白谷雲水峡トレッキングコースを詳しく解説!屋久島の神秘の森で元気をチャージしよう

もののけ姫の世界観のモデル地とも言われる、屋久島の白谷雲水峡。標高600mから1050mにかけて広がる原生林には、苔むした杉の巨木や清流、そして神秘的な森の空気が満ちています。
トレッキングコースはよく整備されており、初心者でも歩きやすく、屋久島らしい自然美をたっぷり味わえるのが魅力です。目的地の太鼓岩からは、山並みの大パノラマを一望。心も体も浄化されるような達成感に包まれます。
今回は、そんな白谷雲水峡の人気トレッキングコースを実際の歩行順に沿って詳しくご紹介します。
白谷雲水峡について知ろう

白谷川の上流に広がる「白谷雲水峡(しらたにうんすいきょう)」は、標高600~1050mにわたって自然豊かな森が続くトレッキングスポットです。全長6.5kmの遊歩道には、苔むした巨木、清らかな沢、幻想的な「苔むす森」など、見どころが点在。歩行時間は往復で約5時間、アップダウンもほどほどなので、初心者でも安心してチャレンジできます。
白谷雲水峡トレッキングの魅力と注意点

苔の楽園で癒される
屋久島には国内約1800種のうち600種の苔が生息。ルート沿いでは、ヒノキゴケやオオミズゴケなど、しっとりとした緑の世界が広がります。
沢沿いを歩く爽快ルート
複数の沢を渡りながら進む道中は、せせらぎの音とマイナスイオンに包まれた癒しの時間。増水時は足元に十分注意しましょう。
小雨も味方に
森の中では、小雨が幻想的な雰囲気をつくりだします。カメラを向けると、雫の中に「森の妖精」が映りこむ…なんてこともあるかも?
注意点
・奉行杉コース・楠川歩道は雨で増水することも。事前に管理棟で情報をチェック。
・トイレは白谷広場と白谷小屋の2か所。紙は念のため持参を。
・協力金(入山料)は500円。登山届は不要ですが、安全意識は忘れずに。
実際に歩いて体感!白谷雲水峡トレッキングルートをたどる

深く静かな屋久島の森を体感できる白谷雲水峡。ここでは、スタート地点の白谷広場から太鼓岩、そして帰路まで、スポットごとにトレッキングルートを紹介します。登山道を歩きながら出会う杉の巨木や苔むす森は、まるで物語の世界に迷い込んだような体験。臨場感とともに、見どころをひとつずつ追っていきましょう
コース情報

距離:6.5km
高低差:440m
所要時間:往路 約2時間45分 / 復路 約2時間
難易度:★★★☆☆(初級~中級)
①【スタート】白谷広場|旅のはじまりは静かな森の玄関口から

トイレはここで済ませておこう
登山のスタートは、木々に囲まれた白谷広場。駐車場やトイレを備えた管理棟があり、まずはここでトレッキングマップを手に入れましょう。協力金(500円)を納めて準備運動を済ませたら、いよいよ森の奥へ出発です。杉の香りが漂い、小鳥のさえずりが響く中、静かに一歩を踏み出します。
②憩いの大岩|花崗岩の大地を踏みしめて進む

登山道は巨大な花崗岩を登っていく
緩やかな道をしばらく進むと、目の前に現れるのは巨大な花崗岩の一枚岩。白谷雲水峡らしいスケール感を体感できる場所です。岩の上を歩いていくという非日常的な体験に、早くも冒険心がくすぐられます。雨の日は少し滑りやすくなるため、足元には注意を。
③飛流落とし|音と水しぶきに圧倒される迫力の滝

せまい渓谷を流れる大迫力の滝
森の中に響きわたる轟音。その先にあるのは、落差50mの飛流落としです。狭い谷間を勢いよく水が流れ落ち、豊かな水の森を実感できるスポット。滝のそばにはベンチが設置されているので、水音を聞きながらひと息つくのもおすすめです。
④二代大杉|切り株の命を受け継ぐ力強さ

一代目の上に二代目が成長した典型的な二代杉
ここからはいよいよ「奉行杉コース」へ。山道らしさが色濃くなり、次々と個性豊かな屋久杉たちが姿を現します。
一代目の切り株に新たな命が宿り、まるで親の背中で育つように力強く立つ「二代大杉」。根元は空洞になっており、生命のバトンが確かに引き継がれている様子に心を打たれます。苔に包まれた幹はしっとりとした風合いで、湿潤な屋久島の森を象徴するかのような佇まいです。
⑤三本足杉|動き出しそうな森の守り神

まるで三脚のように立つ
3方向に分かれた根がまるで足のように見える「三本足杉」。下をくぐれるほどの空間があり、思わずしゃがんで見上げたくなる造形です。転石や親木をまたいで育ったとされ、自然の偶然が生んだユニークな姿に出会えます。
⑥びびんこ杉|まるで肩車をしているような姿

公募で命名された小杉
鹿児島の方言で「肩車」を意味する「びびんこ」。その名の通り、切り株の上に新たな杉が肩を組むように育っています。どっしりとした根元に対し、スラリと立つ若木が、まるで親子のような微笑ましいシルエットを描いています。
⑦三本槍杉|天に向かう3本の命の矢

倒木の先端から1本、途中から2本の杉が生える
斜めに倒れた親木から、まっすぐ空に向かって伸びる3本の幹。それぞれが成長し、今では見上げるような高さに。まるで天を貫く槍のような姿から「三本槍杉」と名づけられました。自然の再生力と神秘を感じさせる1本です。
⑧奉行杉|白谷最大の巨樹に圧倒される

着生樹が右上に伸びている
白谷雲水峡で最大といわれる「奉行杉」。その堂々たる幹には苔がびっしりと生え、長い年月を感じさせます。ゴツゴツとした木肌は、見る角度によっては人の顔のようにも見え、まるで森の主がそこにいるかのような存在感。杉の脇には着生樹が伸び、命の重なりがひと目で伝わる、迫力ある1本です。
⑨二代くぐり杉|空を望む杉のアーチ

株の中から空が望める
奉行杉を過ぎると、根元に大きな空洞がある「二代くぐり杉」が登場します。中をくぐると見上げた先には空が広がり、その上ではヒノキがたくましく成長中。杉とヒノキの“共演”に、自然の奥深さを感じさせられます。
⑩くぐり杉|杉のトンネルをくぐって森の奥へ

登山道をまたぐ杉の下を進む
太い根がアーチを描き、登山道がその下を通る「くぐり杉」。まるでトンネルのようなその姿は、まさに“森の入口”といった風格。くぐるとご利益があるとも言われており、多くの登山者が足を止め、静かにくぐっていきます。
⑪白谷小屋|休憩と水分補給の拠点

トイレ&休憩スポット
登山道から少し入った場所にある避難小屋「白谷小屋」は、急な天候の変化にも対応できる休憩スポット。トイレや水場も整備されており、小休憩を取るのにぴったりです。
⑫七本杉|白谷のぬしにご挨拶

堂々たる幹には多くの着生植物が見られる
次に現れるのが、「白谷のぬし」と呼ばれる七本杉。堂々とした立ち姿に、圧倒的な存在感を感じます。幹から四方八方に枝を伸ばすその姿は、まるで森を守る神のよう。記念撮影にもおすすめのポイントです。
⑬苔むす森|森の静寂に包まれる癒しの空間

思わず足を止めてしまう緑一色の空間
苔に覆われた倒木や岩、よじれた樹木が織りなす幻想的な風景。「もののけ姫」のモデルになったともいわれるこの森は、息を呑むような静けさに包まれています。足元に注意しながらゆっくりと歩き、森の空気を思いきり吸い込んでください。
⑭辻峠|太鼓岩目前の休憩スポット

足を休める登山者たちの交流の場にもなっている
苔むす森を抜けると、広々とした辻峠に出ます。木製ベンチが設けられていて、昼食や休憩に最適。太鼓岩へはここからあとひと登り。気持ちを整え、もうひと踏ん張りです。
⑮太鼓岩|雄大なパノラマで達成感を味わう

森を抜けて現れる迫力のパノラマに感動
急勾配を登りきると、花崗岩の大岩「太鼓岩」に到着。標高1050m、目の前には屋久島の山々が一望でき、晴れた日には山桜の淡いピンクが斜面を彩ります。大自然を全身で感じるこの瞬間こそ、白谷雲水峡トレッキングのクライマックス。達成感と感動に包まれるはずです。
帰路も見どころ満載!楠川歩道を通って下山

増水時は渡渉できなくなるので要注意
帰りは江戸時代からの歴史を持つ「楠川歩道」へ。かつて伐採した杉を運び出すために使われた古道で、いまも緑に包まれた沢沿いの景色が続きます。途中には、苔むす森に匹敵する美しいスポットも。雨のあとなどは沢が増水することがあるので、足元には注意しましょう。
体力に余裕があれば…弥生杉へも足をのばそう

周囲は根元を保護するために木製の歩道が整備されている
もし体力と時間に余裕があれば、ぜひ立ち寄ってほしいのが「弥生杉」。白谷広場から右手の遊歩道を30分ほど進んだ先に現れるこの杉は、推定樹齢3000年。屋久島最長寿ともいわれる堂々たる姿に、誰もが言葉を失います。根元周辺は木道が整備されているので、安心して間近まで近づけます。
白谷雲水峡トレッキングで心と体をリフレッシュ

森のなかで時折見られるヤクシカ
白谷雲水峡のトレッキングは、屋久島ならではの神秘的な自然を気軽に体験できるルートです。苔むす森や太鼓岩といった見どころはもちろん、杉たちの力強さや清流の音にも癒やされるはず。しっかりと準備をして、この感動をぜひ体験してください。

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