西吾妻山登山ガイド!雄大な湿原と花の楽園をめぐる絶景ルートを歩こう

西吾妻山登山の魅力をわかりやすくガイド。
山形県米沢市、福島県北塩原村にまたがる吾妻連峰、通称吾妻山。東西20km、南北12kmの広大な面積を誇るものの、比較的なだらかな形状の山容が多いこの山域は、新緑・紅葉など四季折々の魅力にあふれるエリアです。
今回はその最高峰であり日本百名山のひとつである西吾妻山、その頂からさらに南下し、大絶景を望むことができる西大巓を目指す、初夏の山旅にご案内します。
西吾妻山とは?
福島県と山形県の県境にそびえる「西吾妻山(にしあづまやま)」は、標高2,035mのなだらかな山容が特徴の名峰。吾妻連峰の西端に位置し、雄大なブナ林と湿原、高山植物が彩る静かな登山ルートで知られています。
派手なピークや岩場はないものの、山歩きそのものの魅力を味わえる“癒しの山”。特に6〜8月は、湿原を埋め尽くす花々が見頃を迎え、多くの登山者が訪れます。
また、西吾妻山山頂から足をのばしてぜひ訪れたいのが、標高1,982mの「西大巓(にしだいてん)」。西吾妻山から一度下って再び登り返すこのピークは、展望の良さが魅力。
今回歩く西吾妻山登山コース

【スタート】北望台⇒人形石⇒中大巓分岐⇒天狗岩⇒西吾妻山⇒西吾妻小屋⇒西大巓
⇒西吾妻小屋⇒天狗岩⇒中大巓分岐⇒かもしか展望台⇒【ゴール】北望台
【西吾妻山 登山の始まり】ロープウェイとリフトで天元台高原から北望台へ!
登山のスタート地点は、山形県米沢市にある「白布湯元駅」。ここからは、天元台高原ロープウェイと3本のリフトを乗り継ぎ、登山口となる標高1,820mの「北望台」を目指します。
ロープウェイの受付近くには登山ポストが設置されているので、登山届の提出を忘れずに。安全第一で西吾妻山登山を楽しみましょう。
また、ロープウェイ駅では西吾妻山の登山バッジも販売されています。もし買いそびれてしまっても、後日「天元台高原のオンラインショップ」から購入できるので安心です。

ロープウェイの定員は20名。繁忙期には臨時便も運行されるので、混雑時でもスムーズにアクセス可能
ロープウェイは標高差430mをわずか6分で一気に上昇。晴れた日には、眼下に広がる米沢盆地や、遠くの飯豊連峰の山並みを見渡すことができ、空中からの絶景に心が躍ります。
ロープウェイを降りたら、次は「しらかば」「しゃくなげ」「つがもり」の3本のリフトを乗り継ぐ「夏山リフト区間」へ。これらのリフトは合計で標高差510m、乗車時間は約40分。その距離と長さから、“日本一長い夏山リフト”とも呼ばれています。

高山植物や木々の緑を足元に眺めながらの空中散歩。…なのに、直射日光がジリジリ!実はけっこう暑い!
【北望台から西吾妻山登山スタート】静かな樹林帯を抜けて人形石へ!

北望台に到着したら、軽く身支度を整えて、いよいよ西吾妻山登山の本番がスタート。登山道に入ると、まずはブナなどの木々が生い茂る静かな樹林帯を歩いていきます。
しかし油断は禁物。序盤からゴロゴロとした岩場の登りが続き、身体がまだ慣れていないうちは少しハードに感じるかもしれません。一歩一歩、足元を確かめながら慎重に進みましょう。
この日は10時を過ぎた頃、木漏れ日が差し込む登山道はじわじわと暑さを感じるように。汗が額をつたい、早くも水分補給のタイミングを意識し始めます。
やがて視界が開け、石野原と呼ばれるエリアに差しかかると、ひときわ目を引く巨岩の塊=人形石(にんぎょういし)が現れます。

奇岩が並ぶ人形石。「人形…どこが?」と首をかしげる人も多いが、見え方は角度次第!付近では登山者がゆっくりと休憩中
大小3〜4個の岩が立ち並び、異世界感のある雰囲気を放つこの場所は、登山者の間でも印象的なランドマークのひとつ。
広めのスペースがあるため、ここは絶好の休憩ポイント。ベンチ代わりに岩に腰を下ろして、ひと息つきながら進行方向を再確認しておきましょう。

分岐ポイントでは「山と高原地図」アプリで現在地と進行方向をチェック。広い場所こそ、うっかり間違えやすいので要注意
【人形石〜西吾妻山山頂】高山植物が咲き誇る木道と、静けさの山頂へ
人形石を過ぎると、登山道はいよいよ雰囲気を変え、湿原の中の木道歩きが始まります。巓の山頂に立つと、そこに広がるのは言葉を失前方には緩やかな吾妻連峰の山並み、足元にはワタスゲの群落、イワカガミ、チングルマなどの可憐な高山植物が咲き誇り、登山者をやさしく迎えてくれます。まさに見頃を迎える初夏の登山道は、立ち止まりたくなる美しさです。

ワタスゲの白い綿毛が風に揺れる光景は、高原の初夏を象徴する風景。青空に映えてとても愛らしい
木道が続く穏やかな道の先、「大凹(おおくぼ)」の水場を通過すると、この日いちばんの急登区間に突入します。道幅が狭まり、大きな岩が不規則に積み重なるようなゴロゴロ道が続き、登山者の集中力が試される場面。焦らず、一歩ずつ慎重に登っていきましょう。

足場の悪い岩の急坂。無理せずリズムよく、一歩一歩を大切に登るのがコツ
急登を登りきると、視界がふわっと開け、次に現れるのはいろは沼。池塘が点在する広々とした湿原が広がり、登山の疲れを癒すかのような景色が出迎えてくれます。遠くの山々を眺めながら、木道に沿ってゆっくりと歩く時間は、まさにご褒美。立ち止まれば、頬を撫でる高原の風が熱をやさしく冷ましてくれます。

梵天岩から見下ろすいろは沼。広々とした湿原に、登山者の姿が点在している
梵天岩を通過すれば、いよいよ西吾妻山山頂まであとわずか。せっかくだから大展望を期待したい…ところですが、残念ながら山頂は樹林帯に囲まれていて眺望はなし。ただ、そのぶん静けさに包まれており、ピークを踏んだ達成感にひたるには十分な場所です。

山頂は突然現れるような静かな場所。展望はないけれど、登頂の記念に道標とパチリ
山頂には休憩スペースはほとんどないため、記念撮影を済ませたら先へ進むのが無難です。ここからさらに絶景を目指すなら、次は「西大巓(にしだいてん)」を目指してもうひと歩き!
【西吾妻山から西大巓へ】磐梯山・安達太良山まで望む、圧巻の大パノラマ!
西吾妻山の山頂を後にし、分岐点から進むと、登山道は一度ぐっと標高を下げていきます。しばらく続く急な下り坂は足元がやや不安定なので、慎重に下りましょう。
やがて鞍部(あんぶ)と呼ばれる低地に出ると、そこはまるで高山植物の楽園。ワレモコウやキンコウカ、ハクサンシャジンなど、季節によって様々な花々が道沿いに咲き誇り、歩く気持ちを後押ししてくれます。
そこから再び標高を上げていくと、目指す「西大巓(にしだいてん)」が目前に迫ります。

視界の先に見えるのは西大巓の山頂。登り返しはきついけれど、もうひと踏ん張り!
標高1,982mの西大巓の山頂に立つと、そこに広がるのは言葉を失うほどの大パノラマ。南側には湖沼を従えた磐梯山、南東側には雄大な安達太良山、そして振り返れば、自分が歩いてきた西吾妻山の稜線がしっかりと見渡せます。
まるで地図の上に自分の足跡が刻まれたような感覚。こうして歩いてきた道のりを実感できるのも、登山の大きな醍醐味のひとつです。

西吾妻山方面を振り返ると、自分の歩いたルートが一望できる。左上に見える赤い屋根は西吾妻避難小屋
景色をひとしきり楽しんだら、来た道を戻って下山へ。ただ、同じ道では少し物足りない……という人は、途中で西吾妻避難小屋を経由するルートに入ってみるのもおすすめです。
避難小屋の先には、天狗岩の一角にたたずむ吾妻神社があります。岩に囲まれた小さな社殿は、まさに風雪に耐える山の守り神のような存在。登山の無事に感謝し、あらためて手を合わせるひとときは、気持ちの切り替えにもぴったりです。

吾妻神社は天狗岩の端に鎮座。岩に囲まれた静かなたたずまいが印象的
最後は北望台へ戻り、往路と同じようにリフトとロープウェイを乗り継いで天元台高原まで下山します。リフトの最終乗車時刻は15:40なので、時間には余裕を持って行動しましょう。特に写真撮影や休憩を多めに取る人は、逆算して下山を始めるのがポイントです。
今回歩いた西吾妻山登山コース

【スタート】北望台⇒人形石⇒中大巓分岐⇒天狗岩⇒西吾妻山⇒西吾妻小屋⇒西大巓
⇒西吾妻小屋⇒天狗岩⇒中大巓分岐⇒かもしか展望台⇒【ゴール】北望台

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