白馬乗鞍岳の登山ガイド 初心者にもおすすめ!秋の紅葉絶景登山コース

北アルプス入門に最適!隠れた絶景スポット「白馬乗鞍岳」へ

どっしりとした山容が特徴的な白馬乗鞍岳
今回紹介する「白馬乗鞍岳」が位置するのは、日本百名山の一つ白馬岳(しろうまだけ) の北東に伸びる尾根。白馬岳登山の通過ポイントとなっており、多くの登山者で賑わいます。白馬村市街からはつがいけロープウェイに乗り、標高約1,900m弱の栂池自然園へアクセスしたのち、往復約4時間ほど登山をすれば白馬乗鞍岳に到着です。
この山を目当てに登る登山客はあまり多くないのですが、実は初心者が手軽に北アルプスの世界を味わうにはもってこいの山なのです!樹林帯から軽い岩場、湿原地帯や森林限界まで、景色変化に富んでいることも特徴です。
白馬乗鞍岳の登山道には「ダケカンバ 」や「ナナカマド 」といった高山特有の木々が多く繁茂しています。北アルプスでも最北エリアにあたることから、9月末〜10月上旬にかけて訪れれば、さながら錦絵のような美しさの紅葉風景を楽しめます。
栂池自然園へのアクセス

白馬岳の山麓をつがいけロープウェイでかけ上がろう
白馬乗鞍岳への登山ルートの出発点となるのが、標高約1,900mに広がる「栂池自然園」。この絶景登山の入口までは、車・電車・バスのいずれの方法でもアクセス可能です。
車でのアクセス
遠方から訪れる方には、高速道路を利用して白馬方面へ向かうのがスムーズ。最寄りの栂池高原駐車場まで車で行き、そこから「つがいけロープウェイ」で「自然園駅」まで上がります。
東京方面から:
【関越・上信越ルート】約3時間40分
関越道 → 上信越道(長野IC)→ 国道18号 → 県道31・33号 → 国道148号
【中央道ルート】約4時間
中央道(岡谷JCT)→ 長野道(安曇野IC)→ 国道147号 → 国道148号
大阪方面から:
【中央道ルート】約5時間30分
名神 → 中央道(岡谷JCT)→ 長野道(安曇野IC)→ 国道147号 → 国道148号
【北陸道ルート】約6時間30分
名神 → 北陸道(糸魚川IC)→ 国道148号
電車でのアクセス
公共交通でのアクセスも整っており、新幹線や特急列車を利用して栂池高原までスムーズに到着できます。
東京方面から:
【北陸新幹線利用】約3時間
東京駅 → 長野駅(新幹線)→ 栂池高原(特急バス)
【特急あずさ利用】約4時間30分
新宿駅 → 白馬駅(特急あずさ)→ 栂池高原(バスまたはタクシー)
大阪方面から:
約4時間30分
大阪駅 → 敦賀駅(サンダーバード)→ 糸魚川駅 → 南小谷駅(大糸線)→ 栂池高原(バスまたはタクシー)
バスでのアクセス(直行便)
新宿からの高速バスも運行されており、時間に余裕がある方や荷物の多い方にも便利です。
【新宿~白馬・栂池線】約5時間25分
新宿バスターミナル → 白馬駅(高速バス)→ 栂池高原(路線バスまたはタクシー)
このように、白馬乗鞍岳の玄関口「栂池自然園」へは、首都圏・関西圏のどちらからでもアクセス良好。登山計画にあわせて、自分に合った交通手段を選びましょう
自然園駅から白馬乗鞍岳へ登山スタート|自然園から始まる絶景ルート

壮大な北アルプスの山旅へ出発
つがいけロープウェイに乗って約30分、標高約1,900mの自然園駅へと到着です。麓と比べて木々が低くなっているので、景観がガラリと変わります。9月下旬から10月上旬に訪れれば、その木々が淡く色づき始めていることに気づくはず。
さぁ、北アルプスの紅葉に期待を膨らませながら、登山の出発です!途中、白馬大池山荘へ行くまでトイレがありませんので、ここで必ず済ませておくようにしてください。

小谷村名産の「さるなし」は登山のお供
ちなみに、栂池自然園のロープウェイ乗り場で販売している信州産の「さるなしドライフルーツ」は、クエン酸たっぷりで疲労回復に効果てきめん!キウイの原種ともいわれている植物の果実で、皮つきのまま食べられるので、ぜひ購入してみてください。気温によっては水分なども、適宜買い足しておきましょう。
樹林帯を抜けて絶景へ|栂池から天狗原までのハイキング

樹林帯から森林限界までジリジリと標高を上げていく
自然園駅を出て栂池自然園へ歩いて行くと、右手にビジターセンターがあります。ビジターセンターを右に入ると、登山道が続いています。登山口から約1時間ほどは、ずっと栂池高原一帯の樹林帯を進んでいきます。基本的に眺望はありませんが、時折開ける展望は必見です!一本道で危ない箇所はありませんが、登山者の往来が多いため、道を譲りながらマイペースに進んでいきましょう。途中、ぬかるんでいる箇所が現れた際は、滑らないように注意してください。
アルプスの初秋ならではのパリッとした朝の冷え込みの中、鮮やかな樹林と空を眺めながら、ひたすらに標高を上げていく時間はとても心地よいものです。

森林限界越しに、白馬岳と雲海が広がる絶景
登山開始から約1時間、小さな広場へ出ます。ここが登りの一区切りとなっている場所で、多くの登山客が休憩しています。ジャストタイミングでの休憩ポイントはありがたい限りなのですが、もう一つ嬉しいのはこのパノラマビュー!
紅葉越しに、日本百名山の一角「白馬岳」を眺めることができるのです。秋には雲海も発生しやすく、運が良ければ筆舌に尽くしがたい絶景に出会えます。

白馬乗鞍岳が作る山上の楽園「天狗原」
さぁ、いよいよここからがハイキングの核心部。休憩ポイントから約10分ほど進むと、標高約2,200mの天狗原に到着です。たおやかな白馬乗鞍の山容により、残雪が山腹にたまることで形成された天空の湿原です。
マニアなファンの間では、夏に様々な高山植物が咲き誇ることで有名ですが、実は紅葉の時期も負けていません。周囲にナナカマドの赤が点々と彩れば、そこはまさに紅葉の回廊。非日常の美しい世界を満喫しましょう!
天狗原から白馬乗鞍岳山頂へ|紅葉と大パノラマを満喫

北信五岳と天狗原を見渡す大スケールのパノラマに感動
天狗原から「白馬乗鞍」山頂までがラストの正念場!湿原の穏やかな遊歩道を過ぎれば、岩場が待ち構えています。ゴツゴツとしているので、両手両足でしっかり身体を支えながら登りましょう。
最初は少し恐怖心があるかもしれませんが、慣れてくると、まるでアスレチックをこなしている感覚を楽しめるはず!
岩場を半分ほどまで来て後ろを振り返れば、先ほどまでいた天狗原を見下ろすパノラマビューが。向かいには「北信五岳 *」と言われる名峰が並び立ちます。
*北信五岳/妙高山・飯縄山・黒姫山・戸隠山・斑尾山

稜線は雲の上の世界。ここまで2時間だから驚き
登り切れば、そこはもう雲の高さ……!気軽には味わえないアルプスの稜線へ片道2時間ほどで足を踏み入れられるのが、白馬乗鞍岳ハイキングの醍醐味と言えるでしょう。感動と達成感もひとしおです。

アルプス独特の山岳美は、登山者を魅了して止まない
なだらかな稜線の先には、大きなケルン(積み石)が。写真の中央右側に見える場所 が「白馬乗鞍」の山頂です。周囲は松の一種、「ハイマツ」で覆われ、火山岩が乱立しています。そして、白馬乗鞍の向こうには、一段と迫力を備えた「白馬岳」が顔を覗かせています。
ここから約5分で山頂に到着。周囲一帯の山岳美を楽しみつつ、片道約2時間にわたる非日常なハイキングのラストを登り切りましょう!
白馬乗鞍岳に来たら立ち寄りたい!紅葉に染まる神秘の「白馬大池」

宝石のような「白馬大池」も、知る人ぞ知る紅葉名所
白馬乗鞍の山頂がゴールですが、体力と時間に少し余裕がある方は、山頂から往復1時間の「白馬大池」まで訪れるのがオススメです。白馬大池は、標高約2,400m の高さに位置し、風吹大池(かざふきおおいけ)に次いで、北アルプス山中では2番目の大きさを誇る火山性の湖です。
初秋には池の周囲のナナカマドが彩られ、緑と赤の絨毯を見せてくれます。空を鮮やかに映し出す「白馬大池」の湖面は、深いエメラルド色。まさに北アルプスの秘境と言える雰囲気を備えています。

草紅葉は森林限界ならでは。稜線とのコラボレーションが美しい
また、白馬大池の横からは、日本二百名山に選ばれている「雪倉岳(ゆきくらだけ)」への稜線、そして日本海へと続いていく栂海新道(つがみしんどう)までの縦走路を眺めることが可能。初秋には草紅葉が彩りを添えてくれて、青・赤・緑と三色の美しいコントラストが楽しめます。
白馬大池の周囲は、どこを眺めても素晴らしい景観が楽しめるので、時間が許す限りカメラを持ってゆっくりしたいところ。帰りのロープウェイの時間を考え、遅くとも13時頃には、白馬大池から下山を始めてくださいね。
登りに比べて下りの方がバランスを崩しやすいので、特に岩場は注意してください。先ほどの景色変化を逆戻りするのも、行きとは違う趣を楽しむことができ、最後の最後まで飽きることはありません。
また午前中に快晴でも、山では午後から雲が出てくることもしばしば。そうした天気の変化も、山の雰囲気を変えてくれる演出と考えればおもしろいですね。道に分岐はなく、迷う箇所もありませんので、マイペースで安全に下ってくださいね。

下山後には爽快な「さるなしソフト」が堪らない
つがいけロープウェイの自然園駅まで下山すれば、名物の「さるなしソフト」が待っています。これをモチベーションに頑張りましょう!
白馬乗鞍岳登山で秋の北アルプスを楽しもう

初心者でも北アルプスの世界にどっぷり浸かれる「白馬乗鞍岳」
「北アルプス」と言えば、標高が高く危険で、ハードルが高いと思っている方も多いことでしょう。しかし今回ご紹介した「白馬乗鞍岳」は、ゴンドラとロープウェイで標高を稼ぐことができ、標高差500m/往復4〜6時間ほどのコース内容です。
手軽ながら様々な景色変化を楽しむことができ、9月下旬から10月上旬には一足早く紅葉も楽しめます。山の世界に興味があるという方、ぜひ一度家族や友人と挑戦してみてはいかがでしょうか?
白馬乗鞍岳・紅葉登山チェックリスト
・紅葉の見頃は例年9月下旬〜10月上旬。早めの時期でも防寒対策を忘れずに。
・登山届の提出は必須です。長野県の登山ポータルサイトなどから登山届を記入し、栂池自然園入口に設置されたポストに投函してください。
・飲料水や軽食は多めに持参しましょう。自然園以降は補給ポイントが限られます。
・服装は歩きやすい登山スタイルで。スニーカーまたは登山靴、ライトダウンやレインウェアなど、急な気温変化や悪天候に備えた防寒具も準備しておくのが安心です。
・高山病や体調不良時は無理をせず引き返す判断も大切。天候の急変にも注意しましょう。
・登山計画は時間に余裕をもって。バスやゴンドラの運行時間も事前に確認しておくと安心です。
・ルートは地図や登山アプリで事前に確認を。栂池~白馬乗鞍岳周辺は分岐もあるため、事前の把握が安全登山につながります。

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