登山用ミドルレイヤーの選び方 初心者におすすめの種類と5つのチェックポイント
登山用ミドルレイヤーを初めて選ぶなら、通気性があり、脱ぎ着や換気がしやすい薄手から中厚手のフルジップフリースがおすすめです。春や秋の低山を中心に幅広く使いやすく、暑くなったときの体温調節もしやすいため、最初の一着として扱いやすいでしょう。
ミドルレイヤーとは、ベースレイヤーとアウターレイヤーの間に着る中間着です。体の熱を保ちながら、汗による湿気を外へ逃がし、行動中や休憩中の冷えを防ぐ役割があります。
ただし、必要な保温性や通気性は、季節、標高、行動量によって異なります。汗をかきやすい登山では通気性の高い薄手フリース、寒い時期の休憩には化繊中綿ジャケットなど、使用場面に合わせて選ぶことが大切です。
この記事では、登山用ミドルレイヤーの役割や選び方のチェックポイント、初心者におすすめのタイプを紹介します。自分の登山スタイルに合う一着を選ぶ参考にしてください。
目次
ミドルレイヤー(中間着)の役割

登山での服装は、➀ベースレイヤー(肌着)、➁ミドルレイヤー(中間着)、➂アウターレイヤー(上着)のレイヤリング(3枚重ね)が基本です。以下では、➁ミドルレイヤー(中間着)の3つの大切な役割についてご説明します。
1. 休憩中に体を冷やさない(保温)
山を登って体が温かくなった後、休憩で立ち止まると、急に体が冷え始めます。
ミドルレイヤーは、体温で温められた空気をしっかりと抱き込んで、冷たい外の空気から体を守る役割を果たすので、山頂や風の強い場所で、ホッと一息つく時も安心です。
2. 「汗冷え」を防ぐ(通気・透湿)
登山で一番怖いのは「汗冷え」です。汗が乾かずに服が濡れたままだと、急激に体温が奪われてしまいます。
ミドルレイヤーは、ベースレイヤーが吸い取った汗の湿気を、外側へ素早く逃がす補助として機能し、濡れた服が体に張り付いてヒヤッとするのを防ぎます。
3. 体力を温存する(温度調節)
体が熱くなりすぎる前に脱ぎ、寒くなる前に着る。このこまめな調整こそが、体力をムダに消耗せず、最後まで計画的に山を楽しむためのコツ。
ミドルレイヤーは、ファスナーの開け閉めや脱ぎ着がしやすいため、状況に合わせてすぐに体温をコントロールできます。
ミドルレイヤー選びのための5つのチェックポイント
登山用ミドルレイヤーは、暖かさだけで選ぶと、行動中に暑くなりすぎたり、汗で蒸れたりすることがあります。
季節や標高に必要な保温性に加え、通気性、形状、サイズ感、携行性を確認することが大切です。ここでは、初心者が購入前に確認したい5つのポイントを紹介します。
チェックポイント① 季節と標高に合う厚みを選ぶ
ミドルレイヤーに必要な厚みは、登る季節や標高、予想される気温によって変わります。
暖かい時期の低山で厚手のフリースを着ると、行動中に暑くなり、汗をかきすぎることがあります。一方、春や秋の高山、寒い時期の登山では、薄手のウェアだけでは休憩中に冷えやすくなります。
選び方のポイント
春や秋の低山、夏の高山では、薄手のフリースやグリッドフリースが使いやすいでしょう。通気性が高く、行動中の熱や湿気を逃がしやすいことが特徴です。
晩秋や冬の低山、春や秋の高山では、中厚手のフリースが候補になります。ただし、登りで暑くなる場合は、早めに脱いで体温を調節しましょう。
ダウンや化繊中綿ジャケットは、フリースと同じように常に着続けるのではなく、寒い時期の行動着や休憩時の保温着として、製品の通気性や用途を確認して選ぶことが大切です。
ミドルレイヤーに使われる主な素材
| 種類 | 主な特徴 | 適した場面 |
| フリース | 通気性と保温性のバランスがよく、濡れても乾きやすい | 行動中に着る基本のミドルレイヤー |
| 化繊中綿 | 濡れに比較的強く、フリースより防風性と保温性を確保しやすい | 寒い時期の行動中や休憩時 |
| ダウン | 軽量で保温性が高い一方、汗や水濡れに弱い | 主に休憩中や山頂での保温 |
初めての一着としては、使用できる季節が広く、温度調節もしやすい薄手から中厚手のフリースが選びやすいでしょう。
チェックポイント② 行動量に合う通気性を確認する
ミドルレイヤーは体を温めるだけでなく、ウェア内にたまった熱や湿気を外へ逃がす役割もあります。
保温性が高すぎるウェアを行動中に着続けると、汗の量が増え、休憩時の汗冷えにつながることがあります。特に登りが続くコースや、歩くペースが速い人は、保温性だけでなく通気性を重視しましょう。
選び方のポイント
汗をかきやすい人には、生地の内側が格子状になったグリッドフリースが向いています。凹凸の間から熱や湿気を逃がしやすく、一般的な厚手フリースよりも行動中の蒸れを抑えやすいことが特徴です。
寒さを感じやすい人や、ゆっくり歩くことが多い人は、少し保温性の高いフリースを選択肢に加えられます。
ただし、どのウェアでも汗を完全に防げるわけではありません。暑くなる前にファスナーを開けたり、早めに脱いだりして調節することが大切です。
チェックポイント③ 温度調節しやすい形状を選ぶ
登山では、登り、休憩、風の強い稜線など、状況によって体感温度が変わります。ファスナーの形状によって換気や脱ぎ着のしやすさが異なるため、自分の使い方に合うものを選びましょう。
フルジップ
前面のファスナーをすべて開けられるタイプです。
行動中に暑くなったときはファスナーを開けて換気でき、必要がなくなったときも脱ぎやすいため、初心者の最初の一着に適しています。ただし、ファスナーやポケットが増える分、プルオーバーよりも重量が増える場合があります。
ハーフジップ
胸元までファスナーが付いたタイプです。
首元を開けて換気でき、フルジップよりも軽量でシンプルなモデルが多くあります。脱ぎ着のしやすさと軽さのバランスを重視する人に向いています。
プルオーバー
頭からかぶって着るタイプです。
軽量でかさばりにくい一方、行動中に脱ぎ着しにくいことがあります。着たまま行動することが多い薄手モデルや、荷物を軽くしたい人に向いています。初めて購入する場合や、こまめに体温を調節したい場合は、フルジップタイプが扱いやすいでしょう。
チェックポイント④ 重ね着しやすいサイズ感を確認する
ミドルレイヤーは、ベースレイヤーの上に着て、さらにレインウェアやハードシェルを重ねることがあります。大きすぎるとアウターの内側でもたつき、小さすぎると腕や肩を動かしにくくなるため、重ね着を想定したサイズ選びが必要です。
選び方のポイント
試着するときは、実際の登山で着るベースレイヤーの上から羽織り、腕を上げたり前へ伸ばしたりしてみましょう。
次の点を確認すると、サイズ選びの失敗を減らせます。
・肩や脇に窮屈さがないか
・腕を上げたときに裾が大きくずれないか
・袖や身幅が余りすぎていないか
・アウターを重ねても動きにくくないか
・ザックのショルダーハーネスとポケットが干渉しないか
登山用ミドルレイヤーは、ゆったり着る普段着よりも、体に沿うサイズのほうが重ね着しやすい傾向があります。ただし、体を締め付けるほど細いものは避けましょう。
フードの有無
フード付きは頭や首元の保温に役立ちますが、レインウェアにもフードがあると、首回りが重なって動かしにくくなることがあります。
すでにフード付きのアウターを持っている場合や、重ね着のしやすさを優先する場合は、フードなしのモデルが使いやすいでしょう。
チェックポイント⑤ 重量と収納性を確認する
ミドルレイヤーは、着ている時間だけでなく、ザックに収納して持ち運ぶ時間もあります。使用する季節や山行によっては、軽さやコンパクトさも重要な選択基準です。
選び方のポイント
薄手のフリースは軽量で乾きやすい一方、中厚手のフリースはかさばりやすくなります。寒い時期には保温性が必要ですが、必要以上に厚いものを選ぶと、ザック内で場所を取りやすくなります。
化繊中綿やダウンを使用したモデルには、コンパクトに収納できる製品もあります。ただし、収納性だけでなく、行動中に着るのか、休憩時に羽織るのかを考えて選びましょう。
日帰りの低山で着たまま行動するなら、収納サイズを過度に重視する必要はありません。気温差の大きい山や、着脱する機会が多い登山では、ザックへ出し入れしやすい軽量なモデルが便利です。
登山初心者におすすめのミドルレイヤー3選
登山用ミドルレイヤーは、季節や行動量に合ったタイプを選ぶことが大切です。
初めて購入する場合は、脱ぎ着しやすいフルジップのフリースが使いやすいでしょう。汗をかきやすい人には通気性の高い薄手フリース、寒い時期には保温性と通気性を両立した化繊中綿ジャケットも選択肢になります。
ここでは、それぞれ特徴が異なるおすすめの3着をご紹介します。
コロンビア バックアイスプリングスジャケット
おすすめの理由
初めてのミドルレイヤーとして選びやすい、ベーシックなフルジップフリースです。適度な保温性があり、登山だけでなく普段着にも使いやすいため、用途を限定せずに着回したい人に向いています。
比較的ゆとりのある着心地なので、登山で使用する場合は、上からレインウェアを重ねたときに窮屈にならないか確認しましょう。
商品の特徴
ポリエステル製のフリース素材を使用した、コロンビアの定番モデルです。前面を大きく開けられるフルジップタイプのため、行動中の換気や脱ぎ着がしやすくなっています。
両サイドにはファスナー付きポケットがあり、裾のドローコードでフィット感も調整できます。秋から春先の低山や、肌寒い季節のキャンプなどに使いやすい一着です。
マムート アコンカグア ライト ミッドレイヤー ジャケット
おすすめの理由
汗をかきやすい登山や、行動中も着続けられる薄手のミドルレイヤーを探している人におすすめです。
一般的な厚手フリースよりも通気性を確保しやすく、春や秋の登山、冬の運動量が多い山行などに向いています。体に沿うシルエットのため、レインウェアやハードシェルの下にも重ねやすいモデルです。
商品の特徴
内側に格子状の凹凸を設けたグリッド構造のフリース素材を採用しています。生地の間に空気をためて保温しながら、熱や湿気を逃がしやすいことが特徴です。
軽量でかさばりにくく、速乾性にも優れています。保温性だけでなく、行動中の蒸れにくさを重視する人に適しています。
ミレー アルファ ライト スウェット II ジャケット
おすすめの理由
フリースよりも防寒性を重視しながら、行動中の蒸れも抑えたい人におすすめのモデルです。
一般的な防寒用ダウンジャケットとは異なり、通気性のある化繊中綿を使用しています。寒い時期の登山や、気温差の大きい山行で、行動着と保温着の中間として使いやすい一着です。ただし、暖かい季節の低山では暑く感じることがあります。春や秋の高山、晩秋から冬の低山など、寒さが予想される場面を中心に検討しましょう。
商品の特徴
保温性と通気性を備えたポーラテック・アルファを中綿に使用した、薄手のアクティブインサレーションです。
一般的な化繊中綿ジャケットよりも熱や湿気を逃がしやすく、行動中に着続けやすい設計になっています。ストレッチ性もあり、腕を動かす登山やアウトドアでも使いやすいモデルです。
よくある質問Q&A ミドルレイヤーに関する疑問を解消

登山用ミドルレイヤーを購入する前に迷いやすい、素材、厚み、サイズ、着用方法について紹介します。
Q. 初めてのミドルレイヤーは薄手と中厚手のどちらがおすすめですか?
A. 幅広い季節に使いたい場合は、薄手から中厚手のフリースがおすすめです。
春や秋の低山、夏の高山などで使用するなら、行動中に暑くなりすぎにくい薄手のフリースが使いやすいでしょう。寒さを感じやすい人や、晩秋から冬の低山で使う場合は、中厚手のフリースも候補になります。ただし、厚手になるほど行動中に蒸れやすく、収納時もかさばります。
最初の一着には、ファスナーで換気しやすい薄手から中厚手のフルジップフリースを選ぶと、体温を調節しやすくなります。
Q. フリースと化繊中綿ジャケットはどちらを選べばよいですか?
A. 行動中の通気性を重視するならフリース、寒い環境での保温性を重視するなら化繊中綿ジャケットが向いています。
フリースは通気性があり、汗や湿気を逃がしやすいため、登山中に着続けるミドルレイヤーとして使いやすいタイプです。化繊中綿ジャケットは、フリースよりも防風性や保温性を確保しやすく、濡れにも比較的強いことが特徴です。通気性の高いアクティブインサレーションなら、寒い時期の行動着としても使えます。
初めて購入する場合は、使用できる場面が多く、温度調節しやすいフリースから検討するとよいでしょう。
Q. ダウンジャケットはミドルレイヤーとして使えますか?
A. 使えますが、主に休憩中の保温着として使用するのがおすすめです。
ダウンジャケットは軽量で保温性が高い一方、汗や水分を含むと保温力が低下しやすく、乾きにくいという特徴があります。登りなどで汗をかきやすい場面では、フリースや通気性の高い化繊中綿ジャケットのほうが使いやすいでしょう。ダウンジャケットは、山頂や休憩中、山小屋で体を冷やさないための保温着として携行するのが基本です。
ただし、寒さや行動量によって適した組み合わせは変わります。登山中に暑くなった場合は、汗をかく前に脱いで調節しましょう。
Q. ユニクロなどの普段着用フリースでも代用できますか?
A. 天候が安定した低山の日帰り登山であれば、代用できる場合があります。
普段着用のフリースでも、ポリエステル素材で動きやすく、上からレインウェアを重ねられるものであれば、初心者向けの低山で使用できます。一方、登山用フリースには、通気性、速乾性、軽量性、動きやすさを考慮したモデルが多くあります。汗をかきやすい登山や、気温と天候の変化が大きい山では、登山用に設計された製品のほうが使いやすいでしょう。
代用品を使う場合は、綿素材のスウェットやパーカーは避け、濡れても乾きやすい素材を選んでください。
Q. 夏山でもミドルレイヤーは必要ですか?
A. 夏でも、標高の高い山や早朝、風の強い場所では必要です。
登山口では暑くても、標高が上がると気温が下がり、山頂や稜線では風によって寒く感じることがあります。休憩中や天候が悪化したときに体を冷やさないため、薄手のフリースなどを携行すると安心です。低山の短時間ハイキングでは使用しないこともありますが、着る予定がなくても、天候や標高に応じた防寒着を準備しましょう。
夏山では、厚手のフリースよりも、軽量でコンパクトに収納できる薄手モデルが使いやすくなります。
Q. ミドルレイヤーのサイズはゆったりめがよいですか?
A. ベースレイヤーの上に着られ、さらにアウターを重ねられるサイズが適しています。
普段着のようにゆったりしすぎると、レインウェアやハードシェルの内側でもたつくことがあります。反対に、体に密着しすぎると、肩や腕を動かしにくくなります。
試着するときは、登山で使用するベースレイヤーの上から着用し、腕を上げたり前へ伸ばしたりして、肩や脇が窮屈でないか確認しましょう。オンラインで購入する場合は、身幅や着丈だけでなく、メーカーが示しているフィットの種類や、購入者のサイズ感も参考にしてください。
Q. ミドルレイヤーはいつ着たり脱いだりすればよいですか?
A. 暑くなって汗をかく前に脱ぎ、寒さを感じる前に着ることが基本です。
登山開始時に少し肌寒くても、歩き始めると体温が上がります。登り始めて暑くなりそうな場合は、汗をかく前にファスナーを開けるか、早めに脱ぎましょう。休憩に入るときや風の強い稜線へ出る前は、体が冷える前に着用します。汗で濡れた状態のまま休憩すると冷えやすいため、立ち止まったら早めに防寒することが大切です。
ミドルレイヤーを着たまま我慢するのではなく、ファスナーの開閉や脱ぎ着をこまめに行い、汗をかきすぎないように調節しましょう。
安全で快適な山行のために

画像:123RF
今回は「汗冷え」を防ぎ、安全で快適な山行を支えるミドルレイヤー(中間着)の選び方についてのチェックポイントをご紹介しました。
ミドルレイヤーの機能は、単に温かいだけでなく、登り坂で汗をかいたときに「蒸れを逃がす通気性」が非常に重要です。フルジップの形状や、薄手で軽量な素材を選ぶことで、季節や山域にかかわらず、活動量に合わせて計画的に体温管理を行うことができます。
正しいレイヤリングをマスターすれば、冬の低山でも、より快適に登山を楽しめるでしょう。
ご自身の登山計画や予算に合った、安心できる中間着を揃え、安全性を高めた快適な登山をお楽しみください。
記事中イラスト:ホシノアンリ
【WEBサイト】https://starlit-design.com/
【Instagram】@anri_hoshino
【X】@starlit_design
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