奈良の日帰り登山・山歩きスポット7選 初心者向けの日本百名山から夜景スポットまで

自然の豊かさと歴史の深さが魅力の奈良県には、個性あふれる名山が点在しています。春の桜、秋のススキ、冬の樹氷など、日帰りで四季折々の景観が楽しめるのも魅力のひとつ。

今回は、初心者から上級者まで楽しめる奈良のおすすめ登山スポットを7座を厳選してご紹介。日本百名山から、絶景夜景が楽しめる山まで、歩いて感じる奈良の自然と歴史の魅力をお届けします。

2025年7月14日 更新

生駒山 アクセス良好&夜景が絶品、関西の定番日帰り登山スポット


のんびりと自然に癒される初夏の生駒山

奈良県と大阪府の県境に位置する「生駒山(いこまやま)」は、標高642mの低山ながら、豊かな自然とアクセスの良さで多くの人に親しまれています。

登山ルートは複数あり、ハイキング気分で楽しめる宝山寺(ほうざんじ)ルートや、タタラ山を経由する摂河泉ハイキングコースなどに加えて、ケーブルカーを利用して山頂を目指す方法も。山頂には遊園地や展望台が整備されており、家族連れにも人気です。


生駒山から眺める夜景の美しさは全国屈指

生駒山の最大の魅力は、標高こそ高くないものの、関西屈指の夜景スポットであること。大阪平野や奈良盆地を一望でき、夕暮れから夜にかけては街の灯りがきらめくロマンチックな風景が広がります。

また、四季を通じて多彩な表情を見せる山でもあり、春は桜、秋は紅葉といった自然の彩りも楽しめます。街のすぐそばで非日常を味わえる、奈良の魅力が詰まった一座です。

コースタイム:近鉄生駒駅→(約25分)→宝山寺駅→(約5分)→宝山寺→(約50分)→生駒山

金剛山 日帰りで自然を楽しむ関西のホームマウンテン


ライブカメラに映り込むのが人気な金剛山山頂

大阪府と奈良県の県境にそびえる、標高1,125mの「金剛山(こんごうさん)」は、関西で根強い人気を誇る登山の定番スポット。南海電鉄・河内長野(かわちながの)駅からバスでアクセスできる利便性に加え、四季折々の自然を楽しめることから、年間を通して多くの登山者が訪れます。

なかでもユニークなのが、山頂に設置されたライブカメラ。10分ごとに更新される映像が「金剛山錬成会」の公式サイトに掲載されており、自分の登頂姿が映るのを励みにして、毎日のように登る“常連登山者”もいるほどです。


冬には霧氷(むひょう)の絶景を楽しむ、雪山登山入門におすすめ

登山コースも多彩で、初心者にやさしい千早本道や、健脚向けの太尾尾根、ダイヤモンドトレールを含む周回ルートなど、レベルや気分に合わせて選べるのも嬉しいポイント。

季節ごとの美しさと多彩なルート、そして気軽さが揃った金剛山は、多くの関西人にとってまさに“ホームマウンテン”と呼びたくなるような存在です。

コースタイム:金剛登山口→(約5分)→千早本道登山口→(約1時間40分)→金剛山山頂

吉野山 日帰り登山でふれる古都の風情と文化の山旅


花矢倉展望台から眺めた金峯山寺と吉野山の桜

日本を代表する桜の名所「吉野山(よしのやま)」。春になると山全体が桜に包まれ、その絶景を目当てに全国から多くの人が訪れます。山頂を目指す登山というよりは、中腹あたりをゆっくりと歩きながら、観光や散策を楽しむスタイルが主流。

吉野山一帯は世界遺産にも登録されていて、修験道(しゅげんどう)の総本山として知られる金峯山寺(きんぷせんじ)がその中心にあります。平安の歌人・西行もこの地に心を寄せ、桜とともに多くの歌を残しました。


パッチワークのように山肌を彩る下千本の桜

中でも春の「下千本」「中千本」「上千本」と順に咲き進む桜のグラデーションは圧巻で、まさに“花の吉野”と呼ぶにふさわしい絶景です。

ハイキングの定番ルートは、吉野駅から中千本公園、金峯山寺、吉水神社をめぐる道。桜の時期はもちろん、秋には紅葉、歴史的建物や信仰の名残をたどる楽しみもあり、歴史好きにもおすすめです。

コースタイム:吉野山ロープウェイ・吉野駅→(約40分)→金峯山寺→(約45分)→花矢倉展望台

大台ヶ原山 スリルと絶景が味わえる、大蛇嵓をめざす日帰り登山


立ち枯れと笹原が広がる、どこか幻想的な大台ヶ原山

大台ヶ原山は、奈良県と三重県にまたがる標高1,695mの山で、日本百名山のひとつ。高原状の地形を生かした一周ルートが整備されており、登山というよりハイキング感覚で楽しめるのが特徴です。

人気のルートでは、起点となる大台ヶ原ビジターセンターから東大台エリアをぐるりと巡り、山頂の日出ヶ岳(ひのでがたけ)からは360度の大パノラマが広がります。


緑の峰々に抱かれるような、断崖絶壁の大蛇嵓

中でも圧巻の絶景スポットが大蛇嵓(だいじゃぐら)。断崖絶壁から眼下に広がる深い渓谷をのぞき込むスリルと、美しさに息を呑みます。コース全体は整備が行き届いており、標高の割に比較的歩きやすく、初心者から家族連れまで幅広く楽しめます。

初夏にはシロヤシオやアカヤシロの花が登山道をやさしく彩り、秋には一面が紅葉に染まって、鮮烈な風景が展開。まさに原生の自然と神秘を堪能できる関西屈指の名峰です。

コースタイム:大台ヶ原ビジターセンター→(約45分)→大台ヶ原山(日出ヶ岳)→(約1時間20分)→大蛇嵓→(約1時間25分)→大台ヶ原ビジターセンター

倶留尊山 黄金のススキが揺れる秋の絶景!日帰り登山で季節を満喫


秋になると、辺り一面黄金色に染まる曽爾高原

奈良県と三重県の県境にそびえる「倶留尊山(くろそやま)」は、標高1,037mの日本二百名山のひとつ。登山口となる「曽爾高原(そにこうげん)」は、なだらかな草原が広がる関西有数の景勝地として知られ、特に秋には一面をススキが覆い尽くし、風に揺れる金色の波が訪れる人々を魅了します。夕日に染まるススキ野原は、まさに息をのむ美しさです。

コースは比較的短く、山頂までは約1時間半。急な登りもありますが、しっかり整備されており、初心者でもチャレンジしやすいのが特徴です。


山間の集落と周囲の峰々が調和した、味わい深い風景が広がる

登るにつれて、草原から森へ、そして尾根道へと風景が変化していきます。山頂に立てば、奈良盆地や伊賀の山々を一望でき、晴れた日には遠くの山並みまで見渡せる大パノラマが待っています。

春から秋にかけては多くのハイカーが訪れ、特にススキの見頃となる秋は絶好のタイミング。自然の中で静かに季節のうつろいを感じられる名山です。

コースタイム:曽爾高原野口駐車場→(約35分)→亀山峠→(約35分)→日本ボソ→(約35分)→倶留尊山山頂
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八経ヶ岳 苔むす森と霧に包まれる、近畿最高峰の登山コース


霧が出ると、大峰山地の景色に静けさと深みが加わる

近畿地方の最高峰「八経ヶ岳(はっきょうがたけ)」は、標高1,915mを誇り、日本百名山にも選ばれている名峰です。いくつか登山ルートがありますが、特に人気なのが、標高1,100m付近にある「行者還(ぎょうじゃがえり)トンネル西口」からのコース。ここから登山道をたどり、弥山(みせん、標高1,895m)を経て八経ヶ岳の山頂を目指します。

霧が立ち込めることも多く、登山道を歩いていると、ブナの森や苔むした風景が広がり、どこか幻想的な雰囲気に包まれます。


修験道の歴史と神聖な雰囲気を感じられる弥山山頂

途中の弥山には、修験道にゆかりのある行場が残されていて、歩きながら歴史の気配に触れられるのもこのルートの魅力です。中でも見逃せないのが、初夏に可憐な花を咲かせるオオヤマレンゲ。希少種であるこの花を見るために、多くの登山者が足を運びます。

苔と霧に包まれた森、神秘的な雰囲気、そして変化に富んだコースが魅力の山。登山経験をある程度積んだ方には、ぜひ挑戦してほしい本格派の名山です。

コースタイム:弥山登山口→(約1時間15分)→奥駈道出合→(約1時間45分)→弥山→(約35分)→八経ヶ岳山頂

高見山 関西のマッターホルンで霧氷体験!雪と光の絶景日帰り登山


青と白の果てしなく美しい景色が広がる冬の高見山

奈良県と三重県の県境にそびえる、標高1,248mの「高見山(たかみやま)」は、鋭くとがった山容から「関西のマッターホルン」として登山者に親しまれています。登山口は奈良県側のたかすみ温泉からが一般的で、登山道は整備されており、約2時間ほどで山頂に到達可能です。

高見山の最大の見どころは、なんといっても冬の樹氷。寒波が訪れる時期になると、山全体が霧氷(むひょう)に覆われ、木々の枝先まで白く染まった幻想的な景色が広がります。その美しさを求めて、毎年多くの登山者がこの季節を狙って訪れるほどです。


朝日を待つ薄明の空に、霧氷が静かに浮かび上がる

晴天率が低く、山頂からの眺望は貴重ですが、運よく晴れた日には、大峰山系や大台ヶ原など、関西の名山を一望できる絶景が待っています。登山後には、たかすみ温泉で冷えた身体を癒すのも楽しみのひとつ。

四季を通じて魅力がある高見山ですが、特に冬の樹氷シーズンは格別の美しさです。

コースタイム:高見山登山口→(約1時間10分)→小峠→(約15分)→杉谷平野分岐→(約1時間)→高見山山頂
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奈良の日帰り登山で出会う、自然と歴史の魅力


初夏の大台ヶ原山を彩るシロヤシオの花

奈良県には、自然の美しさと歴史・文化が調和した魅力的な山々が揃っています。百名山から親しみやすい低山まで、どの山も個性豊かで、四季折々の絶景や楽しみ方があるのが特徴です。

初心者から経験者まで楽しめるラインナップで、何度でも足を運びたくなる奈良の山々。ぜひ、次の休日は奈良の山で心と体をリフレッシュしてみてはいかがでしょうか。

1993年生まれ、愛知県豊田市出身。同志社大学文学部を卒業後、商社やメーカーで営業職を経験。2019年より複業でトラベルライターとしての活動を始め、旅の魅力を伝える仕事がライフワークになる。2021年には本業も旅行業界へ本格転身し、国内OTAにて宿泊施設の集客支援に従事。現在は旅行系ベンチャー企業でメディアマネージャーを務める。これまでに執筆した記事は2,000本以上。地方の自然や暮らしをテーマにした発信を続けながら、「旅を通じて人生が豊かになるきっかけ」を届けたいと考えている。登山、自転車旅、温泉巡り、離島旅が趣味で、毎年の北海道旅行を家族の恒例行事にしている。 notehttps://note.com/yuhei_tonosho
金剛・葛城 生駒山・紀泉高原 2025
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