登山の歩き方、正しく知ってる?登り・下りで変わる基本姿勢と疲れにくいコツ

登山を始めて間もない方の中には、「ただ歩くだけでしょ?」と思っている人もいるかもしれません。しかし、山道を安全かつ快適に歩くには、実は“歩き方”に工夫が必要です。

平地と違い、登山では斜面や不安定な地面を歩くため、姿勢や足の運び方を少し変えるだけで、疲労の軽減やケガの予防につながります。

この記事では、登山時に意識したい「登りの歩き方」「下りの歩き方」、そして「適切な休憩の取り方」まで、初心者にもわかりやすく解説します。

2025年5月23日 更新

登山の歩き方|登りは“上体を起こす”ことが疲れにくさのカギ

登山で登り坂を歩くときは、ただ脚力だけに頼るのではなく、正しい姿勢を保つことが重要です。特に初心者が陥りがちな「前かがみで無理に足を上げる」歩き方は、腰や背中に負担がかかりやすく、疲労の原因になります。

疲れにくく登るコツはこの3つ

1.上体をしっかり起こして、まっすぐ立つことを意識する
前傾姿勢になるとバランスを崩しやすく、背中や腰への負担が大きくなります。上体が起きていれば骨格で支えられ、効率よく前に進めます。

2.歩幅はやや小さめに
無理に大股で歩くと疲れやすくなるので、リズムよく、一定のテンポで歩くのがポイント。

3.足を置くときは、足裏全体で着地する
かかとからの着地は不安定になりやすいので、段差や傾斜の多い登山道では、足裏全体を使ってしっかり地面をとらえましょう。

よい姿勢の例

上体がまっすぐ起きており、前に出した足にしっかりと体重が乗っている。踏み込みも安定し、無駄な力を使わない。

悪い姿勢の例

上体が前に倒れて腰が曲がっている。バランスを崩しやすく、荷物が重いと腰を痛めるリスクがある。

登山の歩き方|下りは“重心の安定”が転倒防止のポイント

登りよりも難しいのが、実は下りです。傾斜があるためスピードが出やすく、足を滑らせたり、膝や腰に負担をかけてしまうケースも。下山時こそ、姿勢と重心のコントロールが大切です。

安全に下るための3つのポイント

1.腰が引けないよう、体を垂直に保つ
怖がって重心を後ろにすると、かえってバランスを崩しやすくなります。腰の位置は前すぎず後ろすぎず、真ん中に。

2.一歩一歩、足裏全体で着地する
かかとから着地するとスリップの原因に。足裏全体で地面を押しながら歩くと安定します。

3.スピードは出しすぎず、ペースを一定に保つ
小刻みに歩き、次の足を出す前にしっかり体重を移動させると、滑りにくくなります。

よい姿勢の例

上体が起きていて、足裏全体で地面をとらえている。体の軸が安定しており、安心感のある歩き方。

悪い姿勢の例

腰が引けて後傾姿勢になっている。かかとから着地しがちで、スリップの危険が高まる。

休憩の取り方|無理せずこまめに補給するのが登山のコツ

登山では「体力が残っているから大丈夫」と思っていても、水分やエネルギーは確実に消耗しています。疲れを感じる前に計画的に休憩をとることで、体力の温存と安全につながります。

効率のよい休憩サイクル

・1時間に1回、10分を目安に休憩
・歩き始める前に休憩タイミングを決めておくのがおすすめ
・水分と行動食(ナッツやチョコなど)の補給を忘れずに
・寒い時期や高所では、長時間の休憩で体が冷えるリスクもあるので注意

登山の歩き方に関するFAQ

Q. 登山靴のソールはやわらかい方が歩きやすいですか?

A. 初心者の場合は、ある程度しっかりしたソールの登山靴がおすすめです。やわらかすぎると岩場や段差で安定感に欠け、正しい歩き方を維持しにくくなるためです。

Q. 登山中、膝が痛くなるのは歩き方が悪いからですか?

A. 歩き方の影響もあります。特に下山時に膝を伸ばしたまま衝撃を受けると、膝関節に負担がかかりやすくなります。膝を軽く曲げて着地するなど、衝撃を逃がす歩き方を意識しましょう。

Q. ストック(トレッキングポール)は使った方がいい?

A. はい。登りでは体のバランスをとりやすくなり、下りでは膝への負担を軽減できます。歩き方に慣れていない初心者には特におすすめのアイテムです。

Q. 息が上がってしまうのですが、登り方が悪いのでしょうか?

A. 呼吸が乱れる原因の一つは、歩幅が大きすぎたり、ペースが速すぎることです。無理せず、小さな歩幅で一定のリズムを保つことが、疲れにくく登れるコツです。

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今回ご紹介した「登山の歩き方」の考え方も、このガイドを通じてしっかり理解できます。山に出かける前に、正しい知識を身につけておきたい方に、ぜひ手に取ってほしい一冊です。

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正しい歩き方を身につけて、安全で快適な登山を

登山の歩き方は、日常の歩行とは異なります。登りでは上体を起こし、骨格で体を支えることで疲れにくくなり、下りでは足裏全体を使ってバランスを保つことで滑りやケガを防げます。さらに、休憩や補給のタイミングも登山を安全に楽しむための大切な要素です。

歩き方を意識することで、登山の疲れやケガを軽減でき、自然の中での体験をより快適なものにできます。ぜひ次の登山から、正しい歩き方を実践してみてください。

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