登山用レインウェアおすすめブランド10選 コスパ重視派にはワークマンも注目

登山では、突然の雨や気温の変化に備えることがとても大切です。なかでもレインウェアは、安全性と快適さを支える必須アイテム。とくに山の天気は変わりやすく、日帰りの低山でも油断はできません。
とはいえ、「どのブランドを選べばいいの?」「高いウェアじゃないと意味がない?」と、初めての購入では悩みもつきものです。最近は、手ごろな価格で高機能なレインウェアを展開するブランドも増えており、初心者でも安心して選べる選択肢が広がっています。
この記事では、登山用レインウェアの役割や選び方のポイントを丁寧に解説したうえで、初心者に人気のブランド10選をご紹介。
人気のワークマン「INAREM」を実際に登山で使ったレビューも掲載していますので、初めての1着に迷っている方にもぴったりの内容です。
目次
なぜ登山にレインウェアが必要なのか

山の天気は変わりやすく、朝は晴れていても、午後には霧雨や雷雨に変わることもあります。濡れた体は体温を奪われやすく、低体温症のリスクも高まります。レインウェアは、そうした環境から身を守るための基本装備です。
また、早朝の冷え込みや稜線での強風に対して、防寒具としても活躍します。軽量なインナーダウンやフリースと組み合わせれば、寒暖差の大きい山でも安心して過ごせます。
登山用レインウェアを選ぶ3つのポイント

登山用レインウェアにはさまざまな種類がありますが、選ぶ際にはいくつかの基本的なポイントを押さえておくことが大切です。見た目や価格だけで判断してしまうと、山の環境では思わぬ不快感や危険につながることもあります。
ここでは、初めてレインウェアを購入する方にもわかりやすいように、注目すべき3つの視点をご紹介します。まずは、雨をしっかり防ぐために欠かせない「防水性と耐水圧」について見ていきましょう。
1.防水性と耐水圧をチェック

登山での使用を想定した場合、「防水性」は何よりも優先したい性能です。とくに確認すべきなのは「耐水圧」という数値で、これはウェアがどれだけの水圧に耐えられるかを示しています。
一般的な目安としては以下の通りです。
。10,000mm以上:小雨や短時間の雨に対応。軽登山やハイキング向け。
・20,000mm以上:日帰りの登山から縦走まで対応できる安心スペック。
・30,000mm以上:豪雨や雪山など過酷な環境にも耐えるプロ仕様。
注意したいのは、「撥水」「耐水」といった表記では、十分な雨対策にならない場合があること。「防水」と明記され、シーム(縫い目)処理が施されているものを選ぶようにしましょう。
2.蒸れを防ぐ透湿性

登山中は想像以上に汗をかきます。そのため、レインウェア内部の湿気を外に逃がす「透湿性」も非常に重要です。これが低いと、内部が蒸れて結局びしょ濡れになってしまうことも。
透湿性は「g/m²/24h」という単位で表され、24時間で1平方メートルあたりどれだけの水分を外に逃がせるかを示しています。
・12,000g/m²以上:軽めの行程や秋冬向け。ある程度の蒸れ対策が可能。
・24,000g/m²以上:夏山や長時間行動にも対応できる高透湿モデル。
とくに気温が高い時期や汗かきの人は、数値の高いモデルを選ぶと快適に過ごせます。
3.素材と価格のバランスを見る

登山用レインウェアに使われている素材には、それぞれ特徴があり、価格帯や登山スタイルとの相性も異なります。ここでは代表的な素材を比較してみましょう。
・GORE-TEX(ゴアテックス)
非常に高い防水性と透湿性を備え、厳しい環境下でも信頼できる素材。耐久性も高く、長期使用を前提とした縦走や冬山登山などに適しています。価格帯は上下セットで3万円〜5万円前後と高めですが、長く使える安心感があります。
・パーテックス シールド
軽量で持ち運びやすく、価格も1万〜2万円前後と比較的手頃。防水性・透湿性のバランスもよく、日帰り登山や夏山登山、初心者のファーストモデルとしても扱いやすい素材です。ハードユースにはやや不向きですが、コスパ重視の選択肢として人気です。
・ポーラテック ネオシェル
しなやかで柔らかい着心地が特徴で、体の動きにしっかり追従します。通気性と防水性を高いレベルで両立しており、蒸れにくく快適。価格は2万〜4万円台が中心で、ハイクラスな中級者〜上級者向け。長時間の行動を快適に過ごしたい人に向いています。
登山初心者であれば、まずは1万円前後のコストパフォーマンスに優れたモデルから試すのがおすすめです。登山経験が増えていく中で、必要に応じて上位モデルに切り替えていくと良いでしょう。
初心者におすすめの登山用レインウェア10選
ではここからは、登山初心者でも選びやすく、信頼できるレインウェアブランドを10個ご紹介します。
「迷ったらこれ」という定番から、最近注目されているコスパ重視のブランドまで幅広くそろえました。
1.mont-bell(モンベル)
登山初心者から上級者まで幅広く支持されている日本の代表的アウトドアブランド。高い防水透湿性を持ちつつ、価格も比較的抑えられており、コスパに優れたモデルが多いのが特徴です。アフターサービスも充実しており、長く付き合えるブランドです。
こんな人におすすめ
初めての登山装備で失敗したくない人、日本製の安心感を重視する人、コスパの良い装備を探している人。
2.THE NORTH FACE(ザ・ノースフェイス)
知名度・信頼性ともに高いアメリカ発の人気ブランド。登山用のモデルも多数あり、街でも着られるデザイン性と山での機能性を両立しているのが強みです。アウトドア初心者にもなじみやすいブランドです。
こんな人におすすめ
登山と街着の兼用を考えている人、トータルバランスを重視したい人、ブランドの安心感を求める人
3.MIZUNO(ミズノ)
日本を代表する総合スポーツブランド。登山専業ではないものの、日本人の体型に合ったカッティングと動きやすさに優れ、信頼性も高いです。軽量で通気性のよいモデルが多く、運動中もストレスを感じにくい設計。
こんな人におすすめ
国内ブランドの安心感が欲しい人、動きやすさを重視する人、はじめての登山装備に迷っている人。
4.finetrack(ファイントラック)
高性能を追求する日本ブランド。独自開発の「エバーブレス」素材は、非常に高い透湿性と防水性を両立し、蒸れにくさ・快適性で高評価です。プロや経験豊富な登山者の利用も多く、信頼性は抜群。
こんな人におすすめ
本格的な登山を視野に入れている人、軽量で快適な装備にこだわりたい人、雨でも快適に歩き続けたい人。
5.Mammut(マムート)
スイスの老舗ブランドで、厳しい環境下でも耐えうる堅牢なつくりが魅力。素材の耐久性が高く、長く使えるウェアが多いです。登山靴やバックパックなども展開しており、全身を同ブランドでそろえる人も。
こんな人におすすめ
縦走や冬山など、少しハードな環境にも挑戦してみたい人、耐久性を重視する人。
6.MILLET(ミレー)
フランスの名門ブランド。元々アルパインクライマー向けに開発されたこともあり、耐風性・防水性・立体裁断など高機能な設計が光ります。高標高や悪天候にも強いラインナップが魅力です。
こんな人におすすめ
長く使える高品質なウェアを選びたい人、厳しい環境でも安心できる装備を求める中~上級者。
7.SALOMON(サロモン)
フランス発、トレイルランナーやファストハイカーに支持されるブランド。軽量性・フィット感・機動性に優れており、動きやすさを重視する人には非常に心強い選択肢です。
こんな人におすすめ
荷物を軽くしたい人、速く歩く・走るようなスタイルに挑戦したい人、スタイリッシュさも欲しい人。
8.HELLY HANSEN(ヘリーハンセン)
ノルウェー発の老舗アウトドアブランド。元々は漁師向けの防水ウェアにルーツがあり、防水性能への信頼度が高いのが特徴です。シンプルで上品なデザインが多く、登山だけでなく街でも着やすい点も評価されています。
こんな人におすすめ
機能性とデザイン性を両立させたい人、登山初心者〜中級者で街との兼用も視野に入れている人。
9.SHIMANO(シマノ)
釣具メーカーとして有名なSHIMANOが展開するアウトドアウェア。水に強い設計思想が活きており、防水性や撥水性に優れています。登山向け製品はまだ少数派ですが、機能性は十分です。
こんな人におすすめ
他人と違うブランドを選びたい人、防水性に特化したレインウェアを安価に探している人、登山以外のアウトドアも楽しむ人。
10.namelessage(ネームレスエイジ)
比較的新しいブランドながら、機能性と価格のバランスに優れている点が魅力。防水性・透湿性といった基本機能を備えながら、デザイン性も高く、タウンユースにもなじみます。
こんな人におすすめ
初めてレインウェアを買う人、コスパを重視したい人、街着と兼用できるデザインを求める人。
今回ご紹介した10ブランドは、いずれも登山専用装備として信頼性の高いメーカーです。一方で、近年「コストパフォーマンス」において注目を集めているのが、ワークマンのレインウェア。
「最初から高価な装備に踏み切るのはちょっと…」と感じる方のために、実際に筆者が使ってみた、ワークマンの人気モデル「INAREMストレッチレインスーツ」のレビューをお届けします。
10選には含めていませんが、価格重視でまず1着試したい方にとって、有力な選択肢となるモデルです。
ワークマン『INAREMストレッチレインスーツ』を実際に登山で使ってみた感想

登山者の間でも注目されているのが、ワークマンの「INAREMレインスーツ」。上下セットで5,500円という手頃な価格ながら、防水性・透湿性ともに高いスペックを備えています。
・耐水圧:20,000mm(強めの雨にも耐えるレベル。1日雨に降られても安心)
・透湿性:25,000g/m²(蒸れにくく、長時間の行動でも快適)
・ストレッチ素材で動きやすく、止水ファスナー付きで浸水を防止
・ポケットは3つあり、スマホや地図を収納可能

実際に、雨が降るなかで里山コース(標高300〜500m程度)を約4時間歩いてみました。結果として、ウェア内に雨が染み込むことは一切なく、汗による不快感もほとんど感じませんでした。また、パンツは単体でも使えるため、ジャケットだけ手持ちのものと合わせて使用するという柔軟な使い方もできます。
「初めての1着にちょうどよさそう」「この価格でこの快適さならアリかも」、そんな風に思えた一着です。本格的なブランド品に踏み出す前に、お試しとして使ってみたい方にはとてもおすすめです。
気になった方は、まずは近場のハイキングで試してみるのも良いかもしれません。山の天気に振り回されず、安心して歩ける時間が増えるはずです。
ワークマンとfinetrack、使い心地はどう違う?登山向けレインウェアを比較

INAREMは非常に満足度の高い一着でしたが、筆者が愛用しているfinetrackのモデルと比べて、どんな違いがあるのかも気になるところ。ここで実際のスペックや使用感を比較してみます。
比較項目 | INAREM(ワークマン) | エバーブレスフォトン(finetrack) |
防水・透湿性 | 実用レベルで問題なし | より高性能。長時間行動時の快適さが違う |
着心地 | やや厚手でごわつきあり | 軽くて柔らかく、動きやすい |
ベンチレーション(通気口) | なし(熱がこもりやすい) | 脇下にあり、熱を逃がせる構造 |
収納性 | 少しかさばる | コンパクトに畳めて携帯性◎ |
価格 | 5,500円 | 約30,000円 |
finetrackの方が高性能なのは確かですが、軽〜中級レベルの登山であればINAREMでも十分に対応できると感じました。とくに「まず1着試してみたい」「予算を抑えたい」という方には、とても心強い選択肢です。
価格や快適性は確かに異なりますが、「どんな山に行くのか」「何を優先するか」によって、必要なスペックは変わってきます。自分の登山スタイルに合ったレインウェアを選ぶことが大切です。
登山用レインウェア選びの不安を解消するQ&A

Q1. 登山でレインウェアは必ず必要ですか?
A. はい。日帰りの低山でも必ず携行しましょう。山の天気は数時間で変わることが多く、晴れていても突然の雨に見舞われるケースは珍しくありません。雨対策はもちろん、防寒着としても使えるため、安心して登山を楽しむための必需品です。
Q2. ゴアテックス製でなければダメですか?
A. ゴアテックスは定番ですが、他にも優れた素材は多数あります。パーテックスやポーラテックネオシェルなど、防水・透湿性能に優れた素材はさまざまあります。登山の頻度や予算に合わせて選ぶのがおすすめです。
Q3. レインウェアは上下セットでそろえた方がいいですか?
A. 基本的には上下セットがおすすめです。ジャケットだけでなくパンツも着用することで、脚が濡れるのを防ぎ、体温の低下も抑えられます。とくに朝露が残る登山道やぬかるみでは、パンツの効果を実感できます。
Q4. ウィンドブレーカーとレインウェアの違いは何ですか?
A. ウィンドブレーカーは風よけ、レインウェアは雨よけです。ウィンドブレーカーには防水機能がなく、雨には不向きです。登山では防水性のあるレインウェアを選びましょう。
Q5. ワークマンのレインウェアは本格登山でも使えますか?
A. 日帰りの中級登山までなら十分対応できます。INAREMレインスーツは高い防水・透湿性を備えており、標高1000〜2000m前後の登山や4〜6時間の山行にも対応可能です。ただし、縦走や雪山など厳しい条件下では専門モデルを検討してください。
レインウェアは安全と快適さを支える登山装備

登山では、レインウェアがあるかどうかで快適さも安全性も大きく変わります。防水性・透湿性・素材・価格のバランスを見ながら、自分の山行スタイルに合った1着を選ぶことが大切です。
最近は、ワークマンのようなコスパに優れたモデルも増え、はじめての一着にも手が届きやすくなっています。ブランドだけにとらわれず、必要な機能をしっかり満たすレインウェアを選ぶことで、登山がより身近で安心なものになるはずです。
あなたの山時間が、より快適で安全なものになりますように。

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