高尾山の人気登山コース徹底ガイド 都心から日帰りで楽しめる!

新宿から電車で約1時間。都心から気軽にアクセスできる人気の山・高尾山は、日帰り登山にぴったりのスポットです。

緑のトンネルを抜け、沢のせせらぎを聞きながら歩く道は、東京にいることを忘れてしまうほどの静けさ。季節ごとに変わる森の色や、頂上から望む富士山の姿など、短い行程のなかに多彩な魅力が詰まっています。

今回は、清流沿いを進む「6号路」から登り、信仰の歴史をたどる「1号路」で下山する定番コースを紹介します。滝や杉の巨木、薬王院の参道など、高尾山ならではの自然と文化を一度に楽しめるルートです。初めての登山にも無理がなく、休日の小さな旅にぴったりの行程です。

2025年8月13日 更新

高尾山へのアクセスと登山口までの行き方


最寄りの高尾山口駅

高尾山の魅力のひとつは、首都圏からのアクセスの良さです。新宿から電車で1時間かからず到着できるため、日帰り登山にもぴったり。公共交通機関の利用が便利でおすすめです。

■ 電車でのアクセス
・京王線利用:新宿駅から京王線「高尾山口行き」の特急または準特急で、乗り換えなし・最短約43分。初心者にもわかりやすく、最も利用されているアクセスルートです。
・JR利用:新宿駅からJR中央線で高尾駅まで約50分、京王線に乗り換えて2駅先の高尾山口駅へ。

■ 車でのアクセス
中央道・高尾山ICから約3分。駐車場もありますが、週末や紅葉シーズンは混雑しやすいため、公共交通機関の利用がおすすめです。

■ 登山口までの行き方
高尾山口駅を出て甲州街道(国道20号)を渡り、川沿いに歩いて約10分。ケーブルカー清滝駅前を左に進むと、6号路の登山道入口が見えてきます。

高尾山の自然を体感する6号路〜5号路~1号路登山ルートを歩こう

今回ご紹介するのは、高尾山の人気ルート「6号路」と「5号路」から登り、「1号路」で下山する周回コースです。

登りは沢沿いの静かな自然道を歩き、山頂で富士山の眺望を楽しんだあとは、薬王院を経て舗装された1号路をのんびり下ります。登山初心者にも安心して歩ける行程でありながら、滝や沢、展望、信仰の歴史といった高尾山の魅力を凝縮したコース。

四季折々の自然を感じながら、首都圏とは思えない山の風景を満喫できます。

紹介コース:上り/6号路・5号路 下り/5号路・1号路
歩行時間:上り/約1時間30分 下り/1時間10分
コースタイム:京王高尾山口駅 ⇒(5分)⇒ 清滝駅 ⇒(10分)⇒ 6号路登山口 ⇒(15分)⇒ 岩屋大師 ⇒(5分)⇒ 琵琶滝 ⇒(25分)⇒ 大山橋 ⇒(30分)⇒ 5号路交点 ⇒(5分)⇒ 高尾山山頂 ⇒(10分)⇒ 薬王院 ⇒(20分)⇒ たこ杉 ⇒(5分)⇒ ケーブルカー乗り場 ⇒(35分)⇒ 1号路登山口 ⇒(すぐ)⇒ 清滝駅 ⇒(5分)⇒ 京王高尾山口駅

京王高尾山口駅から登山開始 静かな小道の先に6号路登山口が待つ


高尾山口駅の駅前から、すぐに山の緑が広がる

京王高尾線の終点・高尾山口駅を降り立つと、すぐ目の前に山の緑が迎えてくれます。改札を出て、小川が流れる小道を左手に進むと、わずか数分で街のざわめきが遠のき、空気が澄んでいくのを感じます。


ケーブルカー清滝駅と1号路登山口。高尾山の玄関口となる場所

5分ほど歩くと、ケーブルカー清滝駅と1号路登山口が見えてきます。観光客でにぎわうエリアですが、今回は自然の中を静かに歩ける6号路を選び、山頂を目指します。


清滝駅の左手、石仏が並ぶ静かな小道を進む

清滝駅左手の舗装路をゆるやかに進むと、道沿いに石仏が並びます。穏やかな雰囲気に包まれ、これからの登山に向けて心が静かに整っていきます。


「6号路登山口」の標識が登山の始まりを告げる

やがて左手に「6号路登山口」の標識が見えてきます。ここからいよいよ山道へ。6号路は琵琶滝を過ぎると一方通行になるため、途中で引き返すことはできません。体調と時間を確認してから進むと安心です。

沢沿いの静けさを歩く 6号路序盤〜琵琶滝までの癒やしの道


石の多い山道をゆるやかに登ると、沢の音が近づいてくる

登りはじめは石が多い山道ですが、勾配はゆるやか。耳を澄ますと、沢の音が少しずつ近づき、街の喧騒とは違う静けさが広がります。


弘法大師を祀る祠がひっそりと佇む

15分ほどで岩盤に開いた洞窟「岩屋大師」が現れます。弘法大師を祀る小さな祠があり、訪れる人を静かに見守ってくれます。


琵琶滝への分岐点。左手が6号路の本ルート

岩屋大師から少し進むと分岐があり、左が6号路、右が琵琶滝方面。今回は左手の6号路へ進みます。


修行の場として知られる琵琶滝。行程の1/3地点にあたる

ほどなくして琵琶滝が右手に見えてきます。薬王院が管理する修行場で、古くから滝行の場として知られています。今も事前予約制で滝行が行われており、修験の山・高尾山らしい信仰の空気を感じられます。(詳細は公式サイト参照

森と沢を抜けて進む 琵琶滝〜大山橋で自然の変化を感じる


木の根が張り出す山道

琵琶滝を過ぎると、木の根や岩が顔を出す道が続きます。沢のせせらぎを聞きながら、慎重に足元を確かめて進みましょう。


水音に包まれ、ひと息つくのにちょうど良いポイント

沢の近くまで降りられる場所があり、水音が心地よく響きます。木漏れ日の中で立ち止まり、流れを眺めながら深呼吸をすれば、自然と体の力が抜けていきます。短い休憩にもぴったりの穏やかなポイントです。


灰色の層が美しい「硯石」

再び歩き始めると、灰色の層をもつ「硯石」が現れます。かつて高尾山が海の底だった名残といわれる地層で、自然の歴史を感じるポイントです。


行程の2/3ほどに位置する大山橋

さらに5分ほどで「大山橋」に到着。全体の2/3ほどの地点で、ここから先は沢を左手に見ながら登っていきます。

橋と飛び石を渡る6号路後半 沢音を聞きながら山頂へ近づく


岩場と木の根が増え、傾斜も少しずつきつくなる

大山橋を過ぎると、傾斜が増し、岩や木の根が多くなります。雨上がりは滑りやすいため、登山靴やトレッキングシューズを選ぶと安心です。


自分のペースで一歩ずつ進みたい

2つ目、3つ目の橋を渡るころには勾配もやや急になります。深呼吸しながら、自分のペースを大切に。


稲荷山コースとの分岐

3つ目の橋の先で稲荷山コースとの分岐に到着。案内標識に従い、橋は渡らずに沢の中の道を進みます。


滑りやすいので慎重に

沢を渡る飛び石エリアは、6号路らしい見どころ。足元に水が流れる中を一歩ずつ進む感覚は、まるで沢登りのような爽快さがあります。

長い階段を登りきれば達成感の頂へ 6号路から高尾山頂上へ


木漏れ日の差す穏やかな道を登る

沢を離れると、ややなだらかな木立の道になります。木漏れ日が差し込み、森の香りとともに心が落ち着いていきます。


6号路の名物、長い階段。焦らず自分のペースで

やがて現れる長い階段は6号路最大の難所。焦らず自分のリズムで登っていけば、静かな達成感が少しずつ湧いてきます。


小休止にちょうどいい尾根道

階段を登りきると尾根道に出ます。ベンチもあり、休憩を取るのにぴったりです。


山頂は目の前

ここから5号路へと合流し、舗装された道を登ると山頂はもうすぐです。


山頂は広くゆったりと過ごせる

標高599m・高尾山山頂に到着。山頂は広く整備され、ベンチや茶屋、ビジターセンターもあります。


遠くに富士山が顔を見せる

晴れた日には丹沢山地の奥に富士山が姿を見せ、努力をたたえるご褒美のような景色が広がります。

1号路で下山 薬王院と天狗伝説に触れながら歩く帰り道


舗装された1号路は歩きやすく、下山も安心

下山は歩きやすい1号路へ。整備された舗装道が続き、初心者でも安心して歩けます。


信仰の山を象徴する場所

10分ほどで高尾山薬王院に到着。奈良時代に行基が開いたと伝わる真言宗の名刹で、修験道の聖地でもあります。


天狗像が立つ薬王院の境内

境内には天狗像が立ち、信仰と伝説が息づく雰囲気。杉の香りに包まれた静かな境内を歩くだけで、心が清められるようです。


杉並木に囲まれた参道を進み、静かな時間が流れる

境内を後にして、なだらかな下り坂を進みます。右手には東京都の指定天然記念物にもなっている杉並木が広がります。


右に進めば男坂、左が女坂の分岐。直進は高尾山育喜苑に入る

男坂(階段)と女坂(緩やかな坂)の分岐では、体力に合わせて選びましょう。どちらも最終的に同じ道に合流します。


根がうねる「たこ杉」。迫力ある姿が目を引く

名物「たこ杉」は、根がタコの足のようにうねった巨木。撮影スポットとしても人気です。


ケーブルカー高尾山駅。登山と観光の交差点

その先にケーブルカー高尾山駅が見えてきます。体力や時間に合わせてケーブルカーや、この先にあるリフトを使って下山するのもおすすめです。無理をせず、自分のペースで山を楽しみましょう。


名物の天狗焼。外は香ばしく、中はもちもちの食感

駅前の「高尾山スミカ」では、人気の天狗焼が登山後の定番。外はカリッ、中はもちもちの生地に甘い餡が詰まっています。


舗装路を下れば登山口はもうすぐ

天狗焼を味わって一息ついたら、舗装路を静かに下っていきましょう。ケーブルカー高尾山駅から約35分で、1号路の登山口に到着します。


露天風呂で疲れを癒やすひととき

下山後は、隣接する京王高尾山温泉「極楽湯」で疲れを癒やすのがおすすめ。露天風呂や檜風呂など多彩な湯がそろい、登山の余韻に包まれながらゆったりとした時間を過ごせます。

高尾山の登山コースについて知ろう


4号路にある「みやま橋」

高尾山には全部で7つの登山ルートがあり、それぞれ道の雰囲気や所要時間、難易度が異なります。舗装路で歩きやすいコースから、沢沿いや吊り橋を通る自然豊かなコースまでバリエーションが豊富。自分の体力や気分に合わせて選べるのが、高尾山の魅力です。

1号路

表参道として整備されており、清滝駅前から薬王院を経て山頂を目指す全長約3.8kmのルートです。道の大半が舗装されているため、登山初心者や家族連れにぴったり。ゆるやかな坂道を進みながら、参道の雰囲気や茶屋めぐりも楽しめます。
距離:3.8km
所要時間:上り1時間40分、下り1時間10分
高低差:404m

2号路

わずか約0.9kmと短めながら、急登も含まれる周遊ルート。少しだけ山歩きの雰囲気を味わいたい方におすすめです。
距離:0.9km
所要時間:35分
高低差:100m

3号路

浄心門から分岐し、南斜面に広がる約2.4kmの自然道は、野草や樹木が豊富で、四季折々の植物観察が楽しめます。混雑を避けたいときにもぴったりのコースです。
距離:2.4km
所要時間:上り1時間5分、下り55分
高低差:114m

4号路

高尾山唯一の吊り橋「みやま橋」を渡るスリリングなルート。全長は約1.5kmと短めですが、橋を越えたあとの急坂が歩きごたえを感じさせてくれます。モミの木が生い茂る森の中を進む、変化に富んだ道です。
距離:1.5km
所要時間:上り55分、下り45分
高低差:114m

5号路

距離0.9km・高低差25mともっとも手軽なルート。山頂付近の景色や植物をゆったり楽しみたい人に向いています。
距離:0.9km
所要時間:30分
高低差:25m

6号路

自然をダイレクトに感じられる人気コース。清滝駅横から始まり、苔むす岩や琵琶滝といった見どころを経て、しっとりとした森のなかを山頂まで登ります。高低差はあるものの、しっかり整備されていて初心者でも挑戦しやすい道です。
距離:3.3km
所要時間:上り1時間20分、下り1時間10分
高低差:389m

稲荷山コース

高尾山の尾根を歩く全長3.2kmのルート。展望台もあり、開放的な眺望が魅力です。登り応えのある尾根道が続き、登山気分をしっかり味わいたい方におすすめです。
距離: 3.2km
所要時間:上り1時間40分、下り1時間20分
高低差:389m

高尾山でぜひ立ち寄りたい2つのスポット

自然豊かな高尾山では、登山そのものはもちろん、道中や下山後にも立ち寄って楽しめる魅力的なスポットが点在しています。

京王高尾山温泉 極楽湯|登山後のリフレッシュに最適な天然温泉

高尾山でたっぷり汗をかいた後は、「京王高尾山温泉 / 極楽湯」でのんびり癒やしのひとときを。高尾山口駅に直結するこの温浴施設は、駅構内から専用通路でアクセスでき、登山や観光の締めくくりに立ち寄りやすいロケーションが魅力です。

「自然のなかで心と体を整える」をコンセプトに、露天岩風呂、檜風呂、炭酸風呂、サウナなど多彩な浴槽が揃い、男女ともにゆったりと湯浴みが楽しめます。特に檜の香りが漂う露天風呂は、自然に囲まれた高尾山ならではの開放感があり、登山後の疲れた体をじんわりと癒してくれます。

湯上りには館内の食事処で地元食材を使った料理や、季節限定の甘味を楽しむことも可能。また、マッサージや休憩スペースも完備されており、帰宅前のリフレッシュにぴったりです。

京王高尾山温泉 極楽湯
料金:大人1,100円(平日)、1,300円(土・日曜、祝日・繁忙期)
営業時間:8:00~22:30(最終受付21:45)
休業日:無休
アクセス:京王線高尾山口駅となり

髙尾山薬王院|山岳信仰の歴史が息づく祈りの聖地

高尾山の中腹、標高約500メートルの位置にあるのが「髙尾山薬王院」。真言宗智山派に属する祈祷寺で、奈良時代の天平16年(744年)、僧・行基が聖武天皇の勅命により薬師如来を祀ったのが起源と伝えられています。

薬王院は古来より修験道の霊場として多くの修行者が訪れ、今もなお全国から参拝者が絶えません。特に1月の初詣、2月の節分、3月の火渡り祭などには大勢の人が訪れ、境内には神秘的な祈りの空気が満ちています。

境内には本堂のほか、天狗像、願掛けの輪くぐり、金運・縁結びなどご利益スポットも点在しています。

髙尾山薬王院
営業時間:8:30~16:00
休業日:無休

高尾山登山高Q&A 楽しむためのアドバイス


濡れた石の上はすべりやすいので注意が必要

Q. どんな靴・服装で行けばいい?

→ 1号路を歩くならスニーカーでも問題ありませんが、6号路や稲荷山コースは岩場や濡れた地面もあるため、登山靴や滑りにくい靴が安心です。服装は動きやすく、汗をかいても乾きやすい素材のものを選びましょう。

Q. 持ち物は何が必要?

→ 飲み物(1L以上)は必須。軽食としておにぎりやパン、チョコレートなどを持っておくと安心です。ほかにも、帽子、タオル、レインウェアは忘れずに。茶屋もありますが、混雑や営業時間に左右されるため、事前の準備をおすすめします。

Q. トイレはある?

→ 1号路沿いには複数の公衆トイレがあります。6号路の場合は、山頂手前の「大見晴トイレ」までトイレがないため、出発前に駅や清滝駅付近で済ませておくのが安心です。

Q. 子ども連れでも登れる?

→ 1号路は舗装された道が続き、ベビーカーの利用も可能。小さなお子さんでも歩きやすいコースです。6号路はぬかるみや岩場などもあるため、小学生以上向けのコースと考えておくと安心です。

高尾山で気軽に日帰り登山を楽しもう

都心から1時間弱でアクセスでき、自然や信仰、展望の魅力が凝縮された高尾山。6号路から登って1号路で下る定番ルートは、登山初心者でも安心して歩けて、見どころも多く満足度の高いコースです。

出発前にはルートをしっかり確認し、安全で快適な登山を心がけましょう。詳細なルート確認には、GPS対応の「山と高原地図ホーダイ」アプリの活用もおすすめです。

ぜひ週末のリフレッシュに、高尾山での登山を楽しんでみてください。

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