初心者におすすめのトレッキングポールのブランド5選 選び方と効果もわかりやすく解説

「登山を始めてみたいけれど、体力や足腰に不安がある」「登ったはいいけれど、下山後の脚の疲労がつらい」、そんな声をよく聞きます。

そんな不安をやわらげてくれる頼りになるアイテムが、トレッキングポール(ストック)です。

この記事では、トレッキングポールが登山にもたらす効果や、失敗しない選び方、そして初心者から信頼されるおすすめモデルを精選して紹介します。

2025年6月6日 更新

トレッキングポールの効果とは?登山の疲労・不安を減らす力

登山初心者にとって、足腰への負担やバランスの不安はつきもの。そんな悩みをやわらげてくれる頼もしいアイテムがトレッキングポールです。見た目はシンプルでも、その効果は実に多面的。ここでは基本的な3つのメリットを紹介します。

1.足への衝撃や疲労をやわらげる

登山では、不整地や岩の多い道を歩くことも少なくありません。とくに下り坂では、地面からの衝撃が膝や太ももに集中し、足への負担が一気に増します。

トレッキングポールを使えば、その衝撃を腕にも分散でき、足腰へのダメージをやわらげることができます。角度のある下り坂でも、ポールが「もう一本の足」となって体を支えてくれるため、脚を痛めるリスクがぐっと減ります。

2.歩行の安定感が高まる

山道では、細い尾根やガレ場、ぬかるんだ道など、不安定な足場に出くわすことがあります。そんな時にトレッキングポールがあると、両手でも体を支えられるようになり、転倒のリスクを抑えることができます。

稜線歩きのように道幅が狭い場面や、急な傾斜が続く場所でも、ポールがあることで心に少し余裕が生まれます。万が一のバランス崩れにも対応しやすくなる、そんな安心感が得られるのも大きなポイントです。

3.推進力を高めて、登りがラクに

登りでは、どうしても足に力が入りがちですが、トレッキングポールを使えば上半身の力を活かして進むことができます。ポールを突いた位置を支点にして登っていくことで、足の負担を軽くし、疲れにくくなる効果があります。

また、砂地のように滑りやすい地面でも、ポールがしっかりとグリップしてくれることで、前に進む一歩をしっかりとサポートしてくれます。ちょっとした斜面でも安心して足を運べるようになるでしょう。

初めてでも失敗しない トレッキングポールの選び方5つのポイント

どれを選べばいいのか迷ってしまうトレッキングポール。ここでは、初めての購入でも失敗しないために押さえておきたい5つのポイントを紹介します。使用シーンや使い心地を想像しながら、自分に合った1本を見つけてみましょう。

1.一本使いか二本使いか

まずトレッキングポールを使用する場面について考えたとき、購入の選択肢に、一本使いか、二本使いか?という観点があります。

ハイキングや軽登山で少し支えになるものが欲しいという方や、機動力を重視したいという方は一本使いで良いですし、日本アルプスなど本格的な登山で使いたいという方には、二本使いをおすすめします。

一本使い(T字型):ハイキングや軽登山向き。歩行補助がメイン。

二本使い(I字型):本格登山や長距離歩行で体の負担軽減・推進力アップ。

現在はI字型の2本使いが主流。初心者でもバランスを取りやすく安心感があります。

2.素材(アルミかカーボンか)

トレッキングポールのスペックを決定づける観点です。使用する素材がアルミであれば、重量はあるものの高い耐久性が確保され、カーボン素材であれば、強い衝撃に弱いものの、アルミより軽量となっています。しかし、カーボンの方が高いです。1万円〜2万円前後ならアルミ、2万円後半〜がカーボンという選択になります。

アルミ:丈夫で価格が手頃。やや重さあり。初心者におすすめ。

カーボン:軽量で疲れにくいが、価格はやや高め。中〜上級者向き。

3.収納方式(テレスコーピング式か折りたたみ式)

収納方法についてはかなりのバリエーションがあります。この観点を詳細に見ていくと、なかなか決めきれないので、初心者の方は大きく以下の点を考慮しておくと良いでしょう。

テレスコーピング式:長さ調節がしやすく、頑丈。扱いやすさ重視。

折りたたみ式:収納性が高く、軽量。携帯性を重視したい人向け。

4.グリップ形状(I字かT字か)

トレッキングポールを握る形状の違いです。負担軽減や歩行性の観点から、どちらも一長一短がありますが、近年はI字が主流になってきています。

T字型:体重をかけやすく、休憩時に便利。

I字型:推進力を活かす歩行スタイルに最適。登り下りどちらにも対応。

5.サイズ

トレッキングポールの長さは、「身長×0.63」が基本の目安とされています。これは、地面に突いたときに肘が自然に90度程度に曲がる長さで、最も体に負担がかかりにくいとされています。

実際に選ぶ際は、この計算で導き出した数値に対して、±5cmほどの調整幅があるモデルを選ぶと安心です。登りや下りで長さを変えることもあるため、少し余裕を持っておくと、より快適に使えます。

使用シーンと登山経験別でのトレッキングポールの選び方

トレッキングポールは、登山スタイルや経験によって適したタイプが異なります。ここでは、使用シーンや登山経験に応じた選び方を整理しました。自分の登山に合うタイプを見つける参考にしてみてください。

登山初心者の場合

おすすめ本数:2本
素材:アルミ
収納方式:テレスコーピング
グリップ形状:I字型

バランスのとれた仕様で、価格も1万円台が中心。安定性と扱いやすさの両立を重視したい方に最適。まずは基本を押さえた1本から始めたい人におすすめです。

軽登山のみの場合

おすすめ本数:1本
素材:アルミ
収納方式:テレスコーピング
グリップ形状:T字型

ハイキング感覚で使える手軽さが魅力。T字型で休憩時の支えにもなり、1本だけで済むので荷物を減らしたい人にも向いています。

登山中級者の場合

おすすめ本数:2本
素材:カーボン
収納方式:折りたたみ式
グリップ形状:I字型

軽量・コンパクトさに優れたカーボン製。長距離縦走や標高差のある山行など、装備を軽くしたい登山スタイルにぴったり。収納性を重視する方におすすめです。

テント泊登山の場合

おすすめ本数:2本
素材:カーボン+アルミ
収納方式:折りたたみ式
グリップ形状:I字型

強度と軽さのバランスに優れ、ツェルトやテントの支柱としても兼用可能。装備に多用途性を求める本格志向の登山者に適しています。

信頼できるおすすめのトレッキングポールブランド5選

選び方のポイントがわかってきたら、次は具体的な製品選びへ。ここでは、初心者でも扱いやすく信頼できる、トレッキングポールの人気ブランドを厳選して紹介します。

1. MAGIC MOUNTAIN(マジックマウンテン)|手頃で信頼感のある国内ブランド


画像:Amazon

アウトドアショップでよく見かける「MAGIC MOUNTAIN(マジックマウンテン)」。名前だけ聞くと海外ブランドのようですが、実は30年以上の歴史を持つ国内ブランドです。トレッキングポールやワカン、防水マットなど、痒いところに手が届く製品が揃っており、日本人の使い方に寄り添った製品設計が魅力。初めての一本に選ばれることも多い、安心感のあるブランドです。

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2.karrimor(カリマー)|コスパに優れたイギリスの老舗


画像:Amazon

イギリスの老舗アウトドアブランド「karrimor(カリマー)」は、70年以上の歴史を持つ信頼のメーカー。元々はリュックブランドとしてスタートし、今ではアウトドア用品全般を手がけています。シンプルで扱いやすいデザインと、手頃な価格帯のトレッキングポールが揃っており、登山初心者にとっても選びやすいブランドです。

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3.SINANO(シナノ)|日本人に合わせた安心の設計


画像:Amazon

国産の老舗ポールメーカー「SINANO(シナノ)」は、もともとスキーストックの生産からスタートし、今では登山やトレイルランまで多彩なポールを展開しています。日本人の体格や歩行感覚に合わせた設計が特徴で、扱いやすさと耐久性を兼ね備えたモデルが多いのが魅力。国産品質を求める方におすすめです。

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4.Black Diamond(ブラックダイヤモンド)|バランスに優れた海外ブランド


画像:Amazon

アメリカ発の「Black Diamond(ブラックダイヤモンド)」は、クライミング・登山ギアで世界的に評価されているブランド。軽さ・耐久性・グリップ性能のバランスに優れたモデルが揃っており、初心者から上級者まで幅広く支持されています。やや価格は上がりますが、信頼できる1本を長く使いたい方に向いています。

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5. LEKI(レキ)|本格派のポール専業ブランド


画像:Amazon

1948年創業のドイツの老舗「LEKI(レキ)」は、スキーや登山用のポールに特化した世界的ブランドです。独自のロック機構や衝撃吸収システムなど、高機能モデルが豊富で、ハードな登山にも対応できる信頼性の高さが特徴です。やや上級者向けですが、長期的な使用やハイエンド志向の方にはおすすめです。

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トレッキングポール使用時の注意点 安全に使うために知っておきたいこと

トレッキングポールは便利な道具ですが、使い方を間違えると、かえってバランスを崩したり、ケガにつながる可能性もあります。安心して登山を楽しむために、基本的な使い方のコツや注意点を押さえておきましょう。

ポールを突く位置に注意する

・突く位置は「斜め前方」が基本。
・体の真下ではバランスを崩しやすく、前すぎると腕が疲れやすくなります。

無理な場所では使用を控える

・岩場、はしご、鎖場など、足場が不安定な場所ではポールをしまう判断も大切です。
・無理に使おうとすると、かえって転倒リスクが高まります。

ストラップを正しく使う

・ストラップは手首に正しく通すことで、腕全体の力を効率よく使えます。
・滑落時の落下防止にもつながるため、必ず装着して使いましょう。

長さはこまめに調整する

・基本の長さは「肘が90度に曲がる位置」が目安。
・登りではやや短く、下りではやや長くすることで、負担を軽減できます。

トレッキングポールのメンテナンスと買い換えサイン

登山の相棒として頼れるトレッキングポールも、日々の手入れが欠かせません。長く安全に使い続けるために、基本的なメンテナンス方法と、買い替えのサインを押さえておきましょう。

使用後のメンテナンス方法

乾かすことが最優先

使用後は必ずポールを伸ばした状態で風通しのよい場所に置き、内部の湿気をしっかり飛ばしましょう。雨の日や澤沿いを歩いた後は特に要注意です。

ジョイント部分の汚れを落とす

ポールの接続部には砂や泥が入りやすいため、柔らかい帆やブラシで仕上げるように清掃するのがポイントです。

ストラップやグリップも清掃

汗や皮脂がつきやすいため、安全・清潔のためにも清掃は大切です。

こんなときは買い換えを検討

トレッキングポールは長く使える道具ですが、以下のような症状が出た場合は買い換えや修理のサインです。

・ロック機構が粗くて長さが固定できない
・シャフトにひびわれやへんけいが見られる
・ジョイント部分が固着して伸縮できない
・ストラップが切れかけている
・グリップが劣化してすべりやすくなっている

不安を感じながら使うのは危険です。安心して登山を楽しむためにも、適切なメンテナンスと定期的なチェックを心がけましょう。

よくある質問(FAQ)

トレッキングポールの購入や使用にあたって、初心者の方からよく寄せられる疑問をまとめました。気になるポイントを事前に解消して、安心して山歩きを楽しみましょう。

Q. 「トレッキングポール」と「ストック」に違いはありますか?

A. 基本的には同じものを指しており、呼び方の違いにすぎません。日本では「ストック」と呼ばれることが多く、英語圏では「トレッキングポール」が一般的です。製品名や表記はブランドごとに異なることもあります。

Q. 初心者でもすぐに使いこなせますか?

A. はい、大丈夫です。歩行のリズムに合わせてポールを突くだけなので、特別な技術は必要ありません。身長に合った長さに調整して使えば、すぐに自然な感覚で使えるようになります。

Q. 腕が疲れることはありませんか?

A. 正しい持ち方やストラップの使い方を覚えれば、腕が疲れることはほとんどありません。むしろ、腕の力をうまく使って足の負担を軽減できるため、体全体の疲れが軽く感じられるようになります。

Q. どんな登山シーンで使うのがベスト?

A. 急な登りや長い下り坂、不安定な足場(ぬかるみ・ガレ場・岩場)などで特に効果を発揮します。また、荷物が重くなるテント泊登山や長距離縦走でも、体力の消耗を抑えてくれる頼もしい存在です。

トレッキングポールがあるだけで、山歩きの安心感が変わる

登山では、足腰の負担を減らし、安全と余裕を生む装備が何より大切です。トレッキングポールは、単なる補助器具ではなく、山歩きを快適にしてくれる心強いパートナー。トレッキングポールの有無で翌日の疲れや膝への負担が大きく変わります。立ち止まって景色を楽しむ余裕も、ポールがあるからこそ生まれるものです。

ぜひ、自分に合った1本を見つけて、山の世界をもっと自由に、もっと安心して歩いてみてください。

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