登山に欠かせない「ミドルレイヤー」。寒暖差が大きい山の気候の中で、体を冷やさず、ムレを防ぐための重要な中間着です。
本記事では、登山におすすめのミドルレイヤーの選び方や、人気レディースブランドの特徴、季節別の着こなしポイントまで詳しく解説します。自分にぴったりの1枚を見つけて、次回の山行をもっと快適に楽しみましょう。
目次
登山女子の快適さを守る鍵 レディースミドルレイヤーとは?

画像:Canva
登山の服装で最も難しいのが、体温と汗のコントロール。気温差や運動量の変化が激しい山では、汗をかいて冷えたり、風で一気に体温が下がることもあります。
そんなときに頼りになるのが、ミドルレイヤー(中間着)。ベースレイヤー(肌着)の上、アウター(防風・防水ジャケット)の下に着ることで、「保温」「吸湿」「通気」をバランスよく整える役割を果たします。
中間層:ミドルレイヤー(保温・吸湿・通気)
外層:ハードシェルなどのアウター(雨・風・雪を防ぐ)
特に女性は筋肉量が少なく、男性より冷えを感じやすい傾向があります。そのため、登山ではレディース向けミドルレイヤー選びが快適さと安全性を大きく左右するのです。
ミドルレイヤーが果たす3つのポイント
レディースミドルレイヤーの役割とメリットを、詳しく見ていきましょう。
| 機能 | 役割 | 登山でのメリット |
| 保温性 | 体温を逃さず温かさをキープ | 山頂や休憩中の冷え防止に効果的 |
| 吸湿速乾性 | 汗を吸って乾かす | 汗冷えを防ぎ、快適な行動をサポート |
| 通気性 | 余分な熱や湿気を逃す | ムレを防ぎ、重ね着しても動きやすい |
レディースウェアだからこそ大事にしたい3つの視点
ミドルレイヤーを選ぶとき、男性向け情報だけでは不十分なことがあります。女性の体の特徴や登山スタイルに合わせた視点を持つことで、より快適に過ごせます。
①冷え対策を最優先に
特に「腰まわり」「お腹」「腕の付け根」は冷えやすい部分。保温性の高いフリースや化繊インサレーションが有効です。
②フィット感と動きやすさの両立
レディースモデルは立体裁断で肩まわりや胸のラインが動きやすい設計。「細身すぎず」「中に重ね着できる余裕」が理想です。
③デザイン性も登山のモチベーションに
写真に残る山頂コーデも大切。カラーやシルエットに“お気に入り感”があると、装備への愛着が長続きします。
こんなシーンで役立つ!ミドルレイヤーの実例
登山シーン別に、どんな素材のミドルレイヤーがおすすめなのかもチェックしていきましょう。
| シーン | 気温の目安 | おすすめ素材 |
| 春・秋の低山ハイク | 10〜15℃ | 薄手フリース、山シャツ |
| 夏のアルプス縦走 | 15〜25℃ | 通気性の高い化繊 |
| 冬〜残雪期登山 | 0〜10℃ | 厚手フリース、化繊インサレーション |
ここまでをまとめると、
◉冷え・ムレ・動きやすさの3つがポイント
◉季節や標高に合わせて、素材や厚みを使い分けるのがコツ
次章では、登山初心者でも迷わず選べる「レディースミドルレイヤーの選び方」を詳しく解説していきます。
登山初心者が知っておきたいレディースミドルレイヤーの選び方
登山では、天候や体調の変化が一日の中で何度も訪れます。そんなときに“ちょうどいい服”でいられるかどうかは、ミドルレイヤーの選び方次第です。
特に初心者のうちは「厚ければ暖かい」「有名ブランドなら安心」と思いがちですが、大切なのは素材・厚み・着心地・シルエットのバランス。ここでは、登山を始めたばかりの女性でも失敗しにくい5つの選び方を、やさしく解説していきます。
①素材で選ぶ──体温と汗のコントロールを助ける「生地のちがい」
一口に「レディースのミドルレイヤー」といっても、使われている素材はさまざま。最初に生地のちがいとそれぞれの特徴を押さえておきましょう。
| 素材タイプ | 特徴 | おすすめの登山シーン | メリット | デメリット |
| フリース(ポリエステル系) | 軽くて保温性が高く、通気性も良い | 春・秋の低山、休憩時の防寒に | 扱いやすく速乾性が高い | 風を通しやすく、強風時は寒い |
| 化繊インサレーション | 中綿入りで暖かく、濡れても保温力を保つ | 冬山・残雪期・休憩時 | 濡れに強くメンテも簡単 | 通気性は低く、暑がりさんには不向き |
| ウール(メリノウール) | 吸湿性と防臭性に優れ、自然素材で肌触り良好 | 春〜秋の冷えやすい女性に最適 | 汗冷えを防ぎ快適 | 高価で乾きが遅い |
| ソフトシェル(ナイロン+ポリウレタン) | 防風性・伸縮性があり、軽アウターにも | 風の強い稜線・標高差のある登山 | 風を防ぎながら動きやすい | やや重め、夏は暑い |
②厚みで選ぶ──季節と標高に合わせて“ちょうどよく”

画像:Canva
登山では標高が100m上がるごとに、気温はおよそ0.6℃下がると言われています。つまり、平地で20℃でも山頂では10℃以下になることも。だからこそ、厚みの選択が快適さの決め手になります。
| 厚みタイプ | 特徴 | 適した季節・山行例 |
| 薄手タイプ | 通気性が高く、行動中でもムレにくい | 春〜秋の低山、夏のアルプス縦走 |
| 中厚タイプ | 保温と通気のバランスがよく万能 | 春・秋の中級山、日帰り登山全般 |
| 厚手タイプ | 高い保温性で休憩・冬期登山に最適 | 冬山・雪山・標高2,000m以上 |
③フィット感で選ぶ──“動きやすくて重ねやすい”が正解
ミドルレイヤーは、アウターの下に着る服。大きすぎると保温力が下がり、小さすぎると動きを妨げます。
女性向けモデルでは、肩まわりの立体裁断や腰のシェイプなど、動きやすさとフィット感が工夫されています。
◉腕を前に出したときに突っ張らないか
◉背中が出ない丈感か
◉中に薄手インナーを着ても動きやすいか
④通気・換気性能で選ぶ──“汗冷え”を防ぐための小さな工夫
行動中に汗をかきすぎると、休憩時に一気に冷える…これは登山女子あるある。そんな失敗を防ぐために、通気性能のチェックも大切です。
| 機能 | 役割 |
| ベンチレーション(脇下ファスナー) | 熱を逃がしやすい |
| グリッド構造フリース | 通気と保温の両立 |
| メッシュ裏地付きタイプ | 汗を外に逃がしやすい |
⑤デザインとカラーで選ぶ──“気持ちが上がる”登山ウェアを
登山ウェアは安全性や機能が第一ですが、「お気に入りを着ること」が登山を続けるモチベーションにもつながります。
◉落ち着いた色:街でも使える万能カラー
◉女性専用シルエット:胸・腰まわりがきれいに見える
素材・厚み・フィット感・通気性・デザインの5要素がミドルレイヤー選びの基本です。
登山では「冷えにくく・動きやすく・好きになれる服」を選ぶのがベスト。気温・行動量・天候の変化を想定して、脱ぎ着しやすい構成を意識しましょう。
登山におすすめ レディース向けミドルレイヤーブランド5選
レディース向けのミドルレイヤー選びに迷ったときは、まず信頼できるブランドから絞り込むのがコツ。ここでは定番&注目のブランド5社と、それぞれのおすすめモデルをご紹介していきます。
マムート(Mammut)
軽量性とストレッチ性が登山女子にうれしいスイスブラン
マムートは、スイス発のアウトドアブランドで、高い機能性と洗練されたデザインが魅力。「イノミナータ ライト ミッドレイヤー ジャケット(ウィメンズ)」は、ミドルレイヤーとして軽さと動きやすさを両立したモデルです。女性の体型にフィットするレディース専用シルエットで、肩・腕まわりの可動域も広め。
特徴
・軽量設計でザックとの干渉が少ない
・ストレッチ素材を使って、登り・下り・休憩いずれも快適
・スイスブランドならではの機能美+デザイン性
こんな人におすすめ
・年間を通して山に出かける、登山女子
・行動時間が長め、荷物を軽くしたい方
・「機能だけでなく見た目もこだわりたい」女性向け
アークテリクス(Arc’teryx)
本格派の登山者も納得のカナダブランド王者モデル
アークテリクスは、機能性・耐久性ともにアウトドア界でもトップクラスのブランド。「アトム ジャケット(ウィメンズ)」はインサレーション(中綿入り)タイプながら、行動着としてもミドルレイヤーとしても使える汎用モデルです。女性専用モデルとしてフィット感・デザインともに優れているのが魅力。
特徴
・高機能中綿+通気性&保温性を兼ね備えた仕様
・女性の体型に合わせた構造で、重ね着の際のシルエットがきれい
・長く使える&ブランド価値も高いので“買替え不要”レベルの一着
こんな人におすすめ
・標高2,000〜3,000m級の山や、冬〜雪山も視野に入れている登山女子
・「機能重視」「長く使えるギアに投資したい」と考えている方
・見た目も「洗練された登山ウェアを持ちたい」女性
サロモン(Salomon)
フランス登山ブランドが提案する“軽さ+通気性”を備えたレディースモデル
サロモンは、登山・トレイルランニング・アウトドア全般で評価の高いブランド。「エッセンシャル ウォーム ハーフジップ」、“ミドルレイヤーとしての基本機能”をしっかり備えながら、比較的価格も抑えめで、初めて本格ウェアを選ぶ登山女子にも手が届きやすい一着。
特徴
・ハーフジップ仕様で、行動中・休憩中どちらも“熱の調整”がしやすい
・レディース専用カット有りで、女性の体型にフィットしやすい
・通気性と保温性のバランスが取れており、春〜秋の変化のある山行向き
こんな人におすすめ
・年に数回の山行でも「ちゃんとしたミドルレイヤーを揃えたい」女性
・まずは機能的な一着から始めて、自分の登山スタイルを確立したい方
・「ブランド名も安心感になる」から、信頼できるモデルで選びたい女性
モンベル(mont‑bell)
日本ブランドならではの“コスパ+実用性”登山女子向けミドルレイヤー
モンベルは国産アウトドアブランドとして、機能性・コストパフォーマンス・日本の気候・体型への配慮が優れているのがポイント。「スペリオダウン ラウンドネック」はやや“インサレーション(中綿入り)”寄りではあるけれど、ミドルレイヤーとして「保温重視」の選択肢として十分使えます。
特徴
・ダウン入りで休憩時や風の強い場所でしっかり保温
・日本女性の体型を意識したレディースサイズが豊富
・“コスパの良さ”が初心者・年間数回派の女性にも適している
こんな人におすすめ
・“寒がり”や「休憩中に冷えて集中力が落ちた経験あり」な女性
・春、秋、冬の少し寒い日にも使えるマルチ用途を探している方
・登山初心者〜中級者で、「まず一着買うなら無駄にしたくない」女性
ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)
世界的定番ブランドが提供する“軽量ミドルレイヤー”で動きやすさ重視
ザ・ノース・フェイスはアウトドアブランドの中でもデザインと機能性のバランスが高く、街着としても使える点が女性にも人気。「マウンテンバーサマイクロジャケット」は“薄手でもしっかり使える”ミドルレイヤーとして春〜秋の登山に適しています。
特徴
・軽量かつコンパクトでザックに忍ばせやすい
・薄手ながら保温と通気のバランスに優れており、行動中にムレにくい
・デザイン性も高く、登山後の街使いや旅行でも活躍
こんな人におすすめ
・月数回の登山や観光登山を楽しむ女性で、荷物を軽くしたい方
・春~秋の低〜中級山を中心に、安全快適に登りたい方
・“登山+山写真”を楽しみたい→見た目も重視したい女性
よくある疑問を解消!登山女子のためのレディースミドルレイヤーQ&A

Q. ミドルレイヤーはどんな素材が登山に向いていますか?
A. 「吸湿性」「保温性」「通気性」をバランスよく備えた素材が理想です。
登山では行動中と休憩時の温度差が激しいため、素材選びがとても大切。女性の場合は特に“冷え”が体調に響くので、以下のような素材特性を意識しましょう。
| 素材 | 特徴 | おすすめポイント |
| フリース(ポリエステル系) | 軽く・通気性あり | 動きやすく、春秋の低山にぴったり |
| 化繊インサレーション | 中綿入りで濡れに強い | 冬や標高の高い山で冷えを防ぐ |
| メリノウール | 吸湿・防臭・天然素材 | 汗をかきやすい女性に最適 |
| ソフトシェル | 防風+伸縮性 | 稜線や風の強い山で快適 |
Q. ミドルレイヤーはどの季節にも必要ですか?
A. すべての季節に使えますが、選ぶ“厚み”を変えるのがコツです。
| 季節 | おすすめの厚み | コメント |
| 春 | 薄手フリース | 朝夕の冷えに対応 |
| 夏 | 通気性のある化繊 | 標高差のある縦走で便利 |
| 秋 | 中厚フリース | 一日中快適に過ごせる |
| 冬 | 厚手フリース/中綿 | 行動着+保温着の両用に最適 |
Q. ユニクロやワークマンのウェアをミドルレイヤーに使ってもいい?
A. 条件次第で使えます。ただし“吸湿性・通気性”に注意しましょう。
登山専用でなくても、気温や山行スタイルによっては十分活用できます。特に低山や日帰り登山なら、コスパの良い選択肢になるでしょう。
| ブランド | 向いているシーン | 注意点 |
| ユニクロ | 春秋の低山・軽ハイク | 綿素材は汗を吸って乾きにくい点に注意 |
| ワークマン | 風の強い日・肌寒い日 | 防風タイプは保温力が高く、行動中は暑くなることも |
ユニクロやワークマンを使いたい場合は、ベースレイヤーに高機能インナーを合わせると快適性がUPします。綿100%や重い素材は避けるのが無難。
Q. 登山用ミドルレイヤーは何枚持っておくといい?
A. 基本は2〜3枚が理想。季節と登山スタイルで使い分けましょう。
| 用途 | タイプ | 具体例 |
| 春秋メイン | 薄手フリース | ノースフェイス「マイクロジャケット」 |
| 冬・標高の高い山 | 化繊インサレーション | モンベル「スペリオダウン」 |
| 休憩・テント泊用 | 厚手フリース or ダウン | アークテリクス「アトム」 |
登山初心者なら「薄手+中綿入り」の2着で十分スタート可能。状況に応じて脱ぎ着できるようにしておくのが、安全で快適です。
Q. ミドルレイヤーの洗濯やお手入れ方法は?
A. 洗濯機で洗えるモデルが多いですが、“柔軟剤NG・陰干し”が基本です。
◉ダウン入り→ 専用洗剤でやさしく洗い、陰干しでしっかり乾燥
◉ニオイや汗ジミ防止→ 使用後は通気の良い場所で干す。
登山後にすぐケアすることで、保温力や風合いを長持ちさせられます。
お気に入りのレディースミドルレイヤーを見つけて、登山をもっと楽しもう

画像:Canva
毎回気候は変わり、天候も予測しづらい登山。そんな中でも快適に行動できるのは、自分に合ったレディースミドルレイヤーを選んでいるからです。
ここまで紹介してきたように、
◉女性の体型にフィットする動きやすさ
◉自分らしく着られるカラーやデザイン
この3つを意識するだけで、登山中の快適さは見違えるほど変わります。
もしまだ「どれを選べばいいか迷う」という方は、まずは軽くて通気性の高い薄手フリースから始めてみましょう。春・秋の低山から真夏のアルプス縦走まで、幅広く活躍してくれるはずです。
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