大山登山の魅力を徹底ガイド 中国地方最高峰で絶景と歴史を満喫

中国地方の名峰「大山(だいせん)」は、標高1,729mを誇る中国地方最高峰。その端正な山容から「伯耆(ほうき)富士」とも呼ばれ、四季折々に変化する風景が登山者を魅了します。なかでも、広がるブナ林と森林限界を越えた稜線の眺めは、大山登山のハイライト。整備された登山道は初心者にも歩きやすく、山頂付近では高山植物やダイナミックな岩場の風景が待っています。

下山後は、歴史ある大山寺や大神山神社の石畳の参道を歩き、静かな時間を過ごすのもおすすめです。山の余韻にひたりながら、ご当地グルメ「禅バーガー」や、登山後の疲れを癒す温泉も楽しめます。

自然と文化が調和する大山の登山旅は、どの季節に訪れても心に残るひとときをもたらしてくれるはずです。

2025年7月5日 更新

大山登山の前に知っておきたい基本情報と魅力


伯耆富士として親しまれる、端正な佇まいの「大山」

鳥取県のシンボルとして親しまれている大山(だいせん)は、標高1,729mを誇る中国地方最高峰。その優美な山容は「伯耆(ほうき)富士」とも呼ばれ、四季折々に異なる表情を見せてくれます。なだらかな斜面から険しい稜線まで、さまざまな風景が広がるこの山は、単なる登山の対象にとどまらず、古くから山岳信仰の対象としても大切にされてきました。

周辺には大山寺や大神山神社など、歴史と文化が感じられるスポットも点在しており、自然と人の営みが織りなす独特の空気感が漂います。

※最高峰の剣ヶ峰へは現在通行できません。一般登山者は弥山 (みせん)標高1,709m が実質的な山頂となります。


登山中、木々の合間から日本海の壮大な眺めが顔をのぞかせる

そんな大山は、季節を問わず魅力的な登山スポットとして多くの人に親しまれています。登山道には広大なブナ林が広がり、木漏れ日の中を歩くひとときは心を落ち着かせてくれます。標高が上がるにつれて植生が変化し、森林限界を越えると一気に展望が開け、日本海や山陰平野を一望する大パノラマが広がります。大山登山の途中で見られるこのダイナミックな景色は、他ではなかなか味わえない特別な体験です。

道中の登山道はよく整備されており、急登が少ないルートもあるため、登山初心者にも比較的歩きやすいのが特徴。風景・歴史・歩きやすさという三拍子がそろった大山は、登るたびに新たな魅力に出会える、そんな懐の深い山です。

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大山登山へのアクセス方法 公共交通と車の利用情報をチェック


南光河原駐車場にはトイレや登山ポストも整備されている

大山へのアクセスは、公共交通機関・車ともに整っており、登山初心者にも安心です。ここでは、登山口への行き方や便利な駐車場情報を紹介します。

公共交通機関でのアクセス

大山登山口の最寄駅は、JR山陰本線の「米子駅」です。米子駅からは路線バスが運行しており、大山寺方面へ向かう「日本交通バス 大山線」に乗車して約50分、「大山寺」バス停で下車します。バス停から登山口までは徒歩10〜15分程度とアクセスも良好。バスの本数は季節により変動があるため、事前の時刻表確認をおすすめします。

車でのアクセスと駐車場情報

車で訪れる場合は、米子自動車道の「米子IC」または「溝口IC」から約30〜40分で大山登山口付近に到着します。駐車場は「南光河原駐車場(グリーンシーズンは無料)」が登山口に近くて便利です。早朝や紅葉シーズンは混雑することもあるため、時間に余裕を持った到着を心がけましょう。

大山登山の王道ルート 夏山登山道を歩いて弥山山頂へ


階段中心の道が続き、初心者でも歩きやすいコース

大山登山で最も利用されている王道ルートが、正面登山口から弥山山頂を目指す「夏山登山道」です。

登山口周辺には駐車場や登山届ポスト、トイレなどの設備が整っており、登山初心者でも安心してスタートできます。ルート全体にわたって階段が多く設置されており、道幅も安定。黙々と登る区間が続きますが、そのぶん足場はしっかりしており、清々しいブナ林に囲まれながら心地よいペースで進めるのがこの道の魅力です。

周囲の景色が徐々に開けていく中で、六合目を越えるころには遠く日本海を望める場面も。標高を上げるごとに変化する植生も、大山登山の醍醐味といえるでしょう。

コースタイム:南光河原駐車場→(約5分)→大山夏山登山口→(約1時間25分)→行者分かれ→(約20分)→六合目避難小屋→(約40分)→8合目→(約30分)→大山(弥山山頂)

南光河原駐車場から大山登山スタート 整備された登山口で安心の歩き出しを


ここから夏山登山道が始まる

大山登山は、南光河原駐車場から歩き始めます。広々とした舗装駐車場には、登山届ポストや清潔なトイレが設置されており、登山前の準備を整えるには最適な場所です。周囲には案内標識もあり、初めて訪れる人でも迷うことなく5分ほどで夏山登山道の登山口まで向かえます。


高度を上げるたびに涼しさが増し、いきいきとした森に包まれる

登山を始めてしばらくは、木々に包まれた緩やかな登りが続きます。空気はやや蒸し暑く感じることもありますが、標高が上がるにつれて風が涼しくなり、清々しい森の中へと足を進める感覚が心地よく広がっていきます。木製の階段や案内板がしっかり整備されているため、道に迷う心配もほとんどありません。

自然の変化を感じながら、無理のないペースでの山歩きが楽しめる、大山登山のはじまりにふさわしい静かな序章です。

大山登山・7合目までの道のり 木陰のブナ林と開けた眺望を楽しむ


夏山登山道のおよそ半分が、深い樹林帯を進む区間 

大山登山の中でも、特に静かな時間が流れるのがこの樹林帯の区間です。登山道はじわじわと標高を上げながら、涼やかなブナの森へと登山者を誘います。5合目までは比較的なだらかな登りが続き、木陰に守られた道は真夏でも直射日光を避けながら快適に歩けるのが嬉しいところです。

やがて分岐点「行者谷分かれ」を越えると、整備された階段道から、次第に自然のままの登山道へと姿を変えていきます。木の根が露出した道や、少しずつ勾配の増す区間も現れ、登山らしさが感じられるようになっていきます。


山頂が近づくほどに、日本海を一望する壮大なパノラマに心奪われる

6合目の避難小屋を過ぎたあたりから、景色は一変します。背の高かった木々が低木へと変わり、視界が一気に開けてくるのです。眼下には山陰平野や日本海が広がり、登ってきた距離と高低差を実感できる絶景が広がります。北壁の迫力ある岩肌を間近に感じるこのあたりは、大山登山のなかでも特に心に残る場面といえるでしょう。

標高が上がるごとに風も涼しくなり、汗ばんだ体を心地よく冷ましてくれます。静かな森歩きから一転、広がる空と山のパノラマが迎えてくれるこの後半は、まさに登山の醍醐味が凝縮された時間です。

大山登山の絶景スポット 森林限界から広がるパノラマと弥山山頂へ


森林限界をむかえると、まるで雲の上に広がる楽園が待っている

7合目を過ぎて8合目に近づくころ、いよいよ大山登山のハイライトともいえる景色が目の前に広がってきます。森林限界を迎え、背の高い樹木は姿を消し、かわいらしい高山植物がちらほらと姿を見せ始めるころには、視界を遮るものは何もなくなります。

そこに広がるのは、日本海と山陰平野を一望できる大パノラマ。夏の青空と浮かぶ雲、そして遠くに輝く海が織りなす風景は、まさにこの山の魅力を象徴する一瞬です。


爽やかな風を感じながら木道を歩いて、大山の弥山山頂を目指そう

稜線を吹き抜ける涼やかな風が、ここまでの登りの疲れをやさしく癒してくれます。森林限界を越えたこの先は、足元の繊細な植生を守るために木道が整備されており、安全かつ快適に歩けるよう配慮されています。大山登山の終盤に差し掛かるこの区間では、直射日光を遮るものはなく、晴天時には日差しも強く感じられます。

最後のひと踏ん張りに備えて、ここでしっかりと水分をとり、呼吸を整えておきましょう。弥山(みせん)山頂は、もう目前です。

標高1,709mの弥山山頂へ 大山登山の締めくくりは絶景と高山植物に癒されて


息をのむほどの大パノラマが広がる大山(弥山)の山頂

森林限界を越え、開放感に満ちた稜線を一歩ずつ歩み進めると、やがて大山の山頂・弥山(みせん)に到着します。標高1,709mの頂から望む景色は、大山登山の締めくくりにふさわしい圧巻のパノラマ。眼下には山陰平野と弓ヶ浜半島、天候に恵まれれば遠く隠岐諸島までを一望することもできます。

山頂は風が強く吹くことが多いため、体温調整がしやすいようウインドブレーカーなどの防風対策は忘れずに。また、山頂には小さな避難小屋があり、ひと息つくのにちょうどよい休憩スポットになっています。


彩り豊かな高山植物に心癒されるひととき

山頂付近は高山植物の宝庫でもあり、夏にはカラマツソウ、シコクフウロ、サラシナショウマなどが登山道を彩ります。厳しい環境に咲く可憐な花々は、登ってきた疲れを忘れさせてくれるような優しさに満ちています。足元には植生保護のための木道が整備されており、美しい自然を守るためにも道を外れず静かに観察しましょう。

登頂の達成感とともに、高山植物の風景を胸に刻んだら、あとは来た道を慎重に下山します。気が緩みやすい下りこそ、こまめな休憩と水分補給を忘れずに。大山登山の最後まで、安全に楽しむことが大切です。

歴史と絶景に出会う大山登山の下山ルート 行者谷分かれから大山寺へ


大山の北壁が織りなす壮大な迫力に息を呑む

大山登山の下山ルートとしておすすめしたいのが、6合目付近の「行者谷分かれ」から分岐し、大山寺方面へと向かう歴史あるコースです。なかでも圧巻なのが、「元谷(もとだに)」から仰ぎ見る大山北壁の姿。崩落した土砂が堆積し、川原のようになったこの場所からは、まるで壁のように立ちはだかる岩肌を間近に望むことができます。

自然の迫力に触れながら進むこのルートは、大山登山のなかでもとりわけ印象的な風景のひとつといえるでしょう。

そのまま歩を進めると、ルートは大神山神社 奥宮を経て大山寺の境内へと続きます。参道には苔むした石畳が敷かれ、山岳信仰の歴史が今も息づく、神聖な雰囲気に満ちています。登山道とはまた異なる、しっとりとした趣が感じられる下山道です。


豊かな自然と歴史が織りなす味わい深い下山ルート

天平13年(741年)に創建されたと伝わる大山寺は、かつて数千人もの僧侶が修行した中国地方屈指の霊場。長い歴史とともに今も多くの参拝者、そして登山者を静かに迎え入れています。下山後は、国登録有形文化財にも指定されている本堂や鐘楼をゆっくり巡りながら、歩いてきた道のりを振り返ってみるのもいいかもしれません。

大自然と歴史文化が交差するこのコースは、単なる下山にとどまらず、大山登山の余韻を深めてくれる締めくくりとなってくれるはずです。

大山登山のあとは禅バーガーと冷やしあめ 下山後に味わうご当地グルメ


精進料理でも食べ応え抜群な禅バーガー

大山登山と参拝を終えたら、大山寺のすぐそば、大神山神社奥宮の境内にある「天狗茶屋」でひと息ついてみてはいかがでしょう。ここで味わえるのが、ご当地ならではの精進グルメ「禅バーガー」。古くから大山寺に伝わる精進料理を、手軽に楽しめる形に仕立てたユニークな一品です。

豆腐を使った“精進あげバンズ”に、大山おこわや湯葉のミルフィーユなどがぎっしり詰め込まれ、肉を使わないとは思えないほどの満足感。バンズには鳥取県産の大豆を使い、地元の豆腐店と共同開発されたこだわりの味わいが詰まっています。登山で空腹になった体にも、優しくしっかり沁みるおいしさです。


汗をかいた登山の後には最高の冷やしあめ

さらに、夏のおすすめは「禅バーガー+冷やしあめ」のセット。宿坊秘伝のタレで照り焼き風に仕上げた香ばしいバーガーと、ひんやり冷たい生姜風味の冷やしあめの組み合わせは、汗ばんだ体に心地よく染みわたります。

グルメを楽しみながら、大山登山の余韻にひたるひととき。地元の素材と文化が息づく一品を味わいながら、ゆったりとした時間を過ごすのも、この山の魅力のひとつです。

天狗茶屋
住所:鳥取県西伯郡大山町大山14
TEL:0859-52-2006
営業時間:9:00~17:00
定休日:不定休
アクセス:大神山神社から徒歩すぐ

大山登山の締めくくりに 原生林を望む温泉と豆乳ソフトで癒される


大山の麓で出会う、自然が育んだ神秘の湯

大山登山を終えたあとは、参道入り口すぐの温泉施設「豪円湯院(ごうえんゆいん)」で、体と心をじっくり癒してみてはいかがでしょう。地下1,200メートルから湧き出す源泉は、日本でも屈指の酸化還元電位を誇り、どこか秘湯のような趣きも感じられます。

鳥取県内で最も標高の高い場所にある温泉としても知られ、大山の原生林を望む露天風呂は、まさに大自然と一体になる贅沢な時間です。


驚くほど食べやすい!濃厚な美味しさの豪円豆乳ソフト

お湯は弱アルカリ性で肌にやさしく、湯船に浸かりながら外気浴を交えることで、登山の疲れがじわじわと溶けていきます。また、この温泉は飲泉が可能という珍しさも魅力のひとつ。湯上がりに源泉水を飲めば、体の内側からもすっきりとリフレッシュできます。

締めくくりにぜひ味わいたいのが、売店で人気の「豪円豆乳ソフト」。地元産の豆乳を使った濃厚な味わいながら、後味はすっきり爽やか。火照った体をやさしくクールダウンさせてくれる、登山後のご褒美スイーツです。自然と文化に包まれた大山登山の一日を、温泉と甘味で心ゆくまで締めくくってみてください。

豪円湯院
住所:鳥取県西伯郡大山町大山25
TEL:0859-48-6801
営業時間:11:00~19:00(最終受付18:20)※時期により変動あり
休業日:水曜
料金:大人1名790円(小学生は300円・幼児無料)
アクセス:大神山神社から徒歩約15分

大山登山で出会う自然と歴史 心に残る山旅へ出かけよう


大山の樹林帯を抜けると楽しめる、天空の絶景パノラマ

標高1,729mの「大山」は、中国地方を代表する名峰として、登山者に広く親しまれています。深いブナの森に包まれた登山道、森林限界を越えた先に広がるパノラマ、そして山頂で出会う可憐な高山植物、大山登山には歩くごとに表情を変える自然の魅力が詰まっています。

登りごたえがありながらも、登山道は整備されていて歩きやすく、初心者から経験者まで幅広い層に支持されているのも大きな特長。山頂での絶景に心を打たれたあとは、大山寺や大神山神社をゆっくり巡りながら、静かな余韻に浸ってみてはいかがでしょうか。禅バーガーや温泉など、下山後の楽しみもまた、大山登山の魅力のひとつです。

四季折々に異なる表情を見せるこの山で、自然と歴史にふれる心豊かな山旅を。きっと思い出に残る登山体験になることでしょう。

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