鈴鹿セブンマウンテンズを歩く旅へ。個性豊かな7つの名峰をめぐる山岳ガイド

三重と滋賀の県境に連なる鈴鹿山脈には、「鈴鹿セブンマウンテンズ」と呼ばれる個性豊かな7座が点在しています。花々が彩る山、開放感あふれる稜線歩きが楽しめる山、荒々しい岩峰や信仰の歴史を感じる山など、その魅力は実にさまざま。日帰りでも訪れやすく、登山初心者から経験者まで幅広く支持されています。

この記事では、そんな7つの山それぞれの見どころと楽しみ方をご紹介します。

2026年5月20日 更新

鈴鹿セブンマウンテンズの魅力 何度も通いたくなる東海屈指の山域


雨乞岳の稜線から、鈴鹿のマッターホルンと呼ばれる鎌ヶ岳の山並みを望む

三重県と滋賀県の県境に連なり、標高1,000m前後の山々が連なる鈴鹿山脈。その中でも代表的な7座は「鈴鹿セブンマウンテンズ」と呼ばれています。日帰りで楽しめる手軽さに加え、名古屋市など都市部からのアクセスの良さも魅力です。


アセビの群生が印象的な入道ヶ岳。標高以上の歩きごたえを感じられる

登山道を彩る美しい花や、風が抜ける開放的な稜線、岩峰が際立つダイナミックな景観など、それぞれが異なる個性を持ち、多くの登山者を惹きつけています。春の花、夏の新緑、秋の紅葉、冬の霧氷(むひょう)と、四季折々に移ろう自然の美しさも見どころのひとつ。年間を通じて何度も通いたくなる、東海屈指の山域です。

鈴鹿セブンマウンテンズ① 藤原岳「花と展望を楽しむ鈴鹿入門の山」


鈴鹿きっての雪山入門の山としても知られる藤原岳

「藤原岳(ふじわらだけ、標高1,140m)」は、鈴鹿セブンマウンテンズの中でも「花の名山」として知られる定番の山のひとつです。特に早春には福寿草やセツブンソウが咲き誇り、鈴鹿に春の訪れを告げる山として多くの登山者で賑わいます。山頂付近はなだらかな草原状の地形が広がり、伊勢湾や濃尾平野を一望できる開放的な展望が魅力です。


早春には山肌から、可愛らしく福寿草が顔を覗かせる

代表的な大貝戸登山道は整備が行き届いており、9合目の山荘を経てゆるやかに山頂へ至るため、初心者でも歩きやすいルート。対して裏登山道は樹林帯の静けさに包まれ、より落ち着いた山歩きが楽しめます。花と展望をバランスよく味わえる、鈴鹿入門にも最適な一座と言えるでしょう。

標準コースタイム
大貝戸登山口→(約3時間)→藤原山荘→(約20分)→藤原岳山頂

鈴鹿セブンマウンテンズ② 竜ヶ岳「羊の群れが現れるシロヤシオの名峰」


笹原が広がる、開放的な稜線歩きが魅力の竜ヶ岳

「竜ヶ岳(りゅうがたけ、標高1,099m)」は、開放感あふれる稜線歩きが魅力の山で、初心者から経験者まで幅広く支持されています。山頂へと続く尾根は視界が大きく開け、歩みを進めるごとに景色が広がっていく爽快感が特徴です。春にはシロヤシオが咲き誇り、“羊の群れ”と称される幻想的な風景が広がります。


山肌を羊の群れのように染めるシロヤシオ

宇賀渓から入山する遠足尾根(とおだしおね)は、傾斜が比較的穏やかで、初めての登山におすすめのコースです。新緑の季節には瑞々しい緑に包まれ、秋には山肌を鮮やかな赤で染め上げます。冬には霧氷が発達し、あたり一面が白銀の世界へと変わるなど、四季ごとに異なる表情を見せてくれます。

標準コースタイム
宇賀渓キャンプ場駐車場→(約3時間30分)→竜ヶ岳山頂 ※中道登山道

鈴鹿セブンマウンテンズ③ 釈迦ヶ岳「鈴鹿の奥深さを感じる通好みの山」


山頂は少し地味だが、奥深い稜線歩きを楽しめる釈迦ヶ岳

「釈迦ヶ岳(しゃかがたけ、標高1,092m)」は、鈴鹿山脈のほぼ中央に位置する一座。山名は、山容が釈迦の寝姿に似ていることに由来するといわれています。自然林がよく残り、山頂は広葉樹に覆われているため展望は控えめですが、その分、森に包まれるような歩きが楽しめるのが魅力です。


まるで日本アルプスを思わせる北部稜線の風景

一方で、八風峠から中峠を経て山頂へと続く北部縦走路は、開放的な景色とダイナミックな地形が魅力。ガレ場や崩落地が点在し、自然の荒々しさと美しさを同時に感じることができます。山頂からは御在所岳や雨乞岳、藤原岳など鈴鹿山脈の主峰を一望でき、伊勢湾まで見渡せる大パノラマが広がります。鈴鹿山脈の奥深さを味わえる、通好みの一座です。

標準コースタイム
三池岳登山口駐車場→(約1時間)→中峠分岐→(約45分)→八風峠→(約15分)→中峠→(約1時間10分)→釈迦ヶ岳山頂

鈴鹿セブンマウンテンズ④ 御在所岳「岩と展望が織りなす、鈴鹿山脈の代表峰」


御在所ロープウェイのおかげで、初心者でも挑戦しやすい御在所岳

「御在所岳(ございしょだけ、標高1,212m)」は、鈴鹿山脈を代表する山のひとつ。山頂近くまでロープウェイでアクセスできる手軽さから、登山初心者や観光客にも親しまれています。一方で、山肌を覆う花崗岩の岩壁がつくる山容は見応えがあり、鈴鹿山脈の主峰らしい迫力も備えます。


落ちそうで落ちない、御在所岳名物の地蔵岩

登山道は三重県側に複数整備されており、緩やかに登れる裏道や、奇岩が点在する中道、急坂が続く一ノ谷新道など、ルートごとに表情が異なります。なかでも中道では「地蔵岩」を間近に望め、変化に富んだ山歩きが楽しめるのが魅力。多くのルートは山上公園で合流し、そこから山頂へと向かいます。


光をまとい、青空とのコントラストが際立つ霧氷

山頂からは伊勢湾や名古屋方面を見渡す絶景が広がり、条件が良ければ遠く御嶽山まで望めることも。冬の樹氷も美しく、季節ごとに違った魅力に出会えるのもポイントです。

標準コースタイム
【ロープウェイを利用した場合】山上公園駅→(約15分)→御在所岳山頂
【ロープウェイを利用しない場合】中登山口→(約55分)→地蔵岩→(約1時間10分)→山上公園駅→(約15分)→御在所岳山頂

鈴鹿セブンマウンテンズ⑤ 雨乞岳「水源信仰が息づく鈴鹿の奥座敷」


鈴鹿の奥にひっそり佇む、雨乞い信仰の山・雨乞岳

「雨乞岳(あまごいだけ、標高1,238m)」は、水源の山として古くから信仰を集めてきた歴史を持つ山です。鈴鹿セブンマウンテンズの中でも行程が長く、登りごたえのある玄人向けの一座と言えるでしょう。広がりのある稜線と緑の深い自然林に抱かれ、静かな山歩きと、縦走をじっくり味わえるのが魅力です。


雨乞岳から杉峠まで下る、爽快な稜線のパノラマ

武平(ぶへい)峠から東雨乞岳(ひがしあまごいだけ、標高1,225m)を経て山頂へ向かうルートでは、沢沿いや尾根歩きなど変化に富んだ景色が続き、歩くほどに山の奥深さを感じられます。周囲には御在所岳や鎌ヶ岳の雄姿が迫り、ダイナミックな眺望も楽しめるのもポイント。さらにイブネ方面へと足を延ばせば、静寂に包まれた苔の世界へとつながります。

標準コースタイム
武平トンネル東駐車場→(約10分)→武平峠→(約50分)→沢谷峠→(約30分)→沢谷ノ頭→(約35分)→三人山→(約50分)→東雨乞岳→(約15分)→雨乞岳山頂

鈴鹿セブンマウンテンズ⑥ 鎌ヶ岳「鈴鹿のマッターホルンと呼ばれる岩峰」


荒々しい岩々と赤茶けた山肌が織りなす鎌ヶ岳の山容

「鎌ヶ岳(かまがたけ、標高1,161m)」は、鋭く切り立った山容が印象的な岩峰で「鈴鹿のマッターホルン」とも呼ばれています。どの方向から見てもすぐにそれと分かる特徴的な姿は、鈴鹿山脈の中でもひときわ存在感のある一座です。武平峠からのルートは急登や岩場が連続し、短時間の中にも適度な緊張感と登り応えを味わえます。


壮大な地形と霧が織りなす、どこか神秘的な登山道

山頂は決して広くはないものの、その分ダイレクトに広がる360度の大展望が魅力。御在所岳や雨乞岳をはじめとする鈴鹿の山々を間近に望み、稜線のダイナミックな連なりを実感できます。岩肌と空が織りなすコントラストが印象的で、コンパクトな行程ながらも充実した登山を楽しめる山です。

標準コースタイム
武平トンネル東登山口→(約10分)→武平峠→(約1時間)→鎌ヶ岳山頂

鈴鹿セブンマウンテンズ⑦ 入道ヶ岳「伊勢湾を望む開放的な山頂」


山頂に立つ天空の鳥居、椿大神社の奥宮

「入道ヶ岳(にゅうどうがたけ、標高906m)」は、古くから山岳信仰の対象として人々に親しまれてきた名峰です。山中には椿大神社(つばきおおかみやしろ)の奥宮へ続く鳥居が立ち、どこか神聖な空気に包まれた雰囲気が漂います。山頂からは伊勢湾や鈴鹿平野が大きく開き、天気の良い日には北側に鋭く尖った鎌ヶ岳を望むこともできます。


谷から三重の街並みを望む井戸谷コース

井戸谷コースは沢沿いを進む変化に富んだルートで、登山の楽しさを感じながら山頂を目指せるのが魅力。下山によく利用される二本松尾根は静かな樹林帯が続き、対照的な雰囲気を味わえます。標高はそれほど高くないものの、しっかりとした登り応えと開けた展望の両方を楽しめる一座で、鈴鹿の山の魅力を気軽に感じられる山です。

標準コースタイム
入道ヶ岳登山口駐車場→(約1時間)→井戸谷避難小屋→(約1時間15分)→入道ヶ岳山頂

自分に合う一座からはじまる鈴鹿セブンマウンテンズの旅


御在所岳から武平峠へ下る途中に望む鎌ヶ岳の山容

それぞれに個性を持つ鈴鹿セブンマウンテンズは、日帰りでありながら奥深い山の表情に出会えるフィールドです。花々が彩る稜線歩きや、切り立つ岩峰、そして山岳信仰にまつわる歴史まで、多彩な要素がぎゅっと詰まっています。

体力や季節、その日の気分に合わせて山を選べる自由度の高さも魅力のひとつ。まずは気になる一座から、自分なりの鈴鹿の山旅を楽しんでみてください。

1993年生まれ、愛知県豊田市出身。同志社大学文学部を卒業後、商社やメーカーで営業職を経験。2019年より複業でトラベルライターとしての活動を始めた後、2021年には本業も旅行業界へ転身し、国内OTAで宿泊施設の集客支援に従事。2025年からは、会社員としては旅行業界から離れ、SaaSスタートアップ企業へ転職。フルリモート勤務を行いながら、フリーランスのトラベルライティング事業を手がけ、地元愛知の製造業支援 × 観光・アウトドアコンテンツ制作という2軸で、地方創生に取り組んでいる。執筆記事は3,000本以上にのぼる。地方の魅力に光を当てながら、「旅をきっかけに人生が少し豊かになる体験」を発信。登山、自転車旅、秘湯巡り、島旅が趣味で、毎年の北海道旅行を家族の恒例行事にしている。notehttps://note.com/yuhei_tonosho
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