静岡の日帰り登山・山歩きガイド7選 初心者も楽しめる海と富士山の絶景!

海と山が隣り合う静岡県。富士山をはじめ、火山地形が生み出した独特の風景や、太平洋を望む大パノラマ、さらにはアニメの舞台として注目を集める山まで、登山スポットのバリエーションは実に多彩。日帰りでも気軽に登れる低山から、しっかり歩き応えのある本格ルートまでそろい、季節や天候で異なる表情が楽しめます。
今回は、そんな静岡ならではの魅力が詰まった7つの山をご紹介します。
目次
大室山 天然記念物のスコリア丘から、海と富士山を望む日帰り旅

大室山の整った円すい形の山容は、伊東や伊豆高原の風景を象徴する存在
伊東市にそびえる標高580mの「大室山(おおむろやま)」は、伊東・伊豆高原のランドマーク的な存在。国指定の天然記念物にも指定されており、伊豆東部火山群の中でも最大級のスコリア丘として知られています。
美しい円すい形の山容は、遠くからでもひと目でわかるほど印象的です。その美しい姿を守るため、登山は禁止されており、山頂へはリフトで気軽にアクセス可能。山頂では「お鉢めぐり」と呼ばれるなだらかな遊歩道が整備されており、誰でも安心して火口跡を一周できます。

外周からは、伊豆半島ならではのダイナミックな風景が広がる
富士山をはじめ、相模湾や伊豆諸島、天城連山まで見晴らせる大パノラマは、まさに圧巻のひと言です。時間帯や季節によって移ろう景色が、訪れるたびに違った表情を見せてくれます。
また、毎年2月には山全体を焼き尽くす伝統行事「山焼き」が行われ、迫力満点の光景を一目見ようと多くの人が訪れます。伊豆へ行く機会があるならぜひ足を運びたい、火山活動の迫力と絶景を満喫できるハイキングスポットです。
小室山 日帰り登山で癒される、開放感と絶景カフェを満喫

赤いツツジが山麓を染め上げる初夏の小室山
伊東市にある標高321mの「小室山(こむろやま)」は、リフトで山頂まで気軽にアクセスできる人気の観光スポット。火山活動によってできたスコリア丘で、こんもりと丸く盛り上がった独特の山容が特徴です。
山頂に降り立つと、草原に囲まれた開けた空間が広がり、目の前には富士山や伊豆七島、相模湾までも一望できる大パノラマが待っています。ツツジが咲き誇る春、みずみずしい緑に包まれる初夏、そして空気が澄み渡る爽やかな秋など、季節ごとに異なる魅力を感じられる山です。

デッキからは伊豆の島々や、ダイナミックな太平洋を一望
リフトを使わずに裾野から歩いても30分ほどで登頂でき、軽ハイキングを楽しめます。2021年には、山頂をぐるりと囲む木製デッキ「小室山リッジウォーク“MISORA”(みそら)」が新たに整備され、カフェもオープン。これまでの素朴な山頂とは一変し、より快適に絶景を楽しめる空間へと生まれ変わりました。
季節や時間帯によって変わる富士山の表情とともに、心に残る風景に出会えるはず。
達磨山 伊豆の稜線を満喫!絶景広がる日帰り登山の名ルート

駿河湾越しに富士山を眺める、爽快な稜線歩きが魅力の達磨山
伊豆半島の北西部に位置する標高981mの「達磨山(だるまやま)」は、開放感たっぷりな稜線が広がる、初心者にも優しい登山スポットです。登山道の随所からは、富士山をはじめ、駿河湾、天城山、さらには南アルプスまでを一望できる壮大な景色が広がり、晴れた日にはその美しさに心を奪われます。
山頂へは、戸田(へだ)峠やだるま山高原レストハウスなどからアクセスできるほか、西伊豆スカイライン上から短時間で登れるルートまで整備されているのもポイントです。

歩けば歩くほど、空が近く感じられる天空の稜線歩き
開放的な稜線に出れば、空と海、そして連なる山々がひとつの風景となって迫り、伊豆半島の屋根と言える場所を歩いていると実感します。
春には淡いミツバツツジが彩りを添え、秋には黄金色のススキが風に揺れるなど、四季折々の自然の表情も魅力のひとつ。澄んだ空気と絶景に抱かれながら、伊豆ならではの山旅を手軽に楽しめます。
三筋山 稲取細野高原から望む、伊豆の空と海に包まれる日帰り登山

山と海が一体となるような絶景が待つ三筋山
東伊豆・稲取の町の背後にそびえる「三筋山(みすじやま、標高821m)」は、静かな自然に包まれた隠れた名山。人気アニメ『ゆるキャン△』の舞台にもなり、聖地巡礼で訪れるファンの姿も見られます。
山頂一帯に広がる「稲取細野高原」は、約125ヘクタールの壮大な草原で、秋になるとススキが風に揺れ、辺り一面が銀色に輝く幻想的な景色が広がります。山頂からは、伊豆大島をはじめとする伊豆諸島を一望。空気の澄んだ日には、遠く富士山まで見渡すことができ、その眺望は息を呑む美しさです。

山頂周辺にたたずむ風車がどこか異国情緒をかき立てる
登山道はよく整備されており、初心者やファミリーでも安心して歩ける内容。草原のなかを進む開放的な道のりが大きな魅力です。さらに、高原内にはパラグライダーの発着場もあり、空を舞う姿が空と草原の風景に溶け込みます。
春には若草、夏には青空、秋にはススキ、そして冬には澄み切った遠景と、四季折々に違った魅力が感じられる名山。静けさと絶景、両方を楽しめる東伊豆屈指のハイキングスポットです。
天城山 苔むす登山道と展望が魅力!伊豆の名峰を日帰りで楽しむ

富士山を眺めながら万次郎岳から万三郎岳へ縦走
伊豆半島の中心にそびえる「天城山(あまぎさん、天城連山)」は、最高峰・万三郎岳(まんざぶろうだけ、1,406m)をはじめとする連山で構成され、日本百名山にも名を連ねる名峰です。
登山道からは富士山を望むことができ、深い森や湿地帯、苔むした岩場など、変化に富んだコースが魅力。ブナやヒメシャラが生い茂る原生林では、春に可憐な“アマギシャクナゲ”が咲き誇り、訪れる人の目を楽しませてくれます。

国内で最長・最古の石造道路隧道「天城トンネル」
なかでも「天城縦走路」は人気ルートで、ほどよいアップダウンと整備された道が続き、中級者におすすめ。稜線からは駿河湾や相模湾、遠く南アルプスを望み、山と海のコントラストが楽しめるのも天城山ならではの魅力です。
道中には、川端康成の小説『伊豆の踊子』で知られる旧天城トンネルや天城峠への分岐もあり、文学や歴史を感じながらの山歩きが楽しめます。四季折々の表情に出会える、伊豆を代表する本格的な登山スポットです。
毛無山 日帰り登山で挑む、富士山ビューと急登が魅力の絶景ルート

圧巻の存在感を誇る富士山を望む毛無山山頂
富士山の西側、静岡県富士宮市と山梨県身延(みのぶ)町にまたがる「毛無山(けなしやま)」は、標高1,964mの堂々とした山容を誇る天子山地の最高峰です。日本二百名山、山梨百名山、静岡百山にも選ばれており、一年を通じて多くの登山者で賑わいます。
名前とは裏腹に、豊かな樹林帯が広がっており、6月から8月にかけては高山植物が咲き誇る花の宝庫としての顔も持っています。道中は徐々に傾斜がきつくなり、後半には急坂が続くため、登り応えのある中級者向けのコースと言える内容です。

縦走ルートは終始、富士山を望む最高の稜線歩きが続く
途中の展望スポットや山頂に立てば、裾野を広げる富士山のパノラマが目の前に大きく広がります。空気の澄んだ日、山頂手前では、南アルプスの稜線を見渡せるポイントがあるのもポイントです。
また、雨ヶ岳(あまがたけ、標高1,772m)を経て竜ヶ岳(りゅうがたけ、標高1,485m)へと続く縦走ルートも整備されており、長距離を歩きたい登山者にも人気です。毛無山山頂にたどり着いた瞬間に広がる富士山の絶景と、込み上げる達成感は多くの登山者を魅了し続けています。
朝鮮岩 夜景と富士山の絶景コラボ!静岡の穴場日帰り登山コース

富士山と静岡の夜景を一緒に撮影できる展望スポット
静岡市清水区にある「朝鮮岩(ちょうせんいわ)」は、標高320mと手頃な高さながら、美しい夕景や夜景を楽しめる穴場スポットとして知られています。実際に岩があるわけではなく、稜線上のピークに名付けられた名称です。
眼下には静岡市街や河湾の風景が広がり、特に日没前後のトワイライトタイムには、空が茜色に染まり、やがて街の灯りが宝石のように瞬き始めます。天気が良ければ、富士山とともに幻想的な光景に出会えることもあり、写真愛好家にも人気です。

夜景を見るナイトハイキングでは、ライトと三脚の持参が必須
登山道は短いものの急な登りが続き、日が沈むと道が分かりづらくなるため、ヘッドライトやルート確認アプリなどの準備は必須。日没後の下山を想定した無理のない計画が求められますが、その先に広がる景色は格別です。
静岡市街からのアクセスも良く、夕暮れから気軽に楽しめるナイトハイクのスポットとして、地元の登山ファンに親しまれています。
空と海、そして富士。静岡ならではの日帰り登山体験

RPGのような絶景が広がる三筋山の登山道
静岡の山々は、富士山をはじめとする絶景、変化に富んだ地形、アニメの舞台、夜景スポットなど、他県にはない多彩な魅力が詰まっています。海と山が近い地形ゆえに、登山中に海風を感じられるのも静岡ならでは。
初心者向けの低山から中級者向けの本格派までそろい、何度訪れても新たな発見があります。ぜひ次の休日には、心に残る“静岡の山旅”を楽しんでみてくださいね。

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