登山に欠かせない装備のひとつが「レインパンツ」です。突然の雨や風から体を守り、下半身の濡れや冷えを防いでくれる心強い存在。本記事では、レインパンツの失敗しない選び方と、おすすめブランド・モデルをご紹介します。
「どのくらいの防水性能が必要?」「軽量モデルと重量モデル、どちらを選ぶべき?」――そんな疑問にも丁寧に答えながら、比較表やQ&A形式でわかりやすく解説。さらに、実際の使用シーンをイメージできるポイントも盛り込み、あなたの登山スタイルにぴったりの一着を見つけるお手伝いをします。
目次
登山に必要なレインパンツとは?役割とメリットを徹底解説

登山において「レインパンツ」は、雨具の一部というだけではありません。突然の雨や冷たい風から体を守り、低体温症や体力の消耗を防ぐための必須装備。とくに山では天候の変化が急で、晴れていた空がわずか30分後には土砂降りになることもあります。そんな環境で安全に歩き続けるために、レインパンツは欠かせない存在といえます。
レインパンツを持つべき理由
登山中、どんなときにレインパンツが役に立つのでしょうか? 一覧表でチェックしていきましょう。
リスク | レインパンツなしの場合 | レインパンツありの場合 |
突然の雨 | ズボンが濡れ、体温低下や体力消耗 | 下半身をしっかり防水し快適に歩ける |
泥はね・ぬかるみ | ズボンが泥まみれになり不快 | 水や泥を弾き、清潔に保てる |
強風 | 風で体が冷えやすい | 防風効果で保温性がアップ |
行動効率 | 濡れて重くなり歩行困難 | 軽快に動け、予定どおりに登山可能 |
ポイント
レインパンツは単に「雨よけ」だけでなく、「防寒・防風・汚れ防止」の多機能装備です。
レインウェアの「上着」だけでは不十分?
初心者がよくやりがちなのが「レインジャケットは持っているけど、パンツは省略」という選択です。これは、体の半分しか防御できていない状態。下半身が濡れるとズボンが重くなり、足さばきも悪くなってしまいます。さらに汗や濡れによる冷えは体力低下につながり、登山行動の安全を脅かす大きな要因となります。
登山歴の浅い方こそ、レインパンツを含めた上下セットの装備を意識することが大切です。
レインパンツの登山シーンでの活躍例

著者の過去の経験から、レインパンツが役立った登山シーンも見ていきましょう。
秋のアルプス登山
標高2,000mを超える稜線で急な雨に。レインパンツを持っていたので、冷たい風雨から下半身を保護。体温維持につながりました。
春の低山ハイキング
雪解けのぬかるみ道で泥はね防止に大活躍。帰りの電車も安心でした。
夏山の午後
ここでも急な夕立に遭遇。軽量レインパンツをさっと履いて快適に下山できました。
レインパンツは「雨具」ではなく「命を守る装備」。実は持っていない、という人も多いのですが、安全・快適に山を楽しむために必ず携行したいアイテムです。
登山初心者が失敗しないレインパンツの選び方
レインパンツは一見どれも同じに見えますが、防水性・透湿性・重量・動きやすさなど、登山に適した性能を選ばないと快適に使えません。ここでは登山歴の浅い方が特につまずきやすいポイントを整理し、失敗しないための選び方を解説します。
レインパンツの防水性能(耐水圧)は「15,000mm~」が目安
登山用レインパンツで最も大切なのが防水性です。目安となる数字を確認しておきましょう。
耐水圧20,000mm以上 ⇒ 本格的な登山や長時間の雨でも安心
耐水圧10,000〜15,000mm程度 ⇒ 日帰り登山や小雨なら十分
ポイント
数値が高いほど安心ですが、その分重くなることもあります。自分の登山スタイルに合った数値を選びましょう。
蒸れを防ぐ透湿性(透湿度)も要チェック
「防水性は高いのに蒸れて不快…」という失敗はよくあること。蒸れにくいレインパンツの判断は「透湿度(g/m²/24h)」で確認しましょう。この数字が高いほど、汗の水蒸気を外に逃がして快適になります。
目安 ⇒ 10,000g/m²/24h以上
夏場の登山なら ⇒ 20,000g/m²/24h以上あるとさらに快適
レインパンツは軽量性と収納性も大事

「重量」の目安となる数字は以下のようになります。
軽量タイプ(150〜250g) ⇒ ハイキングや夏山に最適。ザックに常備しやすい
標準〜重量タイプ(300〜400g) ⇒ 耐久性・防風性に優れる。アルプス縦走や悪天候が多い山行におすすめ
ポイント
小さく収納できる「スタッフバッグ付き」のモデルを選ぶと持ち運びもラクになります。
レインパンツ選びの決め手は動きやすさとフィット感
普段の生活よりも体力を使う山歩き。レインパンツを装着することによって、動きが損なわれるのは避けたいところですよね。以下のような部分に着目して、快適な登山に備えましょう。
サイドジッパー付き ⇒ 靴を脱がずに着脱できる
ストレッチ素材 ⇒ 長時間の登山でも足上げがラク
シルエット ⇒ 細身ならスタイリッシュ、ゆとりがあるタイプなら重ね着しやすい
ポイント
初心者は「サイドジッパー付き」で着脱のしやすさを重視すると安心です。
気になるレインパンツの価格帯
機能的なレインパンツの価格帯はどのくらいなのでしょう?目安となる数字を事前に知っておきましょう。
1万円前後 ⇒ コスパ重視モデル。日帰り登山におすすめ
1.5〜3万円 ⇒ ゴアテックスなど高性能素材。縦走や悪天候にも対応
3万円以上 ⇒ 軽量性・透湿性・耐久性を兼ね備えたハイエンド。将来的に長期登山を目指す人向け
レインパンツ選びの比較表
ここまでの内容を、わかりやすい表にまとめてみます。
チェック項目 | 目安 | 登山初心者のおすすめ |
耐水圧 | 20,000mm以上 | 日帰り登山なら15,000mm〜でOK |
透湿度 | 10,000〜20,000以上 | 夏場は20,000以上あると快適 |
重量 | 150〜400g | 軽量すぎないバランス型が安心 |
機能 | サイドジッパー、ストレッチ | 着脱のしやすさを優先 |
価格 | 1万〜2万円台 | まずは中価格帯がコスパ良し |
レインパンツ探しで失敗しないためには「防水+透湿のバランス」と「着脱しやすさ」を重視することが大切です。さらに比較表をチェックリストとして活用すれば、自分に合ったレインパンツを選びやすくなりますよ。
登山におすすめのレインパンツブランド6選
レインパンツ選びに迷ったときは、まず信頼できるブランドから絞り込むのがコツ。ここでは、使いやすいレインパンツを展開している、王道&注目のブランド6社を解説していきます。
最初に、主なブランドとその特徴をピックアップしてご紹介。
おすすめタイプ | ブランド名 | 特長・おすすめポイント |
定番を選びたい人 | mont-bell、THE NORTH FACEMIZUNO | 安心の定番装備、メンズ・レディース・キッズ対応あり |
コスパ重視 | AETONYX | 手ごろな価格で、日帰り登山や予備装備にぴったり |
軽量志向・携帯性重視 | Outdoor Research | 非常に軽くてコンパクト。夏山や予備用におすすめ |
女性向けライン展開あり | Baleaf | 快適性・速乾性・UVカットと多機能、街でも使いやすく女性に人気 |
モンベル(mont-bell)
日本生まれの高品質アウトドアブランド、幅広いラインナップで安心の一着
モンベルは、登山初心者からベテランまで信頼を集める日本ブランド。軽量で高性能なレインパンツが豊富に揃い、価格帯も幅広いため自分に合ったモデルを見つけやすいのが利点です。レディースも豊富にそろい、メンズにも人気。さらにキッズ用まで展開されているので、家族登山の装備を一括で揃えることも可能です。
特徴
・防水透湿性に優れたオリジナル素材「ドライテック」搭載モデルあり
・軽量設計でパッキングしやすい
・サイズや性別、年齢を問わない幅広い展開
ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)
世界的に人気のブランド、信頼性とデザイン性を兼ね備える
ザ・ノース・フェイスは、世界中の登山者に愛される王道ブランド。登山用レインパンツはもちろん、日常使いOKのおしゃれアイテムが多いのが魅力です。とくにメンズ人気が高い印象ですが、レディース向けサイズも揃います。アウトドアビギナーにとっても頼れる選択肢のひとつ。
特徴
・ゴアテックスを採用した高性能モデル多数
・街でも着られるシンプルかつ洗練されたデザイン
・豊富なサイズ展開で誰でも選びやすい
ミズノ(MIZUNO)
スポーツメーカーならではの動きやすさと快適性
ミズノは日本のスポーツメーカーとして有名ですが、登山用レインパンツでも高い評価を得ています。スポーツ科学を活かした設計により、動きやすさと軽快なフィット感を両立。メンズ・レディース問わず人気で、キッズサイズの展開もあるため家族登山にもうれしいブランドです。
特徴
・独自のカッティングで足上げがしやすい
・耐久性と軽量性を兼ね備えたモデル多数
・上下セットアップで揃えやすい
アエトニクス(AETONYX)
手ごろな価格で登山初心者に優しい高機能モデル
通販サイトで高評価を得ているアエトニクスも、リーズナブルなレインパンツを展開しています。裾ファスナーや反射帯など、安全性と使いやすさを考えた設計で、コスパ重視派におすすめ。メンズはもちろん、レディースにも使いやすいサイズ展開があります。
特徴
・リーズナブルながら防水透湿性を備える
・反射帯付きで夜間も安心
・着脱しやすい裾ファスナー
アウトドアリサーチ(Outdoor Research)
軽量性と携帯性に優れたアメリカ発ブランド
アウトドアリサーチは、超軽量な「Helium Rain Pants」で有名。携帯性に特化しており、夏山や軽快な装備での登山に最適です。レディース用サイズも揃っていて、シルエットがすっきりしている点も人気の理由。
特徴
・重量わずか150g前後の超軽量モデルあり
・耐久撥水加工で雨に強い
・コンパクト収納可能
バリーフ(Baleaf)
快適性と多機能性を兼ね備えたレディース人気ブランド
Amazonをはじめとした通販サイトで人気のバリーフからは、軽量・撥水・速乾・UVカットを備えた多機能パンツをご紹介。登山だけでなく旅行や街歩きにも使える汎用性の高さが魅力です。サイズ展開がXS〜3XLまで豊富で、幅広い体型の女性にフィットします。
特徴
・速乾性と通気性に優れ、蒸れにくい
・紫外線カット機能つきで夏山にも安心
・タウンユースにも使えるシンプルなデザイン
よくある質問 レインパンツの疑問Q&A

レインパンツ選びに失敗しない方法は、疑問点を最初に解消しておくこと。ここでは、よくある質問にQ&A形式でお答えしていきます。
Q1. レインパンツは登山で本当に必要?
A. 上下セットで持つことが安全登山の基本です。レインジャケットだけでも一時的には雨をしのげますが、下半身が濡れると体温が奪われ、低体温症や疲労の原因になります。レインパンツは雨対策だけでなく、防風・防寒・泥はね防止の役割もあるため必須装備といえます。
Q2. 普通のレインパンツ(自転車用や作業用)と登山用は何が違う?
A. 透湿性と動きやすさが大きな差です。一般的なレインパンツは「防水性のみ」を重視しており、蒸れやすく長時間の着用には不向き。登山用は透湿性が高く、足上げや岩場での動きを考慮した設計になっているのが特長です。
Q3. ゴアテックスのレインパンツは必須?
A. 必須ではありませんが、長く使うなら安心できる素材です。ゴアテックスは高い防水透湿性を誇る素材で、悪天候が多い山行や縦走登山に適しています。ただし価格も高めなので、日帰り登山が中心なら1〜2万円台のオリジナル素材モデルでも十分です。
Q4. レインパンツは蒸れない?
A. 透湿性の数値を確認するのがコツです。完全に蒸れをゼロにすることは難しいですが、透湿度が10,000〜20,000g/m²/24h以上のモデルを選べば快適。さらに、ベンチレーション(換気機能)付きモデルなら夏山でも蒸れにくいでしょう。
Q5. レインパンツのサイズは大きめがいい?
A. 登山では「重ね着できる余裕」を考えるのが大事。レインパンツはズボンの上から着るため、普段よりワンサイズ大きめを選ぶのが基本です。ただし大きすぎると足さばきが悪くなるので、「重ね着しても動きやすいジャストサイズ+少し余裕」が理想です。
Q6. レインパンツはどうやってお手入れする?
A. 専用洗剤と撥水スプレーで長持ちさせましょう。使用後は泥や汗を落として陰干し。定期的に専用洗剤で洗濯→撥水スプレーでケアすると、防水性が長持ちしますよ。ザックの奥に入れっぱなしにせず、シーズン前に必ずチェックしましょう。
Q7. レインパンツは登山以外にも使える?
A. キャンプ・自転車・野外フェスにも活躍します。アウトドア全般で使えるのがレインパンツの強み。キャンプの夜の冷え対策、自転車通勤、釣り、夏のフェスなどでも役立ちます。1本持っておくと幅広く使えるコスパの高いアイテムです。
登山に必携のレインパンツで安心・快適な山歩きを

レインパンツは、登山における「雨対策」だけでなく、防風・防寒・泥はね防止といった多機能装備として欠かせない存在。とくに登山初心者・中級者にとっては、安全に山を楽しむための強い味方になります。
正しい選び方とブランド選定をすれば、長く安心して使える一着に出会えるはず。これからの登山を安全かつ快適に楽しむために、ぜひあなたにぴったりのレインパンツを選んでみてください。

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