初心者でも迷わない登山計画の立て方 12ステップ

登山を始めてみたいけれど、「何から準備すればいいかわからない」という方も多いのではないでしょうか。登山では、事前の計画が安全にも楽しさにも直結します。

この記事では、登山初心者に向けて「登山計画の立て方」をわかりやすく解説。山選びから装備準備、登山当日までの流れを12のステップに整理しました。無理のない計画で、安全で楽しい山歩きを始めましょう。

2025年5月26日 更新

1.登る山の決め方 初心者におすすめの山とは

まずは、「どの山に登るか」を決めることから始めましょう。登山初心者には、標高1,000〜1,200mほどで登山道がよく整備されている山がおすすめです。標高差は500〜600m程度が目安で、体力的な負担も比較的少なく安心して登れます。

山を選ぶ際には、ガイドブックやSNSが参考になります。写真や口コミをチェックしながら、景色や季節感を楽しめそうな山を選ぶと、当日へのモチベーションも高まります。

また、登山当日に備えて、自宅で軽いトレーニングをしておくと、より安全に山を楽しめます。

2.歩くルートの決め方 登山地図で無理のない計画を立てよう

山が決まったら、登山ルートを検討しましょう。『山と高原地図』などを使って、距離・所要時間・高低差を確認し、自分に合ったルートを選びます。

忘れてはならないのが「下山の計画」です。登りの時間だけでなく、帰りの時間も含めたスケジュールを組み、日没前には下山できるようにしましょう。とくに秋冬や体力に自信がない方は、より余裕を持った計画が必要です。

3.登山口までのアクセス方法を調べよう 電車やバス、車のポイント

ルートが決まったら、登山口までのアクセス方法を確認します。公共交通を使う場合は、最寄りの駅やバス停からの移動手段と時刻表を事前にチェックしましょう。バスは本数が少ないことも多く、事前確認が重要です。

自家用車を使う場合は、駐車場の場所や料金、混雑状況を調べておきましょう。一部の人気の山では、早朝から満車になるケースもあるため注意が必要です。

4.交通と宿泊の予約方法 山小屋は早めに押さえるのが基本

アクセス手段が決まったら、交通機関や宿泊施設の予約を行います。山小屋に泊まる場合は事前予約が必須です。人気の山小屋はシーズン前から満室になることもありますので、日程が決まったら早めに予約しましょう。

また、新幹線や高速バスを利用する場合は、早割や割引きっぷを使うと費用を抑えられます。登山口までタクシーを利用するなら、その予約も忘れずに行ってください。

5.登山にかかる費用を確認しよう 現金の準備と防水対策も忘れずに

予約が完了したら、登山にかかる費用を計算します。山小屋では現金しか使えないことが多く、事前に十分な額を準備しておきましょう。チップ制のトイレもあるため、100円玉を数枚持っておくと便利です。

お土産や予備費も含めてお金を持っていきますが、紙幣はジップロックなどの防水袋に入れておくと安心です。

6.登山計画書の作成方法 日程やルートをしっかり記録しよう

登山計画書は、安全に登山を行うために欠かせない書類です。初めて作成する場合は、経験者に見てもらうと安心です。

計画書には、登山の日程、ルート、同行者情報、緊急連絡先を記載します。このタイミングで、山行日数に応じた食料計画も立てておくとスムーズです。

7.山岳保険の選び方 万が一に備えてしっかり準備


画像:PIXTA

登山では、思わぬ事故やトラブルが起こる可能性があります。万が一に備えて、山岳保険への加入をおすすめします。

保険は、登山の頻度や内容に応じて選びましょう。日帰りであれば1日単位で加入できる保険が便利です。年間を通じて登山を楽しむ方は、年間契約の方がコスト面でも安心です。契約前に補償内容をよく確認し、自分に合ったプランを選んでください。

8.家族や友人への共有と登山届の提出も忘れずに

登山の計画は、家族や友人と共有することが大切です。登山日、ルート、下山予定時刻、緊急時の連絡先などを伝え、連絡が取れない場合の対応についても事前に話し合っておきましょう。

また、登山届の提出も忘れずに。地元の警察署や登山口のポスト、インターネットや専用アプリでも提出できます。

9.装備の準備と食料の買い出し 荷物の重さもチェックしよう

登山に必要な装備をそろえ、荷造りを行いましょう。チェックリストを使って忘れ物がないよう確認するのがコツです。

また、食料や行動食の買い出しもこのタイミングで行います。水の持参量は、現地の水場の有無を確認してから決めましょう。荷物の重さを確認し、背負える範囲に調整することも大切です。

10.登山直前の最終確認 天気や予約内容、持ち物を見直す

登山前には、最新の天気予報や登山道の状況を確認します。悪天候が予想される場合は、防水対策や計画の見直しも検討しましょう。

宿泊施設や交通の予約内容も再確認し、持ち物の点検も念入りに。スマホやカメラの充電、予備バッテリーの準備、地図やコンパスなどのアナログ装備も忘れずに。

登山直前のチェックリスト

□ 天気予報は確認した?
□ 登山道に通行止めはない?
□ 予約は完了している?
□ 現金・小銭は用意した?
□ 電子機器の充電は十分?

11.登山当日の過ごし方 自然を楽しみながら安全第一で行動を

いよいよ登山当日。早朝に出発し、時間に余裕を持った行動を心がけましょう。登山道では、自分のペースを守りながら無理なく歩くのが基本です。

植物や野鳥の声、山の空気を感じながら歩くと、自然の魅力をより深く味わえます。山頂に着いたときの達成感は格別ですが、下山こそ油断せず慎重に。安全に帰宅するまでが登山です。

12.下山後にやるべきこと 道具の手入れと体のケアを忘れずに

帰宅後は、登山道具のケアを行いましょう。使ったままにすると劣化の原因になります。衣類や雨具は洗濯し、清潔な状態を保ちます。

登山靴やザックの泥を落とし、しっかり乾燥させましょう。テントやシュラフも陰干しして湿気をとります。道具の手入れが終わったら、体を休めて登山の思い出を振り返ってみてください。

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安全で楽しい登山は、丁寧な計画から始まる

登山を安全に楽しむには、計画の段階から慎重に準備を進めることが大切です。登る山の選定から始まり、アクセスや装備、保険の加入、登山届の提出に至るまで、ひとつひとつの準備が登山当日の安心につながります。

今回紹介した12ステップを参考に、余裕を持って準備を整え、自然の中での充実した時間を過ごしてください。次の山行がもっと楽しくなるように、登山後の振り返りと道具のメンテナンスも忘れずに!

 

記事中イラスト:ホシノアンリ
【WEBサイト】https://starlit-design.com/
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