日和田山登山ガイド 男坂の岩場と鳥居からの絶景を楽しむ人気ルート
埼玉県日高市にそびえる日和田山(ひわださん、標高305m)は、低山ながらも自然と展望の両方を味わえる人気の山です。山頂からは関東平野を一望でき、鳥居越しに巾着田や日高市街を望む光景は象徴的な存在。都心から電車で約1時間とアクセスも良いため、登山初心者から経験者まで幅広い層に親しまれています。
今回ご紹介するのは、西武池袋線・高麗駅を起点に、スリルある岩場の男坂を登って山頂へ向かい、さらに高指山まで縦走。その後は歩きやすい女坂を下る周回コースです。所要時間やルートの特徴、安全に歩くための装備のポイントも交え、実際の歩行感に基づいてまとめました。
目次
日和田山登山が人気を集める理由と魅力

日和田山は奥武蔵エリアに位置し、古くから金刀比羅神社や供養塔が祀られる信仰の山として知られています。登山道はよく整備されており、初心者でも安心して歩けるのが大きな魅力です。特に特徴的なのが「男坂」と「女坂」の二つのルートで、スリルある岩場を登りたいなら男坂、緩やかで歩きやすい道を選びたいなら女坂と、体力や経験に合わせてルートを選べます。

山麓には巾着田曼珠沙華公園が広がり、秋になると約500万本の曼珠沙華が一面を真紅に染めます。山頂から鳥居越しに巾着田を見下ろす光景は、日和田山登山の象徴ともいえる絶景で、多くの登山者を魅了しています。
日和田山登山へのアクセス方法と駐車場情報
日和田山は電車でも車でも訪れやすく、首都圏からのアクセスの良さが人気の理由のひとつです。週末には多くの登山者やハイカーが訪れ、観光とあわせて楽しむ人も少なくありません。ここでは電車と車、それぞれのアクセス方法を紹介します。
電車でのアクセス方法

最寄り駅は西武池袋線「高麗駅」。駅から日和田山の登山口までは徒歩15分ほどで、住宅街を抜けると案内板が整備されており迷う心配はありません。登山口までの道のりは里山らしい散策気分を楽しめ、初めて訪れる人にとっても安心です。電車・車どちらを利用しても、最終的には同じ登山口から登山をスタートできます。
車でのアクセス方法と駐車場

車で訪れる場合は、圏央道「狭山日高IC」から約20分。日和田山登山口駐車場(約50台・1日300円)を利用できます。料金は料金箱に投入する簡易方式で、休日やシーズン中は混雑することも多いため、巾着田内の駐車場もあわせて候補にすると安心です。
日和田山登山コースの詳細 男坂と女坂を組み合わせた周回ルート

日和田山の登山道は「男坂」と「女坂」の2本に分かれており、それぞれの特徴を生かして登りと下りを組み合わせるのが定番コースです。登りは岩場が続く男坂を進み、金刀比羅神社を経て山頂へ。その後は高指山まで縦走し、下山は歩きやすい女坂を利用して登山口へ戻ります。標高305mの低山ながら変化に富んだルートで、登山初心者から楽しめるのが魅力です。
男坂は切り立った岩場を慎重に登るスリルあるルートですが、登山道は整備されているため初心者でも挑戦可能です。ただし転倒やけがを防ぐためには、滑りにくい登山靴に加えて、岩をつかむ場面に備えた登山用グローブを用意しておくと安心です。手のひらに滑り止めが付いたタイプなら岩をしっかりつかめ、転倒防止にも効果的。加えて小さな擦り傷や手のひらの痛みを防いでくれるため、岩場を歩く際には必須の装備といえます。
高麗駅 →【15分】→ 登山口駐車場/田部井淳子顕彰碑 →【2分】→ 日和田山登山口(115m) →【10分】→ 一の鳥居(170m)/男坂 →【15分】→ 金刀比羅神社/二の鳥居(260m) →【15分】→ 日和田山山頂(305m) →【20分】→ 高指山山頂(332m) →【15分】→ 金刀比羅神社/二の鳥居(260m)/女坂 →【15分】→ 一の鳥居(170m) →【10分】→ 日和田山登山口(115m) →【15分】→ 高麗駅
コースデータ
・難易度:やさしい(岩場あり)
・歩行距離:5.3km
・所要時間:約2時間30分
・最大高低差:248m
・トイレ:高麗駅、日和田山登山口
・登山客の数:やや多め
登山記録メモ(7月上旬の例)
・時期:7月上旬
・天候:晴れ
・気温:最高30℃/最低25℃
・体感メモ:夏場は気温が高く汗をかきやすい。着替えやタオル、水分を多めに持参すると安心。
高麗駅から日和田山登山口へ向かうアプローチ

西武池袋線・高麗駅を出たら、まずは日和田山登山口を目指します。駅を出て右に回り込むように進むと国道299号線に出ます。周囲には案内板が整備されており、初めて訪れる人でも安心です。

国道299号線を横断し、巾着田方面の標識に従ってまっすぐ進みます。やがて県道15号線に合流したら右折し、車道沿いには「巾着田方面」と示す標識も見えてきます。高麗本郷の交差点を左折し、さらに歩くとY字路が現れるので、「日和田山登山口」の案内板に従って左へ進みましょう。

そのまま道なりに歩いていくと、やがて日和田山登山口駐車場に到着します。駐車場の一角には、女性で初めてエベレスト登頂を果たした田部井淳子さんの顕彰碑が立ち、登山の安全を祈りたくなる場所です。田部井さんは闘病中のリハビリで日和田山に登頂したことでも知られ、この山の象徴的な存在となっています。

駐車場を過ぎてさらに歩くと、雑木林が増え、里山らしい自然の雰囲気が濃くなっていきます。道の左側には砂利道が分かれ、奥には木製の道標と案内板が設置されており、山頂へと続く複数のルートが示されています。ここから本格的に日和田山登山が始まります。
日和田山登山口に到着 登山前の準備を整える

案内板から少し進むと、日和田山登山口に到着します。周辺は広々とした休憩スペースになっており、ベンチ、トイレ、自動販売機が揃っています。山頂までトイレや水場はないため、ここで準備を済ませておくのが安心です。

トイレは比較的きれいで問題なく利用でき、隣には自動販売機が2台設置されています。この日は汗を多くかくほどの暑さだったため、持参した水分に加えてスポーツドリンクを購入しました。登山中は水分補給が重要なので、ここで必要な分を揃えておくと安心です。

準備を終えたら、登山口に設置された道案内や注意喚起の看板に目を通しておきましょう。登山道の入り口は砂利道になっており、林道に足を踏み入れると、住宅街の風景から一転して自然が豊かに広がります。ここからいよいよ日和田山登山が始まるのを実感できます。
一の鳥居で分かれる男坂と女坂のルート選び

登山口から歩いて約10分、木々の間に大きな鳥居が姿を現します。これが日和田山の一の鳥居で、この先から本格的な登山道が始まります。

鳥居をくぐると、すぐに二手に分かれる分岐点に到着します。左は急斜面や岩場を登る男坂、右は緩やかで歩きやすい女坂です。ここでは迫力ある男坂を選び、山頂を目指します。
男坂は手を使って登る岩場が続き、雨天時は滑りやすくなるため注意が必要です。小さな子ども連れや路面が濡れている日は、女坂を利用するのが安心でしょう。女坂はハイキングコースのように穏やかな道が続き、体力に自信がない人でも歩きやすいルートです。

男坂に入ると、やがて分岐点が現れます。正面へ進めば岩場を抜けて二の鳥居と金刀比羅神社を経由し、そのまま山頂へ。左に進むと「見晴らしの丘」へ向かう道となり、こちらからも山頂に行くことができます。今回は二の鳥居の方へ進みました。
男坂の岩場を登りスリルを味わう

いよいよ男坂へ足を踏み入れます。傾斜が急でバランスを崩しやすいため、一歩ごとに慎重さが求められます。ゴツゴツとした岩場が続き、写真では伝わりにくいほどの斜面を自分で登りやすいラインを探しながら進んでいきます。

途中で振り返ると、思っていた以上の急斜面に圧倒されます。真っすぐに伸びる木々が傾斜の険しさを際立たせ、自然の迫力を実感できます。岩が階段状になっている場所もあり、右手で岩を支えながら登れば安定して進めます。

やがて大きな岩に木の根が絡みついた場所に差しかかります。歩きづらさに苦戦しながらも、岩のくぼみを利用しながら一歩ずつ登ります。足元を確かめながら進むと、目の前に黄色い丸印が見えてきます。こうしたマーキングがあることで、正しいルートを歩けている安心感が得られます。

最後の岩場は足を置けるスペースが狭く、緊張感のある場面が続きます。やがて奥に鳥居が姿を現し、男坂の岩場も終盤です。
二の鳥居と金刀比羅神社から眺める絶景

登山口からおよそ30分、男坂を登り切ると二の鳥居と金刀比羅神社に到着します。ここは標高約260mの中継地点ですが、眼下には巾着田や日高市街が広がります。まるで山頂に立っているかのような爽快感。

この日は雲が多く遠望はききませんでしたが、天気が良く空気が澄んでいる日には富士山やさいたま新都心まで望むことができ、記念撮影のスポットとしても人気があります。初日の出の名所としても知られ、元旦には参拝を兼ねて訪れる登山者で賑わいます。

鳥居の奥には金刀比羅神社の小さな社があります。静かな境内に立つと、険しい道を乗り越えてきたことへの感謝や、登山の安全を祈りたくなるような神聖な雰囲気が漂います。
金刀比羅神社から山頂へ 日和田山山頂で広がる展望

参拝を済ませたら、いよいよ日和田山山頂へ向かいます。登山道は金刀比羅神社の右側から続きます。

緩やかな坂道や木段を進む歩きやすい道が中心です。ところどころ岩が混じる箇所もありますが、傾斜は大きくなく、慎重に歩けば問題なく通過できます。

木漏れ日の差し込む林道を進むと道標が見えてきます。金刀比羅神社から5分ほどで到着するこの分岐点は、右へ進めば日和田山山頂、左へ進めば隣の高指山へと向かう道です。今回は右へ進み、山頂を目指します。

山頂直前はやや急な斜面となり、最後の岩場を越えると視界が開けます。登山口からおよそ40分、日和田山山頂(標高305m)に到着です。

木々の合間から広がる関東平野の景色は爽快で、短時間の登山ながら達成感を味わえます。
静かな縦走を楽しむ高指山への寄り道

日和田山の山頂から景色を堪能したら、体力に余裕があれば隣の高指山(たかさしやま)へ足を延ばしてみましょう。片道20分ほどで到着でき、人通りが少なく落ち着いた縦走を楽しめます。

道標を確認しながら樹林帯を進むと、やがて車道に合流します。山頂までは舗装路を歩くため道迷いの心配はなく、途中の広場で休憩も可能です。

道路脇にある階段を登ると、大きな山頂標識が立つ高指山(標高332m)の山頂に到着です。

かつては無線中継所の鉄塔が建っていた場所ですが、撤去されてからは静かな広場に変わりました。展望はあまりありませんが、日和田山からわずか20分で到着できるため、気軽に縦走の達成感を味わえる山頂です。
女坂からの下山ルート 緩やかな道で安心の帰路

休憩を終えたら、日和田山の登山口を目指して下山します。金刀比羅神社までは往路と同じ道を戻り、二の鳥居を通過して分岐へ。下山は危険の多い男坂ではなく、歩きやすい女坂を利用するのが安心です。

女坂は緩やかな道が続くため、のんびりと歩きながら下山できます。

傾斜のきつい箇所には手すりが設置されていますが、老朽化している場合もあるので頼りすぎず、バランスをとる程度に利用するとよいでしょう。

道が広がるにつれて足取りも軽くなり、一の鳥居へ到着。登山を始めた時に通った鳥居に戻ってくると、ここまで歩き切った達成感がこみ上げます。

そのまま登山口へと下り、高麗駅に戻れば日和田山登山の終了です。所要時間は登山口から往復でおよそ2時間。標高305mの低山ながら、岩場のある男坂や鳥居越しの絶景を楽しめる充実した登山コースです。
日和田山登山の帰りに立ち寄りたいグルメと温泉
日和田山登山の魅力は山歩きだけではありません。下山後に少し足を延ばせば、美味しい食事や温泉で体を癒すことができます。ここでは高麗駅周辺や車で行けるおすすめスポットを紹介します。
cafe&bagel GOA ベーグルが人気の民家カフェ

高麗駅から徒歩15分ほど、山麓に佇む隠れ家的なカフェ。手作りベーグルはもちもちの食感で人気があり、日替わりで種類も豊富。イートインではランチやデザートも楽しめ、日和田山登山後の休憩にぴったりです。
住所:埼玉県日高市高麗本郷295ー7
アクセス:西部池袋線高麗駅から徒歩15分
そばの里 茂むら 巾着田近くのそば処

巾着田や登山口からも近い、地元で親しまれるそば処。喉ごしのよい十割そばやうどんは、歩き疲れた体にやさしく染みわたります。天ぷらの盛り合わせは食べ応え十分で、素朴ながら満足度の高い一軒。日和田山登山の帰り道に立ち寄りやすいのも魅力です。
住所:埼玉県日高市台369
アクセス:西部池袋線高麗駅から徒歩6分
しょうへい 駅チカで立ち寄りやすいうどん店

高麗駅から徒歩3分とアクセス抜群のうどん店。コシのある手打ちうどんが評判で、定食や丼ものも充実。観光客にも人気があり、日和田山登山後に気軽に立ち寄れるのが嬉しいポイントです。
住所:埼玉県日高市台191-5
アクセス:西部池袋線高麗駅から徒歩3分
天然温泉 花鳥風月 疲れを癒す立ち寄り温泉

車を利用するなら、日和田山から20分ほどの「天然温泉 花鳥風月」へ。泉質はやわらかく、登山で疲れた体を芯から癒してくれます。併設のレストランでは地元ブランド豚を使った料理も楽しめ、日和田山登山を締めくくるのに最適なスポットです。
住所:埼玉県日高市下大谷沢546
アクセス:狭間日高ICから車で10分
営業時間:10:00~22:00(最終受付21:00) ※レストランは11:00~21:00(L.O~20:30)
料金:平日 大人1050円、子供650円、土・日・祝 大人1250円、子供750円
公式HPはこちら
日和田山登山におすすめの服装と持ち物 初心者も安心できるチェックリスト
日和田山は標高305mと低山で、誰もが気軽に挑戦できる山です。ただし快適で安全に歩くためには最低限の装備が必要です。ここでは日和田山登山に適した服装と、持っていくべき装備を初心者にもわかりやすくまとめました。
日和田山登山に適した服装の具体例

標高が低いため気温差は大きくありませんが、その日の天候に合わせた服装が基本です。岩場を登る男坂を利用する場合は、動きやすさと安全性を重視しましょう。冬は重ね着で体温調節できるようにするのがポイントです。
・ベースレイヤー(吸汗速乾性インナー)
・速乾性Tシャツ(夏)または薄手の長袖シャツ(春秋)
・登山パンツ、またはストレッチ性のあるスポーツパンツ
・登山用ソックス(厚手で靴擦れ防止になるもの)
・防寒着(冬はフリースや軽量ダウンジャケット)
・レインウェア(上下セパレートタイプが理想)
日和田山登山の持ち物チェックリスト

登山道は整備されていますが、熱中症や怪我、天候急変に備えることが大切です。最低限の必携アイテムに加え、あると安心な装備も用意しましょう。
必携アイテム
・飲み物(500ml~1L以上、夏は多めに)
・軽食・行動食(チョコやナッツなど手軽に食べられるもの。夏は塩分補給タブレットやソフトキャンディーを加えると熱中症対策にもなる)
・タオル、手ぬぐい
・日焼け止め、帽子(つば付きが便利)
・レインウェア(急な雨に備えて必ず携行)
・スマートフォン+モバイルバッテリー
・地図アプリまたは紙地図(オフラインでも確認できるもの)
あると便利な装備品
・トレッキングポール
・登山用グローブ
・サングラス
・虫除けスプレー
・クマ鈴、ホイッスル
・携帯トイレ、ティッシュ、ゴミ袋
・エマージェンシーシート
・救急セット(絆創膏、常備薬など)
日和田山登山のよくある質問(Q&A)

Q. 日和田山は初心者でも登れますか?
A. はい。日和田山は標高305mと低山で、登山初心者やファミリーにも人気の山です。ルートは岩場を登る男坂と、緩やかで歩きやすい女坂に分かれているため、体力や経験に合わせて選べます。初めての方は安全性の高い女坂ルートを利用すると安心して登山を楽しめます。
Q. 日和田山の山頂からはどんな景色が見られますか?
A. 山頂にはベンチが整備され、関東平野を一望する展望が広がります。特に二の鳥居から鳥居越しに見下ろす巾着田や日高市街の景色は、日和田山登山を象徴するハイライトのひとつです。天候が良ければ遠く富士山まで見渡せることもあります。
Q. 日和田山登山はどの季節がおすすめですか?
A. 日和田山は一年を通して登ることができます。春は菜の花や桜が彩り、秋は巾着田の曼珠沙華が特に有名です。夏は気温が高いため水分補給をしっかり準備しましょう。冬は空気が澄み、山頂からの展望がより鮮明に楽しめます。四季それぞれに異なる魅力があり、何度でも訪れたくなる里山です。
日和田山登山で自然と絶景を気軽に楽しもう

日和田山は標高305mと低山ながら、岩場のある男坂や鳥居からの大展望、隣の高指山までの縦走と、多彩な魅力が詰まった山です。都心からアクセスしやすく、短時間で自然と達成感を味わえるため、初心者や週末ハイカーにおすすめできます。
ただし「低山だから安全」とは限りません。男坂の岩場では転倒や滑落のリスクがあり、装備や体調管理を怠ると事故につながります。基本的な準備を整え、安全を意識しながら歩くことが、日和田山登山を心から楽しむ秘訣です。
【もしもの時のために・・・】紙地図も携行しよう

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