高尾山〜陣馬山縦走ガイド 日帰りで楽しむ非日常の絶景ルート

都心からアクセス抜群の高尾山と、360度の絶景が魅力の陣馬山。この2つの山をむすぶ「奥高尾縦走コース」は、約18kmの尾根道を歩きながら、信仰の名所・薬王院や富士山の展望、風情ある茶屋など、多彩な見どころを楽しめる人気ルートです。

登山道は整備されていて、初心者でも挑戦しやすいのが魅力。四季折々に表情を変える自然の中で、ゆったりと歩く心地よさと、ゴールで味わう達成感は格別です。日帰りで非日常を体験できる、首都圏屈指の縦走コースを歩いてみませんか。

2025年7月24日 更新

高尾山と陣馬山をつなぐ奥高尾縦走コースの魅力


年間登山者数は約300万人で、世界一と言われている高尾山

都心からのアクセス抜群な登山スポットとして人気の「高尾山(たかおさん、標高599m)」。新宿駅から京王線で約1時間と、気軽に自然を楽しめるのが魅力です。豊かな自然と整備された登山道、薬王院などの見どころも多く、初心者からベテランまで幅広い層に親しまれています。


<360度の大パノラマと白馬のモニュメントが人気の陣馬山

一方、縦走のゴールとなる「陣馬山(じんばやま、標高855m)」は、関東平野や富士山を一望できる広々とした山頂が魅力。山頂に立つ白馬のモニュメントも印象的で、長距離縦走の達成感とともに、360度のパノラマが迎えてくれます。

高尾山から陣馬山へ至る奥高尾縦走コースは約18km、アップダウンはあるものの整備された道が続き、四季折々の自然を楽しみながら歩ける人気ルートです。

高尾山〜陣馬山縦走の玄関口「高尾山口駅」へのアクセス情報


新宿から電車一本でアクセスできる高尾山口駅

高尾山〜陣馬山縦走の主な起点は、東京都八王子市にある「高尾山口駅」です。アクセスの良さもこの縦走ルートの大きな特長で、都心から公共交通機関で1時間程度。マイカーでもスムーズにアクセスできるため、計画が立てやすく、多くの登山者に親しまれています。

公共交通機関でのアクセス

京王線の終点「高尾山口駅」が、登山のスタート地点です。新宿駅から京王線特急を利用すれば、乗り換えなしで約50分。運賃も比較的リーズナブルで、休日には「高尾山きっぷ」などのお得な切符も販売されています。また、JR中央線の「高尾駅」から京王線に乗り換えてもアクセス可能です。中央線の利用で座席指定グリーン車を活用することで、朝の移動中にしっかり体を休められる点も魅力のひとつです。

駅から登山口までは徒歩圏内。高尾山口駅を出てすぐに、ケーブルカーの清滝駅や登山道の入口が整備されており、はじめて訪れる方でも迷わず行動できます。

車でアクセスする場合

マイカーを利用する場合は、「高尾山口駅」周辺のコインパーキングを利用するのが一般的です。駅前には数カ所の時間貸し駐車場があり、登山者向けに早朝から開いている施設もあります。ただし、週末や行楽シーズンは早朝から混雑しやすく、満車となる可能性も高いため、出発はできるだけ早めの時間帯をおすすめします。

登山後に下山する陣馬山側(陣馬高原下バス停)へは公共バスでの移動となるため、公共交通との併用を前提に、事前に下山後の移動手段を検討しておくと安心です。縦走のゴールが異なるため、車の回収を考慮した行動計画が重要になります。

高尾山から陣場山の縦走は、山旅の楽しみが詰まった王道ルート


鯉のぼりが掲げられる、5月の陣馬山山頂

高尾山〜陣馬山の縦走ルートは、東京近郊にありながら本格的な山歩きが楽しめる人気のコースです。登山道はいくつかありますが、今回は薬王院を経由する1号路を選択。舗装された道が多く、観光気分でも楽しめる安心ルートです。

全行程はおよそ7時間半〜8時間。適度なアップダウンと豊かな自然、展望に恵まれた、歩きごたえのある縦走コース。体力や天候に応じて途中のエスケープルートを検討できる点も、このコースの大きな魅力といえるでしょう。

コースタイム:高尾山口駅→(約1時間15分)→薬王院→(約25分)→高尾山→(約1時間5分)→城山→(約55分)→景信山→(約1時間35分)→明王峠→(約55分)→陣馬山→(約1時間10分)→陣馬そば 山下屋→(徒歩すぐ)→陣馬高原下

高尾山の信仰と歴史に触れながら、縦走スタート(高尾山口駅〜薬王院)


清滝駅を右手に見ながら進む

高尾山口駅から歩き始めると、すぐに登山口の案内板が見えてきます。今回は最もポピュラーな1号路を選び、緩やかな坂を登っていきます。序盤は舗装された歩きやすい道が続き、ケーブルカーの清滝駅を右手に見ながら進みます。


霊気満山と示され、ここから先は聖域だと示す浄心門

途中には「さる園・野草園」や「浄心門」などの立ち寄りスポットもあり、観光気分で歩けるのが1号路の魅力です。


日本遺産にも名を連ねる高尾山信仰の拠点、薬王院

浄心門を過ぎると、いよいよ薬王院の表参道へ。苔むした石段、風にそよぐ旗、そして荘厳な山門が、まるで修行の道を思わせます。薬王院は、高尾山信仰の中心として古くから親しまれてきた寺院で、厄除けや開運のご利益でも知られています。

歴史や信仰の深さを感じながら歩くことができるのも、高尾山の大きな魅力のひとつです。

山頂では、天候が良ければ富士山の絶景も(高尾山山頂)


標高とともに、少しずつきつくなる傾斜

薬王院を過ぎると、傾斜が徐々にきつくなり、本格的な登りが始まります。いくつかの階段を越えて進んでいくと、視界が一気に開け、高尾山の山頂に到着。


高尾山の山頂に立てば、富士山の壮麗な姿が目前に

標高599mとさほど高くはありませんが、山頂からは新宿の高層ビル群や東京スカイツリー、さらには天候が良ければ富士山まで望める絶景が広がっています。

ベンチや売店もあり、多くの登山者で賑わうスポットですが、平日の早朝であれば静かな空気の中でゆったりと景色を堪能できます。


高尾山山頂の裏手から奥高尾縦走コースがスタート

軽食をとったり、写真を撮ったりと、思い思いの時間を過ごしてから、いよいよ縦走路へと歩を進めましょう。

城山名物のなめこ汁はぜひ味わいたい一杯(高尾山〜城山)


風と緑に癒される。休憩にもってこいな一丁平園地

高尾山から城山へは、およそ2.3km。尾根伝いの道が続き、高低差はそれほどないため歩きやすい区間です。春は新緑、秋は紅葉が美しく、四季の移ろいを楽しみながらハイキングを楽しめます。途中にはもみじ台や一丁平園地といった景勝ポイントがあり、富士山の絶景を横目に小休止を入れながら、無理のないペースで進みましょう。


忘れられない美味しさ。城山でしか味わえない絶品なめこ汁

やがて見えてくるのが、城山(しろやま、標高670m)。広い山頂には茶屋があり、名物のなめこ汁やおしるこなどを味わうことができます。テーブルやベンチも多く、昼食や休憩にもぴったりです。山小屋のグルメも、この奥高尾縦走路の魅力の一つ。晴れた日には富士山の展望も望めるので、ここでのんびり過ごす登山者も多く見られます。

静かな山歩きに浸れる尾根道を進む(城山〜景信山)


途中の小仏峠では、奥高尾縦走路手ぬぐいを購入

城山から景信山までは約2.1km。やや下ってから再び登り返すルートになりますが、道はしっかりと整備されていて迷う心配はありません。自然林の中を進む心地よい山道で、木漏れ日の中を歩く静かな時間が流れます。


景信山の山頂からは、都心まで関東平野を一望

景信山(かげのぶやま、標高約727m)の山頂も広々としていて、城山と同様に茶屋があります。天気がよければ、相模湖や八王子市街地、遠くに丹沢(たんざわ)の山並みも見渡せる絶好の展望スポット。ベンチに座ってお弁当を広げたり、地元食材を使った山菜そばを味わったりと、山旅の醍醐味を満喫できるポイントです。

後半へ差し掛かっても足どりは軽く(景信山〜明王峠)


途中には樹林帯が少し開けた爽快な区間も

景信山から明王峠までは約4km。縦走路の中ではやや長めの区間ですが、緩やかな尾根道が中心で、景色を楽しみながら歩ける快適なコースとなっています。途中には小さなアップダウンがありますが、ペースを整えて進めば問題ありません。


木漏れ日が気持ちの良いハイキングルートを進む

道中では、木々の間から差し込む光が美しく、季節によっては野鳥のさえずりや花々も楽しめます。やがて現れる明王峠には、東屋やベンチがあり、しっかりと休憩が可能。静かな場所なので、人混みを避けて昼食をとるスポットとしても最適です。ここまで来れば、ゴールの陣馬山ももうすぐです。

縦走のゴールにふさわしい絶景が待つ(明王峠〜陣馬山)


覗く青空が山頂が近いことを教えてくれる

明王峠から陣馬山までは、最後の登りとなる約1.9kmの道のり。木の根が張る道や、岩が露出した場所もありますが、慎重に歩けば危険はありません。徐々に空が広がり、尾根上の道に出ると、風が心地よく感じられるようになります。


白馬のモニュメントに出会えて感動!奥高尾縦走完了

やがて視界が開け、草地が広がる開放的な場所へとたどり着きます。そこが標高855mの陣馬山の山頂。象徴的な白馬の像が出迎え、360度の大パノラマが広がります。

丹沢や富士山、奥多摩、秩父方面まで一望でき、まさに縦走の締めくくりにふさわしい絶景です。ベンチに腰を下ろし、ここまでの道のりを振り返りながら、ゆったりとした時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

高尾山〜陣馬山縦走は、下山するまで気を抜かずに(陣馬山〜陣馬高原下)


下り坂では滑りやすい箇所もあるため、足元に細心の注意を

下山は、陣馬高原下バス停方面へ向かうルートが一般的。山頂からは一気に標高を下げるルートとなり、約1時間ほどで下山できます。道は整備されていますが、ところどころ急な下りや滑りやすい箇所もあるので、足元には注意が必要です。


奥高尾縦走コースの拠点となっている陣馬高原下のバス停

樹林帯の中を進みながら、静かな山歩きを楽しんでいくと、やがて舗装路へ。少し歩くと陣馬高原下バス停に到着します。バスは本数が限られているため、事前の時刻チェックを忘れずに。京王線・JR高尾駅までのバスで帰路につき、長い縦走の旅は無事ゴールです。

高尾山〜陣馬山縦走の後は「陣馬そば 山下屋」で“もりもり”を堪能


3種類の味わい方ができる陣馬そばの人気セット「もりもり」

陣馬高原下のバス停のすぐそばには、地元食材を使った手打ちそばが評判の「陣馬そば 山下屋」があります。人気の「もりもり」は、季節の天ぷらが付いたもりそばセット。香り高い十割そばを、そばつゆ・くるみだれ・塩とすだちという3通りの味わい方で楽しめる贅沢な一品です。多彩な食感と風味をぜひ体験してみてください。


疲れた身体に、すだちを絞っていただくそばが最高!

登山後の達成感とともに味わうそばは、格別の一杯。登山の余韻に浸りながら、バスまでの待ち時間をのんびりと過ごすことができます。下山後に立ち寄る楽しみとして、事前に営業日なども確認しておくと安心です。

陣馬そば 山下屋
住所:東京都八王子市上恩方町3891
営業時間:11:30~17:00(土・日曜、祝日は11:00~)
休業日:月・金曜
アクセス:陣馬高原下から徒歩すぐ

日帰りで本格登山!高尾山~陣場山の奥高尾縦走で非日常の山旅へ


緑の美しさに心踊る奥高尾縦走コースの一幕

高尾山から陣馬山までの奥高尾縦走コースは、都心から日帰りで楽しめるとは思えないほど、自然の変化や山の魅力に富んだルートです。信仰の山・高尾山から始まり、展望の良い城山、景信山を経て、白馬が立つ陣馬山までの約18km。アップダウンはありますが、道はよく整備されていて初心者でも挑戦しやすいのが特徴です。

途中の茶屋や休憩ポイント、山頂の絶景、そして下山後のそば処など、山旅の楽しみが詰まった王道の縦走路。四季折々の表情を見せるおすすめのロングコースです。

1993年生まれ、愛知県豊田市出身。同志社大学文学部を卒業後、商社やメーカーで営業職を経験。2019年より複業でトラベルライターとしての活動を始め、旅の魅力を伝える仕事がライフワークになる。2021年には本業も旅行業界へ本格転身し、国内OTAにて宿泊施設の集客支援に従事。現在は旅行系ベンチャー企業でメディアマネージャーを務める。これまでに執筆した記事は2,000本以上。地方の自然や暮らしをテーマにした発信を続けながら、「旅を通じて人生が豊かになるきっかけ」を届けたいと考えている。登山、自転車旅、温泉巡り、離島旅が趣味で、毎年の北海道旅行を家族の恒例行事にしている。 notehttps://note.com/yuhei_tonosho
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