唐松岳登山で北アルプスの絶景体験 五竜岳への縦走もおすすめ

北アルプスの入門コースとして人気を集める「唐松岳(からまつだけ、標高2,696m)」。長野県白馬村の麓から、ゴンドラとリフトを乗り継ぎ、標高1,830mの八方池山荘まで一気にアクセスできるため、登山初心者にも安心して楽しめるのが魅力です。
唐松岳登山では、鏡のように山々を映す八方池や、後立山(うしろたてやま)連峰の雄大な景色が広がり、道中には高山植物の可憐な花々も見どころのひとつ。“天空の稜線”を歩く爽快感と、山頂から望む大パノラマに、きっと心が動かされるはず。
北アルプスらしい絶景と静けさに包まれる、感動の唐松岳登山へ、ぜひ出かけてみてください。
目次
北アルプス入門にぴったりの唐松岳登山 コースの魅力とは

北アルプス入門としておすすめしたい唐松岳
「唐松岳(2,696m)」は、長野県白馬村に位置する北アルプスの名峰です。登山口は「八方尾根スキー場」内にあり、ゴンドラとリフトを乗り継げば、標高約1,830mの「八方池山荘」まで一気にアクセス可能。アプローチが容易で、高低差を効率的にクリアできることから、唐松岳登山は初心者にも人気があります。
北アルプスの雄大な景色を気軽に楽しめる絶好のコースとして、「アルプス登山の登竜門」とも呼ばれ、多くの登山者に親しまれてきました。
唐松岳登山のアクセス情報 ゴンドラとリフトでらくらく登山口へ

黒菱駐車場から登山口までは徒歩で約20〜30分
松岳登山は、アクセスのしやすさも人気の理由のひとつ。公共交通機関でもマイカーでも、比較的スムーズに登山口へ到着できるため、日帰りでの計画も立てやすくなっています。
公共交通機関でのアクセス
JR白馬駅からは、八方尾根の登山拠点となる「八方ゴンドラリフト乗り場(八方駅)」まで、バスまたはタクシーで約10分。ゴンドラ「アダム」、アルペンクワッドリフト、グラートクワッドリフトの3つを乗り継ぎ、標高1,830mの八方池山荘までアクセス可能。体力を温存しながら唐松岳登山をスタートできます。
車でのアクセス
マイカー利用の場合は、黒菱(くろびし)林道を経由して「黒菱平(標高約1,500m)」まで車で上がることができます。黒菱平駐車場は約200台収容可能で、無料で利用できます。黒菱林道7月初旬から11月初旬までの約4ヶ月のみ開通なので注意が必要です。
駐車場からは徒歩で八方池山荘まで約20〜30分、または「黒菱第3ペアリフト」「グラートクワッドリフト」を乗り継げば、さらにスムーズに登山開始地点まで到達可能です。混雑する時期は早朝の利用がおすすめです。
唐松岳登山で出会う絶景 稜線から広がる大パノラマ

八方池山荘から登山開始 画像:photoAC
唐松岳登山コースは、スタートの八方池山荘から心地よい稜線歩きが続きます。最初の見どころは八方池。風のない日は、湖面に白馬三山が映る美しいリフレクションに出会えることもあります。その先は岩がちな道もありますが、特別歩きにくい印象はありません。
標高が上がるにつれて、眺望はいっそう雄大に。唐松岳山荘を過ぎると、剱岳や槍ヶ岳を望む絶景が広がります。山荘から山頂までは、ごつごつした岩場の登り。ほどよい達成感を味わえるフィナーレです。時間と体力に余裕があれば、その先の五竜岳まで縦走するのもおすすめ。より本格的な縦走登山の世界が味わえます。
コースタイム:八方池山荘→(約1時間5分)→八方池→ (約55分)→扇雪渓→(約1時間10分)→唐松岳山荘→(約25分)→唐松岳山頂→(約3時間30分)→五竜岳山頂
※唐松岳だけであれば、日帰り登山も可能な行程です。山荘に宿泊すれば、より余裕のあるペースで楽しめます。
八方池山荘から始まる稜線の旅 北アルプスを見晴らしながら歩く

山並みの向こうには日本最高峰・富士山の姿も
八方池山荘から唐松岳登山をスタートすると、はじめは整備された木道や石畳のコース。高山植物が咲き誇るなだらかな稜線を歩きながら、北アルプスを正面に望む爽やかな山歩きが楽しめます。空気も澄んでいて、八ヶ岳(やつがたけ)や富士山(標高3,776m)まで見渡せることもあり、登り始めから心を掴まれるような絶景が広がります。

圧倒的な存在感を放つ五竜岳と鹿島槍ヶ岳を一望
登山道は道幅も広く、道標も整っているため、唐松岳登山が初めての方でも安心して歩けるルートです。木道の途中に点在するケルン(石積み)やベンチで小休憩を取りながら、自分のペースで進めるのも魅力。標高が徐々に上がるにつれ、五竜岳(ごりゅうだけ、標高2,814m)や鹿島槍ヶ岳(かしまやりがたけ、標高2,889m)など、後立山連峰の迫力ある眺めが視界いっぱいに広がっていきます。

雲の上を歩いているような気分になれる前半の道のり
足元には可憐な高山植物が咲き、谷から吹き上げる涼風が心地よく、歩を進めるたびに気持ちが軽くなっていくような感覚に。唐松岳登山の前半は、登山というより“雲の上の散策”と呼びたくなるような穏やかな道のりです。
白馬三山が映る八方池 静けさに包まれた神秘の絶景

水面に映し出される「白馬鑓ヶ岳(はくばやりがたけ、標高2,903m)」
唐松岳登山の前半で最大の見どころとなるのが、標高約2,060mに位置する「八方池」。風のない日には、水面に白馬三山がくっきりと映り込む“逆さ白馬”が現れ、写真愛好家たちの人気撮影スポットとなっています。

標高2,000m〜3,000mの山々に抱かれるように佇む八方池
池のまわりには木道やベンチが整備されており、ハイキング気分で訪れる観光客の姿も多く見られます。唐松岳を目指す登山者はもちろん、30分〜1時間半ほどでアクセスできることから、初心者やファミリーにもおすすめの絶景ポイント。時期によってはリンドウやハクサンシャジンなどの高山植物が咲き誇り、まるで天空の庭園のような風景が広がります。

正面には天狗ノ頭(標高2,812m)を中心とする山並みを一望
朝の時間帯には池に霧が立ちこめ、幻想的な雰囲気に包まれることも。一方、晴天時には鏡のような水面が白馬連峰を映し出し、青空と相まって息をのむような絶景が広がります。唐松岳登山の魅力を象徴する神秘的な景色として、多くの登山者を惹きつけてやみません。
岩場と雪渓が彩る後半ルート 高山らしい風景の中を進む

光を浴びて、神々しくなびくチングルマの穂
八方池を過ぎると、いよいよ本格的な登山道に突入。足元にはゴロゴロとした岩が現れ、斜面も徐々に急になっていきます。とはいえ道はよく整備されており、唐松岳登山が初めてという人でも、慎重に進めば安心して歩けるルートです。夏でも雪渓が残っていることがあり、唐松岳ならではの非日常的な風景が次々と現れ、日常を忘れさせてくれます。

ケルンを越えると、一段と標高差を感じられる高山の世界へ
「丸山ケルン」を過ぎたあたりからは、視界が一気に広がり、景色がぐっとダイナミックに。振り返れば歩いてきた八方尾根と白馬村が眼下に広がり、左手には五竜岳、正面には白馬鑓ヶ岳(はくばやりがたけ、標高2,903m)の堂々たる姿が。アルプスらしい迫力に包まれながら、唐松岳登山の醍醐味を全身で味わえる瞬間です。

白馬鑓ヶ岳の横に、日本百名山の一つ「白馬岳(しろうまだけ、標高2,932m)」が顔を出す
花崗岩の白と、高山植物の緑、そして抜けるような青空が織りなす色彩のコントラストは見事で、まるで絵画の中を歩いているような錯覚すら覚えます。運が良ければ、小さなライチョウとの出会いも。自然との偶然のふれあいも、唐松岳登山の魅力のひとつです。
少しずつ足を進めながら、雲の上へ、空の近くへと登っていくような感覚に包まれていく、そんな豊かな時間がここには流れています。
唐松岳の山頂へ 剱岳や立山を望む大パノラマの世界

切り立った稜線が印象的な、後館山連峰の象徴・剱岳
唐松岳頂上山荘を通過すると、いよいよ山頂までラストスパート。20分ほど岩場を登れば、標高2,696mの唐松岳山頂に到着します。目の前に広がるのは、まさに北アルプスの主稜線を体感できるような絶景。剱岳や立山、後立山連峰の壮麗な山並みが、息をのむほどの迫力で迫ってきます。唐松岳登山のクライマックスにふさわしい風景です。

遥か遠くの稜線まで見渡せる、感動の大パノラマ
振り返れば、歩いてきた八方尾根、白馬三山、そして遥か遠くには槍ヶ岳(標高3,180m)の姿も。晴れた日には西の彼方に日本海や能登半島まで見渡せることもあり、360度の大パノラマに心を奪われます。
風が強くなることも多いため長居は難しいものの、唐松岳登山を締めくくるこの達成感と絶景の余韻は、きっと忘れられないものになるはずです。

白馬三山と、空へと立ち昇る雲の競演
空の青さがぐっと深まり、連なる山の稜線にただただ見惚れる時間。ふと気がつけば、夢中でシャッターを切り、時の流れを忘れてしまっている。そんな静かで特別なひとときが、唐松岳登山の魅力をいっそう際立たせてくれます。
唐松岳頂上山荘で過ごす山の時間 夕焼けと星空に癒されて

山の上でも快適に、非日常な時間を過ごせる唐松岳頂上山荘
唐松岳山頂のすぐ手前、標高2,620mに建つ「唐松岳頂上山荘」は、後立山縦走の拠点としても人気の山小屋。唐松岳登山をゆったりと楽しみたい人には、宿泊を伴うプランがおすすめです。
個室や食事の提供もあり、山の中とは思えないほど快適な滞在が可能。丁寧に作られた料理は、登山の疲れを癒し、翌日への活力をしっかりとチャージしてくれます。

夕暮れに染まる景色が心を満たしてくれる 画像:photoAC
夕暮れどきには、剱岳がオレンジ色に染まる夕焼けや、朝焼けのモルゲンロートを眺めながら、静かな時間を過ごすことができます。デッキで刻一刻と移ろう景色を楽しんだり、夜は満天の星空の下で深呼吸するだけでも、特別な時間に。
唐松岳登山ならではの体験をさらに豊かにしてくれる山小屋泊。混雑するシーズンは予約が取りにくいため、早めの手配がおすすめです。
五竜岳をめざす縦走ルート 岩稜帯を歩くダイナミックな冒険

ヒリヒリするような唐松岳〜五竜岳の難所「牛首」
唐松岳登山の先に待つもうひとつの魅力が、五竜岳への縦走ルートです。唐松岳から五竜岳へと続く稜線は、岩稜帯を含む中〜上級者向けのコース。特に「牛首」と呼ばれる細い岩場の通過はスリリングですが、鎖やステップが整備されているため、慎重に進めば問題ありません。2〜3時間で五竜山荘に到着できるため、もう1泊を加えた行程でじっくりと楽しむのが一般的です。

スケールの大きい稜線歩きは北アルプス縦走の醍醐味
縦走中は、標高2,000〜2,800m級の山々が連なる尾根道をひたすらに歩きます。風や天候の変化にも気を配りながら、どこまでも続く空と岩の世界を感じられるのがこのルートの魅力。唐松岳登山をさらに深く楽しみたい人にとって、ぴったりのチャレンジコースです。歩を進めるごとに景色が変わり、そのたびに心が動かされるような時間が流れていきます。
登山経験と体力に自信があるなら、唐松岳登山の先へと足を伸ばして、北アルプス縦走の世界に一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。
登山初心者にもおすすめ 唐松岳で北アルプスの自然を満喫

唐松岳へ登れば、北アルプスの世界にきっとハマるはず
唐松岳は、ゴンドラとリフトを活用して標高1,800m超まで一気にアクセスできる、北アルプス入門にぴったりの山。整備された登山道、美しく澄んだ八方池、そして圧倒されるような大展望。唐松岳登山は、気軽さと本格的な山の魅力を両立できる貴重なルートです。
登山初心者には日帰りハイクで、北アルプスの壮大な自然に触れることができ、中級者や経験者には、五竜岳までの縦走というステップアップの楽しみも。レベルに応じて多彩なプランが描けるのも、唐松岳登山の大きな魅力です。
標高を上げるにつれて、風のにおいや空気の澄み方、そして眼前に広がる稜線との距離感がぐっと変わっていく。唐松岳登山は、自然との距離が一気に縮まるような体験を与えてくれます。
自分の足で“天空のトレイル”を歩く喜びを、ぜひ味わってみてください。

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