【くじゅう連山】登山の楽しみは下山後まで!山頂からふもとまで、楽しみ尽くす山旅へ

九州本土の最高峰・久住山をはじめ、大船山や平治岳など名峰が連なる「くじゅう連山」。初心者向けの歩きやすいコースから、本格的な縦走ルートまで、レベルに合わせて楽しめる登山スポットです。
登山のあとは、阿蘇くじゅう国立公園に点在する温泉でリフレッシュし、地元グルメに舌鼓。日帰りはもちろん、1泊2日の山旅にもぴったりです。
本記事では、くじゅう連山の代表的な登山ルートや所要時間、難易度の目安、下山後に立ち寄りたいスポットまで、登山ビギナーにもわかりやすくご紹介します。
くじゅう連山の魅力とは?初心者にも愛される人気の理由を解説

高層湿原・坊ガツルを抱くように広がる「くじゅう連山」
大分県玖珠郡九重町から竹田市北部に広がる「くじゅう連山」は、東西南北それぞれ10km以上の範囲にわたり、1,700m級の山が11座、1,000m級の山が35座ほどひしめいている、九州を代表する壮大な山域です。初夏のミヤマキリシマや、秋の紅葉、冬の雪景色まで四季折々の魅力があり、多くの登山愛好家を魅了しています。

久住山系の峰々を一望できる大船山山頂
日本百名山のひとつであり、主峰である久住山(くじゅうさん、標高1,786m)や、九州本土で最も高い中岳(標高1,791m)をはじめ、西側には久住山系、東側には大船山系の峰々が広がり、雄大な景観を形成しています。日帰りでも登頂可能ですが、中継地となっている高層湿原・坊ガツルにある法華院温泉山荘やキャンプ場に宿泊して、1泊2日でゆったり楽しむ方も多いです。

緑が色濃く、吹き抜ける風が爽やかな初夏の坊ガツル
登山コースは豊富で、初心者からベテランまで楽しめますが、特に人気なのが「長者原(ちょうじゃばる)登山口」や「牧の戸峠登山口」からのルートです。前者は、長者原から坊ガツルを経由して、平治岳(ひいじだけ、標高1,642m)大船山(たいせんざん、標高1,786m)や久住山方面へ向かうコースが整備されており、広大な草原や湿原の風景を楽しめます。

大パノラマが待つ牧ノ戸峠から縦走ルート
一方、標高1,330mの牧ノ戸峠は、久住山系への最短ルートの入口となっており、九州横断の「やまなみハイウェイ」の最高所でもあります。九州内陸の玄関口である、阿蘇くまもと空港からのアクセスの良さも魅力。ここから久住山や中岳へと縦走するルートは特に人気があり、九州屈指の絶景の稜線を堪能できるコースとして親しまれています。
宿泊するならここ!九州最高所の湯「法華院温泉山荘」で山小屋体験

山上でも快適に宿泊できる法華院温泉山荘
くじゅう連山を初めて訪れるなら、ぜひ利用したいのが坊ガツルに佇む「法華院温泉山荘」。山の中とは思えない快適な設備が整い、1泊2食付きで個室利用もできます。さらに、九州最高所に位置する天然温泉が湧いており、登山の疲れをゆったり癒せます。布団や充電コンセントも完備で、売店にはお菓子やお酒まで揃っているのもポイントです。

九州最高所にある温泉で登山の疲れを癒そう
温泉の泉質はカルシウム・マグネシウム・ナトリウム硫酸塩泉。源泉温度は適温の43.2℃で、贅沢な源泉かけ流しのお湯を堪能できます。食事も魅力のひとつで、夕食は品数豊富なうえ、ご飯のおかわり自由も密かに嬉しいポイント。朝食は山荘でいただくほか、お弁当にして持ち出すことも可能。早朝から行動したい方には、お弁当が便利です。
前泊するならここ!登山拠点に最適な「くじゅう夢温泉郷」で癒しの一夜を

九重“夢”温泉郷
九州屈指の火山地帯「阿蘇くじゅう国立公園」は、全国的にも名湯が点在するエリア。その中でも、くじゅう連山の山麓には、壮大な山々を望む12の温泉地からなる「九重“夢”温泉郷」が広がっています。登山の前泊にも最適で、山の麓でゆっくりと疲れを癒し、翌朝から万全の状態で登山に挑むのもおすすめです。
筆者が特におすすめしたいのは、異なる魅力をもつ2つの宿です。

九酔渓温泉「渓谷の宿 二匹の鬼」の貸切風呂
まずひとつめは、九酔渓温泉に佇む一軒宿「渓谷の宿 二匹の鬼」。露天風呂付きの離れ客室がリーズナブルに楽しめるほか、敷地内には無料で利用できる貸切風呂も充実。源泉かけ流しの炭酸水素塩泉のお湯は肌に優しく、渓谷を見下ろす絶景に癒される贅沢なひとときを堪能できます。

「旅館ゆのもと荘」の豊後牛の鉄板焼きは、口の中で旨味がとろける極上の味わい
もうひとつのおすすめは、筋湯温泉の「旅館ゆのもと荘」。滞在中は、4つの異なる趣を持つお風呂を何度でも無料で入り放題なのが嬉しいです。夕食は、豊後牛の鉄板焼きや地元の山菜など、感動するほどの内容とボリューム!お部屋食なので、ゆったりと食事を楽しめます。脂がとろける豊後牛と、温泉水で炊き上げたふっくらごはんを心ゆくまで堪能しましょう。
くじゅう連山の登山コース3選|所要時間と難易度をチェック
初心者でも挑戦しやすく、絶景を楽しめる「くじゅう連山」の代表的な3座をご紹介します。各ルートの所要時間や難易度の目安をチェックして、自分にぴったりの山旅を計画してみましょう。
久住山(標高1,787m)|牧ノ戸峠から登れる人気のルート

火山らしい地形の迫力に圧倒される久住山山頂
くじゅう連山の主峰であり、日本百名山にも選ばれている久住山。百名山を制覇したい登山愛好家にとって憧れの一座となっています。遠くから見るとピラミッドのような端正な山容が目を引き、登るほどにそのスケールの大きさに圧倒されます。山頂周辺は岩と砂が広がり、火山ならではの荒涼とした風景が広がります。

火山地形の先に、遠く名峰・由布岳を一望
噴煙を上げる硫黄山や、遠くに由布岳(ゆふだけ、標高1,583m)を一望できるのも魅力のひとつ。山頂に立てば、麓の久住高原から阿蘇まで続く、パッチワークのように展開する地形美を満喫できます。日帰りであれば標高差の少ない牧ノ戸峠登山口から、1泊2日あれば長者原登山口から坊ガツルを経由し、ゆったりと登るのがおすすめです。
ルート例:牧ノ戸峠登山口からの往復コース(所要:往復約4時間)
難易度:★☆☆(初心者向け)

- 大分県
- 1,787m
平治岳(標高1,646m)|ミヤマキリシマが咲く初夏がベストシーズン

山肌にミヤマキリシマの絨毯が広がる初夏の平治岳
九州の高山帯に自生し、5月中旬から6月上旬にかけて鮮やかなピンクの花を咲かせるミヤマキリシマ。その名所として有名なのが、くじゅう連山・大船山系に位置する平治岳です。坊ガツルから約1時間登った先にある大戸越(うとんごし)から山頂にかけては、ミヤマキリシマの群生が特に美しい区間。満開の時期には、登山道沿いに広がる鮮やかなピンクの花々が、まるで別世界のような景色を作り出します。

稜線を彩るミヤマキリシマのパッチワーク
また、中級者には大船山への縦走ルートも人気で、その途中にある北大船山周辺では、新緑に映えるミヤマキリシマの美しさを堪能できます。そして向かい側には、久住山系の雄大な山々がそびえ、圧倒的なスケールの景観に心を奪われること間違いなし。雄大な自然に包まれながら、季節限定の絶景を楽しめる贅沢なルートです。
ルート例:男池登山口〜大戸越経由(所要:往復約5時間)
難易度:★★☆(初級〜中級者向け)

- 大分県
- 1,643m
大船山(標高1,786m)|紅葉の絶景を求めて歩く本格登山コース

たおやかな尾根の先に、存在感を放つ大船山
くじゅう連山の東側にそびえる大船山系の主峰・大船山。四季を通じて多くの登山者に親しまれる名峰で、堂々とした山容と鋭く尖った山頂が特徴です。その壮麗な景観はどこか海外の山を歩いているかのような雰囲気を醸し出します。
登山ルートも多彩で、最短ルートである今水登山口からは片道約2時間で山頂に到達可能。さらに、長者原登山口から坊ガツルを経由するルートなど、さまざまなアプローチで登ることができます。

色彩豊かな四季の移ろいを見せる御池
中でも最も印象的な景色の一つが、山頂直下に広がる「御池(おいけ)」の風景。特に紅葉の時期には、池の周囲が燃えるような赤に染まり、水面に映る幻想的な光景が登山者を魅了します。また、冬には霧氷が木々を白く彩る様は、まるで冬の季節に桜が咲いたかのような絶景で、多くの登山愛好家を惹きつけてやみません。
ルート例:吉部登山口〜坊ガツル〜大船山(所要:往復約6〜7時間)
難易度:★★★(中級者向け)
- 大分県
- 1,786m
- 三百名山
くじゅう連山の登山のあとは?下山後に楽しみたい5つの過ごし方
くじゅう連山での登山を満喫したあとは、余韻を味わいながら過ごす“下山後のひととき”も旅の楽しみのひとつ。大自然に囲まれたくじゅうエリアには、温泉、グルメ、絶景ドライブなど、登山の疲れを癒しつつ心も満たしてくれる過ごし方がたくさんあります。
ここからは、登山後に立ち寄りたいおすすめの過ごし方を5つご紹介します。
下山後の楽しみ方① 個性豊かな湯めぐりを楽しむ

身体の芯まで癒やされる、心地よい打たせ湯
下山後にいち早く入りたいのが、やはり温泉ではないでしょうか。筆者のおすすめは2つあります。
まずは、くじゅう連山の山麓にある筋湯温泉の名物「うたせ大浴場」。3メートルの高さから18本もの打たせ湯が流れ落ちる光景は、湯量豊富な筋湯温泉ならではです。鮮度抜群の源泉かけ流しのお湯を肩から浴びれば、登山で酷使した筋肉や肩の凝りがじんわりとほぐれ、心身ともにリセット。ここでしか味わえない極上の入浴体験が待っています。
住所:大分県玖珠郡九重町筋湯
電話番号:0973-73-5505(九重町観光協会)
料金:共同浴場入浴料300円(4才以下無料)

湯船から出ると、しゅわしゅわと弾ける高濃度炭酸泉
続いて長湯温泉にある「ラムネ温泉館」も、ぜひ足を延ばしたい名湯のひとつ。世界的にも珍しい高濃度炭酸泉が楽しめる日帰り温泉施設です。露天風呂に浸かると、無数の気泡が肌を優しく包み込み、まるでラムネに浸かっているような爽快な感覚に。炭酸泉ならではのじんわりとした温もりに癒されます。源泉かけ流しの42度の内湯と交互に入るのがおすすめです。
住所:大分県竹田市直入町大字長湯7676-2
電話番号:0974-75-2620
料金:大浴場は大人500円、小人(3歳~小学生)200円、3歳未満無料、家族風呂は1時間2,000円
営業時間:10:00〜22:00、 第1水曜(1月と5月は第2水曜)は休館
>>公式ホームページ
下山後の楽しみ方② 日田で乾杯!大衆居酒屋の地元グルメを堪能

旅情を高めてくれる昭和レトロな佇まい
登山口から車で1時間ほどの大分県日田市。江戸時代から天領(幕府直轄領)として文化・経済的に栄え、豊富な名水を使った酒造りが盛んであるなど、とても歴史深く特色の強い町です。そんな町が誇るディープなスポットが、町の随所に立ち並ぶ大衆居酒屋の存在。昭和感全開の店内で現地の日常に溶け込みながら、食事とお酒を堪能できます。

ちりとり鍋とビールの相性は最高!
筆者のおすすめは「天領酒場 三丁目」。自慢の一品は、鶏肉・ホルモン・野菜がたっぷり入った「ちりとり鍋」です。甘辛い特製ダレが具材にしっかり絡み、脂ののったホルモンの旨みと絶妙にマッチ。思わず箸が止まらなくなる美味しさです。サッポロビール日田工場で作られたオリジナル生ビールで、下山後の一杯を「くぅ〜!」といっちゃいましょう。
住所:大分県日田市隈2丁目1-20
電話番号:0973-22-8155
営業時間:18:00〜23:00、月・火曜定休
下山後の楽しみ方③ 高原ミルクのソフトクリーム&ジェラートを堪能

下山後のソフトクリームは染み渡る美味しさ
くじゅう連山の山麓は、九州でも有数の放牧地が広がるエリア。その恵まれた環境から生まれる絶品のソフトクリームやジェラートは、訪れたらぜひ味わいたい一品です。
まず、牧ノ戸峠登山口にある「牧ノ戸峠レストハウス」では、名物のソフトクリームが登山者を迎えてくれます。ミルク味は素材の優しい甘みが際立ち、ブルーベリー味は爽やかな酸味とフルーティーな風味が魅力。登山後のご褒美にぴったりです。
住所:大分県玖珠郡九重町牧ノ戸峠
電話番号:0973-79-2042
営業時間:8:30~17:00 ※シーズン時や天候により不定

ダブルならくじゅう高原の名産・ブルーベリーも
さらに、長者原登山口の近くにある「ミルクランドファーム」も外せません。おすすめのフレーバーは「そのまんまミルク」。ナチュラルなミルクのコクとすっきりとした後味がクセになる美味しさです。牧場内にあるお店ならではの雰囲気も魅力で、店先から望むくじゅう連山の雄大な景色が、旅の余韻をより一層深めてくれます。
住所:大分県玖珠郡九重町田野1726-289
電話番号:0973-79-2685
営業時間:10:00~16:00
下山後の楽しみ方④ 日本百名道のひとつ「やまなみハイウェイ」ドライブ

牧ノ戸峠を下りながら、阿蘇方面の平原を一望
長者原登山口と牧ノ戸峠登山口が面する県道11号線は、「やまなみハイウェイ」として知られ、湯布院から阿蘇へと九州の山岳地帯を貫く絶景ルート。全国屈指の山岳道路として、ドライバーはもちろん、バイクツーリングやサイクリングを楽しむ人々にも人気が高く、一度は走ってみたいと憧れる道のひとつです。

くじゅう連山に引き込まれる「やまなみハイウェイ」のハイライト
なかでも圧巻なのが、長者原登山口付近にあるストレート区間。目の前に雄大なくじゅう連山が広がり、そのスケール感を存分に味わいながら爽快なドライブを楽しめます。道沿いには撮影スポットとして人気の看板も設置されており、旅の記念にぴったりです。
下山後の楽しみ方⑤ 阿蘇で眺望を楽しみ、もう一座チャレンジ

大観峰から見渡す雄大な「くじゅう連山」
車を走らせること約1時間で、気軽に阿蘇エリアへアクセスできるのも大きな魅力。阿蘇くまもと空港を拠点にすれば、3泊4日ほどでくじゅう連山の登山と阿蘇観光を存分に満喫できます。
特におすすめなのが「大観峰」。阿蘇五岳や阿蘇市街を一望する壮大なパノラマは圧巻ですが、振り返ればくじゅう連山の美しい山並みも望めます。「あそこにいたんだなぁ」と旅の余韻に浸るのも、登山の醍醐味のひとつ。
住所:熊本県阿蘇市山田
電話番号:0967-34-1600(阿蘇インフォメーションセンター)

もうひとつの日本百名山「阿蘇山(高岳)」へチャレンジ
さらに、草千里まで足を延ばし、半日ほど確保できれば、もうひとつの百名山「阿蘇山(標高1,592m)」への登山も可能。最高峰・高岳では、「天狗の舞台」と呼ばれる東峰南側の斜面を、ミヤマキリシマの群落が鮮やかに彩ります。下山後に阿蘇中岳火口の展望台を訪れれば、大地の鼓動を感じるような迫力の景観が待っていますよ。
- 熊本県
- 1,592m
- 百名山
麓から山頂まで満喫!くじゅう連山の登山と山旅の魅力

九重“夢”温泉郷の宿
いかがでしたでしょうか?くじゅう連山の魅力は、登山道中や山頂だけにとどまりません。山頂での達成感を味わったあとは、温泉に浸かり、地元の美食を堪能することで、心身ともに満たされる至福の時間が待っています。
壮大な山並みを望む露天風呂、疲れを癒す名湯、そして豊後牛や山の幸に舌鼓を打つ贅沢なひととき——。登る楽しみと、下山後の癒しがひと続きで味わえる「くじゅう連山の山旅」を、ぜひ体験してみてください。
取材・撮影・文章:アウトドアライター土庄雄平

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