登山に欠かせない装備のひとつがレインウェア。特に信頼性の高い「ゴアテックス」は、防水性と透湿性に優れ、突然の雨や風から体を守ってくれます。しかし「蒸れて着なくなった」「重くて結局持ち歩かない」など、選び方を間違えて後悔したという声も少なくありません。
この記事では、初心者の方にもわかりやすいようにゴアテックスレインウェアの選び方を3ステップで解説。さらに人気ブランドの特徴を比較表で整理し、よくある失敗例とその回避方法も紹介していきます。
自分に合った一着を見つけて、安心して登山を楽しむための参考にしてください。
目次
登山で必携!ゴアテックスレインウェアが信頼される理由

登山においてレインウェアは、安全を守るために欠かせない装備です。特にゴアテックス(GORE-TEX)を使用したモデルは、防水性と透湿性を両立しており、多くの登山者に選ばれています。突然の雨だけでなく、強風や冷え込みから体を守り、低体温症のリスクを減らす点が最大の特徴です。
そもそもゴアテックスとは?
ゴアテックスは、アメリカのWLゴア&アソシエイツ社が開発した防水透湿素材です。
・膜(メンブレン)には無数の微細な孔があり、水滴は通さず、汗などの水蒸気だけを外に逃がす仕組みになっています。
・1平方インチあたり約14億個もの孔があり、その大きさは水滴より小さく、水蒸気より大きいため「雨は防ぐのに蒸れは逃がす」ことが可能です。
■この特性が「防水」「透湿」「防風」の3機能を同時に満たし、アウトドア用レインウェアの定番素材となっています。
ゴアテックスの3つの機能を表にまとめてみましょう。
機能 | 防水性 | 透湿性 | 防風性 |
ゴアテックスの役割 | 雨水を通さない | 汗の蒸気を逃がす | 強風を遮断する |
登山でのメリット | 濡れによる体温低下を防ぐ | 蒸れを減らし快適性UP | 風による体力消耗を軽減 |
■「防水」「透湿」「防風」3点のバランスが、快適な登山を支えるカギになります。
ゴアテックスレインウェアはどんなシーンで必要?
日帰り登山(低山〜中級山域) ⇒ 突然の夕立や朝晩の冷え込み対策に。
縦走やテント泊登山 ⇒ 雨に長時間さらされるシーンでは必携。
アルプスや高山登山 ⇒ 天候変化が激しく、防風性・防水性の高さが命を守る。
■つまり「登山をするなら必ず持っていくべき装備」がレインウェアであり、その中でも安心できる選択肢がゴアテックスというわけですね。
初心者でも迷わない、ゴアテックスレインウェアの選び方3ステップ

画像:Canva
レインウェアは「防水だからどれも同じ」と思われがちですが、登山においては使うシーンや登山スタイルによって適したモデルが変わります。特にゴアテックスには複数の種類があるため、ポイントを押さえて選ぶことが大切。ここでは初心者でも失敗しにくい、3ステップの選び方を紹介します。
STEP1:登山スタイルに合わせて「レイヤー構造」を選ぶ
ゴアテックスには「2.5レイヤー」「3レイヤー」といった構造の違いがあります。
2.5レイヤー ⇒ 軽量・コンパクト。日帰りや軽装登山向き。
3レイヤー ⇒ 耐久性・防水性が高い。縦走や高山登山に安心。
2.5レイヤーと3レイヤーをより詳しく比較してみると、以下のような特徴・違いが見えてきます。
種類 | 2.5レイヤー | 3レイヤー |
特徴 | 軽量・薄手 | 丈夫で防水性が高い |
メリット | 携行性抜群、夏の低山に最適 | 長期登山も安心 |
デメリット | 摩耗に弱い | やや重い、価格高め |
おすすめシーン | 日帰り登山、ハイキング | 縦走、アルプス登山 |
レインウェアを選ぶときにはレイヤー構造の違いを押さえることが基本ですが、実は「ゴアテックス素材そのもの」にも複数の種類があります。用途や登山スタイルによって適したタイプが異なるため、知っておくとより失敗の少ない選択ができます。ここでは代表的な「Pro」「Active」「Paclite(バックライト)」の3種類を比較してみましょう。
種類 | GORE-TEX Pro | GORE-TEX Active | GORE-TEX Paclite |
特徴 | 耐久性・防水性最高レベル | 軽量・透湿性抜群 | 2.5層、軽量で携行性あり |
メリット | 厳冬期・高山・縦走向き | 蒸れにくい、動きやすい | コンパクト収納可 |
向いている登山 | ハードユーザー | 夏山・日帰り | 低山・非常用 |
STEP2:快適性を左右する「サイズ感とシルエット」を確認

快適な登山のためにはサイズ感は軽視できません。
小さすぎると ⇒ 動きにくく、重ね着ができない。
大きすぎると ⇒ バタついて風の抵抗が増える。
■ワンサイズ上を選び、フリースなどを下に着ても動きやすいか確認しましょう。特に女性ユーザーは「細身シルエット」「腰回りのカバー力」などもチェックポイントです。
STEP3:登山に必要な「ディテール」を見落とさない
ゴアテックス素材だけでなく、使いやすさを左右する細部も重要です。チェックすべき装備例を見ていきましょう。
止水ジッパー ⇒ 雨の侵入を防ぐ。
ベンチレーション(脇下ファスナー) ⇒ 蒸れを逃がす。
ヘルメット対応フード ⇒ アルプス登山に必須。
ハーネス対応ポケット ⇒ ザックを背負ったままでも出し入れ可。
■ゴアテックスレインウェア探しで失敗しないためには、レイヤー構造とサイズ感、ディテールを重視することが大切です。
登山で選びたい、ゴアテックスレインウェアおすすめブランド6選
ゴアテックスレインウェア選びに迷ったときは、まず信頼できるブランドから絞り込むのがコツ。ここでは、使いやすいゴアテックスレインウェアを展開している、定番&注目のブランド6社をご紹介します。
モンベル(mont-bell)
軽量・高性能を両立する、日本を代表する登山ブランド
モンベルは、日本生まれの総合アウトドアブランドで、ゴアテックスを使ったレインウェアのラインナップも豊富。代表的な「ストームクルーザー」は、軽量で動きやすく、耐久性や防水透湿性のバランスに優れており、多くの登山者から支持されています。価格帯も比較的手に届きやすく、さらに修理サービスが充実しているのも安心感を高めています。
特徴
・日本人の体型に合わせたフィット感
・軽量で持ち運びやすく、登山回数が少ない人でも活用しやすい
・修理やパーツ交換などアフターサービスが充実
こんな人におすすめ
・初めてのゴアテックスレインウェア選びで安心感を重視したい人
・コスパの良いモデルを探している人
・長く使える一着を求めている人
ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)
デザイン性と機能性を両立した世界的人気ブランド
ザ・ノース・フェイスは、街でも山でも映えるスタイリッシュなデザインが魅力のブランド。ゴアテックスを採用したレインウェアは、防水透湿性に加え、止水ジッパーやベンチレーションなど機能面も抜かりなく、初心者からベテランまで幅広く支持されています。なかでも「クライムライトジャケット」は、軽量性と着心地の良さを兼ね備え、日帰り登山にも縦走にも対応できる万能モデルです。
特徴
・タウンユースでも違和感のないデザイン性
・止水ジッパーやベンチレーションで快適性を確保
・豊富なサイズ展開とカラーバリエーション
こんな人におすすめ
・機能と見た目の両方を重視したい人
・日常使いもできるレインウェアが欲しい人
・定番の信頼ブランドから選びたい人
ミズノ(MIZUNO)
スポーツ工学を活かした動きやすいレインウェア
スポーツ用品メーカーとしての技術を活かし、登山用のゴアテックスレインウェアでも「動きやすさ」を追求しているミズノ。縫製やパターンに工夫があり、腕や脚を大きく動かしてもつっぱりにくい設計です。雨を防ぎつつ快適に動けるため、アクティブに行動する登山者におすすめ。耐久性にも優れ、長く使える安心感があります。
特徴
・スポーツメーカーならではの立体裁断で動きやすい
・耐久性の高いゴアテックス素材を採用
・登山以外にもランニングやトレッキングに活躍
こんな人におすすめ
・動きやすさを最優先に考える人
・スポーツブランドの信頼性を求める人
・1着をさまざまなアウトドアに兼用したい人
プロモンテ(PuroMonte)
コストパフォーマンス抜群の国産ブランド
プロモンテは、登山用品専門メーカーが展開するブランドで、ゴアテックスレインウェアを手頃な価格で提供しているのが特長です。シンプルながら必要な機能は揃っており、初めて購入する人でも安心。特に上下セットモデルはコスパが良く、「最初の一着」として選ばれやすい存在です。
特徴
・上下セットでも比較的リーズナブルな価格
・シンプル設計で初心者でも扱いやすい
・国産ブランドならではの安心感
こんな人におすすめ
・できるだけ費用を抑えつつゴアテックスを使いたい人
・登山を始めて間もない人
・予備用のレインウェアを探している人
マーモット(MAMMUT)
軽量性とスタイリッシュさを兼ね備えたブランド
マーモットはアメリカ発のアウトドアブランドで、ゴアテックスPacliteなど軽量タイプのレインウェアに強みがあります。シンプルで洗練されたデザインは女性にも人気で、見た目と機能を両立したモデルを探している人にぴったり。携行性が高いので、日帰り登山や旅行にも使いやすいのが魅力です。
特徴
・ゴアテックスPacliteを採用し軽量・コンパクト
・おしゃれで街でも使いやすいデザイン
・女性にもフィットしやすいシルエット
こんな人におすすめ
・見た目と機能の両方を重視する人
・軽量モデルを探している人
・旅行やタウンユースも兼ねたい人
ダイワ(DAIWA)
釣りブランド発、長時間快適に使えるレインウェア
ダイワは釣り具ブランドとして知られていますが、防水透湿性に優れたゴアテックスレインウェアは登山にも適しています。蒸れにくい設計が特長で、長時間の山行や悪天候の中でも快適に過ごせます。耐水性と透湿性のバランスが良く、釣り場で培われたノウハウが登山ウェアにも活かされています。
特徴
・釣りで鍛えられた防水透湿性能を登山にも応用
・蒸れにくく快適な着心地
・アウトドア全般に使える汎用性
こんな人におすすめ
・蒸れが気になる人
・長時間行動する縦走や釣りも楽しむ人
・アウトドアを幅広く楽しみたい人
ゴアテックスレインウェアQ&A よくある疑問を解決しよう

Q1. ゴアテックスって本当に必要?
A. 登山では「必ずしもゴアテックスでなければならない」わけではありません。ただし、信頼性の高さは群を抜いています。特に長時間の雨や縦走など過酷な環境では、防水性と透湿性を兼ね備えたゴアテックスが安心感を与えてくれます。
Q2. ゴアテックスはどのくらい持つの?寿命はある?
A. 一般的には3〜5年程度が目安ですが、使用頻度や手入れ方法によって大きく変わります。
これらを心がけることで、寿命は5年以上に延ばせます。
Q3. ゴアテックスは蒸れないの?
「蒸れない」わけではありません。透湿性が高いので一般的なレインウェアより快適ですが、強い運動や高湿度環境では蒸れることもあるため、ベンチレーション付きモデルが役立ちます。
Q4. ゴアテックスは洗濯できるの?
A. はい、可能です。むしろ定期的な洗濯をすることが性能維持の秘訣です。
・柔軟剤や漂白剤はNG
・洗濯後は低温乾燥、またはアイロンの低温スチームで撥水性を回復させる
正しいお手入れをしないと、透湿性が落ちて蒸れやすくなるので注意しましょう。
Q5. ゴアテックスレインウェアは高すぎるけど、安いもので代用できる?
A. ポリウレタン系や独自素材を使った安価なレインウェアもありますが、耐久性や透湿性はゴアテックスに劣ることが多いです。短期間の使用やハイキングなら代用も可能ですが、登山を続けるならゴアテックスが結果的にコスパ良しとなるケースが多いです。
Q6. ゴアテックスの種類はどう違うの?
A. 代表的には以下の3種類があります。
・Active:透湿性重視。夏山やアクティブな登山向け
・Paclite・:軽量かつコンパクト。日帰りや非常用に最適
それぞれ特徴がはっきりしているので、自分の登山スタイルに合ったものを選びましょう。
Q7. ゴアテックスは夏でも必要?
A. 夏山でも突然の雷雨や夕立に備えて必携です。特に標高が上がると天候が急変しやすく、雨に濡れて体温を奪われる危険があります。軽量なPacliteなどを持参すれば負担になりにくく安心です。
ゴアテックスレインウェアで安心・快適な登山を

画像:Canva
ゴアテックスレインウェアは、登山に欠かせない装備のひとつ。防水性・透湿性・防風性を兼ね備え、突然の雨や強風から体を守ることで、快適さと安全性を大きく高めてくれます。
価格こそ高めですが、ゴアテックスは耐久性と快適性を兼ね備えた信頼できる相棒。登山の安全を支える装備として、自分に合った一着を選んでおくことが、安心で快適な山行につながります。
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