御池岳登山ルート完全ガイド 苔むす森と絶景テーブルランドを日帰りで満喫

鈴鹿山脈にそびえる「御池岳(おいけだけ、標高1,247m)」は、テーブルランドと呼ばれる広大なカルスト地形が魅力の名峰です。静かな樹林帯の道から山頂周辺の開けた景色、天狗鼻・ボタンブチの絶景、鈴北岳への稜線歩きまで、多彩な魅力を満喫できます。
今回は御池岳の魅力を余すことなく味わえる周回登山ルートを、アクセスやコースタイムの情報とあわせて詳しくご紹介します。危険箇所が少なく比較的歩きやすい道のりで、無理なく楽しめるのも魅力です。
目次
鈴鹿セブンマウンテンの名峰・御池岳とテーブルランドの魅力

テーブルマウンテンと称される御池岳の山頂周辺
滋賀県と三重県の県境に位置する「御池岳(標高1,247m)」は、鈴鹿山脈の中でも独特な景観を持つ山です。鈴鹿セブンマウンテンのひとつに数えられる名峰で、山頂部には広大なテーブルランドと呼ばれる平坦地が広がっています。

独特の山岳景観を作り上げるカルスト地形
石灰岩の浸食によって生まれたカルスト地形が特徴で、草原やドリーネ(石灰岩地域に発達する、すり鉢状にへこんだ窪地)が点在し、鈴鹿の他の山とは一線を画す景観を楽しめます。険しい岩稜や難所は少なく、なだらかな稜線歩きや展望の良いポイントが多いため、登山初心者にも歩きやすいのが魅力です。季節ごとの花を眺めながら歩けるのも、この山の大きな楽しみといえるでしょう。
御池岳登山口・鞍掛トンネルへのアクセス情報

三重県と滋賀県の県境にある鞍掛トンネル
御池岳の代表的な登山口は、三重県と滋賀県の県境にある「鞍掛トンネル」です。国道306号線を経由し、滋賀県側の東近江市や三重県いなべ市からアクセス可能。名神高速道路・八日市ICや東名阪自動車道・桑名東ICからも1時間前後で到着できます。

駐車場から徒歩約20分のコグルミ谷登山口
三重県側の鞍掛トンネル東口には駐車場があり、ここが御池岳登山の出発点となります。ただし駐車可能台数は限られているため、週末は早めの到着がおすすめです。駐車場から徒歩約20分の場所にコグルミ谷登山口があり、標識も整備されているので迷う心配は少ないでしょう。
バスなど公共交通機関の便はなく、車でのアクセスが必須です。また冬季は積雪により鞍掛峠(国道306号線)が通行止めとなるため、登山シーズンは春から秋が中心。出発前には道路状況や規制情報を事前に確認しておくと安心です。
御池岳登山コース紹介 日帰りで楽しむコグルミ谷から鈴北岳の周回ルート

潤いと緑に満たされる、幻想的なコグルミ谷コース
御池岳の代表的な登山ルートは、コグルミ谷を経由してテーブルランドに至り、さらに鈴北岳をめぐって周回できるコースです。登山口からしばらくは緩やかな山道が続き、沢沿いを歩きながら標高を上げていきます。
コグルミ谷の奥に進むと徐々に勾配が増し、御池岳登山道の6合目付近にあたる天ヶ平へ。

どこを切り取っても絵になる御池岳のテーブルランド
そこから稜線を抜けると広大なテーブルランドに出て、一気に視界が開けます。御池岳ならではの開放的な景観が広がり、天狗鼻やボタンブチなどの展望地をめぐることができます。
後半は「鈴北岳(標高1,182m)」まで足を延ばし、琵琶湖や伊吹山の大パノラマを楽しんだのち、鞍掛峠を経由して下山。全体を通じて危険箇所は少なく、日帰りで無理なく歩けるのも魅力です。
鞍掛トンネル東登山口駐車場→(20分)→コグルミ谷登山口→(1時間20分)→天ヶ平→(1時間5分)→御池岳山頂→(10分)→天狗鼻→(すぐ)→ボタンブチ→(50分)→東ボタンブチ→(40分)→御池岳山頂→(40分)→鈴北岳→(1時間)→鞍掛峠→(25分)→鞍掛トンネル東登山口駐車場
沢沿いを歩くコグルミ谷の森歩きからスタート

苔むす森と岩場を進む、アドベンチャー感満載のルート
コグルミ谷登山口は、鞍掛峠から徒歩20分ほど下った場所にあります。標識を目印に入山すると、まずは静かな林の中を歩く穏やかな道が続きます。
道の両脇にはブナやミズナラが並び、春は瑞々しい新緑、初夏は苔の潤い、秋は鮮やかな紅葉と、四季ごとに異なる表情を見せる森の景色が広がります。鈴鹿山地の中でも緑の美しさは指折りといわれ、歩きながら心が癒やされる区間です。

緑の美しさは鈴鹿山地の中でも指折りの区間
谷沿いの道には巨石や苔むした岩が点在し、まるでジブリの「もののけ姫の森」を思わせる幻想的な雰囲気。細い道や軽い岩場を越える場面もありますが、危険箇所は少なく歩きやすいのが特徴です。
比較的なだらかで登山というよりはハイキング感覚で進めるため、初心者でも安心。体を慣らしながら、これから始まる本格的な登りに備える区間です。
天ヶ平を経て御池岳山頂へ 本格登りとカルスト台地の風景

生命力あふれる樹林帯の尾根を進む
コグルミ谷を奥へ進むにつれて傾斜が増し、いよいよ本格的な登りに差しかかります。急坂を越えると「天ヶ平(あまがひら)」に到着。御池岳登山道の6合目付近にあたり、春には一面にカタクリの花が咲き誇り、初夏には新緑の木々が鮮やかに輝きます。
ここまで来れば山頂までの距離は半分以下。深呼吸をして息を整えながら、生命力あふれる森の空気を感じつつ進んでいきましょう。

御池岳の山頂に広がる独特なカルスト地形
その後はしばらく緩やかな樹林帯の稜線歩きが続きます。やがて再び傾斜が増し、登りきると石灰岩が顔を出す御池岳の山頂に辿り着きます。
山頂は深い森に囲まれており、眺望は一部でいなべ方面を望める程度ですが、カルスト台地と原生林が織りなす独特で神秘的な空気が広がり、この山ならではの魅力を感じられます。
テーブルランドの絶景ポイント 天狗鼻とボタンブチ

全国でも唯一無二と言える御池岳のテーブルランドの風景
御池岳の最大の見どころが、山頂部に広がる「テーブルランド」です。標高1,200mほどの高さにありながら広大な平坦地が広がり、まるで高原を歩いているような不思議な感覚を味わえます。
足元にはカルスト地形特有の石灰岩が露出し、大小の窪地・ドリーネが点在。草地や低木が混じる独特の景観は、鈴鹿山脈の中でもここでしか見られない光景です。

天狗鼻の展望台から伊勢湾沿いの町並みから琵琶湖を一望
テーブルランドのハイライトとなるのが「天狗鼻」と「ボタンブチ」です。天狗鼻は岩が張り出した展望地で、晴れた日には伊勢湾や琵琶湖まで望める大パノラマ。思わず足を止めたくなる絶景スポットです。

)緑の谷に引き込まれるようなボタンブチの風景
一方のボタンブチは断崖絶壁に立つスリル満点の展望地。谷底へと落ち込む急斜面を望むと足がすくむほどの迫力があります。危険箇所に見えますが立入禁止柵やロープはなく、近づきすぎないよう注意すれば安全に楽しめます。

東ボタンブチまで周回して、テーブルランドを冒険しよう
さらに「東ボタンブチ(標高約1,170m)」まで周回すると、御池岳ならではの開放的な景色を存分に満喫できます。距離と時間はやや延びますが、余裕があれば訪れたいおすすめコースです。
テーブルランドを歩いて鈴北岳へ 琵琶湖と伊吹山の大展望

テーブルランドの景観を満喫してもう一つの山頂へ
テーブルランドを後にして鈴北岳へと進む道のりは、景観の変化が魅力です。緩やかな起伏の尾根道が続き、カルストの白い岩と草原が織りなす爽快な風景が広がります。歩を進めるごとに気分が高揚するでしょう。
途中にも大小のドリーネが点在し、不思議な地形を間近に観察できます。尾根道は開放感にあふれていますが、目印が少ないためガスや天候の急変時にはルート確認を慎重に行うことが大切です。

琵琶湖をダイナミックに望むことができる鈴北岳山頂
約40分で標高1,182mの鈴北岳に到着。山頂は小さな標識があるだけですが、視界は一気に開け、琵琶湖方面をはじめ360度の大パノラマが広がります。
特に目の前にそびえる日本百名山・伊吹山と奥伊吹の稜線は圧巻。まるで日本アルプスのような雄大な景観を楽しめる、御池岳登山のクライマックスといえるでしょう。
鈴北岳から鞍掛峠へ 御池岳登山周回コースのフィナーレ

鈴北岳から鞍掛峠までの下りも最高に気持ちがいい
鈴北岳から鞍掛峠へは、緩やかな尾根道を下っていきます。序盤は草原が混じる稜線歩きで、伊勢湾や濃尾平野を遠望できるなど、開放感あふれる景色を楽しみながら下山できます。天候に恵まれれば、歩きながら絶景を眺められる爽快な区間です。
高度を下げるにつれて再び樹林帯に入り、やがて鞍掛峠へ。峠から鞍掛峠登山口へ向かう最後の道は細く砂地で滑りやすいため、足元には十分注意しましょう。

鞍掛峠まできたら、後は足元に気をつけながらラスト区間へ
全体を通じて急な登りや危険箇所は少なく、適度なアップダウンを楽しめるのがこの周回ルートの魅力です。御池岳と鈴北岳を結ぶ道を歩けば、鈴鹿の自然と展望を最後までバランスよく味わえるでしょう。
日帰りで歩ける御池岳登山 テーブルランドの絶景を堪能しよう

霧に包まれる御池岳も、幻想的な表情を見せる
御池岳は鈴鹿セブンマウンテンのひとつで、カルスト地形のテーブルランドが広がる個性的な山です。鞍掛峠からのコグルミ谷ルートは、沢沿いの静かな森歩きから始まり、広大な高原のような山頂部へと至る変化に富んだ道のり。

鈴北岳に立つと、伊吹山の壮大な稜線を一望できる
天狗鼻やボタンブチといった絶景ポイントをめぐり、さらに鈴北岳まで足を延ばせば、爽快な稜線歩きと大パノラマを堪能できます。全体の所要時間は約6時間30分で、危険箇所は少なく歩きやすいため、日帰り登山として人気が高いのも特徴です。
アクセスは車が中心で、鞍掛峠は冬季に通行止めとなるため登山シーズンは春から秋が基本。四季折々に姿を変える御池岳で、鈴鹿の奥深い自然と御池岳ならではの絶景を存分に楽しんでください。万全の準備を整えて「山と高原地図ホーダイ」を携えれば、安心して登山を満喫できます。
【もしもの時のために・・・】紙地図も携行しよう


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