三重の日帰り登山スポット10選 初心者に人気の名山を厳選紹介

日帰りで気軽に自然を楽しめる山が、三重にはたくさんあります。鈴鹿セブンマウンテンをはじめ、初心者でも安心して登れるルートが豊富で、四季の花々や苔むす森、雄大な稜線など、それぞれの山に個性的な魅力があります。
この記事では、地元ライターが厳選した三重の日帰り登山スポット8座に、山頂が滋賀県にありますが、三重県側から登る人も多い県境の名山2座を番外編としてご紹介します。
初心者の方でも計画を立てやすいよう、特徴や魅力を丁寧にまとめました。静かで豊かな自然を、ぜひ歩いて体感してみてください。
目次
1.鈴北岳 テーブルランドの入口となる琵琶湖展望の山

「鈴北岳」周辺はテーブルランドと謳われる独特な地形が広がる
「鈴北岳(すずきただけ、標高1,182m)」は、鈴鹿山脈の北部に位置し、落ち着いた雰囲気と豊かな自然に包まれた知る人ぞ知る名峰です。
三重県と滋賀県の県境にある鞍掛峠からほど近く、鈴鹿セブンマウンテンのひとつ「御池岳」とセットで登られることが多い山で、初夏から秋にかけて多くの登山者に親しまれています。周辺は「テーブルランド」と呼ばれるカルスト地形が広がり、御池岳エリアの入り口としても知られています。

稜線の先には、伊吹山から琵琶湖まで大パノラマが展開
穏やかな山頂に立つと、眼下には琵琶湖をはじめとする雄大な展望が広がり、視界が開けて気分も爽快です。さらに、目の前には堂々とした「日本百名山」の伊吹山(標高1,377m)や奥伊吹の山並みが連なります。
日本アルプスを思わせる迫力ある稜線が楽しめるのも魅力。鈴鹿山脈の奥深い魅力を存分に味わえる、隠れたおすすめの名峰です。
2.藤原岳 初心者にも人気!日帰りで楽しむ三重の花の名山

鈴鹿山脈の中でもひときわ高い人気を誇る「藤原岳」
鈴鹿セブンマウンテンのひとつ「藤原岳(ふじわらだけ、標高1,140m)」は、花の百名山にも選ばれるほど花の名所として知られています。三重県いなべ市と滋賀県の境に位置し、特に早春の福寿草やセツブンソウ、ヒロハノアマナなどの花々を目当てに、多くの登山者で賑わいます。
山頂付近の草原からは伊勢湾や濃尾平野が一望でき、晴れた日には遠く御嶽山(おんたけさん、標高3,067m)や恵那山(えなさん、標高2,191m)まで見える大パノラマが魅力です。

鈴鹿山脈に春の訪れを知らせる福寿草
最もポピュラーなのは大貝戸登山口からの表登山道で、9合目の藤原山荘を経てゆるやかな尾根をたどって山頂を目指します。比較的道が整備されており、初心者にも安心です。裏登山道は自然林に囲まれ、より静かで野趣あふれる山歩きが楽しめます。
豊かな花々と雄大な展望を手軽に味わえる、初心者にも人気の三重の日帰り登山スポットです。
3.入道ヶ岳 天空の鳥居と日帰り絶景登山

鎌ヶ岳と低木の群落が作りあげる風景は、まるで海外の山のよう
「入道ヶ岳(にゅうどうがたけ、標高906m)」は、鈴鹿セブンマウンテンのひとつで、独立峰のように美しい山容が特徴。三重県鈴鹿市に位置し、古くから山岳信仰の対象とされています。まるで天空に浮かぶかのような椿大神社奥宮の鳥居が立ち、訪れる人を神聖な雰囲気で迎えてくれます。
山頂からは伊勢湾や鈴鹿平野、そして向かいにそびえる鎌ヶ岳の雄姿を望むことができ、眺望の良さも大きな魅力です。

見渡す限り広がる三重の平野と伊勢湾の大展望
登りは山頂まで最短の井戸谷コースがおすすめです。道中小さな沢渡りや沢登りがあり、冒険心をくすぐります。後半には開けた場所から素晴らしいパノラマが広がり、変化に富んだ景色を存分に楽しめます。
下山は、山頂の壮大な展望とは対照的に、静かな樹林帯を歩く二本松尾根コースへ。山頂から望む伊勢湾のパノラマは、登山の最高のご褒美。鈴鹿山脈の豊かな自然と歴史ある信仰の空気を感じられる、日帰りで登れる名山です。
4.仙ヶ岳 巨岩と地形が織りなす個性派の隠れ名山

仙ヶ岳の頂上に佇む巨岩「仙の石」
「仙ヶ岳(せんがたけ、標高961m)」は鈴鹿山脈の中部に位置し、「仙の石」と呼ばれる巨岩を山頂に抱える、岩と自然林の調和が美しい山です。花崗岩の巨岩が点在する尾根や稜線が特徴で、ほどよいスリルと抜群の眺望を楽しめます。
特に南尾根コースは岩稜帯を縫って進むスリリングなルートで、山頂からは御在所岳や釈迦ヶ岳、遠くには伊勢湾も見渡せる大展望が広がります。

低山とは思えない雄大な姿を見せる「仙ヶ岳」
沢沿いのコースもあり、新緑の季節や秋の紅葉は格別の美しさです。変化に富んだ地形は歩きごたえがあり、日帰りで充実感を味わえる、やや健脚向けのコースとしても人気です。
周辺には宮指路岳(くしろだけ、標高946m)と結ぶ縦走路も整備されており、仙ヶ岳を起点に鈴鹿の山々を歩きつなぐ楽しみ方もおすすめです。自然の造形美と探求心をかき立てる山旅を満喫できる一座です。
5.御在所岳 ロープウェイで初心者も安心!三重の王道日帰り絶景登山

ロープウェイを使って気軽にアプローチできる「御在所岳」
「御在所岳(ございしょだけ、標高1,212m)」は鈴鹿山脈を代表する人気の山で、鈴鹿セブンマウンテンのひとつとして多くの登山者に親しまれています。三重県菰野(こもの)町に位置し、ロープウェイやスキー場も整備されているため、家族連れや初心者でも気軽に訪れやすいのが特徴です。
山頂からは伊勢湾、名古屋市街、さらに条件が良ければ御嶽山(おんたけさん、標高3,067m)まで見渡せる絶景が広がり、四季を通じて多彩な景色が楽しめます。

まるで純白の桜のように美しい、冬の霧氷は格別
特に秋の紅葉や冬の樹氷は有名で、カメラを携えたお客さんで賑わいます。登山道は表登山道や中登山道、一ノ谷新道など複数整備されており、体力や経験に合わせてルートを選べるのも魅力。中でも表登山道は比較的傾斜が緩やかで、景色を楽しみながら登れるため、初心者にも安心な三重の日帰り登山コースです。
迫力ある奇岩「地蔵岩」を間近に見たいなら、中登山道がおすすめ。御在所岳はアクセスの良さと登りごたえを兼ね備えた、観光にもおすすめの一座です。
6.釈迦ヶ岳 鈴鹿有数の稜線美を堪能する日帰りパノラマコース

冒険心をくすぐる雄大な稜線歩きを味わえる「釈迦ヶ岳」
鈴鹿セブンマウンテンのひとつ「釈迦ヶ岳(しゃかがたけ、標高1,092m)」は、鈴鹿山脈の中でも比較的登山者が少なく、静かに山歩きを楽しめる隠れた名峰です。山頂には釈迦如来の石像が祀られており、その名の由来にもなっています。
山頂からは御在所岳(ございしょだけ、標高1,212m)や雨乞岳(あまごいだけ、標高1,238m)、藤原岳(標高1,144m)など周辺の山々を一望でき、晴れた日には遠く伊勢湾まで見渡せる絶景が広がります。

道中に点在するガレ場(崩落地)が自然の迫力を物語る
中でも魅力的なのが、八風峠(はっぷうとうげ)から中峠付近を通る縦走コースです。鈴鹿山脈の中でも指折りの展望と迫力を誇り、樹林が途切れると森林限界を思わせる開放的な景色が目の前に広がります。その先には釈迦ヶ岳の山頂が堂々と姿を現し、奥行きのある景観が歩く人を引き込みます。
稜線には砂地が顔を覗かせ、大きな崩落地や赤く色づく低木が変化を加え、進むごとに新しい景色に出会えるのも魅力です。
7.竜ヶ岳 初心者に人気!日帰りで満喫する三重の稜線ハイク

遮るもののない爽快な稜線歩きが楽しめる「竜ヶ岳」
「竜ヶ岳(りゅうがたけ、標高1,099m)」は、鈴鹿セブンマウンテンのひとつで、開放感あふれる稜線歩きが魅力の人気の山です。特に春に咲き誇るシロヤシオの大群落は「羊の群れ」とも呼ばれ、白い花が一面に咲き広がる光景はまさに圧巻。花のシーズンには多くの登山者で賑わいます。
代表的な遠足尾根コースは、ゆるやかな尾根道を進みながら眺望を楽しめるため、三重で初心者に人気の日帰り登山ルートです。

まるで羊が隊列をなしているような冬の霧氷の風景
そんな竜ヶ岳では、実は春以外の季節にも「羊の群れ」に出会えることがあります。それが冬の霧氷です。朝の冷え込みが厳しい日、森林限界付近の稜線には、空気中の水分が凍りついてできる真っ白な霧氷群が現れます。
その光景は、まるで今にも動き出しそうな羊の隊列のよう。朝日を浴びて純白に輝く姿は、思わず息を呑むほどの美しさです。
8.朝熊山(朝熊ヶ岳) 伊勢湾の多島美が待つ霊山日帰りハイキング

伊勢志摩スカイラインからでも登頂できる「朝熊山」
「朝熊山(あさまやま、標高555m)」は伊勢神宮の鬼門を守る霊山として古くから信仰を集めてきた山です。正式な山頂と名称は朝熊ヶ岳(あさまがたけ)。伊勢志摩国立公園の一角にあり、伊勢湾を望む絶景と歴史的な名所が融合した人気のハイキングスポットです。山頂には金剛證寺(こんごうしょうじ)があり、奥の院へ続く参道には多くの石仏が並び、荘厳な雰囲気が漂います。
また、伊勢志摩スカイラインを利用すれば山頂近くまで車でアクセスできるのも魅力です。

朝熊山展望台からは伊勢湾の多島美を望む
メインの登山道は朝熊岳道が整備されており、往復3時間弱と比較的短時間で登れるため、初心者や子供連れでも安心して楽しめる三重の日帰り登山スポットです。頂上からは伊勢湾の島々を一望でき、晴れた日には知多半島や遠く御嶽山(おんたけさん、標高3,067m)まで見渡せる大パノラマが広がります。
歴史と自然を同時に感じながら、気軽に伊勢の絶景を楽しめる貴重な低山です。
9.【番外編】雨乞岳 水源の山で感じる鈴鹿の縦走路

伸びやかな稜線とスケール感あふれる道のりが魅力の「雨乞岳」
「雨乞岳(あまごいだけ、標高1,238m)」は、鈴鹿セブンマウンテンのひとつで、雨乞い信仰が伝わる水源の山として有名です。おすすめは武平峠(ぶへいとうげ)から東雨乞岳(標高1,226m)を経て登るコース。緑があふれる自然林の中を心地よく歩けるほか、美しい沢沿いの風景が訪れる人を癒やしてくれます。
また、鎌ヶ岳(かまがたけ、標高1,161m)や御在所岳(ございしょだけ、標高1,212m)などの眺望が楽しめるのも魅力です。

鈴鹿の奥座敷・イブネを目指して、冒険心をくすぐる縦走を楽しめる
隣にはイブネ(標高1,160m)やクラシ(標高1,145m)といった、鈴鹿山脈の奥座敷と呼ばれる静かな山々への縦走路があり、体力に余裕があれば変化に富んだ山歩きを存分に楽しめます。
また、御在所岳方面へと周回するルートを選べば、鈴鹿の上高地とも称される神秘的な渓流沿いの道を歩くことも可能。歩くたびに新しい発見がある挑戦的なルートから、静けさを味わう落ち着いた山歩きまで、好みに合わせて楽しめる一座です。
10.【番外編】 イブネ 静寂に包まれる鈴鹿の奥座敷

苔の絨毯と原生林が織りなす、神秘的な「イブネ」の風景
「イブネ(標高1,160m)」は、鈴鹿山脈の奥座敷とも称される鈴鹿十座のひとつです。山頂一帯には一面に苔のじゅうたんが広がり、奥深い原生林に迷い込んだかのような幻想的な景色が広がります。
御池岳や雨乞岳と組み合わせて縦走する人も多く、手つかずの自然を求める登山者に愛される静かな名峰です。

苔の稜線の向こうには、鋭峰「鎌ヶ岳」の山容を望む
おすすめは、杉峠を経由するルートです。沢沿いの涼やかな道を進んでいくと、ひっそりとした苔の森が姿を現します。ここでは、苔をじっくり観賞するのはもちろん、思い切って寝転んでみるのもおすすめです。
ふわふわの苔が優しく身体を包み込み、思わずウトウトしてしまうほどの心地よさを味わえます。空に浮かぶ雲を眺めたり、稜線を渡る風の清々しさを感じたりと、まさに“山だけの世界”に浸れるとっておきのスポットです。
三重の日帰り登山で鈴鹿山脈の魅力を味わおう

鈴鹿山脈の奥深さと神秘を味わえる「イブネ」
三重県には、初心者でも安心して登れる日帰り登山の名所が数多くあります。雄大な稜線歩きや季節の花々、苔むす静かな森など、鈴鹿山脈を中心に多彩な自然の表情が楽しめるのも魅力です。
今回ご紹介した登山スポットには、整備されたルートや展望の良いコースなど、初めての山歩きにもぴったりのコースが揃っています。標高や体力に応じて選べるのはもちろん、歴史や信仰に触れることができる山も多く、文化的な側面も楽しめます。
三重の日帰り登山を通じて、日常を離れた自然との静かな時間をぜひ味わってみてください。

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