埼玉で登山を楽しむならこの8座 初心者にも人気の歩きやすい山を厳選

関東近郊で自然を気軽に楽しみたい登山者にとって、埼玉の山は心強い選択肢。都心から電車でのアクセスが良く、標高は控えめながら、展望や森林の美しさに恵まれた山が多く揃っています。登山道も整備されていて、初心者でも安心して登れる山が多く揃っています。
今回は「駅から登れる山」や「自然を満喫できる山」など、目的に応じて選べる8座をご紹介。それぞれの特徴や見どころ、登山道の雰囲気を丁寧にお伝えしていきます。
天覧山(197m) 駅から歩ける気軽な里山で、眺望と自然を楽しむ

さわやかな高麗峠付近の道
西武池袋線・飯能駅から徒歩圏にある天覧山は、登山口から山頂まで30分ほどと短く、気軽に楽しめる里山。標高は197mと控えめながら、登山道には四季折々の草木が見られ、野鳥観察にも適しています。
山名は1883年に明治天皇が陸軍の演習を視察したことに由来します。晴れた日には、山頂から秩父や多摩の山並み、さらに遠く富士山まで見渡せることもあります。
山頂から多峯主山へと続く尾根道も傾斜が緩やかで、軽装のハイカーや家族連れの姿も多く、初めての登山にも安心して楽しめる一座。飯能駅からの往復に加えて、隣駅の高麗駅を起点に周回ルートを取ることもでき、気分に合わせたプランで歩けるのも魅力です。
鐘撞堂山(330m) 鐘の音が響く里山で、静かな山歩きを

鐘撞堂山山頂から南東方向、荒川と鉢形城を望む
東武東上線・寄居駅や秩父鉄道・波久礼駅から歩いてアクセスできる鐘撞堂山は、標高330mの気軽に登山を楽しめる山。山頂まではなだらかな登山道が整備され、歩きやすく、登山初心者でも安心して登れます。
山頂には、戦国時代に敵の接近を知らせるために使われたという鐘が設置されていて、現在も自由に撞くことができます。静かな山頂に響く鐘の音が印象的です。
四季を通じて訪れる人が多く、春は桜、秋は紅葉が登山道を彩ります。比較的空いている朝の時間帯には、静けさの中で落ち着いた山歩きが楽しめます。日帰りで歩けるコースとして、初めての里山登山にも適しています。
日和田山(305m) 岩場に挑み、展望が待つ初級者の定番コース

巾着田から日和田山を望む
西武池袋線・高麗駅から歩いて登れる日和田山は、標高305mながら眺望と自然に恵まれた、初級者に人気の山。山頂直下にある金刀比羅神社前の岩場が特徴で、「岩場を試してみたい」という方にも適したコースです。
岩の上に立てば、眼下に広がる巾着田の田園風景や秩父の山々を望むことができます。登山道は整備されていて、慎重に歩けば初心者でも安心です。
山頂の先には物見山方面へ続く自然歩道もあり、時間や体力に応じてコースを延ばすことも可能。とくに秋には巾着田の彼岸花を目当てに訪れる人が多く、登山と観光をあわせて楽しむ姿も見られます。
宝登山(497m) ロープウェイも使える、花と伝承が息づく親しみやすい山

長瀞の荒川河原より紅葉の宝登山
長瀞駅からロープウェイでアクセスできる宝登山は、標高497mのなだらかな山で、展望と花の名所として親しまれています。山頂周辺では早春にロウバイが咲き、続いて梅や桜、秋には紅葉と、季節ごとに花や木々の色づきが楽しめます。
この山には、「火止山(ほどさん)」とも呼ばれた伝承が残り、日本武尊が山火事に巻き込まれた際、神犬に救われたという神話が語り継がれています。山頂には宝登山神社奥宮があり、信仰の対象としても長い歴史を持っています。
ロープウェイを利用すれば、山頂近くまで一気に移動できるため、軽いハイキングとして訪れる人も多く見られます。下山後は、長瀞の岩畳や舟下りなど観光と組み合わせて楽しむこともでき、山歩きと観光を気軽に味わえる一座です。
伊豆ヶ岳(851m) 岩場と静寂の森、変化を楽しむ中級ルート

伊豆ヶ岳山頂のミツバツツ
西武秩父線・正丸駅から登る伊豆ヶ岳は、標高851m。アップダウンや岩場もあり、登りごたえのある山として知られています。駅からのアクセスも良く、日帰りで歩ける中級寄りのルートです。
登山道は整備されていますが、一部には滑りやすい急斜面もあるため注意が必要です。登るにつれて周囲は静かな森に包まれ、木漏れ日の中を歩く落ち着いた時間が流れます。
かつては360度の展望があった山頂は、現在では樹木の成長により見晴らしが限られますが、尾根道からは周囲の稜線が垣間見えます。体力に余裕があれば、子ノ権現までの縦走も可能です。
丸山(960m) 森と展望を楽しめる、秩父の穏やかな山歩き

丸山展望台から秩父方面の展望
秩父の山あいに位置する丸山は標高960m。高篠山系の最高峰であり、「埼玉県民の森」の一部として整備されている山。登山道は緩やかな樹林帯を進み、森林浴を楽しみながら歩けるコースとなっています。
山頂には展望台が設置されていて、秩父盆地や関東平野、奥多摩・奥秩父の山々まで見渡せる広がりのある景色が広がります。天気が良ければ、遠く富士山を望むこともできます。
この眺望は「埼玉県指定名勝」にも登録されていて、訪れる時期や時間帯によって異なる景色が楽しめるのも特徴。整備された道と展望の両方を味わえる、穏やかな雰囲気の一座です。
棒ノ嶺(969m) 沢沿いの変化に富んだ道を歩き、達成感を味わう

白谷沢の中を歩く
奥武蔵と奥多摩の境に位置する棒ノ嶺(棒ノ折山)は標高969m。埼玉・飯能側から入る白谷沢ルートは、沢沿いの地形をたどる変化に富んだ道のりが魅力です。苔むした岩や小滝が点在し、沢音を聞きながら涼やかに歩くことができます。
登山道には一部滑りやすい箇所もありますが、全体としては整備されていて、足元に注意すれば問題なく歩けます。沢を抜けると次第に勾配が増し、森の中を登っていきます。
山頂は樹林に囲まれ展望は限られるものの、登り切ったときの達成感が心に残ります。奥多摩側への縦走ルートも整備されていて、さまざまな歩き方ができる一座です。
武甲山(1304m、二百名山) 歴史と信仰の残る、秩父の象徴的な名峰

横瀬から見る、緑に包まれた武甲山
秩父盆地から望む武甲山は、標高1304mの独立峰。石灰岩の採掘により山の形は変化していますが、荒々しくも存在感のある姿が印象的な山です。
中腹には武甲山御嶽神社が鎮座し、古くから信仰を集めてきました。江戸時代には文人・谷文晁がこの山を記録に残していて、歴史的にも知られた存在です。
秩父鉄道・浦山口駅からの登山道は、標高差約1,000mと登りごたえがありますが、道は整備されていて計画的に歩けば初心者でも挑戦可能。山頂からは奥多摩や奥秩父方面の山並みを望むことができ、秩父の自然と歴史を感じられる一座です。
埼玉の山で、自分に合った登山スタイルを見つけよう

埼玉県内には、駅から歩ける低山から、登りごたえのある本格的な山まで、登山初心者にも歩きやすい山が多く揃っています。都心からのアクセスが良く、自然や展望、歴史を身近に感じながら、自分のペースで山歩きを楽しめるのが大きな魅力です。
どの山に向かう場合でも、安全を第一にした計画が欠かせません。ルート確認や現在地の把握には、地図アプリ「山と高原地図ホーダイ」の活用がおすすめ。紙地図と同等の情報をスマートフォンで確認でき、初めての山でも安心して行動できます。
季節や体力に合わせて選べる埼玉の山々で、自分らしい登山の楽しみ方を見つけてみてはいかがでしょうか。

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