【利尻山】登山の楽しみは下山後まで!山頂からふもとまで、楽しみ尽くす山旅へ

日本最北の名峰・利尻山で、島ならではの絶景と高山植物に出会う感動の登山旅を。初心者でも挑戦しやすい鴛泊コースや、アクセス方法、下山後の温泉&グルメ情報までたっぷりご紹介いたします!
澄み切った空気の中を一歩ずつ登るたびに、眼下に広がる海、足元に咲く可憐な花、そして山頂からの息をのむ絶景があなたを待っています。島の自然をまるごと味わえる利尻山登山、次の旅の目的地に選んでみませんか?
利尻山ってどんな山?アイヌ語に秘められた名前の意味

海からそびえ立つ孤高の名峰「利尻山」
利尻山(標高1,721m)は、北海道利尻島にそびえる成層火山で、日本最北の「日本百名山」の一つ。利尻礼文サロベツ国立公園内に位置し、新日本百名山や花の百名山にも選ばれています。
美しい円錐形の山容から「利尻富士」とも称され、島全体が山のようにそびえる姿は、まさに利尻島のシンボル。名称はアイヌ語で「高い山」を意味する「リイ・シリ」に由来します。

海から山までひと続きの壮大な「鴛泊コース」
利尻山の登山道は、利尻北麓野営場から入山する「鴛泊(おしどまり)コース」と、利尻山見返台から入山する「沓形(くつかた)コース」があります。登山者の9割以上が利用する定番が鴛泊コース。往復約12kmの道のりで、登り約5時間、下り約4時間。一般的に早朝5時ごろから登り始め、14〜15時に下山するスケジュールが推奨されます。
一方、沓形コースは9合目付近の三眺山以降が急峻で難易度が高く、上級者向けのルートとなっています。

山肌を彩る高山植物が次々と姿を現す
はじめての利尻山の登山には、鴛泊コースがおすすめです。登山道は深い樹林帯から始まり、標高が上がるにつれて景色が変化。山頂付近では利尻島固有種を含む可憐な高山植物が咲き誇り、色とりどりの花々が登山者を迎えます。
頂に立てば、眼下に広がるオホーツク海やサロベツ原野、遠く礼文島まで望む雄大なパノラマが広がり、まるで雲上の楽園にいるかのような感動を味わえます!
- 北海道
- 1,721m
- 百名山
利尻山へのアクセスと準備 島の山ってどう行くの?

早朝登山も安心、宿からの登山口送迎サービス
鴛泊コースの登山口である利尻北麓野営場は、鴛泊港フェリーターミナルから車で約15分、利尻空港からは約20分の場所にあります。アクセス方法として、主に2つの選択肢があります。
1つ目は、利尻島の宿に前泊し、宿の送迎サービスを利用する方法。利尻山は島の主要な観光スポットであるため、多くの宿泊施設が登山口までの送迎を提供しています。通常は朝5〜6時頃に利尻北麓野営場に到着。スムーズに登山を開始することができます。さらに、前日に島内で補給食や水を調達したり、しっかり休息をとれるのも利点です。

山麓の大自然に包まれて過ごす一夜もおすすめ
2つ目は、徒歩またはタクシーで移動し、前日に利尻北麓野営場でテント泊をするプラン。ある程度の登山経験が必要ですが、朝の好きな時間に登山を開始できるのが魅力です。事前予約をすればケビンの利用も可能(7棟限定)。また、テントをキャンプ場にデポ(置いていく)できるので、身軽に登山を楽しめる点もメリットですね。
登山ルートをイメージしよう!利尻山「鴛泊コース」の魅力
鴛泊コースの登山口から山頂へ向かうルートには、変化に富んだ景観や見どころが点在しています。ここでは、登山の流れに沿ってその魅力をご紹介していきます。
静かな森と湧水に癒されて。前半はゆったり自然満喫ゾーン

登山開始から、山麓の緑に映える花々がお出迎え
入山から約2時間は、手つかずの美しい樹林帯を進みます。利尻山は高山植物の宝庫であり、序盤から色とりどりの花々が登山者を迎えてくれるのが特徴。また、利尻島にはヒグマが生息していないため、安心して登山を楽しめるのも好ポイントです。

登山中の水分補給には、湧き出る利尻の恵みを
途中、約20分ほど歩くと「甘露泉水」に到着。利尻山の雪解け水が長い年月をかけて地中を巡り、ミネラルをたっぷり含んだ天然水として湧き出しています。この豊かな水が海へと流れ、利尻昆布や甘みのあるウニを育てるために重要な役割を果たしているそう。まさに利尻山は、島全体の生命を育む“母なる自然”とも言える存在ですね。
どんどん広がる絶景!利尻山の展望ポイント

海と雲の狭間に広がる、神秘的な「礼文島」の姿
登山開始から約2時間で第一見晴台へ。ここから視界が開け、鴛泊港や島の地形を一望できます。さらに1時間進むと第二見晴台に到着。利尻山が海と一体となって形成されている様子がよくわかり、その壮大なパノラマに思わず足が止まります!

利尻山の雄姿を堪能できる絶景スポット「長官山」
第二見晴台から約30分進むと、標高1,218mの長官山に到達。ここは鴛泊コースで初めて山頂を間近に望めるポイントであり、8合目の目印でもあります。森林限界を超えたなだらかな山肌は、利尻富士と称されるにふさわしい美しい佇まいを見せてくれるでしょう。また、高山らしく7月でも雪渓が随所に残る光景は、日本最北の百名山ならではの風情を感じさせます。
色彩の楽園!咲き誇る高山植物と絶景の頂へ

可憐な固有種が咲き誇る、利尻山の天空の花園
ここから山頂までは約1時間半の登り。この先は、高山植物が楽園のように咲き誇る区間です。種類も多く、山麓とは比べものにならない密度でピンクや黄色、白、緑の花々が景色に彩りを添えます。見慣れない花も多く、調べると礼文島や利尻島の固有種ばかり。登った人だけが出会える、癒しの花畑が広がります。

海に浮かぶ孤高の山ならではの、唯一無二の眺望
そして入山から約5時間、ついに利尻山の山頂へ!ここはまさに島の頂点であり、利尻の自然を育む源でもあります。山頂には利尻山神社の奥宮が静かに鎮座し、島の自然と人々の暮らしを見守っています。
足元に広がるのはダイナミックな地形、その先にはどこまでも続く大海原。そしてすぐ隣には、花の浮島と呼ばれる最果ての離島、礼文島の姿が静かに佇んでいます。360度の大パノラマに、思わず息をのむことでしょう。
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登山後も楽しみたい!利尻島の癒し&ごほうびタイム
利尻山登山のゴールは、山頂だけではありません。標高1,721mの頂を踏んだあとは、温泉でほっとひと息ついたり、島ならではの美味を堪能したり。頑張ったからこそ味わえる“下山後のごほうび時間”を楽しんでみませんか?
ここでは、登山の疲れを癒してくれるおすすめの宿や日帰り温泉、そして地元で人気のご当地グルメをピックアップしました。
利尻の魅力を満喫!登山に最適な宿を厳選

登山の余韻を楽しむ、談話室での語らい
利尻山登山におすすめの宿、まずは「利尻ぐりーんヒルinn」のご紹介。夏の利尻島は宿泊費が高騰しがちですが、ここなら個室素泊まりを手頃な価格で利用でき、連泊にも最適。登山口への送迎サービスがあるのも嬉しいポイントです。ゲストハウスならではのアットホームな雰囲気が魅力で、オーナーや宿泊者同士の交流も楽しめます。さらに、宿の裏手には夕日ヶ丘展望台があり、利尻山を間近に感じながらの散策もおすすめです。

島の恵みを味わい尽くす、雪国自慢の夕食
もう一つのおすすめが、鴛泊港フェリーターミナル近くの「旅館 雪国」。漁師宿ならではの海鮮たっぷりの食事が評判で、シーズン中は獲れたての生ウニを味わえることも。館内の利尻富士温泉で疲れを癒し、宿の裏に湧く長寿水で喉を潤すなど、まさに利尻の恵みを満喫できるスポットです。
また、旅館が運営する雪国レンタルのレンタルバイク&レンタサイクルは宿泊者限定で半額に。登山後にバイクや自転車で島を巡るのもおすすめです。
登山後のごほうび!絶景を望む癒しの温泉へ

登山の疲れを癒す、下山後のご褒美・利尻富士温泉へ
登山のあとは、やっぱり温泉で疲れを癒したいですよね。そこでおすすめなのが、鴛泊コースの登山口から徒歩約30分の場所にある 「利尻富士温泉」。泉質は筋肉痛を和らげる効果が期待できる“ナトリウム – 塩化物・炭酸水素塩泉”。リフレッシュに最適です!

天気が良ければ露天風呂から利尻山のいただきを一望
なかでも、雄大な利尻山を望む開放的な露天風呂は格別。湯船に浸かりながら、登ってきた山を眺めるひとときは、まさに至福の時間です。循環ろ過しながら常時足し湯を行い、お湯の鮮度が保たれているのも嬉しいポイント。心地よいお湯に包まれながら、登山の余韻に浸ってみてはいかがでしょうか。
住所:北海道利尻郡利尻富士町鴛泊栄町227-2
電話番号:0163-82-2388
営業時間:12:00〜21:00、水曜定休
おなかも心も満たす!登山後に食べたい利尻島のご当地グルメ

食べても食べてもホタテがなくならない絶品ホタテカレー
利尻島はグルメの宝庫。下山後は、絶品グルメでエネルギーチャージするのがおすすめです。最初にご紹介するのは、地元で愛される喫茶店・グランスポットの名物「ホタテカレー」。これは外せません。
スパイスが効いた黒いルーに、サクサクの巨大ホタテフライが豪快に盛り付けられた一皿は、ボリュームも満点。ホタテの甘みとスパイシーなカレーが絶妙に絡み合う、ここでしか味わえない逸品です。利尻島の隠れ名物として、多くの登山者を魅了しています。
住所:北海道利尻郡利尻富士町鴛泊栄町40-2
電話番号:0163-82-2164
営業時間:11:00〜19:00

海藻の旨みが一体となった唯一無二の利尻海藻ラーメン
鴛泊港フェリーターミナル近く、さとう食堂の看板メニュー「利尻海藻ラーメン」もおすすめグルメのひとつ。利尻昆布の旨みが染み出たスープに、ワカメ・まつぼ・ふくろふのり・銀杏草の4種類の海藻を贅沢にトッピング。コリコリ・プルプル・ヌルヌルと、異なる食感が楽しい一杯です。
追加注文したライスをスープの中へインすれば、海藻と昆布の旨みが凝縮された絶品雑炊!おいしいスープを最後の一滴まで堪能できます。
住所:北海道利尻郡利尻富士町鴛泊港町
電話番号:0163-82-1314
営業時間:9:00〜16:00

全国に根強いファンも多い、利尻島の乳酸飲料「ミルピス」
カルピスならぬ「ミルピス」は、北海道・利尻島で半世紀以上にわたり親しまれている乳酸飲料です。沓形港の近くにある「ミルピス商店」で販売されており、現在は無人販売所として営業中。
ミルク感は控えめで、さっぱりとした飲み口にほどよい酸味が心地よく、利尻山の湧水によってまろやかな味わいに仕上がっています。喉を潤し、登山や観光の合間にほっと一息つける一杯です。

お値段や種類は、筆者が訪れた2023年7月当時
看板商品はミルピスですが、実はこくわや山ブドウ、野グミなど、地元の素材を生かした自家製ジュースも10種類以上展開。どこか懐かしさを感じる店内で、流れるレトロな音楽に耳を傾けながら、個性豊かなドリンクを味わう時間!旅の思い出として強く心に刻まれることでしょう。
住所:北海道利尻郡利尻町沓形新湊153
電話番号:0163-84-2227
営業時間:7:00~19:00、不定休
登山だけじゃもったいない!利尻島の観光&アクティビティ
利尻山に登ったら、もう旅の目的は達成?…いいえ、それだけではありません!海に囲まれた利尻島には、ドライブでぐるりと巡れる絶景ルートや、風を感じながら歩きたい岬、さらに“利尻富士”を遠くから眺める特別なトレイルまで。
登山のあとの時間を、もうひとつ深く、豊かにする観光&アクティビティをご紹介します。
海と山を同時に楽しむ、爽快な利尻島一周トリップ

四方から表情を変える利尻山を眺める贅沢な旅
時間に余裕があれば、ぜひ利尻島一周に挑戦してみてください。島をぐるりと回るルートは約60km。観光の時間を考慮しても、レンタルバイクなら2〜3時間、自転車なら半日ほどで一周できます。
レンタルは、先ほど紹介した旅館雪国が運営する「雪国レンタル」がおすすめ。原動機付自転車やスポーツ自転車も借りられます。また「利尻ぐりーんヒルinn」や「利尻アクティビティ」(沓形港近く)等でもレンタル可能です。

初心者でもOK!利尻島をぐるっと巡る絶景サイクリング
ルート上には、利尻山を望む姫沼やオタトマリ沼などの絶景スポットが点在し、爽快な海沿いの道も魅力。北の離島ならではの涼しい気候なので、夏でも快適に楽しめますよ。咲き誇る色とりどりの花が、海沿いの道中を彩ります。
風に吹かれて、恋する灯台へ。ペシ岬で感じる最果ての景色

フェリーターミナルを抱くようにたたずむ利尻山の絶景
島の至るところから望むことができる利尻山。登山の余韻に浸りながら、絶景スポットを巡るのもおすすめです。
なかでもイチオシは、鴛泊港フェリーターミナルの裏手にそびえる標高約90mの「ペシ岬」。別名・灯台山とも呼ばれ、山頂の展望台からは、海から立ち上るような利尻山の雄姿と、最果ての雰囲気が漂う鴛泊灯台の景色を楽しめます。

最果ての恋人の聖地をカップル登山旅で訪れてみては?
往復30分ほどの気軽なハイキングコースながら、そこからのパノラマは圧巻です。鴛泊湾を包み込むように座す利尻富士の壮麗な姿や、どこまでも続いていく大海原をバックに佇む灯台は、まさに最果ての象徴。
近年は日本にある“恋する灯台”のひとつとしても話題で、恋人の聖地としても人気を集めています。山好きカップルには特におすすめしたいスポットです。
住所:北海道利尻郡利尻富士町鴛泊港町
礼文島へ足を延ばして。利尻の向こうにある絶景トレイル旅

利尻島だけじゃない!花の浮島・礼文島の岬を歩く旅
日本百名山に選ばれた「利尻山」に注目が集まりがちですが、実は隣の礼文島にも魅力的なトレッキングルートがあります。「礼文トレイルセブン」と呼ばれる7つのコースは、北の果ての島ならではの壮大な景観を楽しめるのが魅力。

冒険心をくすぐる!桃岩展望コースの壮大な眺め
もし2〜3日ほど余裕があれば、ハートランドフェリーで礼文島へ渡り、利尻山を望みながら高山植物の美しいコントラストを楽しめる「桃岩展望コース」や、変化に富んだ景色が続く「岬めぐりコース」を歩いてみるのもおすすめです。

もうひとつの新”百名山”「礼文岳」登山も忘れずに
さらに、日本新百名山に選ばれた「礼文岳(標高490m)」も見逃せません。登山初心者でも挑戦しやすいルートながら、道中では多彩な高山植物を観察でき、山頂からは島全体を360度見渡す圧巻の景色が広がります。利尻登山と合わせて、礼文島の大自然を存分に満喫してみてはいかがでしょうか。

- 北海道
- 490m
きっと一生忘れられない山旅になる。百名山「利尻山」登山の旅

礼文島へ向かう船旅の途中に出会う、雄大な利尻富士
利尻山登山は、ただ山頂を目指すだけでなく、島全体の自然や文化に触れる貴重な体験です。険しい道のりを登りきった後に広がる360度のパノラマ、下山後に味わう温泉や島のグルメ、地元の人々とのふれあい。それらすべてが、旅の思い出をより豊かにしてくれることでしょう。
登る楽しさと、下山後の至福を兼ね備えた利尻山の山旅へ、一歩踏み出してみてはいかがでしょうか?
取材・撮影・文章:アウトドアライター土庄雄平
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