千畳敷カールで登山を満喫 中央アルプスの絶景ルートで木曽駒ヶ岳を目指そう

野県の中央アルプスに位置する「千畳敷カール」は、標高2,612mに広がる壮大なカール地形。四季折々の自然が美しく、特に秋は紅葉の名所としても知られています。

千畳敷カールからは、中央アルプスの主峰・木曽駒ヶ岳へと続く登山ルートが整備されており、ロープウェイを使えば標高差を一気に稼げるため、登山初心者にも人気のコースです。この記事では、千畳敷カールから木曽駒ヶ岳までの登山ルートやアクセス、休憩スポットなどをわかりやすくご紹介。登山初心者でも安心して楽しめる絶景ルートを一緒に見ていきましょう。

2025年4月22日 更新

千畳敷カール・木曽駒ヶ岳ってどんな山?

 
下界では見られない絶景が待っている

中央アルプスの中でも人気が高い「木曽駒ケ岳」は、標高2,956mを誇る日本百名山のひとつ。麓の駒ヶ根市からロープウェイとバスを使って千畳敷カール(標高2,612m)まで一気にアクセスできることから、登山初心者でも挑戦しやすいルートとして知られています。

「千畳敷カール」とは、氷河によって削られたU字型の地形のこと。畳を千枚敷いたほどの広さがあることが名前の由来です。春は残雪、夏は高山植物、秋は紅葉、冬は雪景色と、どの季節も魅力にあふれており、多くの登山者や観光客が訪れます。

千畳敷カールから山頂を目指す登山道はよく整備されており、急登の八丁坂を超えて稜線に出ると、広がる大パノラマに思わず息を呑むはず。乗越浄土を経て、中岳、そして木曽駒ヶ岳へと続く道は、まさに絶景尽くし。標高差が少なく、山小屋やテント場、トイレも整っているため、登山に慣れてきた初心者の方にぴったりのルートです。次は、そんな千畳敷カールへのアクセスについてご紹介していきます。

千畳敷駅までのアクセス情報

千畳敷カール登山の起点となる「千畳敷駅」までは、公共交通機関とロープウェイを組み合わせたアクセスが基本です。千畳敷駅は一般車両では直接行けないため、途中のバスセンターでバスに乗り換える必要があります。

公共交通機関でのアクセス

最寄り駅はJR飯田線の「駒ヶ根駅」。ここから「しらび平駅」行きの路線バスに乗車し約50分で「しらび平駅」に到着します。バスは1時間に1本程度の運行ですが、観光シーズンには増便されることもあります。

マイカー利用でのアクセス

中央自動車道「駒ヶ根IC」を降りて、3分ほどで「菅の台バスセンター」に到着。しらび平駅まで自家用車では入れないため、ここで駐車し、専用バスに乗り換えます。菅の台バスセンターから「しらび平駅」まで約30分です。

バスを降りたあとは、しらび平駅から「駒ヶ岳ロープウェイ」に乗って千畳敷駅へ。ロープウェイの所要時間は約7分30秒で、高低差は日本一の950m。標高2,612mの千畳敷駅に到着すれば、いよいよ登山スタートです。

バスやロープウェイの乗り継ぎがあるものの、全体の動線はスムーズでわかりやすく、登山初心者でも安心して訪れることができます。

駒ヶ岳ロープウェイで一気に絶景エリアへ

 

標高2,612mの「千畳敷駅」へは、しらび平駅から「駒ヶ岳ロープウェイ」を利用します。このロープウェイは、標高差950mを約7分30秒で一気に上がる、日本一の高低差を誇る空中ルート。登山口までのアプローチでありながら、その道のり自体がまさに絶景体験です。

ゴンドラの車内は360度ガラス張り。眼下には南アルプスの山並みや木曽駒ヶ岳の稜線、新緑や紅葉に彩られた谷の景観など、季節によってさまざまな表情が楽しめます。運が良ければ、遠く富士山が見えることも。

ロープウェイを降りると、そこはもう別世界。千畳敷カールの雄大な地形が目の前に広がり、標高2,600m超とは思えないほど整備された駅舎やホテル、山小屋が整然と並びます。

登山を始める前に、高地ならではの空気に少し慣れるため、駅周辺をゆっくり歩いてみるのもおすすめです。天気のいい日には、駅前のテラスや展望デッキからのんびり景色を眺めるだけでも贅沢な時間が過ごせます。

乗越浄土を目指して、千畳敷カールを歩こう


千畳敷駅から広がる千畳敷カールの絶景 

ロープウェイを降り、千畳敷駅から歩き出すと、目の前には氷河によって削り取られた「千畳敷カール」のダイナミックな景観が広がります。出発地点の標高はすでに2,612m。森林限界を超えた場所に位置しており、高山植物と岩肌のコントラストが印象的です。

千畳敷駅から木曽駒ヶ岳を往復する登山ルート

【スタート】千畳敷駅(2,612m)⇒( 徒歩15分、剣ヶ池を経由)⇒八丁坂入口⇒(徒歩45分)⇒乗越浄土(2,850m)⇒(徒歩20分)⇒中岳山頂(2,925m)⇒(徒歩20分)⇒木曽駒ヶ岳山頂(2,956m)⇒(徒歩1時間30分~2時間)⇒【ゴール】千畳敷駅

まずは、緩やかな木道を通って「剣ヶ池」へ。風がなければ、池の水面に宝剣岳が映る美しいリフレクションが見られるかもしれません。カメラを構える人も多く、最初のビュースポットとして外せないポイントです。

 
八丁坂

剣ヶ池を過ぎると、いよいよ本格的な登山道が始まります。「八丁坂」と呼ばれるジグザグ道は、千畳敷カールから稜線へ抜ける急登ルート。大小の岩が転がる道は滑りやすいため、足元に気をつけながら、息を整えて一歩ずつ登っていきましょう。途中、振り返るとカール全体と谷を見下ろすことができ、苦労に見合う絶景が広がります。

 
乗越浄土分岐点

45分ほどかけて登りきると、「乗越浄土(のっこしじょうど)」に到着。ここは木曽駒ヶ岳や宝剣岳方面へ向かう分岐点でもあり、山小屋やトイレも整備されているので、休憩にぴったりです。標高は2,850m。すでに雲の上にいるような感覚で、遠くには南アルプスの山々が広がります。


「乗越浄土」山頂からの景色

ここでひと息ついたら、次は「中岳」方面へと進み、木曽駒ヶ岳の山頂を目指しましょう。まだまだ見どころは続きます。

中岳・木曽駒ケ岳へ 岩場を超えて山頂の景色へ

 
「中岳」に向かう道

乗越浄土でしっかり休憩したら、次の目標は標高2,925mの中岳、そしていよいよ中央アルプスの最高峰・木曽駒ヶ岳(2,956m)です。

乗越浄土から中岳へは、ゴロゴロとした岩が転がる尾根道をおよそ20分。標高差は少なく、比較的なだらかな道のりですが、足元は不安定なため、慎重に歩みを進めましょう。登るにつれて振り返れば、歩いてきた千畳敷カールや宝剣岳、遠くには南アルプスの稜線までも見渡すことができ、疲れを忘れるような絶景が広がります。

 
山岳山頂

中岳山頂に到着。頂上は広々としたスペースがあり、視界も開けていてちょっとした休憩にも最適。

 
木曽駒ケ岳

ここからは、目指す木曽駒ヶ岳の山頂を間近に見ることができます。中岳から一度岩場を下り、テント場と山小屋(頂上山荘)のある鞍部へ。


テント泊で朝焼けを見るのもいい

テント泊をするならこのあたりがベースになりますが、今回はそのまま山頂へ進みます。テント場を過ぎた先、ふたたび岩混じりの登り道を30分ほど進めば、木曽駒ヶ岳の山頂に到着です。

 
木曽駒ケ岳の山頂

標高2,956mの山頂からは、ぐるりと360度の大パノラマが広がります。南には南アルプス、東に八ヶ岳、天気が良ければ富士山の姿も。


木曽駒ケ岳山頂からの景色

中央アルプスの山並みはもちろん、眼下には先ほど歩いてきた千畳敷カールも小さく見え、まさに登りきった人だけが味わえる特別な景色です。

登山初心者にとってはややハードな行程かもしれませんが、しっかりと準備をして臨めば、その達成感と感動はひとしお。下山ルートも同じ道を戻る形となるので、無理のないペースで安全に楽しみましょう。

千畳敷カールエリアに戻ったらカフェでひと息

 
中央アルプスの雪解け水で淹れたコーヒー

木曽駒ヶ岳から下山し、千畳敷カールエリアに戻ってきたら、ぜひ立ち寄りたいのが「2612 Cafe」。その名の通り、標高2,612メートルに位置する、日本一空に近いカフェです。千畳敷駅やホテル千畳敷に併設されており、登山の疲れを癒すのにぴったりのスポットです。

 

店内からは、千畳敷カールを一望できる大パノラマが広がり、座席に腰をおろすだけでも心がほっと安らぎます。カフェで提供されるコーヒーは、中央アルプスの雪解け水を使用しており、クリアな味わいが特徴。標高が高いため湯温が下がりやすい環境でも、丁寧にドリップされた一杯は、格別のおいしさを感じさせてくれます。

また、信州サーモンのサンドイッチや、地元のハム・ウインナーを使用した軽食メニューも豊富。100%果汁の信州産ジュースなどもあり、山の空気とともに味わうご当地グルメは登山後の体に染みわたります。

大自然を眺めながら、ほっとひと息。千畳敷カールならではの絶景と、地元ならではの味わいを楽しむ時間は、登山の締めくくりにふさわしい特別なひとときになるはずです。

2612 Cafe
住所:長野県駒ヶ根市赤穂1ホテル千畳敷 1階
営業時間:8:30~16:30(冬期は9:30~15:30)
休業日:不定休

宿泊するならホテル千畳敷で絶景ステイを

 

千畳敷カールを存分に楽しむなら、日帰りではなく宿泊も選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。標高2,612メートル、日本一空に近い場所に建つ「ホテル千畳敷」は、ロープウェイ千畳敷駅に直結した山岳リゾート。ここに泊まれば、日中のにぎわいが落ち着いた静かな時間帯に、千畳敷カールの特別な風景をじっくり味わうことができます。

朝は雲海とご来光、夜は満天の星空と、宿泊者だけが出会える絶景が魅力。特に晴れた夜は、空を埋め尽くす星々と天の川がはっきりと見え、標高の高さを実感させてくれます。遮るもののない360度の大パノラマは、まさに「別世界」という言葉がふさわしい光景です。

館内にはレストランや売店、無料の休憩スペースもあり、標高が高い場所での滞在を快適にサポート。客室はシンプルながら清潔感があり、山岳ホテルとしての機能がしっかり整っています。

「もっとゆっくりと自然と向き合いたい」「朝焼けや星空を体感してみたい」そんな方におすすめのホテル千畳敷。中央アルプスの大自然に包まれて過ごす一夜は、きっと忘れられない思い出になるはずです。

ホテル千畳敷
営業時間:イン14:00、アウト9:00
休業日:不定休(駒ヶ岳ロープウェイ運休時)

千畳敷カール周辺の紅葉スポットをチェック

千畳敷カールの登山を楽しんだら、周辺の紅葉スポットにも立ち寄ってみませんか?標高の高い千畳敷カールでは9月下旬から色づきが始まり、山麓では10月中旬ごろが見頃となります。登山の前後で立ち寄りやすい、2つのスポットをご紹介します。

 
こまくさ橋〈画像提供:中央アルプス駒ヶ岳ロープウェイ〉

まずひとつ目は「こまくさ橋」。菅の台バスセンターから徒歩約3分の場所にあり、大田切川に架かる吊り橋です。橋の周辺には約500本のモミジが植えられ、紅葉の時期には川面にも赤や黄色の葉が映り込んで、まるで絵画のような光景が広がります。吊り橋からの眺めは抜群で、早朝や夕方の光が差し込む時間帯もおすすめです。

 
光前寺の紅葉

もうひとつは「光前寺」。菅の台バスセンターから車で約3分、徒歩でも15分ほどの距離にある、天台宗の古刹です。境内には樹齢数百年の杉の木と約60本のモミジが植えられ、紅葉シーズンにはしっとりとした風情に包まれます。期間限定で夜のライトアップも開催されており、昼間とは異なる幻想的な雰囲気を楽しめるのも魅力です。

登山とセットで、千畳敷カール周辺の紅葉スポットをめぐることで、秋の信州をさらに満喫できます。季節の移ろいを感じながら、心に残る景色を探しに出かけてみてください。

光前寺
営業時間:8:00~17:00(冬期は~16:30)
休業日:無休

千畳敷カール登山で自然の魅力を満喫しよう

 
紅葉シーズンの千畳敷カール〈画像提供:駒ヶ岳ロープウェイ〉

標高2,612mの千畳敷カールを舞台にした登山は、中央アルプスの雄大な自然を間近に感じられる、まさに“空にいちばん近い山旅”。ロープウェイで一気に絶景の世界へアクセスできるため、登山初心者にもハードルが高くないのが魅力です。

木曽駒ケ岳まで足を伸ばせば、八丁坂の岩場や乗越浄土、中岳といった変化に富んだ登山道を経て、2,956mの山頂から大パノラマを堪能できます。さらに、登山後には高所にあるカフェやホテルでくつろぎの時間を過ごしたり、周辺の紅葉スポットを散策したりと、楽しみ方は自由自在。

登山に少しずつ慣れてきた方が、次のステップに選ぶ場所としてもぴったりな千畳敷カール。四季折々に姿を変える大自然と向き合う時間が、日常から離れた特別な思い出となるはずです。

秋の紅葉をはじめ、春の残雪や夏の高山植物、そして冬の星空まで。あなたも千畳敷カールで、山の魅力にじっくりと触れてみませんか?

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