三面登山口から相模山へ

コース難易度
上級
  • 3泊4日
  • 24時間25分
  • 35.9km

コースガイド

新潟県側からの唯一のコース。国立公園特別保護区域の核心部を縦断する、最も奥深く原始性あふれるロングコース
テクニック度
岩場やクサリ場などがあり、部分的に注意が必要
難易度の目安
難易度の目安
テクニック度
    岩場やクサリ場などがなく、問題なく歩ける
    岩場やクサリ場などがあり、部分的に注意が必要
    岩場やクサリ場などがあって、中級以上の技術と経験が必要
山行日数
3泊4日
歩行時間
24時間25分
歩行距離
35.9km
最大高低差
1,351m
水場
三面避難小屋他
トイレ
三面避難小屋他
 朝日スーパー林道から奥三面ダムを過ぎ、さらに舗装された道路を8キロほど進むと林道終点の駐車場と三面登山口に到着します。かつての里の暮らしを感じられるわらび畑を抜けると平らなブナ原生林へと入っていきます。平四郎沢までは、2022年の豪雨で被災した箇所にロープが設置されています。
 平四郎沢にはかつては名物の一本吊り橋が架けられていましたが、現在は一旦沢まで下り渡渉した後登り返します。崖のような斜面をロープを頼りに登り下りする難所です。荒天時には通行不可になりますので注意が必要です。永久橋の深沢橋を渡ると三面避難小屋に着きます。豊富な水を利用できる快適な避難小屋です。
 翌早朝、暗いうちに出発し主稜線を目指します。永久橋で三面川本流を渡り足場の悪い斜面を通過すると、あとはひたすらヤセ尾根の急な登りが続きます。フトデ峰まで来ると楽になり、道陸神峰避難小屋に着きます。屋根だけある簡易シェルターのような小屋ですが土間と囲炉裏があり、野性的な一夜を過ごすにはよいでしょう。
 道陸神峰からは、はるか彼方の主稜線まで脈々と伸びる尾根が見通せます。ブナ林の中の「仙野平」「鶴の一声」を過ぎ「中山峰」「沼倉峰」と灌木帯になっていきます。残雪のある時期以外では水場は期待できない「大上戸泊場」を過ぎ、蟻の戸渡りのような岩場を超えると大上戸山山頂です。存在感溢れる相模山と近づいてくる主稜線の眺めは格別です。
 相模山は、「サ神」と称する山の神、水の神の領域で、かつての三面山人衆にとって狩猟禁断の山とされ、山頂が見えれば笠を脱いで拝礼し、熊やカモシカがその領域へ逃げれば狩りを断念したそうです。右手に西朝日岳、左手には以東岳へと伸びる主稜線を、眼下には三面川と岩井又沢の源流域に広がるブナ樹海を見渡せます。
 相模山を超えると善六池があります。遅くまで雪渓が残り、高山植物が豊富な場所で、どっしりとした以東岳がその水面の背景に映えます。南側のガッコ沢には秋でも雪渓が残っていることがあります。気持ちの良い草原地帯を登り上げると北寒江山に着き、狐穴避難小屋はもう目の前です。山上のオアシスで疲れを癒しましょう。
 下山は、往路を戻ります。アップダウンを繰り返しながら高度を下げていきますが、道陸神峰から三面避難小屋までは特に慎重に下りましょう。登山口までは3時間ほどですが、平四郎沢の渡渉などもあり、最後まで気を抜くことができない山行となります。
 2022年8月3日の豪雨災害により、登山口までの道路は現在も通行止めが続いています。開通の目途は立っていない状況ですが、村上市では毎年登山道の刈り払いと整備をしています。今から約40年前に奥三面ダム建設に伴い消滅した三面集落の人々の、生活の糧の場であった領域であり、奥山に入る重要な尾根道である三大峰の一つである本コースを残したい、守りたいという思いを感じずにはいられません。
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