八風峠道〜三池岳〜東尾根

コース難易度
初級
  • 3時間50分

コースガイド

個性ある鈴鹿の山々の中では地味な存在で、そんなに目立った特徴は持っていないが、緑の斜面がゆるやかに広がる気持ちのいい頂上からは、大きな眺望が望める。東尾根には山名の由来となる御池があり、登路となる八風峠道は雑木林の美しい歴史の道である。
テクニック度
山行日数
歩行時間
3時間50分
歩行距離
最大高低差
水場
トイレ
 古くから多くの人々に歩かれてきた八風峠道は、幾多の足跡と、それを包み込んできた自然とが見事に調和した、美しい登山道です。心地よい風が吹き渡る八風峠、眺望の広がる三池岳、静かにたたずむ御池。派手な景観こそありませんが、落ち着いた山歩きを楽しむことができます。田光のバス停から往復する場合、アプローチに2時間以上かかるため、できればマイカーでの登山がおすすめです。
 八風キャンプ場からさらに林道を少し登ったところに、数台分の駐車スペースがあります。林道は滝ヶ谷出合で終点となり、堰堤の上で流れを右岸に渡ったところから、谷沿いに登山道が続いています。ただし、豪雨の影響で一部の道が荒れており、現在は迂回路が設けられています。登るにつれて、石畳が敷かれた旧街道の面影を感じる道となっていきます。
 谷沿いの道からやがて流れを渡り、尾根に取り付きます。斜面を斜めに登るようになり、常緑樹林の中をジグザグに進んでいきます。しばらくすると、左手に中峠への道が分かれますが、中峠方面はあまり整備されておらず、おすすめできません。
 周囲が落葉樹に変わると、三体の石仏と出会います。登るにつれ道は深く踏み固められ、かつての峠道の風情を今に伝える、風格のある道になります。新緑の季節には、明るいライムグリーンに染まった林の中を進み、ジグザグに高度を上げていきます。このあたりは視界も開けており、峠道ならではの美しさが際立ちます。
 しばらくなだらかな尾根上を歩くようになると、やがて稜線が近づきます。アカヤシオが点在するようになり、木々の背も低くなって左手にガレ場が見えてきます。明るいガレ場が広がるコルにたどり着くと、そこには鳥居が建っています。八風峠は風が吹き抜ける、明るく爽やかな峠です。滋賀県側へと越える道は、県境の尾根を少し北へ進んだところから分岐しますが、あまり整備されていません。
 峠から北へ10分ほど歩くと、三池岳に到着します。実際の三角点はこの頂上から三重県側へ少し下った位置にありますが、三角点のある場所よりもこのピークの方が山頂らしく、眺望にも優れています。特に西側は開けており、神崎川に向かってゆったりと傾いた緑の斜面が大きく広がり、鈴鹿山系の地形の対照を実感することができます。 
 下山は東尾根を下ります。三角点のピークを過ぎて雑木林を進むと、左手にガレ場があり、左側の斜面が開けます。再び林の中へと入ると、「御池」と出会います。「三池」という名前から池が3つあるように思われがちですが、実際には「御池」という1つの池に対する敬称であり、「三池岳」という山名は当て字です。御池は静かで小さな池で、初夏に訪れると、モリアオガエルの泡のような卵塊が樹木にいくつもぶら下がっている様子が見られます。
 御池から少し下ると道標があり、直進すると八風牧場跡のある東海自然歩道に続く道、右に進むと三池林道へ下る道に分かれます。ここでは、右の三池林道方面へ進みます。なお、八風牧場跡を経て下ると八風キャンプ場の下流、切畑集落に出られますが、この道もあまり整備されていません。
 分岐からは一気に高度を下げていき、最後は植林地に入ります。大きなジグザグを描きながら下ると、三池林道の堰堤下に到着します。林道を下っていくと、往路で通った林道と合流します。バスで登山をされる場合は、田光バス停まで車道をさらに1時間ほど歩く必要があります。
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