葉風景が見られるのも、神仙沼ならではの魅力です。
神仙沼ってどんなところ?

神仙沼トレッキングコース入口
「蝦夷富士(えぞふじ)」とも称される羊蹄山のふもとに広がるニセコは、スキーリゾートとして知られていますが、実は一年を通して自然アクティビティが楽しめるエリア。そんなニセコで、紅葉の名所として評判なのが「神仙沼」です。
標高約760mに位置する湿原には、遊歩道と木道が整備され、往復1時間半〜2時間ほどのトレッキングが楽しめます。
手軽なのに絶景に出会えるとあって、紅葉シーズンには多くのハイカーや観光客が訪れます。
神仙沼へのアクセス
車の場合:札幌市内から約2時間(道央自動車道利用)
電車+車:JR函館本線「小沢駅」下車 → 車で約40分
神仙沼トレッキングコースの概要

神仙沼トレッキングコースマップ
神仙沼トレッキングコースの総延長は約1,400m。自然休養林の駐車場からスタートし、整備された緩やかな林道を歩いていくと、15〜20分ほどで湿原入口にたどり着きます。ここからさらに10分ほど進めば、神秘的な神仙沼に到着します。
コース全体の所要時間は1時間半〜2時間ほど。道中にはアップダウンが少なく、初心者や体力に自信がない方でも無理なく歩けるのが魅力です。
なお、コース内にはトイレが設置されていないため、出発前に神仙沼レストハウス横のお手洗いを済ませておきましょう。
神仙沼の紅葉トレッキング

バリアフリー化された歩きやすい木道
駐車場からスタートしてすぐの林道は、明るいカラマツ林が心地よい木漏れ日を落とし、秋には落ち葉のじゅうたんがふかふかと足を包み込みます。ほどなくして、バリアフリー化された木道が現れます。ここからが、神仙沼トレッキングの本番です。
木道は滑り止め加工が施されており、傾斜の強い箇所には迂回路も整備されています。年配の方や小さなお子さまでも歩きやすく、安心して秋の自然を楽しめる構造です。歩みを進めると、「神仙沼まで○m」と書かれた案内板が点在しており、自分の現在地がわかりやすいのも嬉しいポイントです。

湿原入口の目印となるハイマツのトンネル
緑に囲まれた木道をゆっくりと進んでいくと、湿原エリアへの入り口となるハイマツのトンネルが見えてきます。天然のアーチをくぐった瞬間、視界が一気に開け、金色に染まった広大な湿原が目の前に広がります。この一瞬のドラマチックな展開こそ、神仙沼トレッキングの醍醐味のひとつです。
絶景草紅葉の神仙沼湿原を散策

美しい草紅葉の湿原と木道
ハイマツのトンネルを抜けた先には、山吹色やオレンジに染まった草紅葉が一面に広がる神仙沼湿原が待っています。空を映す池塘(ちとう)と、秋風に揺れるススキや低木が幻想的な景色をつくり出し、どこを切り取っても絵になる光景です。

湿原内は木道周回コースで一方通行
湿原内の木道は周回コースとなっており、一方通行で進むように設計されています。細い木道をゆっくりと歩きながら、池塘に映る空や雲を眺めていると、自然と呼吸が深くなり、心がほぐれていくのを感じます。
途中、視線を上げれば、紅葉に染まった草木の間から異彩を放つアカエゾマツが立ち並び、湿原の彩りに独特のアクセントを添えています。
神秘的な神仙沼の絶景を目指して

鏡面に映る紅葉や空の青、雲が絶景
湿原の草紅葉をじっくり楽しんだら、いよいよこのトレッキングのクライマックス、神仙沼へと向かいましょう。湿原の奥へと伸びる木道を進むと、やがて木立の向こうに、しんと静まり返る沼の水面が見えてきます。10分ほど歩いた先に現れるのが、「神仙沼」です。

アカエゾマツの存在感
水面に映る空と紅葉、そして対照的なアカエゾマツの深い緑が幻想的なコントラストを描きます。どこか異世界の入り口のような、神秘的な静けさ。ボーイスカウトの創始者・下田豊松が初めてこの地を訪れたときに「神と仙人が住みたまう所」と命名したという話にも、思わずうなずきたくなる絶景です。

ウッドデッキから景色を楽しめる
ウッドデッキにはベンチも設置されており、ちょっと一息入れながら、景色を眺めたり、お弁当を広げたりするのにもぴったり。風のない日には、空や雲、草紅葉が水面にくっきり映り込み、写真映えすること間違いなしです。
湿原をいろどる池塘の風景に心癒やされる

無数に点在する池塘
神仙沼から続く木道をさらに進んでいくと、湿原内に点在する「池塘(ちとう)」が目に飛び込んできます。これは、泥炭層に水が溜まってできた小さな池。浮島のように草が生い茂ったまあるい形の浮島が、水面にぷかぷかと浮いている様子は、まるで自然が描いた芸術のようです。
ときおり風が吹き抜けて、草木がざわめく音が聞こえるだけの世界。見上げれば広い空、足元には繊細な湿原植物たち──心がすっと軽くなるようなひとときが、ここにはあります。
時間と体力に余裕があれば「長沼」まで足をのばして

土や岩を積み重ねて造られた人造湖の「長沼」
神仙沼の余韻を胸に、再び湿原入口まで戻ったところで、まだ時間と体力に余裕があれば「長沼」まで足をのばしてみましょう。湿原入口手前にある分岐点から、神仙沼とは反対側の道に入っていきます。
しばらくは緩やかな上り坂が続き、足元は土や岩がむき出しになった山道に変わります。木々に囲まれた林道は鳥のさえずりが響き、時折木漏れ日が差し込む中、リスなどの小動物とばったり出会えることも。湿原とは違った、森の中を歩く心地よさがここにはあります。
分岐から15分ほどで到着するのが、ひょうたん型の人造湖「長沼」。その背後には、標高1,134mの火山「チセヌプリ」が堂々とそびえています。水面は静かで、天候が良ければ沼に山並みが映し出される、まさにフォトジェニックな場所。神仙沼とはまた違った、少し荒涼とした雰囲気の中に佇むこの場所では、自然の多様さを感じることができます。
トレッキングの締めくくりは神仙沼レストハウスで

登山入口にある神仙沼レストハウス(画像提供:神仙沼レストハウス)
長沼から戻り、神仙沼トレッキングのスタート地点でもある「神仙沼レストハウス」へ。木の温もりが感じられる館内では、歩き疲れた体をほっと癒せる空間が広がっています。

秋季限定おすすめメニュー「担々麺」(画像提供:神仙沼レストハウス)
おすすめは、秋季限定の担々麺。コクのあるごまの香りと、旨みたっぷりの肉味噌がたまらない逸品で、冷えた体を内側からじんわり温めてくれます。さらに、共和町特産の「らいでんメロン」を使ったフラペチーノも要チェック。果肉のなめらかさと甘さが贅沢な一杯です。

目移りするグッズがいっぱい
お土産を探すなら、限定トートバッグや神仙珈琲など、ここでしか買えないグッズが並ぶ売店へ。トートは防水加工付きで登山にもぴったり、旅の思い出にもおすすめです。
2階のギャラリースペースでは、神仙沼の四季を写した写真パネルが展示されており、秋以外の表情も知ることができます。静かな時間が流れる中、思わず長居してしまいそうです。
営業期間:5月末~10月下旬 ※冬季休業
営業時間:9:00~17:00(レストハウス、トイレともに)
最後は展望台で深呼吸──心のデトックス完了

トンガリ屋根が特徴の展望台
帰り際には、レストハウス右手奥にある「展望台」にも立ち寄ってみてください。とんがり屋根が目印の可愛らしい展望台に登ると、眼下には広がる共和町の田園風景、そしてその向こうにどこまでも続く日本海・岩内湾の姿が。

共和町と岩内湾を望む
風が通り抜ける展望台で大きく深呼吸すれば、身体の奥まで浄化されるような感覚に。展望台には「幸せの鐘」もあり、カランカランと響く音が旅の締めくくりにぴったりです。今日という1日に感謝を込めて、ぜひ鳴らしてみてください。
秋の北海道で、神仙沼トレッキングというご褒美時間を

草紅葉に彩られた湿原、静けさに包まれた神秘の沼、そして心地よい木道歩き。神仙
沼の紅葉トレッキングは、初心者でも安心して楽しめるうえに、深く心に残る絶景に出会える贅沢な時間です。
バリアフリー対応の木道や整備された標識、休憩に嬉しいレストハウスの存在など、登山に不慣れな方でもチャレンジしやすいコース設計も大きな魅力。札幌から車で約2時間とアクセスも良好なので、日帰りの紅葉旅行にもぴったりです。
紅葉のピークは9月末〜10月中旬。秋のニセコで、自然の美しさと癒しを満喫してみませんか?

登山道、コースタイム情報、コースの見どころ、山小屋や水場など登山者に必須の情報がすべて掲載!