登山初心者におすすめ 自宅でできるトレーニング5選

登山を安全で快適に楽しむためには、日頃のトレーニングが欠かせません。特に登山初心者にとっては、無理のない体力づくりが山での達成感につながります。
登山は長時間の歩行や不安定な地形の中を進むため、脚力・体幹・持久力といった複数の能力が問われます。こうした体力を一朝一夕で身につけることはできませんが、日常生活にトレーニングを取り入れることで、確実に変化を実感できます。特に、特別な道具を必要とせず、天候にも左右されない「自宅トレーニング」は、忙しい人でも取り組みやすい方法なのでおすすめです。
本記事では、自宅で手軽にできる登山向けトレーニングを、専門家の監修のもとでご紹介。簡単に取り組める内容ばかりなので、今日からぜひ始めてみてください。
登山に必要な脚力を鍛えるトレーニング
登山では、歩行の大半を占めるのが登りと下り。これを支えるのが太もも(大腿四頭筋)、ふくらはぎ(下腿三頭筋)、臀部(大臀筋)などの下半身の筋肉群です。脚力の強化によって足運びが安定し、疲労の蓄積も軽減。さらに、下山時の膝の負担も軽くなるため、ケガの予防にも直結します。
スクワットは、下半身の筋肉群を一度に鍛えることができる効率的なトレーニングで、登山において基礎中の基礎とも言える動作です。
脚力を鍛えるトレーニング(スクワット)

トレーニング手順
1.両脚を肩幅より少し広めに開く
2.背筋を伸ばし、腕をクロスして両肩に軽く置く
3.椅子に座るようなイメージで、ももが床と平行になるまでゆっくり腰を落とす
※膝はつま先より前に出さず、背中が丸まらないように注意。お尻を後ろへ突き出し、腹筋に力を入れるのが正しいフォームです。
さらに負荷をかけたい場合は…

慣れてきたら米袋(5kg程度)をザックに入れて背負いながらスクワットを行いましょう。体幹も同時に鍛えられ、登山に必要な動作により近づけたトレーニングになります。
登山に必要な体幹を強化するトレーニング
登山では、凸凹のある山道や岩場、木の根が張り出した道など、さまざまな地形を歩く必要があります。こうした不安定な地形で姿勢を保つには「体幹」の強さが不可欠です。体幹とは、腹筋・背筋・骨盤まわりの筋肉の総称で、姿勢の維持や手足の動きをコントロールする役割を果たします。
体幹が鍛えられていないと、バランスを崩しやすく、転倒や足をひねるリスクが高まります。逆に、体幹が安定していれば、どんな登山道でもスムーズな足運びが可能になります。
体幹を鍛えるトレーニング①

トレーニング手順
1.四つん這いの姿勢をとり、手は肩の真下、膝は骨盤の真下に置く
2.右手と左足をゆっくり伸ばして、水平になる位置で10秒間キープ
3.反対側も同様に行う(左右交互に1〜3セット)
※視線は床、腰が反らないように注意。肩甲骨と骨盤で体を支える意識を持ちましょう。
体幹を鍛えるトレーニング②

トレーニング手順
1.うつ伏せになり、両肘を肩の真下にセット。前腕を床につける
2.足を後ろに伸ばして肩幅程度に開き、腰を浮かせる
3.頭からかかとまで一直線の姿勢を作り、10〜30秒キープ(無理のない範囲で)
※お腹が下がらないように、へそを背中に引き寄せるイメージで行いましょう。
体幹を鍛えるトレーニング③

トレーニング手順
1.仰向けになって両膝を立てる。手は体の横に添える
2.腰を持ち上げて、膝から肩までが一直線になるようにする
3.この姿勢を10秒キープ。ゆっくり元に戻す(1〜3セット)
※腰を反りすぎないよう注意し、太ももの裏側とお尻の筋肉を意識しましょう。
登山時の安定感を高めるトレーニング
登山で「意外と疲れる」と感じやすいのが、下山のとき。脚にかかる衝撃が増える場面では、太ももの裏側にあるハムストリングスの筋力が重要になります。
ハムストリングスは膝関節を支える役割も担っており、ここを鍛えておくと登山中のひざ痛予防にもつながります。特に踏み込み運動は、ハムストリングスとともにお尻やふくらはぎの筋肉も使うため、効率よく脚全体を強化できるトレーニングです。
ハムストリングスを鍛えるトレーニング

トレーニング手順
1.背筋を伸ばし、両手を腰に当てて立つ
2.片足を前に出し、腰をまっすぐ真下に下ろす
3.両ひざが90度になるのを目安に沈み込み、元に戻す
4.左右交互に10回ずつ、1〜3セット行う
※前足の膝がつま先より前に出ないように。後ろ足の膝が床につかないようコントロールしながら行うのがポイントです。
トレーニング監修者
橋谷 晃(はしたに・あきら)
ネイチュアリング・スクール「木風舎」の代表。「大好きな自然と人とのいい関係を創るには、とにかく自然の良さを体感してもらうのがいちばん!」と、木風舎のチーフガイドとして活躍するほか、テレビ番組などメディアへの出演、講演、イベント出演などで全国を飛び回っている。
自宅トレーニングとあわせて読みたい、登山の基礎が身につく一冊
登山に向けて体力を整えていると、「本番ではどんな装備が必要?」「山での歩き方や休憩の取り方ってどうすればいい?」といった疑問も湧いてくるもの。そんな“知識面の不安”をやさしく解消してくれるのが、『山と高原地図ではじめる 山登り入門ガイド』です。
本書では、登山に必要な基礎知識を、写真や図解を交えて丁寧に解説。自宅でのトレーニングと組み合わせて読み進めることで、登山に必要な装備選び、歩行技術、地図の読み方、天気への備えまで、山を安全に楽しむための準備が自然と整っていきます。
「登山をもっと楽しみたい」「ケガやトラブルのリスクを減らしたい」という方にとって、体力づくりと並ぶ“もうひとつの登山準備”を支えてくれる一冊です。
登山に向けたトレーニングは自宅から始めよう

登山は、自然と向き合う時間であると同時に、自分自身の体とも向き合う時間です。山の中では頼れるのは自分の体だけ。だからこそ、事前に少しでも体を整えておくことが、安心感や楽しさにつながります。
今回紹介したトレーニングは、すべて自宅で気軽に始められるものばかり。初めての方はまず週2〜3回を目安に、1日15分程度からでもOKです。習慣にすることで体の変化を実感でき、次の山行がさらに楽しみになるはずです。
「無理なく・楽しく・続けること」を意識しながら、自分のペースで取り組んでいきましょう。
記事中イラスト:ホシノアンリ
【WEBサイト】https://starlit-design.com/
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