ミドルレイヤー(中間着)の選び方 汗冷えを防ぐ!初心者のための5つのチェックポイント

登山を安全に、快適に楽しむためには、正しいウェア選びが欠かせません。特に「ミドルレイヤー(中間着)」は、ベースレイヤー(肌着)と一番外側のアウターレイヤー(上着)の中間で、体温を調整する「一番大切な役割」を担っており、予想外の急な冷え込みから守ってくれる保険のような存在です。

もし選び方を間違えると、登っている最中に汗をかきすぎて「汗冷え」したり、休憩中に急に寒くなったりする原因になりかねません。特に寒い時期の登山や、標高が高い登山に出かける際は、適切な装備が必要です。

この記事では、初めてのミドルレイヤー(中間着)選びで「どれを買えばいいの?」と迷っている方に向けて、機能性と使いやすさを兼ね備えた選び方の基本をわかりやすく解説します。あなたにぴったりの、安心できる一着を見つける参考にしてください。

2025年12月12日 更新

ミドルレイヤー(中間着)の役割

登山での服装は、➀ベースレイヤー(肌着)、➁ミドルレイヤー(中間着)、➂アウターレイヤー(上着)のレイヤリング(3枚重ね)が基本です。以下では、➁ミドルレイヤー(中間着)の3つの大切な役割についてご説明します。

1. 休憩中に体を冷やさない(保温)

山を登って体が温かくなった後、休憩で立ち止まると、急に体が冷え始めます。

ミドルレイヤーは、体温で温められた空気をしっかりと抱き込んで、冷たい外の空気から体を守る役割を果たすので、山頂や風の強い場所で、ホッと一息つく時も安心です。

2. 「汗冷え」を防ぐ(通気・透湿)

登山で一番怖いのは「汗冷え」です。汗が乾かずに服が濡れたままだと、急激に体温が奪われてしまいます。

ミドルレイヤーは、ベースレイヤーが吸い取った汗の湿気を、外側へ素早く逃がす補助として機能し、濡れた服が体に張り付いてヒヤッとするのを防ぎます。

3. 体力を温存する(温度調節)

体が熱くなりすぎる前に脱ぎ、寒くなる前に着る。このこまめな調整こそが、体力をムダに消耗せず、最後まで計画的に山を楽しむためのコツ。

ミドルレイヤーは、ファスナーの開け閉めや脱ぎ着がしやすいため、状況に合わせてすぐに体温をコントロールできます。

ミドルレイヤー(中間着)選びのための5つのチェックポイント

装備の購入を検討しているものの、使わないものは買いたくないと考えている初心者の方々に向けて、後悔しないミドルレイヤー選びのための5つの具体的なチェックポイントをご案内します。

チェックポイント① 「厚みと素材」で登山環境に合わせる

どんな山に登るか、季節はいつかによって、必要な「厚みと素材」は変わります。この選び方が、山での快適さに直結します。

選び方のポイント

✔ 薄手のミドルレイヤーがおすすめの時
春・秋の暖かい低山や、冬でも動きが激しい登山では、薄手のフリースや化学繊維の服を選びましょう。体温が上がりすぎず、汗冷えの心配も減らせます。

✔ 寒さが気になる山での準備
冬の低山や、春・秋の高い山に行く場合は、少し厚めの中厚手のフリースや薄手のダウンなど、温かさを優先した素材を選びましょう。すぐに脱ぎ着できるように準備することが大切です。

おすすめの素材

素材によって性質が違うため、ご自身の登山スタイルや汗の量に合わせて選びましょう。

素材 特徴 おすすめポイント
定番のフリース 軽くて温かいのに、蒸れにくい(通気性が良い) お手入れもしやすく、初めての一着として最も扱いやすい
濡れに強い化繊中綿 汗や雨で濡れてしまっても、温かさが落ちにくい 汗かきの方や天気が不安な時に、安心感がある

 

チェックポイント② 行動中に快適な「通気性」を重視する

ミドルレイヤーは「温める」だけでなく、「蒸れを逃がす」力も大切です。登っている最中に汗をかき始めたとき、熱と湿気を外に出せるかがポイントになります。

選び方のポイント

✔ 通気性が悪いと汗冷えの原因に
服の中に湿気がこもり、休憩に入った瞬間に体が一気に冷えてしまいます(汗冷え)。

✔ 選ぶ際の工夫
フリースを選ぶ際は、グリッド構造(格子状のデコボコ)になっているなど、汗を外へ逃がす工夫がされているモデルを選ぶと、ずっと快適に歩けます。

チェックポイント③ 細かい体温調節を可能にする「形状」の確認

登山では、細かく温度調整をすることで、体力をムダにせず、最後まで計画的に歩けます。

選び方のポイント

✔ フルジップ(前開き)
一番おすすめのタイプです。前のファスナーを全開にできるため、登り坂で「ちょっと暑いな」と感じたときに、立ち止まらずにすぐ換気ができます。細かく温度調整をしたい初心者の方に最適です。

✔ プルオーバー(かぶり)
軽くて荷物がコンパクトになりますが、脱ぎ着には手間がかかります。

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チェックポイント④ アウターと干渉しない「サイズ感とフードの有無」の確認

ミドルレイヤー(中間着)は、ベースレイヤー(肌着)の上に重ね、さらに一番外側のアウターレイヤー(上着)を着るため、「きつすぎず、ぶかぶかすぎない」サイズ選びがとても大切です。

選び方のポイント

✔ 試着の重要性
お店で試着するときは、実際に着る肌着を想定し、その上からアウターも羽織ってみましょう。肩や腕回りに窮屈さがないか、リュックを背負う動作に問題がないかを確認すると失敗しません。

✔ フードの有無
アウターレイヤーとミドルレイヤーの両方にフードが付いていると、首元がゴワゴワして動きにくくなります。もしすでにアウターレイヤーを持っている場合は、ミドルレイヤーはフードなしを選ぶと、首回りがすっきりして快適です。

チェックポイント⑤ 携行性に優れた「重量と収納性」

登山では、「万が一のために持っていきたい」けれど「荷物は軽くしたい」と考える方が多いでしょう。ミドルレイヤーは、ザックに入れて持ち運ぶ時間も長いため、軽さとコンパクトさも大切な選び方です。

選び方のポイント

✔ 軽量化と収納性
化繊中綿ジャケットなどは、とても軽く、専用の袋(スタッフバッグ)にギュッと小さくまとめられるものが多いです。使わない時はザックの隅に入れておけるので、荷物が増えるストレスがありません。

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登山初心者におすすめのミドルレイヤー(中間着)3選

登山を始めたばかりの方が「どれを選んだら失敗しないか不安…」という気持ちを解消できるように、編集部おすすめのミドルレイヤーを3つ厳選してご紹介します。

オールシーズン使える定番フリース


画像:Amazon

おすすめの理由

暖かさと、汗の蒸れを逃がす力(通気性)のバランスが抜群なので、春から冬まで長く使えます。フルジップで脱ぎ着しやすく、値段もお手頃。初めての一着に最適です。

商品の特徴

軽量なポーラテック素材などでできており、休憩中にサッと羽織っても邪魔になりません。

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濡れに強い化繊中綿ジャケット


画像:Amazon

おすすめの理由

「急な雨や汗で服が濡れたらどうしよう…」と心配な初心者の方でも安心です。濡れても温かさが長持ちします。小さくたためるので、登山ザックの中に「もしもの時の保険」として入れておけます。

商品の特徴

水を弾く(撥水性)機能が高く、休憩中の急な冷え込みから体を守ってくれます。

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行動着としても使える薄手メリノウール


画像:Amazon

おすすめの理由

天然素材なので肌触りが良く、汗をかいてもベタつきにくいです。汗の嫌な臭いを抑える効果もあるので、山小屋泊や着替えが少ない日でも快適。日常でも使いたい方に、長く愛用できる点で人気が高い素材です。

商品の特徴

湿気をコントロールする力(調湿機能)が高く、着心地を重視する初心者におすすめの薄手の中間着です。

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よくある質問Q&A:ミドルレイヤー(中間着)に関する疑問を解消

登山を始めたばかりの方が不安に感じやすい、装備や持ち物に関する「よくある疑問」に、わかりやすくお答えします。

Q1. ミドルレイヤーはユニクロのフリースでも代用できますか?

A.天気が安定した低山の日帰り登山なら使えます

登山専用のフリースは、汗を逃がす力や、濡れた後の乾きやすさが優れています。市販品のフリースは登山専用品に比べ、ポリエステル素材でも湿気を逃がすためのグリッド構造などが採用されていないことが多く、体が急に冷える「汗冷え」を防ぐ機能は、専用品のほうが安心です。本格的な登山や天候が変わりやすい山、特に冬の登山では、登山用品メーカーの製品をおすすめします。

Q2. ダウンジャケットはミドルレイヤーとして使えますか?

A.登って動いている間は使わないようにしましょう

ダウンは、主に休憩中や山頂など、動かない時の「最強の防寒着」として、レイヤリングの追加アイテムとして持ち運びます。行動中は通気性の良いフリースなどの中間着を使い、ダウンは「休憩専用の防寒着」として持ち運びましょう。

Q3. ミドルレイヤーは何着持っていくべきですか?

A.日帰り登山なら基本的に1着で大丈夫です

山小屋に泊まる場合は、予備としてもう1枚、薄手のミドルレイヤーを持参すると、汗をかいた後の着替えにも使え、さらに安心です。

Q4. ミドルレイヤーとフリースは同じものですか?

A.フリースはミドルレイヤーの「種類の一つ」です

中間着であるミドルレイヤーには、フリース以外にも、ダウンや化学繊維の中綿、ウール素材などがあります。フリースは軽くて扱いやすいため、登山初心者の方が最も選びやすい中間着と言えます。

Q5. 登山で失敗しないためのミドルレイヤーを着用するタイミングは?

A.大事なコツは「早め早め」です

体が温まって汗をかき始める「少し前」に脱ぐのが基本です。休憩中や風の強い稜線に出る前も、すぐに着用して体を冷やさないようにしましょう。これはレイヤリングを効果的に使うための基本です。

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安全で快適な山行のために


画像:123RF

今回は「汗冷え」を防ぎ、安全で快適な山行を支えるミドルレイヤー(中間着)の選び方についてのチェックポイントをご紹介しました。

ミドルレイヤーの機能は、単に温かいだけでなく、登り坂で汗をかいたときに「蒸れを逃がす通気性」が非常に重要です。フルジップの形状や、薄手で軽量な素材を選ぶことで、季節や山域にかかわらず、活動量に合わせて計画的に体温管理を行うことができます。

正しいレイヤリングをマスターすれば、冬の低山でも、より快適に登山を楽しめるでしょう。

ご自身の登山計画や予算に合った、安心できる中間着を揃え、安全性を高めた快適な登山をお楽しみください。

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記事中イラスト:ホシノアンリ
【WEBサイト】https://starlit-design.com/
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