尾瀬ヶ原ハイキング 鳩待峠から牛首・竜宮・ヨッピ吊橋をめぐる日帰り周回コース
尾瀬ヶ原は、西の至仏山と東の燧ヶ岳に挟まれた、標高約1,400mに広がる湿原です。湿原には木道が延び、春のミズバショウ、夏のニッコウキスゲ、秋の草紅葉と、季節ごとに異なる景色の中を歩けます。
この記事では、鳩待峠から山ノ鼻を経て尾瀬ヶ原に入り、牛首分岐・竜宮十字路・ヨッピ吊橋をめぐって鳩待峠へ戻る日帰りの周回コースを、紅葉シーズンを中心とした取材写真とともに紹介します。歩行時間と距離、マイカー規制のある鳩待峠へのアクセス、季節ごとの注意点、尾瀬で守りたいルールまで、計画に必要な情報をまとめました。
目次
尾瀬ヶ原の特徴とハイキングに適した季節

尾瀬ヶ原は、尾瀬国立公園の中心に広がる本州最大の湿原です。国の特別天然記念物に指定され、ラムサール条約湿地にも登録されています。
湿原の中には木道が整備され、山ノ鼻から竜宮十字路にかけての区間は、尾瀬ヶ原を歩く人が最も多いメインルートです。湿原内の木道はほぼ平坦で、正面に燧ヶ岳、振り返ると至仏山を望みながら歩けます。

尾瀬は1年の半分以上を雪に覆われ、植物の多くは5月中旬から10月中旬ごろまでの短い期間に芽吹き、花を咲かせます。どの時期に歩くかで、見られる景色と注意点が変わります。
・春から初夏:雪解けとともにミズバショウが咲き始めます。下ノ大堀川周辺の群生地は5月末から6月上旬が見ごろです。雪が残る時期は、鳩待峠から山ノ鼻までの階段や木道が滑りやすくなります。
・夏:ニッコウキスゲが咲くと尾瀬の夏は最盛期を迎え、8月にはキンコウカが湿原に広がります。日差しが強い日や、気温が低い日もあります。
・秋:湿原の草紅葉に続き、10月上旬には周囲の山々が紅葉の最盛期を迎えます。10月に入ると霜が降り、雪が舞うこともあるため、防寒着が必要です。
鳩待峠へ向かう乗合バスや道路には運行・通行期間があり、冬は閉鎖されます。春先に歩く場合も、出発前に運行状況を確認しておきましょう。
シーズン終盤に歩く場合の注意
秋の終わりには、乗合バスの運行終了、公衆トイレや山小屋の閉鎖、橋板の撤去が順次行われ、紹介する周回コースを歩けなくなる時期があります。秋の終わりに計画する場合は、次の点を確認してからコースを選びましょう。
・乗合バス:戸倉〜鳩待峠の乗合バスの運行が終わると、鳩待峠への通常のアクセスが難しくなります。
・公衆トイレ・山小屋:施設ごとに閉鎖日が異なります。竜宮の公衆トイレが閉鎖されると、紹介コースで利用できるトイレは鳩待峠と山ノ鼻だけになります。
・尾瀬ヶ原の橋:紹介コースでは、原の川上川橋、上ノ大堀川橋、下ノ大堀川橋を渡ります。橋板が外された橋は通行止めになり、その先へは進めません。山ノ鼻を出てすぐの原の川上川橋が撤去されると、尾瀬ヶ原に入ることができなくなります。
・ヨッピ吊橋:紹介コースでは吊橋を渡らず、たもとから牛首分岐方面へ向かいます。橋板が外されると吊橋を渡って東電小屋方面へは進めなくなりますが、紹介コースを歩けるかどうかは、上記の尾瀬ヶ原の橋の状況で判断します。
日程は年によって変わり、気候などの状況によって変更されることもあります。秋の終わりに歩く場合は、尾瀬保護財団のシーズンオフ情報で最新の予定を確認しましょう。
※2026年は、竜宮の公衆トイレの利用が10月27日午前中まで、ヨッピ吊橋の橋板撤去が10月30日、原の川上川橋・上ノ大堀川橋・下ノ大堀川橋の橋板撤去が11月5日、戸倉〜鳩待峠の乗合バスの運行が11月3日までの予定です。
尾瀬ヶ原の起点・鳩待峠へのアクセスとマイカー規制

尾瀬ヶ原ハイキングの起点となる鳩待峠(標高1,591m)へは、マイカーで直接行くことができません。群馬県片品村の戸倉で、乗合バスまたは乗合タクシー(有料)に乗り換えて鳩待峠へ向かいます。
公共交通機関を利用する場合
JR上越新幹線の上毛高原駅、またはJR上越線の沼田駅から関越交通のバスで尾瀬戸倉へ向かい、乗合バス・乗合タクシーに乗り換えます。鳩待峠までの所要時間は、上毛高原駅から約2時間30分、沼田駅から約2時間が目安です。
シーズン中は、バスタ新宿から戸倉方面へ向かう季節運行の高速バス(尾瀬号)もあります。
車を利用する場合
関越自動車道・沼田ICから国道120号、国道401号を経由して戸倉へ向かいます。沼田ICから戸倉の尾瀬第一駐車場までは約35kmです。戸倉の尾瀬第一・第二駐車場(有料)に車を停め、乗合バス・乗合タクシーに乗り換えましょう。
マイカー規制と帰りのバスの注意点
・津奈木から鳩待峠口までの区間は、シーズンを通じてマイカーと二輪車(オートバイ)が通行できません。鳩待峠の駐車場にもマイカーは停められません。
・戸倉から鳩待峠口までの区間は駐車禁止です。路上駐車はやめましょう。
・規制期間中の18時30分から翌朝5時までは、タクシーを含むすべての車両が通行できません。
・乗合バスの運行時間は、季節や曜日、交通規制の有無によって変わります。鳩待峠からの帰りの便に間に合うよう、事前に時刻表を確認して行程を組みましょう。
運行期間や時刻、規制の内容は、関越交通の戸倉〜鳩待峠 乗合バス情報や群馬県の尾瀬のマイカー規制情報で最新の内容を確認してください。
尾瀬ヶ原ハイキングコース 鳩待峠から牛首・竜宮・ヨッピ吊橋をめぐる周回

鳩待峠から樹林の中を下って山ノ鼻へ。尾瀬ヶ原に入って牛首分岐、竜宮十字路と進んだら、竜宮十字路からヨッピ吊橋へ向かいます。ヨッピ吊橋のたもとから牛首分岐へ戻り、往路と同じ道で鳩待峠へ戻る日帰りの周回コースです。
コースデータ
・歩行距離:約17km
・歩行時間:5時間50分(休憩を含まない)
・標高:鳩待峠1,591m、山ノ鼻・竜宮十字路付近 約1,400m
・トイレ:鳩待峠、山ノ鼻、竜宮
・水場:鳩待峠〜山ノ鼻間(ヨセ沢付近)、山ノ鼻
タイムスケジュール
※歩行距離と歩行時間は、尾瀬保護財団のハイキングマップに示された区間ごとの距離・時間を合計した目安です。休憩や写真撮影の時間は含みません。
湿原内の木道はほぼ平坦ですが、鳩待峠から山ノ鼻までは約190mの下りで、帰りは同じ道を登り返します。行程が長いため、休憩を含めて時間に余裕のある計画を立てましょう。体力や時間に不安がある場合は、牛首分岐で折り返すと約11km、歩行時間は3時間50分になります。
コースを歩く前に確認したいこと
・鳩待峠から山ノ鼻へ下り始めてすぐの石畳の階段が、最も傾斜のきつい区間です。木道や木製の階段は、雨の日や雪が残る時期、霜が降りる時期に特に滑りやすくなります。
・尾瀬ヶ原には高架式の木道が多く、川に架かる橋には手すりがありません。景色を見ながら歩くときは足を踏み外さないよう注意し、混雑時は譲り合って通行しましょう。
・公衆トイレは鳩待峠、山ノ鼻、竜宮にあります。竜宮からヨッピ吊橋を経て山ノ鼻に戻るまでの間にはありません。
・携帯電話は、鳩待峠などの入山口や山小屋、ビジターセンターの周辺では通じますが、通信事業者によっては利用できない場合があります。それ以外のほとんどの場所は圏外になるため、電話で連絡を取れないことを前提に地図で行程を把握し、同行しない家族などに計画を伝えておきましょう。登山届は、群馬県側の登山口では片品村役場が届け先で、インターネットでも提出できます。
・尾瀬全域はツキノワグマの生息地です。クマ鈴など音の出るものを身につけ、早朝や夕方は特に注意しましょう。クマを見かけても騒がず、背を向けずに静かに離れてください。爆竹やロケット花火をむやみに使うことは控えるよう呼びかけられています。
・秋の終わりに歩く場合は、乗合バスの運行期間、竜宮の公衆トイレの閉鎖日、紹介コースで渡る橋の撤去予定を、出発前に確認しておきましょう。
鳩待峠から山ノ鼻へ ブナの森の階段と木道を下る

スタート地点の鳩待峠には、乗合バスの発着所や休憩所、公衆トイレがあります。山ノ鼻まではトイレがないため、出発前に済ませておきましょう。入山口には靴に付いた泥を落とすためのマットが置かれています。外来植物の種子を持ち込まないよう、靴の泥を落としてから歩き始めます。

歩き始めてすぐ、石畳の階段の急な下りが始まります。やがて木道や木製の階段に変わり、傾斜はしだいにゆるやかになります。鳩待峠周辺はブナの大木が多く、取材した秋にはダケカンバやカエデ、ミズナラなども色づき、赤や黄色の森の中を下っていきました。
「山ノ鼻まで2.2km」の表示があるヨセ沢の少し先には水場があり、ひと息つけます。その先はほぼ平坦な木道となり、小さなテンマ沢湿原を過ぎて川上川に架かる橋を渡ると、山小屋が立ち並ぶ山ノ鼻に到着します。
帰りはこの道を登り返すことになります。往路から足元を確かめながら、ペースを上げすぎないように歩きましょう。
山ノ鼻で休憩し、ビジターセンターで最新情報を確認

山ノ鼻は尾瀬ヶ原の西の玄関口で、山小屋や公衆トイレ、キャンプ場、山の鼻ビジターセンターがあります。尾瀬ヶ原へ入る前に、トイレ休憩や水の補給を済ませておきましょう。

ビジターセンターには、尾瀬の自然や動植物を紹介する展示があり、取材時は季節の見どころや、クマへの注意を呼びかける情報も掲示されていました。花や紅葉の状況、木道の様子など、歩く前に最新の情報を確認しておくと安心です。
時間に余裕があれば、山ノ鼻に隣接する研究見本園に立ち寄るのもおすすめです。湿原を一周する木道は、大回りで30〜40分、内側の小回りで20分ほどで歩けます。
山ノ鼻から牛首分岐へ 至仏山と燧ヶ岳を望む湿原の木道

至仏山
山ノ鼻から10分ほど歩き、原の川上川橋を渡ると、一気に視界が開けます。正面に広がる尾瀬ヶ原の奥には燧ヶ岳(最高点の柴安嵓は2,356m)、振り返ると至仏山(2,228m)。2つの山に挟まれた湿原の中を、木道が東へ延びています。

燧ヶ岳
木道沿いには池塘(ちとう)と呼ばれる湿原の池が点在します。池塘群の終わり近くには、水面に燧ヶ岳が逆さに映り込む「逆さ燧」の池塘があり、写真撮影のポイントになっています。風のない晴れた日ほど、水面に映る山の姿がはっきりと見えます。

逆さ燧
取材した秋には、湿原一面が草紅葉で黄金色に染まり、赤く色づいたヤマドリゼンマイが彩りを添えていました。上ノ大堀川橋を渡ると、まもなく牛首分岐です。ここで竜宮方面とヨッピ吊橋方面に道が分かれます。紹介コースでは竜宮十字路へ直進し、帰りにヨッピ吊橋側からこの分岐へ戻ってきます。
牛首分岐から竜宮十字路へ 下ノ大堀川と竜宮現象

下ノ大堀川のビュースポット
牛首分岐から竜宮方面へ進み、下ノ大堀川橋を渡ると、左手に入る分岐があります。その先は、尾瀬で最も有名な場所のひとつ、下ノ大堀川のビュースポットです。ミズバショウの群生地として知られ、5月末から6月上旬に見ごろを迎えます。

竜宮現象
木道に戻って竜宮方面へ進むと、湿原を流れる川がいったん地下に吸い込まれ、別の場所から湧き出す「竜宮現象」を見られます。ここから10分ほどで竜宮十字路です。

龍宮小屋
竜宮十字路は、山ノ鼻・見晴・ヨッピ吊橋・富士見峠方面への道が交わる地点です。すぐそばに龍宮小屋があり、小屋の裏手には公衆トイレがあります。ここから山ノ鼻に戻るまでトイレはないため、立ち寄っておきましょう。

白虹
尾瀬ヶ原では、霧が立ち込めた朝に日が差すと、白い虹「白虹(はっこう)」が見られることがあります。霧の粒が細かいため、七色ではなく白く見える現象です。日帰りでは出会う機会が限られますが、山小屋に泊まって朝の湿原を歩けば、こうした景色に出会えるかもしれません。
竜宮十字路からヨッピ吊橋へ ヤマドリゼンマイの群生地を歩く

10月頭のヤマドリゼンマイの紅葉
竜宮十字路からは、ヨッピ吊橋方面の木道へ進みます。この区間は、尾瀬ヶ原の中でも特にヤマドリゼンマイが多く群生している場所です。6月下旬ごろには大きく広げた緑の葉、秋には紅葉した葉が木道の両側を彩ります。取材した10月初めには、あたり一面が赤く色づいていました。

ヨッピ吊橋
ヨッピ吊橋に近づくと、周囲に池塘が増えてきます。竜宮十字路から30分ほどで、ヨッピ吊橋に到着します。吊橋を渡った先は東電小屋方面です。紹介コースでは吊橋は渡らずに、牛首分岐方面の木道へ進みます。
ヨッピ吊橋から牛首分岐へ 池塘の逆さ燧とニッコウキスゲの群生地

7月ごろの早朝に見られる逆さダイヤモンド燧ヶ岳
ヨッピ吊橋から牛首分岐へ向かう道は、景鶴山の山すそに沿って続きます。歩く人が比較的少なく、静かな湿原歩きを楽しめる区間です。途中にはベンチのある池塘があり、ここでも条件が合えば、水面に燧ヶ岳が映る逆さ燧を見られます。

ニッコウキスゲの黄色い絨毯
この道沿いは、尾瀬ヶ原でも有数のニッコウキスゲの群生地です。夏の見ごろには、黄色い花が湿原を埋めつくします。取材時には、シカの食害から植物を守るための柵が設けられている場所も見られました。
途中で下ノ大堀川沿いの拠水林(川沿いに帯状に続く林)を通り抜けます。木陰になるため、日差しの強い日はひと休みによい場所です。クマよけの鐘が設置されていることもあるので、見通しの悪い林の中では音を出して存在を知らせながら歩きましょう。拠水林を抜けて湿原に出ると、まもなく牛首分岐に戻ります。
牛首分岐から山ノ鼻を経て鳩待峠へ戻る

牛首分岐からは、往路と同じ木道で山ノ鼻へ戻ります。行きとは逆に、正面に至仏山を見ながら歩く区間です。朝露や前日の雨で濡れた木道は滑りやすいため、景色に気を取られて足を踏み外さないよう注意しましょう。
山ノ鼻でトイレ休憩と水分補給を済ませたら、鳩待峠まで約190mを登り返します。山ノ鼻から鳩待峠までの歩行時間は1時間30分で、往路より長くかかります。後半は階段の上りが続くため、最初からペースを抑え、こまめに息を整えながら進みましょう。
鳩待峠に戻れば周回コースは終了です。帰りの乗合バスの時刻に余裕を持って到着できるよう、山ノ鼻を出発する時刻を意識して行動しましょう。
尾瀬ヶ原ハイキングの服装と持ち物

尾瀬ヶ原は木道が整備されていますが、標高約1,400mの山岳地です。尾瀬では、木道上での転倒によるけがや、体力不足で歩けなくなる事故が多く起きています。尾瀬は雨が多く、秋は朝晩の冷え込みが厳しくなるため、雨と寒さへの備えを中心に装備を整えましょう。
服装
・滑りにくい靴(溝が深く、靴底がやや柔らかいもの)
・速乾性のある肌着・シャツ
・長ズボン(乾きにくいデニムは不向き)
・防寒着(フリースや薄手のダウンなど。秋は特に必要)
・レインウェア(上下に分かれたセパレート型)
・帽子
・手袋
靴は、尾瀬ヶ原と尾瀬沼の周辺だけを歩く行程であれば運動靴でも歩けます。ただし、濡れた木道でもしっかりグリップするよう、靴底が硬すぎず、溝の深いものが適しています。古い靴は靴底がはがれることがあるため、出発前に状態を確認しておきましょう。
持ち物
・ザックとザックカバー
・飲み物、行動食
・地図(紙地図、またはオフラインで確認できる地図アプリ)
・クマ鈴など音の出るもの
・ヘッドライト
・ゴミ袋(ゴミはすべて持ち帰り)
・日焼け止め、虫よけ
・携帯トイレ
・トレッキングポールを使う場合は、先端に付けるキャップ
着替えなど濡らしたくないものは、ビニール袋に入れてからザックにしまうと安心です。
尾瀬ヶ原で守りたいルールとマナー
尾瀬ヶ原は国立公園の特別保護地区で、国の特別天然記念物にも指定されています。湿原の泥炭は1年に1mm足らずしか積もらず、踏み込んで1cmへこむと、元に戻るまでに10年以上かかるとされます。次のルールを守って歩きましょう。
・木道から湿原に立ち入らない。写真撮影で湿原に三脚を立てたり、木道や休憩所に座って足を湿原に下ろしたりしない
・木道は右側通行。登り優先で、歩きながらの喫煙はしない
・植物や昆虫、落ち葉や枝などを採らない
・ゴミ箱はないため、ゴミはすべて持ち帰る
・ペットを連れて入らない
・入山口のマットで靴の泥を落とし、外来植物の種子を持ち込まない
・トレッキングポールは先端にキャップを付け、木道の外側を突かない
・キャンプは山ノ鼻などの指定キャンプ場以外ではできない。焚き火は禁止
・池塘や川にコインを投げ入れない
公衆トイレは、浄化槽の維持管理に多くの手間と費用がかかります。入り口などに置かれている募金箱への協力をお願いします。トイレには備え付けのペーパー以外のものを流さず、次の人のために清潔な利用を心がけましょう。
尾瀬ヶ原ハイキングのよくある質問

尾瀬ヶ原のハイキングを計画する際に気になる、初心者の歩きやすさや出発時刻、季節などの疑問をまとめました。
Q. 尾瀬ヶ原のハイキングは初心者でも歩けますか?
A. 尾瀬ヶ原の木道はほぼ平坦で、岩場や鎖場はありません。ただし、紹介した周回コースは約17km・歩行時間5時間50分と長く、帰りには鳩待峠まで約190mの登り返しがあります。長い距離を歩くことに慣れていない場合は、牛首分岐で折り返す約11km・3時間50分の行程から計画すると無理がありません。
Q. 鳩待峠から日帰りで歩く場合、何時ごろに出発すればよいですか?
A. 周回コースは休憩を含めると歩行時間より長くかかるため、できるだけ早い時間に歩き始めるのが基本です。乗合バスの運行時間は季節や曜日によって変わるため、鳩待峠からの帰りの便の時刻を先に確認し、そこから逆算して出発時刻と折り返し地点を決めましょう。
Q. 尾瀬ヶ原のベストシーズンはいつですか?
A. 目的によって変わります。ミズバショウなら5月末から6月上旬(下ノ大堀川周辺)、ニッコウキスゲなら夏、草紅葉や周囲の山の紅葉なら秋が見ごろです。秋の終わりは山小屋やトイレが閉鎖され、橋板の撤去で通れなくなる道もあるため、時期が遅い場合は施設の営業状況を確認してから計画しましょう。
Q. 運動靴でも歩けますか?
A. 尾瀬ヶ原と尾瀬沼の周辺だけなら、運動靴でも歩けます。濡れた木道で滑りにくい、溝の深い靴底のものを選びましょう。至仏山や燧ヶ岳に登る場合や、雪が残る時期は、足首を守るミドルカットやハイカットの登山靴が必要です。
Q. 日帰りと山小屋泊のどちらがよいですか?
A. 紹介コースは日帰りで歩けますが、山小屋に泊まれば、時間に追われずに歩けるうえ、霧の立ち込める朝の湿原など、日帰りでは見られない景色に出会えます。尾瀬の山小屋は予約・定員制のため、宿泊する場合は必ず事前に予約しましょう。
Q. 尾瀬ヶ原では携帯電話が使えますか?
A. 鳩待峠などの入山口や山小屋、ビジターセンターの周辺では通じますが、通信事業者によっては利用できない場合があり、湿原の中などほとんどの場所は圏外です。電話が通じないときは、最寄りの山小屋やビジターセンターに相談しましょう。山の鼻ビジターセンターなどには衛星式の公衆電話も設置されています。同行者とはぐれたときに備えて、待ち合わせ場所をあらかじめ決めておくと安心です。
尾瀬ヶ原ハイキングは帰りの登り返しとバスの時刻を考えて計画を

鳩待峠から牛首・竜宮・ヨッピ吊橋をめぐる周回コースでは、逆さ燧の池塘や下ノ大堀川、竜宮現象、ヤマドリゼンマイやニッコウキスゲの群生地など、尾瀬ヶ原の見どころを一日でたどれます。湿原の木道は平坦ですが、約17kmの長い行程で、最後に鳩待峠への登り返しが待っています。
出発前には、鳩待峠からの乗合バスの時刻と、季節ごとの施設や橋の状況を確認し、体力に合わせて牛首分岐で折り返すなど、余裕のある計画を立てましょう。
分岐の多い尾瀬ヶ原で現在地を確かめるには、登山地図アプリ「ヤマチズ」が役立ちます。オフラインでも地図上で現在地を確認できるので、携帯電話がつながりにくい尾瀬ヶ原でも、計画したルートと現在地を照らし合わせながら歩けます。
今回歩いた尾瀬ヶ原ハイキングコース

【スタート】鳩待峠 ⇒(1時間)⇒ 山ノ鼻 ⇒(30分)⇒ 逆さ燧池塘 ⇒(20分)⇒ 牛首分岐 ⇒(40分)⇒ 竜宮 ⇒(30分)⇒ ヨッピ吊橋 ⇒(50分)⇒ 牛首分岐 ⇒(30分)⇒ 逆さ燧池塘 ⇒(30分)⇒ 山ノ鼻 ⇒ (1時間20分)⇒【ゴール】鳩待峠
※休憩を含まない場合の参考タイムです
執筆・写真:山と高原地図14尾瀬 坂上修司

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