【屋久島】ヤクスギランドのコースを徹底解説!5つのコースとポイントをおさえてトレッキングを楽しもう

屋久島の豊かな自然を代表するスポットのひとつ、ヤクスギランド。ここには、樹齢数千年を超える屋久杉がいくつも立ち並び、まるで時を超えて生きる木々たちの「生きざま」が森全体にあふれています。

コースは全部で5種類。体力や予定に合わせて選べるので、トレッキング初心者にもおすすめです。本記事では、各コースの特徴やアクセス、装備、トイレなど必要な情報をまとめてご紹介します。

2025年4月7日 更新

初めてでも安心!ヤクスギランドの基本データと歩き方の目安

 
樹齢数千年の巨木が次々に現れる

ヤクスギランドの魅力は、なんといっても樹齢数千年の屋久杉を間近に見ながら、無理のないペースで森を歩けること。特に30分・50分コースは遊歩道がしっかり整備されており、スニーカーでも楽しめる気軽さが魅力です。

 
30分、50分コースは歩道が整備されて比較的歩きやすい

もちろん、150分・210分といった本格派のトレッキングルートも用意されており、屋久島らしい原始の森を深く体感したい人にもぴったりです。

ヤクスギランドのコース情報
難易度:★☆☆☆☆〜★★★☆☆(コースにより変動)(コースによって異なります)
所要時間:最長3時間35分(休憩含まず)
距離:最長4.4km
高低差:最大200m

トイレについて

 
コース内唯一の携帯トイレのブース

園内で唯一の常設トイレは、管理棟向かいの売店「森泉」にあります。

コース上にはトイレはなく、150分コース以降の中盤に携帯トイレ専用ブースが1か所あるのみ。登山中の急なトイレに備え、携帯トイレを持参しておくと安心です。

協力金と登山届について

ヤクスギランドの入山には1人500円の協力金が必要です。登山届の提出は不要ですが、入山時には管理棟で協力金を支払い、ルートマップを受け取りましょう。整備維持や環境保護への協力の意味も込めて、忘れずに対応しましょう。

装備と持ち物について

 

屋久杉を気軽に楽しめる30分・50分コースは、街歩き程度の服装でも可能です。ただし、150分以上のコースでは以下のような装備が望ましいです。

・靴:トレッキングシューズまたは滑りにくい運動靴
・ザック:軽量のリュックに飲料水・行動食・防寒具など
・水分:水場がないため、1L以上の水を持参するのが理想
・レインウェア:屋久島は雨が多いため、折りたたみ傘ではなくレインウェアが安心
・携帯トイレ:長距離コースでは必携

アクセス

■ 路線バス利用の場合(安房→ヤクスギランド)
所要時間:約39分
運賃:片道1050円

時刻: 安房発:9:28、13:38、ヤクスギランド発:11:05、15:15
※時刻は変更になる場合があります。出発前に要確認。

■ 車・タクシー利用の場合
安房港からの所要時間:約30分
駐車場:入口に約40台分のスペースあり
タクシー料金目安:安房港〜ヤクスギランド 約5,500円(片道)

体力や時間に合わせて選べる!5つのヤクスギランドトレッキングコース

 

ヤクスギランドの魅力のひとつは、体力やスケジュールに応じて選べる5つのコースが用意されていること。短時間で楽しめるコースから、本格的なトレッキング気分を味わえるルートまで幅広く、どのルートにも屋久杉ならではの見どころが点在しています。

出発前には、入口の管理棟でルートマップをもらっておきましょう。分岐点や休憩ポイントを把握しておくと、より安心して歩けます。

30分コース(約0.8km)|最も手軽で、遊歩道中心のルート

 
くぐり栂

スタート直後に現れる「くぐり栂」や「千年杉」など、象徴的な屋久杉をしっかり楽しめるルートです。全体的に舗装された道が多く、階段や橋も整備されているため、普段あまり歩かない方やファミリーにもおすすめ。

道の特徴:整備された遊歩道、階段あり、アップダウン少なめ
見どころ:くぐり栂、千年杉、くぐり杉、双子杉
こんな人におすすめ:屋久島観光の合間に少し自然を感じたい方、時間が限られている方

50分コース(約1.2km)|仏陀杉を目指す、短時間&濃密ルート

 
仏陀杉

30分コースにプラスして、園内ハイライトのひとつ「仏陀杉」まで足を伸ばせるルートです。道は比較的歩きやすく、屋久杉の迫力をギュッと凝縮して味わえるのが魅力です。

道の特徴:遊歩道が中心、一部で橋を渡る箇所あり
見どころ:仏陀杉、千年杉、くぐり杉、双子杉
こんな人におすすめ:短時間で見応えあるトレッキングをしたい方、屋久杉らしい風景を手軽に楽しみたい方

80分コース(約2.0km))|沢の清流と森の静けさに癒やされる、水辺ルート

 
つつじ河原からの景色

このコースでは、屋久島のもう一つの魅力「水の景色」をしっかり体感できます。つつじ河原や沢津橋から眺める渓流と苔むした風景は、写真映えもばっちり。季節によっては自生のサツキも咲き誇ります。

道の特徴:階段・橋あり。多少のアップダウンあり
見どころ:沢津橋、仏陀杉、千年杉、くぐり杉
こんな人におすすめ:自然の静けさや水の風景をじっくり感じたい方、初級〜中級者

150分コース(約3.0km)|ヤクスギランドの“主役級”の杉をすべてめぐる、見応え抜群のコース

 
蛇紋杉

仏陀杉、蛇紋杉、母子杉など、屋久杉らしい名前と個性を持つ巨木が次々に登場するコース。一部に急坂やぬかるみもあり、しっかりと歩く準備が必要ですが、そのぶん充実感も格別です。

道の特徴:山道中心。急な上り下りあり。滑りやすい箇所も
見どころ:蛇紋杉、母子杉、三根杉、仏陀杉
こんな人におすすめ:登山やトレッキングが好きな方、巨木の姿をじっくり見たい方

210分コース(約4.4km)|「天文の森」まで足を延ばす、屋久島の奥深さを味わう最長ルート

 
蛇紋杉から天文の森へ。小花山歩道

150分コースの内容に加え、「⑥蛇紋杉」から標高1220mの「天文の森」までの往復を加えた上級コース。途中には天然林の広がるエリアがあり、屋久島の原始的な森の姿に深くふれられます。時間・体力に余裕のある方におすすめ。

道の特徴:本格的な登山道。急坂、段差、湿った場所あり
見どころ:天文の森、天柱杉、蛇紋杉、仏陀杉
こんな人におすすめ:自然の奥深さをじっくり味わいたい方、登山経験がある中級者以上

ヤクスギランドコースの全13ポイントの見どころ紹介

 

ヤクスギランドでは、スタートからゴールまでの道のりに数々の見どころが点在しています。コースによってすべてを巡ることはできませんが、それぞれのルートで異なる表情の屋久杉と出会えるのが魅力です。

① START|入り口と管理棟

 
入り口で園内マップがもらえる

トレッキングは管理棟からスタート。屋久島の山岳エリアでは、自然保全を目的とした協力金制度があります。ここで協力金(500円)を支払い、ルートマップを受け取ります。トイレは向かいの売店「森泉」にあるので、必ずここで済ませておきましょう。出発前の準備が整ったら、いよいよ屋久杉の森へ。

② くぐり栂|森への門をくぐるように


木の下を遊歩道が通っている

歩き始めてすぐ現れるのが、まるで入場ゲートのような「くぐり栂」。大きな栂の木が根元でアーチを描いており、その下をくぐって森へと進みます。複雑にねじれた木の形に、屋久島の自然の力強さを感じます。

③ 千年杉|すべてのコースに登場する、最初の屋久杉

 
ヤマグルマが根元に巻き付いているのが特徴

渓谷にかかる橋を渡った先にあるのが、真っすぐ空へと伸びる「千年杉」。その名の通り、長い年月を生きてきた堂々たる姿。根元にはヤマグルマが巻きついており、植物同士の共生の様子が見られます。

④ 荒川橋|清流を望む吊り橋

 
荒川の美しい流れを望む

屋久島の豊かな水を象徴する荒川。その上にかかるのが「荒川橋」です。巨石の間を流れる透明な水と、それを取り囲む深い森の景色は圧巻。吊り橋の上からの眺めは、思わず足を止めて見入ってしまうほど。

⑤ ひげ長老|苔むした根元が印象的、森の長老のような存在感

 
どっしりした根元に長老のような貫禄を感じる

根元一面にびっしりと生えた苔が、まるで長いひげのように見えることから名付けられた一本。堂々とした幹回りとどっしりとした佇まいは、まさに“森の語り部”のような存在です。2000年の一般公募で選ばれた愛称にも、訪れる人々の親しみが込められています。

⑥ 蛇紋杉|山の斜面に横たわる、生命力あふれる倒木

 
倒れる前の大きさが想像できる巨大な根

山の斜面に這うように横たわる倒木。幹がくねくねと波打ち、まるで大蛇の姿を思わせる姿が印象的です。1997年の台風で倒れたあとも再生の兆しを見せており、屋久杉の生命力を間近で感じられるスポットです。

⑦ 天柱杉|空に向かってまっすぐに伸びる、圧巻の高さを誇る屋久杉

 
天に向かってまっすぐ伸びる

その名の通り、空に向かってまっすぐに伸びた柱のような屋久杉。周囲の木々よりも一段と高くそびえ立ち、神々しさすら感じる風格を持ちます。静かな森の奥でふいに現れるその姿に、息をのむこと間違いなし。

⑧ 母子杉|寄り添うように立つ2本の杉が、屋久島の優しさを物語る

 
2つの杉が寄り添うように癒合している

2本の屋久杉が根元でつながり、左が子、右が母とされています。すでに母の木は枯れていますが、その姿をそばで見守るように子の木が並び立ちます。親から子へと命をつなぐ姿に、自然の優しさと力強さを感じることができます。

なお、屋久島に自生する杉のなかでも樹齢1000年以上の杉を屋久杉、樹齢1000年未満を小杉と呼びます。

⑨ 三根杉|3つの根が特徴的、再生と共生を象徴する屋久杉

 
折れた杉に着生したたくましさを感じる

根元が三股に分かれた不思議な形の屋久杉。その理由は、折れた杉の上に新たな杉が着生して育ったため。共生や再生といった屋久島特有の森の仕組みを、ダイレクトに感じられる象徴的な一本です。

⑩ 沢津橋|苔と清流が織りなす、渓谷美が際立つ吊り橋

 
ダイナミックな花崗岩を間近にする吊り橋

つつじ河原の先にある橋で、下を流れるのは透明度の高い荒川の清流。屋久島の土壌に含まれる成分により、水面は翡翠色に輝きます。吊り橋の上から眺める渓谷の美しさは、深呼吸したくなるような絶景です。

⑪ 仏陀杉|ランド内最大の屋久杉、いよいよハイライトへ

 
幹の凹凸が座禅を組む仏陀のように見えるといわれる

幹にごつごつと隆起した大きなこぶを持つ巨杉で、展望デッキからその荘厳な姿を一望できます。まるで仏陀が森に座しているような神秘的な姿に、自然に対する畏敬の念が湧いてきます。ランドの“ハイライト”にふさわしい一本です。

⑫ 双子杉|ひとつの切り株から2本が並ぶ、若々しい屋久杉の姿

 
若々しい2本の小杉が仲良く伸びる

ひとつの切り株から芽吹いた2本の杉が、まるで兄弟のように仲良く空へ向かって伸びています。若くすらりとした姿からは、これからの成長が期待される生命力を感じられます。いずれ幹が癒合し、1本になるかもしれません。

⑬ くぐり杉|アーチ状に道をまたぐ、ゴールを象徴する一本

 
出口のように道をまたぐアーチ状の杉

斜面から倒れた杉と下にあった木が合体し、登山道をまたぐようなアーチ状の姿になった一本。ゴール直前、森からの“出口”のように訪れる人を送り出してくれます。倒れてなお生きる、屋久杉の強さを象徴しています。

+αの立ち寄りスポット|ヤクスギランドからもうひと足のばして「紀元杉」へ

ヤクスギランドを歩いた後、まだ少し時間や体力に余裕があるなら、ぜひ訪れてほしいのが「紀元杉」。屋久杉の巨木を間近で見られるこのスポットは、屋久島を代表する屋久杉のひとつとして知られています。

紀元杉|屋久島の深い森に佇む、樹齢3000年の巨杉

 
大きなヤマグルマやヒノキが着生している

標高1230mの場所にある紀元杉は、屋久島で車道沿いから観賞できる屋久杉の中で最大級かつ最長寿クラス。樹齢はおよそ3000年ともいわれ、幹周り8.1m、樹高19.5mの堂々たる姿は圧巻です。

観賞用の木道が整備されているので、歩く距離はごくわずか。トレッキング後の疲れた足でも無理なく立ち寄ることができます。大きなヤマグルマやヒノキなどが着生しており、木の“共生”の姿も観察できます。

所要時間:ヤクスギランドから車で約15分
駐車場:あり(台数は限られるため混雑時は注意)

五感で楽しむ、屋久島の森歩き「ヤクスギランド」

 

ヤクスギランドは、整備された遊歩道と多彩なコースが魅力の屋久杉観賞スポットです。30分から210分まで、体力や予定に合わせてコースを選べるので、初心者からじっくり歩きたい人まで楽しめます。

森の中では、仏陀杉や蛇紋杉、母子杉など、個性豊かな屋久杉たちが登場。倒れてもなお生きる木々の姿から、自然の力強さが感じられます。

また、時間に余裕があれば、車で15分の「紀元杉」にも立ち寄るのがおすすめ。よりスケールの大きな屋久杉に出会えますよ。

ヤクスギランドで、屋久杉の生命力と森の息吹を間近に感じる特別な時間を楽しんでください。

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