雨に強い防水リュックは、登山で荷物を守るための必須アイテム。本記事では、防水リュック選びのポイントについて、容量や素材、防水性能の違いまで丁寧に解説していきます。
登山歴が浅いと「どのサイズが登山向き?」「完全防水と防水カバー、どちらを選ぶべき?」と悩む場面も多いものです。そこで今回は、防水リュックの選び方を初心者にもわかりやすく整理し、登山に適したおすすめブランドを厳選してご紹介します。さらに、防水性能を高める工夫やよくある疑問への回答もまとめました。
失敗しない防水リュック選びで、安心・快適な山時間を楽しみましょう。
目次
登山に防水リュックが欠かせない理由

画像:Canva
登山では、突然の雨や霧に見舞われることが少なくありません。そんなときに頼りになるのが、防水リュックです。食料や着替え、地図やスマートフォンといった大切な荷物を濡らさず守れるかどうかは、安全な登山に直結します。
もしリュックの中まで水が浸み込んでしまうと、行動食が食べられない、着替えが使えない、スマホやGPSが故障するなど、登山計画が大きく狂う危険性があります。特に初心者は、余裕をもった判断や装備選びが安全につながるため、防水リュックを選ぶことはとても重要です。
登山シーン | 防水リュックが役立つ理由 | 濡れた場合のリスク |
日帰り登山(急な雨) | 行動食・スマホを守れる | エネルギー切れ、地図が使えない |
テント泊登山 | 着替えや寝袋を守れる | 体温低下、行動不能のリスク |
夏山(夕立や雷雨) | 短時間でも強い雨に対応 | 装備全体が水没レベルで濡れる |
秋山(霧や長雨) | 長時間の湿気や雨を防ぐ | 荷物がじわじわ濡れ、重くなる |
一口に防水リュックといっても、容量の違いをはじめ、完全防水のタイプから、防水カバーや止水ジッパーで雨をしのぐタイプまでさまざまな種類があります。実際にどういった点に注意して選べばよいのか、詳しく見ていきましょう。
登山初心者が知っておきたい「防水リュック」の選び方
登山で使う防水リュックは、通勤や街歩き用と違って「山の環境に対応できる設計」が求められます。ここでは、登山初心者が失敗しないために確認しておきたいポイントを整理しました。
①容量:日帰りなら20〜30L、泊まりなら40L以上

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登山では持ち物が多くなりがち。特に初心者は余裕を持った荷物を持参することが多いため、リュックの容量はとても重要です。
日帰り登山 → 20〜30L程度の防水リュック
山小屋泊・テント泊 → 40L以上の防水リュック
容量が小さすぎると荷物が入りきらず、防水カバーや外付け装備がはみ出してしまい雨に濡れる原因になります。
②防水性能:完全防水より「登山に必要なレベル」を
防水リュックには大きく分けて2種類があります。
完全防水タイプ
→ PVCやターポリン素材、ロールトップ式開口部(荷物の投入口をクルクル巻くタイプ)。豪雨でも浸水しにくい。
撥水+防水カバー併用タイプ
→ 軽量なナイロン素材。付属または別売りの防水カバーで対応。
登山初心者には「撥水性のある軽量リュック+防水カバー」の組み合わせがおすすめです。完全防水は安心感がある一方で重く蒸れやすいため、夏山などでは不向きになることもあります。
③背負い心地:長時間背負うからフィット感を重視

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防水ばかりに目を向けがちですが、登山では「背負いやすさ」も同じくらい大切です。以下の機能もチェックしておきましょう。
◆背面パネルの通気性(メッシュやエアフロー構造)
◆肩や腰にフィットするショルダーハーネス・ヒップベルト
◆荷重を安定させるチェストストラップ
防水性能が高くても背負い心地が悪いと、長時間の登山で体力を消耗してしまいます。
④収納性:防水+整理のしやすさで快適に
登山では荷物を素早く取り出せるかどうかが行動のスムーズさに直結します。
止水ジッパー付きポケット → スマホや地図を収納
メイン収納はシンプル+ドライサック(小分け袋)併用 → 荷物を個別に防水
サイドポケット → ペットボトルや行動食を取り出しやすい
「濡らしたくないもの」と「すぐ取り出したいもの」を分けて収納できるかどうかが、登山向け防水リュックの重要ポイントです。
4つのポイントを、チェックリストにまとめてみましょう。
項目 | チェックポイント | 初心者へのおすすめ |
容量 | 日帰りは20〜30L、泊まりは40L以上 | 25L前後 |
防水性能 | 完全防水 or 撥水+防水カバー | 撥水+カバー |
背負い心地 | 背面通気性・ハーネスのフィット感 | 軽量で通気性重視 |
収納性 | 止水ジッパー、サイドポケット、ドライサック対応 | ポケットが多すぎないモデル |
登山におすすめの防水リュックブランド6選
防水リュック選びに迷ったときは、まず信頼できるブランドから絞り込むのがコツ。ここでは、使いやすい防水リュックを展開している、定番&注目のブランド6社をご紹介します。
Naturehike(ネイチャーハイク)
コスパと大容量で初心者縦走にも対応するアウトドアブランド
ネイチャーハイクは、軽量かつ大容量のバックパックを手がけ、防水・撥水性のモデルも多く展開しています。例えば40+5Lや60+5Lのモデルがあって、登山+旅行+防災用途まで幅広く対応可能。背面パッドやレインカバー付きで、濡れ対策と荷物量の両方をカバーする仕様が魅力です。
特徴
・大容量モデル(40L〜60L帯)があるので、荷物が多い縦走にも対応
・レインカバーや耐水/撥水素材を採用し、比較的価格が手ごろ
・背負い心地を意識して背面・肩ストラップなどのクッション性あり
こんな人におすすめ
・縦走を目指していて容量重視したい初心者
・コストを抑えつつ防水・耐久性もあるリュックが欲しい人
・荷物を多めに持つ登山やキャンプを始めたい人
Columbia(コロンビア)
アウトドア初心者に優しい価格帯+防水/撥水機能付きのブランド
コロンビアはコストパフォーマンスが良く、防水または撥水機能を備えたモデルが比較的手頃な価格帯でそろっているのが特徴。登山初心者がまず試しに使ってみたい、防水リュックを選ぶ入口ブランドとして適しています。
特徴
・価格が比較的手ごろで、性能とコストのバランスが良い
・軽量モデルや日帰り対応タイプが多い
・ブランドネームとアフターケアが安心
こんな人におすすめ
・初めての防水リュックを買いたいが予算は抑えたい人
・日帰り登山中心で、大容量はそこまで必要ない人
・軽量性と価格のバランスを重視する人
HUNTER(ハンター)
デザイン性と防水性の両立、街でもアウトドアでも映えるバッグブランド
ハンターはもともとウェア・ブーツ中心のブランドですが、バックパックにも防水性や耐久性を持たせたナイロン/合成素材モデルを展開しています。濡れても拭きやすい素材や構造に加え、見た目がおしゃれなのもポイント。本格的な登山というよりは、日帰り登山+普段使い兼用を考えている人にぴったり。
特徴
・撥水、防水加工されたナイロン/合成素材を活用
・シンプルな構造で掃除・手入れがしやすい
・ブランドイメージがおしゃれで、カラー・デザインが豊か
こんな人におすすめ
・デザインを重視したい人
・タウンユース兼用として使いたい人
・軽量である程度の防水性が欲しい人
THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)
軽量モデルから防水性を備えたロールトップ/レインカバー付きリュックまで揃う定番ブランド
ザ・ノース・フェイスは登山・アウトドア用品で信頼が厚く、トレイルや日帰り登山にも使えるリュックが多数ラインナップされています。素材の撥水性、ジッパーの防滴性には定評があり、人気も知名度も抜群。さらにレインカバー付属のものが多く、選べる選択肢が豊富に揃っています。
特徴
・多くのモデルで撥水加工+防水機能を持たせた素材を使用
・レインカバーや防水仕様のフラップ開口、またはロールトップ型がある
・ブランドの保証・サポート体制がしっかりしている
こんな人におすすめ
・登山だけでなく普段使いもしたい人(見た目・デザイン重視)
・雨の可能性がある日帰り登山がメインの人
・登山中の装備管理に安心感を求める人
ORTLIEB(オルトリーブ)
完全防水を標榜する技術力と耐久性の高さが魅力のドイツブランド
オルトリーブは防水バッグの老舗で、縫い目を溶接することで水の侵入を極力防ぐ仕様や、ロールトップ式クロージャーで雨・水の浸入を抑える設計が特徴的です。豪雨や川を渡るような環境でも中身を守れる強い安心感が好評。完全防水レベルを求める登山者にとても信頼されているブランドです。
特徴
・溶接(ウェルディング)加工された縫い目で水の侵入を防ぐ構造
・完全防水仕様が多く、防水ジッパーやロールトップ等を採用
・耐久素材+しっかりしたホールド(ストラップやバックル)で、重荷でも安定
こんな人におすすめ
・雨が非常に強い日や悪天候の中を行く予定がある人
・中身を絶対に濡らしたくない装備を持っている人(電子機器など)
・長期間使える耐久性と信頼性を求める人
ZAT(ザット)
丸洗いも可能な完全防水構造+シンプル機能でサブザックや携帯用として重宝
ザットは国内ブランドで、PVC素材等を使い縫い目の少ない構造で作られていて、防水性に優れています。さらに丸洗いできるモデルなど、“汚れ・雨・泥”といったアウトドアの過酷さに強い設計が魅力。10Lモデルをサブバッグの選択肢に加えるのがおすすめです。
特徴
・耐水性、防水性のある素材と構造(無縫製部分など)
・雨や泥汚れに強く、手入れがしやすい設計
・容量・サイズバリエーションが複数あり、用途に応じて選びやすい
こんな人におすすめ
・雨や泥などアウトドアの汚れを気にする人
・丸洗い可能なモデルが欲しい人
・普段使い+登山を兼用したい人
登山用防水リュックブランドの価格帯比較表
最後に、各ブランドの気になる平均価格帯もチェックしておきましょう。
ブランド | 平均価格帯 | 特徴 | おすすめポイント |
ZAT | 2,000〜6,000円 | PVC素材で完全防水、丸洗いOK | サブリュックや雨対策用に最適 |
Naturehike | 4,000〜12,000円 | 大容量・軽量・レインカバー付き | コスパ良し、縦走や泊まり登山にも対応 |
Columbia | 7,000〜15,000円 | 比較的手頃で、撥水+レインカバー仕様 | 日帰り登山や初購入に安心 |
HUNTER | 10,000〜20,000円 | デザイン性と防水性を両立、街でも映える | 主に日帰り登山&タウンユースを考える人に |
THE NORTH FACE | 12,000〜25,000円 | 高品質でデザイン性良好、普段使いも可 | 長く使える万能モデルを探す人に |
ORTLIEB | 20,000〜35,000円 | 完全防水仕様で耐久性抜群 | 荷物を絶対に濡らしたくない人に |
防水リュック選びでよくある質問と答え

Q1. 完全防水と防水カバー付き、どちらを選ぶべき?
A. 登山初心者には「防水カバー付きリュック」がおすすめです。完全防水リュックは雨に強い一方で重く、通気性が悪く蒸れやすいという弱点があります。日帰り登山や初級ルートでは、撥水加工のリュックにレインカバーを併用する方が快適で、コストも抑えられます。
◆テント泊や縦走で「絶対に濡らしたくない荷物」が多い人は、完全防水タイプを選ぶと安心です。
Q2. 防水リュックは蒸れやすいって本当?
A. はい、完全防水タイプは特に蒸れやすい傾向があります。PVCやターポリンなどの防水素材は空気を通さないため、背面の通気性が不足し、汗がこもりやすくなります。
蒸れを軽減するには……
◆背面にエアフロー構造を採用したモデルを選ぶ
◆背面に直接触れる部分に速乾性のあるインナーを着用する
といった工夫がおすすめです。
Q3. 防水スプレーをリュックに使っても大丈夫?
A. 基本的に使用できますが、素材に注意が必要です。ナイロンやポリエステルなら、防水スプレーを使うことで撥水性能を補強できます。ただし、PVCやターポリンなどの完全防水素材には効果が薄く、場合によっては表面にシミを残すこともあります。
◆使用する前に目立たない場所で試すと安心です。
Q4. 何リットルの防水リュックを選べばいい?
A. 日帰りなら20〜30L、山小屋泊やテント泊なら40L以上が目安です。初心者は装備が多くなりがちなので、やや余裕のあるサイズを選ぶと安心。荷物が入りきらずに外付けすると、雨で濡れるリスクが高まります。
Q5. 防水リュックは普段使いにも向いている?
A. ブランドやモデルによります。登山仕様の防水リュックは機能性を優先しているため、街では大きすぎたりデザインがアウトドア寄りに感じることがあります。
◆普段使いも考えるなら、ザ・ノース・フェイスやハンターのようにデザイン性の高いブランドを選ぶと、登山と日常の両方で活躍してくれます。
防水リュックに関するQ&Aまとめ(用途別のおすすめ)
疑問 | ポイント | おすすめタイプ |
完全防水 or カバー? | 日帰りならカバー付きで十分 | 撥水+防水カバー |
蒸れが心配 | 通気性構造を選ぶ・服装で調整 | 背面エアフローあり |
防水スプレーは使える? | 素材によって可否あり | ナイロン・ポリエステル |
容量はどのくらい? | 日帰り20〜30L/泊まり40L以上 | 用途別に選ぶ |
普段使いできる? | デザイン性のあるモデルを選ぶ | THE NORTH FACE/HUNTER |
登山をもっと安心・快適にする防水リュックを選ぼう

画像:Canva
登山では、突然の雨や霧に備えて防水リュックを用意しておくことが、安全で快適な山行につながります。食料や着替え、スマートフォンといった大切な荷物を守ることは、体力面だけでなく心の安心感にも直結。
ここまでを整理すると、
◆日帰り登山なら20〜30Lの撥水リュック+防水カバー
◆縦走や泊まりなら40L以上の容量で、防水性能の高いモデル
◆普段使いも兼ねたいならデザイン性と防水性を両立したブランド
という選び方が目安になります。
防水リュックを持っていれば、急な天候変化にも落ち着いて対応できるはずです。自分の登山スタイルに合った一つを見つけて、安心して山の景色を楽しんでくださいね。
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