登山帽子の選び方とおすすめブランド7選 ハットとキャップの違いをわかりやすく解説

登山で欠かせない装備のひとつが「帽子」です。直射日光を遮り、風や雨、汗から頭部を守る重要な役割を担います。
しかし一口に帽子といっても、ハット・キャップ・サファリタイプなど形はさまざま。見た目だけで選ぶと、強風で飛ばされたり、視界が狭くなったりと、思わぬ不便を感じることもあります。
この記事では、登山帽子を「直射・風・汗・雨」の4つの観点から整理し、ハットとキャップの違いや選び方を数値基準でわかりやすく解説します。さらに、登山に強いおすすめブランド7社を比較し、自分の山行スタイルに合う帽子を選ぶポイントを紹介します。
目次
登山帽子とは?ハットとキャップの役割と違い

登山用帽子は、直射日光や紫外線、風、雨など、山の厳しい環境から頭部を保護するための装備です。とくに標高が高い場所では紫外線量が増し、反射光も強くなるため、日焼けや熱中症を防ぐうえで欠かせません。
主なタイプは「ハット」と「キャップ」に分かれます。どちらも一長一短があり、行動シーンによって使い分けるのが理想です。
項目 | ハット | キャップ |
被覆範囲 | 顔・耳・首まで覆える | 顔のみ(頬・首は露出) |
視界 | 若干狭い(ツバが広い) | 広い(上方視界良好) |
風への強さ | 顎紐付きで安定 | フードと併用しやすい |
雨への対応 | 撥水・防水タイプが多い | フードと合わせると有効 |
携帯性 | ややかさばる(クラッシャブル推奨) | 折りたたみやすい |
通気性 | 通気孔やメッシュで調整 | 通気性高いモデルが多い |
稜線や炎天下ではハットが被覆に優れ、樹林帯や小雨の行動時はキャップが扱いやすい傾向です。季節や山域に合わせ、どちらか一方に偏らず選ぶのが理想的です。
初心者でも失敗しない登山帽子の選び方

登山帽子を選ぶうえで迷いやすいのが、「何を基準にすればいいのか」という点です。この章では、紫外線対策・ツバの長さ・風・汗・雨・フィット感・収納性の7項目を具体的な数値で解説します。
「なんとなく良さそう」ではなく、“確信をもって選べる”判断基準を持ちましょう。
1. 紫外線対策(UPF値)
登山での紫外線は平地よりも強く、標高が1,000m上がるごとに約10%増加するといわれています。そのため、UPF50+を基準に選ぶのが安心です。UPFとは「紫外線保護指数」のことで、UPF50+は「紫外線を98%以上遮断」できる数値を示します。
また、色よりも素材とUPF表示のほうが防御性能に直結します。黒や濃色は熱がこもりやすく、淡色は涼しい反面紫外線を通しやすい傾向があるため、淡色を選ぶ場合もUPF50+表記を優先しましょう。
2. ツバの長さ
ツバの長さは「視界と被覆」のバランスで選びます。
ツバ長 | 特徴 | 向いているシーン |
6~7cm | 視界重視、風に強い | 稜線・強風日 |
7~9cm | 顔・頬・首まで被覆 | 夏の日差し対策 |
9cm以上 | 炎天下に最適、顎紐必須 | 高所・照り返しが強い山域 |
日焼け対策の最低基準としては、大人で7.5cm以上(バケットハットは6cm以上)が推奨されています。その上で、行動シーンや風の強さに応じて6〜9cmを目安に選ぶと良いでしょう。
3. 風対策と安定性
山の風は突発的に強く、飛ばされ防止は必須です。ハットには顎紐やハットリテイナー(クリップで襟に固定するストラップ)を備えたモデルが安心。キャップ派は後頭部のアジャスターで固定できる深めの被りが理想です。
風をいなすための「浅すぎない被り」と「柔らかいツバ素材」も快適性に直結します。
4. 汗処理と通気性
夏の登山では、汗対策の快適性が疲労度を左右します。チェックポイントは以下の通りです。
・内側に吸汗速乾ライナーがあるか
・ベンチレーション(通気孔)やメッシュパネルの配置
・額部分にスウェットバンドがあるか
・抗菌・防臭加工の有無
通気性が高すぎると強風で冷えることもあるため、風が通る方向にメッシュを配置した設計が理想です。
5. 雨への備え(撥水と防水の違い)
登山では突然の雨に備えることも重要です。
撥水加工は小雨程度を弾く処理、防水は水を通さない構造(シームテープ・防水透湿膜)です。行動中にレインウェアのフードを被る場合は、キャップのツバが雨だれを防ぎ、視界を確保する役割を果たします。撥水ハット+フード併用、または防水キャップ+フード併用が現実的な選択です。
完全防水タイプは蒸れやすいため、晴雨兼用なら撥水タイプで十分です。
6. フィット感とサイズ調整
サイズが合わない帽子は、長時間行動で頭痛やズレの原因になります。
・後頭部のドローコードやアジャスター付き
・頭囲に合わせた展開(S/M/Lなど)
・髪を結んだ状態でのフィット(後部スリットあり)
女性登山者は、後部に開口部のある「ポニーテール対応ハット」も快適です。
7. 収納性と携帯性
移動時は帽子を外すこともあるため、携帯性もチェックしましょう。折りたたみ可能な「クラッシャブル構造」ならザックの隙間に収納でき、形が崩れても復元します。重さの目安は、軽量モデルで50〜90g、しっかりした素材で100〜150gが標準的です。
シーン別で選ぶ最適な登山帽子

登山の快適さは、環境に応じた帽子選びで大きく変わります。同じ夏でも、稜線と樹林帯、晴天と小雨では求められる機能が異なります。
稜線・強風の日
キャップ+レインフードの組み合わせが安定。ハットを使う場合は顎紐+リテイナーで飛ばされ防止を徹底します。
真夏の樹林帯
通気性の高いメッシュ構造+吸汗速乾ライナー付きモデルが快適。淡色で熱を逃がしやすいものを選びましょう。
小雨~雨天時
フード併用を前提に、キャップ形状が便利。撥水素材+ツバ先で雨を切る構造のものが視界を保ちます。
秋口~寒風の季節
防風性や保温性のある素材(ソフトシェル・ウール混)が快適。ビーニーやバラクラバとの併用も有効です。
写真撮影や視界重視の登山
キャップのツバ形状は、カメラ操作時や上方視界を確保したい場面に有利。ハットは風対策を優先するときに選びましょう。
登山帽子の素材とメンテナンス

登山帽子は消耗品ではなく、“育てていく道具”です。素材やケア方法を理解すれば、何年も快適に使い続けることができます。
素材 | 特徴 | 適した季節 |
ナイロンm | 軽量・撥水・乾きやすい | 春~秋の晴天登山 |
ポリエステル | 吸汗速乾・耐久性あり | 通年 |
ソフトシェル | 防風・保温・撥水 | 秋冬・稜線向き |
コットン混 | 通気性・質感◎(乾き遅め) | 樹林帯・低山 |
メッシュ構造 | 通気・軽量 | 夏の樹林帯・トレイル |
お手入れの基本
・撥水効果が落ちたら専用スプレーで再加工
・洗濯は中性洗剤で手洗い、押し洗いして陰干し
・型崩れ防止に丸めず、タオルで水気をとる
・汗染み・臭い対策は定期洗い+乾燥保存で防止
UPFは素材依存で、洗濯や摩耗、濡れ・伸びで性能が落ちる場合があります。後付けで向上させたい場合は洗濯添加剤(例:SunGuard、約20回持続)が有効ですが恒久的ではありません。
使用後は汚れや汗をその日のうちに落とし、乾燥した場所で保管するのが理想的。撥水性能の維持や型崩れ防止など、定期的なメンテナンスを続けることで、帽子は長く快適な状態を保ちます。
登山におすすめの帽子ブランド7選
帽子は見た目以上に“設計思想”がブランドによって異なります。ここでは、信頼性・実用性・快適性のバランスが取れた7つのブランドを厳選しました。それぞれの特徴と、どんな登山スタイルに向くかを確認して、自分に合った一枚を見つけてください。
モンベル(mont-bell)
日本人の体格と気候を考え抜いた設計で、初心者からベテランまで信頼を集める国産ブランド。軽量・耐久・通気のバランスが優れ、UPF50+・撥水仕様のモデルが多くラインナップされています。
特徴
・100〜150gの軽量モデル多数
・UPF50+/撥水仕様
・折りたたみやすく携帯性が高い
こんな人におすすめ
・初めての登山帽子を失敗したくない人
・軽さとコスパを重視したい人
・アフターサポートも重視したい人
撥水力や通気性のバランスがよく、季節を問わず使いやすいのが魅力。「迷ったらモンベルから」といわれるほど信頼感が高く、Amazonでもサイズ・色展開が豊富です。
ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)
アウトドアとタウンの両方に馴染むデザインで、男女問わず人気のブランド。
登山用では「ホライズンハット」や「アルパインキャップ」など、通気性と撥水性を両立したモデルが支持されています。
特徴
・UPF50+で紫外線対策も万全
・通気構造+撥水素材のハイブリッド設計
・街でも使えるミニマルなデザイン
こんな人におすすめ
・山でも街でも使える汎用デザインが欲しい
・サイズ・カラーバリエーションで選びたい
・ブランド力と安心感を重視したい
日常使いもできるためコスパが高く、「アウトドア初心者でも取り入れやすい」定番の登山帽子です。Amazonでは季節ごとの限定カラーも手に入りやすい点が魅力。
アウトドアリサーチ(Outdoor Research)
アメリカ・シアトル発。過酷な日差しや風に耐えるための“機能で選ばれるブランド”です。特にハット分野では世界的に評価が高く、日差しと風の両方に強い設計が特徴です。
特徴
・全モデルUPF50+/高い耐水・防風性能
・顎紐・リテイナーが標準装備
・防水透湿素材「GORE-TEX」仕様もあり
こんな人におすすめ
・炎天下の稜線歩きを想定している
・海外ブランドの堅牢性を求める
・長期縦走や高山帯で使いたい
強い日差しと風をものともしない耐久設計で、夏の縦走や海外トレッキングにもおすすめ。Amazonで高評価レビューが多いのも納得の機能性です。
コロンビア(Columbia)
アメリカ発の老舗ブランドで、手頃な価格と機能性を両立。独自素材「オムニシールド(撥水)」「オムニシェイド(UVカット)」が快適性を高めます。
特徴
・価格帯が手頃で家族分も揃えやすい
・撥水+UVカット加工
・カラー展開が豊富
こんな人におすすめ
・手頃な価格で品質も重視したい
・ファミリーやグループで統一したい
・デザインと実用性のバランスを取りたい
軽登山からキャンプまで幅広く使える万能ブランド。「まずはコスパ良く揃えたい」という方に最適です。
マムート(Mammut)
スイスのアルプスで磨かれた品質と、正確なフィット感が魅力。耐久性が高く、風の強い稜線や寒冷期でも安心して使えます。
特徴
・高耐久ナイロン/UPF50+対応
・風を逃がす形状設計
・ベンチレーションの配置が秀逸
こんな人におすすめ
・フィット感を重視したい
・ミニマルで無駄のないデザインが好き
・長期使用に耐える帽子が欲しい
しっかりした作りで、登山中もズレにくく安定感が抜群。長く使える“道具としての帽子”を求める人におすすめです。
パタゴニア(Patagonia)
環境意識と高機能素材を両立したブランド。軽量で通気性に優れ、真夏の高温下でも快適です。代表的な「バギーズ・ブリマー」や「ブリマー・ハット」は、リサイクル漁網ナイロン「ネットプラス(NetPlus)」素材を採用し、40+UPFの紫外線防御性能を備えています。
特徴
・リサイクル素材「ネットプラス」/40+UPF
・軽量・通気性抜群
・クラッシャブルで携帯性◎
こんな人におすすめ
・暑い季節の快適性を最優先したい
・軽装備で行動したい
・環境負荷の少ない製品を選びたい
日差しの強い夏山や水辺での行動にも対応し、風に強い顎紐や浮力ブリムを備えるモデルもあります。デザイン・性能・サステナビリティの3拍子が揃ったブランドです。
マーモット(Marmot)
厳しい環境下での実用性を追求するアメリカの老舗ブランド。防風性と防水性に優れ、稜線や秋冬登山での信頼度が高いです。
特徴
・防風シェル構造/耐久撥水加工
・裏地付きで保温性あり
・ツバ形状がしなやかで視界を確保
こんな人におすすめ
・風が強い山域をよく歩く
・寒冷期にも使える帽子が欲しい
・安心感と耐久性を最重視したい
堅牢なつくりと落ち着いたデザインで、年齢を問わず愛用者が多いブランド。秋から冬にかけての登山用として一枚持っておくと心強いです。
よくある質問でわかる登山帽子の疑問と解決法

登山帽子の選び方や使い方には、意外と細かい疑問が多いものです。ハットとキャップの違いやツバの長さ、UPFの落ち方など、知っておくと失敗を防げるポイントをよくある質問形式でまとめました。
Q1. ハットとキャップ、どちらが日焼けしにくい?
ハットのほうが被覆範囲が広く、頬や首の後ろをカバーできます。UPF50++ツバ7〜9cmが理想です。
Q2. ツバの長さはどのくらいが使いやすい?
7cm前後が視界と日除けのバランスが良好。強風なら6cm、炎天下なら9cm以上を目安に。
Q3. UPF値は洗濯で落ちますか?
徐々に低下します。後付けでUPFを高めたい場合は洗濯添加剤(例:SunGuard)を使うと、20回程度までは効果を維持できます。
Q4. 顎紐がない帽子は飛ばされませんか?
リテイナーを併用すれば安定します。襟に留めるタイプが便利です。
Q5. 濃い色と薄い色、どちらが涼しい?
淡色は熱を反射し涼しいですが、紫外線は通しやすい傾向。UPF値で判断しましょう。
Q6. 防虫ネット付きの帽子は視界に影響しますか?
メッシュが細かいタイプは視界をやや遮ります。虫の多い山域だけで使用するとよいでしょう。
Q7. 防水帽子は通気性が悪い?
完全防水タイプは蒸れやすい傾向。雨天行動中心でなければ撥水モデルで十分です。
Q8. 登山帽子は何年くらい使えますか?
摩耗や洗濯回数による性能低下を考慮し、透け感が出たり撥水が落ちたら買い替え時期。耐用年数よりも状態で判断しましょう。
Q9. レインジャケットのフードと干渉します。どうすれば?
キャップ形状に切り替えると干渉が減ります。ツバの柔らかいタイプがフードに収まりやすいです。
Q10. 汗臭が取れません。対処法は?
中性洗剤+ぬるま湯で手洗いし、陰干しで乾燥。重曹水に浸け置くと匂いが軽減します。
自分に合った帽子を選んで、登山をもっと快適に

登山帽子は、直射・風・汗・雨から頭部を守る装備です。UPF50+、ツバ7〜9cm、吸汗速乾ライナー、顎紐またはリテイナーを備えたモデルを選べば、快適さは格段に変わります。
どの山でも安心して行動できる自分に合う登山帽子を見つけて、次の山行をより快適に楽しみましょう。

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