天城山登山ガイド 万二郎岳・万三郎岳の周回コースと難易度・アクセス

伊豆半島の中央に連なる天城山は、最高峰の万三郎岳(1,406m)や万二郎岳(1,299m)などからなる日本百名山です。

この記事では、天城高原から万二郎岳・万三郎岳をめぐる周回コース「天城シャクナゲコース」を中心に、アクセス、難易度、歩行時間、ルートの見どころと注意点を紹介します。

2026年10月7日 更新

天城山とは 伊豆半島の最高峰・万三郎岳を含む日本百名山

 
伊豆半島の屋根を形成する「天城山」

天城山は、伊豆半島を南北に分ける天城連山の総称です。「天城山」という名前の峰があるわけではなく、最高峰の万三郎岳(ばんざぶろうだけ)や万二郎岳(ばんじろうだけ)などの峰をまとめて天城山と呼んでいます。

山域の多くはブナなどの自然林に覆われ、登山道ではヒメシャラやアセビなど、区間によって変わる森の景観を楽しめます。

アマギシャクナゲやツツジ、秋の紅葉も見どころ

 
新緑に包まれて、森の妖精のように咲くアマギシャクナゲ

5月から7月にかけては花の季節です。アマギシャクナゲは5月中旬から6月上旬ごろに見ごろを迎え、石楠立付近から万三郎岳にかけての登りや、万三郎岳下分岐からの階段付近などで見られます。


6月下旬ころからはアマギツツジが見ごろに

四辻から万二郎岳にかけては、5月ごろにトウゴクミツバツツジ、6月下旬から7月上旬にはアマギツツジが咲きます。

11月ごろには紅葉の時期を迎えます。花や紅葉の時期はその年の気温などによって前後するため、目的にして登る場合は出発前に最新情報を確認しましょう。

冬は積雪や凍結が起こることがあります。道路・登山道の状況を事前に確認し、状況に対応できる装備と経験があるかを含めて計画してください。

天城山へのアクセス 車・バスで天城高原へ


豊かな自然林の縦走コース

天城シャクナゲコースの起点・終点は天城高原です。車の場合はハイカー専用駐車場、公共交通では伊東駅からバスを利用します。

遅い時間からの入山は控えるよう案内されているため、交通手段とあわせて、歩き始められる時刻も確認しておきましょう。

車の場合 天城高原のハイカー専用駐車場を利用する

車の場合は、東名高速道路・沼津ICからスタート地点まで約43kmです。

登山者は、天城高原のハイカー専用駐車場(無料)を利用します。近くにある天城高原ゴルフコースの駐車場はゴルフ場利用者専用です。ハイカー専用駐車場では、区画線の内側に停めるなどマナーを守って利用しましょう。

冬は天城高原周辺で積雪や路面凍結が起こることがあります。車で向かう場合は、出発前に道路状況を確認してください。


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電車・バスの場合 伊東駅から天城縦走登山口へ

公共交通では、JR伊東線・伊豆急行線の伊東駅から、東海バスの「伊豆天城リゾートシャトルバス」(天城高原ゴルフ場行き)に乗り、天城縦走登山口で降ります。

現在の時刻表では、朝の始発便は天城縦走登山口に8時50分着、帰りの最終便は16時45分発です。15時20分発の便もありますが、土曜日と一部の期間のみ運行される増発便です。

天城シャクナゲコースでは、季節ごとに次の時刻以降は入山を控えるよう案内されています。

時期 この時刻以降の入山は控える
3・4月 午前9時
5〜7月 午前10時
8月 午前9時30分
9・10月 午前8時30分
11〜2月 午前8時

始発便の到着時刻と比べると、5〜8月は案内されている時刻より前に到着します。3・4月は午前9時の直前、9〜2月は案内されている時刻より遅い到着となります。

バスを使う場合は、歩き始める時刻だけでなく、歩行時間と休憩を見込み、最終便までに余裕を持って戻れるかも含めて計画しましょう。

時刻表はダイヤ改正で変わることがあります。冬季は積雪などによって運行状況が変わる可能性もあるため、出発前に東海バスの公式サイトで最新情報を確認してください。

天城シャクナゲコースの概要とルート


伊豆の最高峰天城山の全景。左のピークが万二郎岳、中央が馬の背、右のピークが万三郎岳。

天城シャクナゲコースは、天城高原から四辻へ進み、万二郎岳、万三郎岳を越え、涸沢分岐を経て起点へ戻る日帰りの周回コースです。

ルートの全体像は次のとおりです。

天城高原 → 四辻 → 万二郎岳 → 馬の背 → 石楠立(はなだて) → 万三郎岳 → 万三郎岳下分岐 → 涸沢分岐 → 四辻 → 天城高原

コースデータ

コース難易度 中級
山行日数 日帰り
歩行時間 5時間15分
歩行距離 8km
最大高低差 366m
起点・終点 天城高原(天城縦走登山口)
水場 なし
トイレ 天城高原駐車場

歩行時間は歩いている時間の目安です。休憩や写真撮影などの時間は別に見込んでおきましょう。
最大高低差は、コース中の最も高い地点と低い地点との差で、登り下りの合計ではありません。実際のコースではアップダウンを繰り返します。

気をつけたいポイント

天城シャクナゲコースには、岩場や急斜面、長い階段など、足元に注意したい区間があります。

・万二郎岳の前後:岩の多いジグザグの登りと急斜面の下り
・馬の背から石楠立:荒れた急な下りと岩場のハシゴ
・万三郎岳下分岐から涸沢分岐:500段余りの木の階段
・涸沢分岐から四辻:左側が切れ落ちた道幅の狭い巻き道

また、天城シャクナゲコースでは、道迷いなどの遭難事例が多く起きています。分岐では道標と登山地図を見比べ、現在地と進む方向を確認しながら歩きましょう。

天城高原から四辻を経て万二郎岳へ

天城縦走登山口の案内板を確認して登山道に入ります。杉や檜の林の中を20分ほど歩くと、四辻(万二郎岳登山口)の三差路に着きます。四辻は周回の分岐点で、帰りもここに戻ってきます。今回は万二郎岳方面へ進みます。

四辻から先は、ブナやヒメシャラが目立つ自然林の中を歩きます。5月ごろにはトウゴクミツバツツジ、6月下旬から7月上旬にはアマギツツジが見られる区間です。

万二郎岳の山頂が近づくと、少し急になったジグザグの岩の多い道を登ります。

万二郎岳から馬の背・石楠立を経て万三郎岳へ

 
駿河湾と富士山のパノラマを眺める稜線の道

万二郎岳からは、岩場の多い急斜面を下ります。途中の展望が開けた岩場からは、東伊豆から南伊豆へ延びる海岸線や、これから歩く馬の背、万三郎岳を望めます。晴れていれば北側に富士山も見えます。

 
万二郎岳の山頂からのぞむ南伊豆方面

岩場から下って登り返すと馬の背です。馬の背では、長いアセビのトンネルの中を歩きます。トンネルを抜けると、荒れた急な下りが始まります。岩場にはハシゴがかかる場所もあるため、一歩ずつ足場を確かめながら下りましょう。

下りきった場所が石楠立です。このあたりからアマギシャクナゲの群落が始まり、花の時期には、シャクナゲの間を縫うように万三郎岳への登りが続きます。

登りきると、伊豆半島の最高峰・万三郎岳(1,406m)の山頂です。山頂の案内看板の前には、一等三角点があります。

万三郎岳から長い階段を下って涸沢分岐へ

 
苔むした岩が転がる原生の自然の風景

万三郎岳の山頂から小岳方面へ5分ほど歩くと、万三郎岳下分岐に着きます。左は小岳を経て天城縦走路へ続く道です。天城シャクナゲコースは右へ進み、涸沢分岐方面へ下ります。周回に戻る大事な分岐なので、進む方向を道標と地図で確認しましょう。

分岐の先は、500段余りの長い木の階段の下りです。歩幅を小さくして、段差を一段ずつ確かめながら下りましょう。この階段の付近でもアマギシャクナゲが見られます。

長い階段を過ぎると、ヒメシャラとブナの林に変わり、道も緩やかになって涸沢分岐に着きます。

万三郎岳の裾を巻いて四辻・天城高原へ戻る

 
薄ピンク色の花が可愛らしいアマギシャクナゲ

涸沢分岐からは、万三郎岳の裾を巻くように、緩やかな登り下りを繰り返します。左側が切れ落ちた斜面で道幅が狭く、岩場も多いため、コースの中でも特に慎重に歩きたい区間です。滑りやすい岩に足を乗せないよう、足の置き場を選びながら進みましょう。この巻き道でもアマギシャクナゲが見られます。

道なりに進むと101石柱を過ぎ、行きに通った四辻に戻ります。四辻から左へ進み、杉・檜の林を抜けて天城縦走登山口へ戻ればゴールです。

登山前にヤマチズでルートを確認

天城シャクナゲコースには、四辻や万三郎岳下分岐、涸沢分岐など複数の分岐があります。出発前にルートを確認し、山中でも現在地と進む方向を確かめながら歩きましょう。

登山地図アプリ「ヤマチズ」では、山と高原地図の登山道やコースタイムをスマートフォンで確認できます。地図をあらかじめダウンロードしておけば、電波の届かない場所でもGPSで現在地を確認できます。登山計画を作成して、各地点の通過予想時刻を確認することもできます。

スマートフォンの電池切れなどに備え、モバイルバッテリーや紙の地図も準備しておきましょう。

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天城山登山に関するよくある質問

最後に、天城山の登山を計画するときによくある疑問をまとめます。

Q. 天城シャクナゲコースはどちら回りで歩けばよいですか?

A. 四辻から先は周回コースなので、どちら回りでも歩けます。この記事で紹介した順では、万二郎岳から万三郎岳へ進み、500段余りの階段を下りで通ります。反対回りでは、この階段や石楠立から馬の背にかけての岩場を登りで通ることになります。

Q. 天城山から富士山は見えますか?

A. 天気がよければ、万二郎岳から万三郎岳へ向かう途中の展望が開けた岩場から富士山を望めます。ただし、コースの多くは樹林の中です。

Q. 万三郎岳から八丁池や天城峠まで歩くことはできますか?

A. 万三郎岳下分岐を左へ進むと、小岳を経て天城縦走路に入り、八丁池方面から天城峠へ歩くことができます。
天城縦走登山口から天城峠までのコースは、中級・日帰りで、歩行時間7時間50分、歩行距離15.6kmです。起点と終点が異なるため、帰りの交通手段も含めて計画してください。

詳しくは「天城縦走登山口から天城峠へ(天城縦走路)」を確認してください。

天城山登山はルートと時間を確認して余裕のある計画を


万二郎岳下の岩場より、馬の背、万三郎岳、小岳を望む

天城シャクナゲコースは、万二郎岳・万三郎岳をめぐる中級の周回コースで、歩行時間は5時間15分、距離は8kmです。

岩場や長い階段、道迷いに注意したい分岐もあるため、交通手段と歩き始める時刻を確認し、時間に余裕を持って計画しましょう。

1993年生まれ、愛知県豊田市出身。同志社大学文学部を卒業後、商社やメーカーで営業職を経験。2019年より複業でトラベルライターとしての活動を始めた後、2021年には本業も旅行業界へ転身し、国内OTAで宿泊施設の集客支援に従事。2025年からは、会社員としては旅行業界から離れ、SaaSスタートアップ企業へ転職。フルリモート勤務を行いながら、フリーランスのトラベルライティング事業を手がけ、地元愛知の製造業支援 × 観光・アウトドアコンテンツ制作という2軸で、地方創生に取り組んでいる。執筆記事は3,000本以上にのぼる。地方の魅力に光を当てながら、「旅をきっかけに人生が少し豊かになる体験」を発信。登山、自転車旅、秘湯巡り、島旅が趣味で、毎年の北海道旅行を家族の恒例行事にしている。note:https://note.com/yuhei_tonosho
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