中央アルプスの百名山4座を徹底ガイド アルプスを代表する名峰の魅力

中央アルプスとは、長野県の木曽谷と伊那谷の間を南北に貫く木曽山脈の山々のこと。2020年3月には中央アルプス国定公園に指定され、さらに魅力あふれるエリアとなりました。
ここでは中央アルプスに含まれる木曽駒ヶ岳、空木岳に加え、南にそびえる恵那山と、岐阜県との境に位置する御嶽山を合わせた4座の百名山を紹介します。
この記事では、標高や登山シーズン、難易度の目安に加え、山名の由来やアクセス、駐車場情報もまとめました。登山経験が浅い方でも安心して楽しめるルートや利用しやすい施設についても触れています。山旅の計画づくりにぜひ役立ててください。
百名山とは?
「日本百名山」とは、作家・深田久弥氏が著書『日本百名山』で選定した、日本を代表する100座の山々のことです。標高の高さだけでなく、「品格・歴史・個性」という基準で選ばれており、それぞれが地理的・文化的な意味を持つ名峰として知られています。
中央アルプスの百名山一覧

中央アルプスエリアには百名山が4座あります。ロープウェイを利用して短時間で稜線に立てる木曽駒ヶ岳、岩峰が連なる空木岳、独立峰として信仰を集める御嶽山、そして南端に位置する恵那山。それぞれが異なる魅力を持ち、アルプス登山の奥深さを体感できるエリアです。
※記事中の山名と番号は、深田久弥著『日本百名山』で紹介されている順番とは異なります。
69.木曽駒ヶ岳 / きそこまがたけ
70.空木岳 / うつぎだけ
71.御嶽山<剣ヶ峰> / おんたけさん<けんがみね>
72.恵那山 / えなさん
木曽駒ヶ岳|2,956m|初級〜上級

中央アルプスの主峰であり、古くから山岳信仰の対象として崇められてきました。行者岩や上松道の石仏群などにその名残を見ることができ、文化的な魅力も感じられます。山頂は広く、360度の大展望が広がり、晴れた日には南アルプスや八ヶ岳、遠く富士山までも望めます。とりわけ朝夕の雲海は圧巻で、雄大なスケールを実感できます。
千畳敷カールからロープウェイを使えば標高2,600m付近まで一気に上がることができ、初心者でもアルプスらしい稜線歩きを気軽に体験できます。登山道は比較的整備され、山小屋や休憩スポットも多いため、家族連れや観光客も安心です。
■登山シーズン:5月~10月
■名前の由来:山容が馬に似ている、残雪が馬の形に見えるなどに由来。古くから神馬が棲む山とされ信仰を集めた。
■アクセス:中央自動車道・駒ヶ根ICから約3km。黒川平~しらび平間は一般車両通行禁止のため、菅の台からバスに乗り換え。
■駐車場:菅の台バスセンター周辺に有料駐車場あり。
空木岳|2,864m|上級

空木岳は仙涯嶺(せんがいれい)、宝剣岳(ほうけんだけ)と並ぶ中央アルプス三大岩峰のひとつで、鋭く切り立った山容は男性的で力強さを感じさせます。山頂は360度の展望に恵まれ、御嶽山や南・北アルプス、八ヶ岳までを一望でき、澄んだ空気のもとでの眺めは格別。岩場の多い健脚向きの山ですが、ルート上には水場や避難小屋が点在しており、計画的に行動すれば安心して挑めます。
縦走路としては木曽駒ヶ岳からつなぐコースが人気で、ダイナミックな稜線歩きを楽しめます。体力に不安があれば、駒ヶ根高原から直接登って同じ道を下るピストン登山にすれば難易度を抑えられます。花の時期にはハクサンイチゲやチングルマが咲き、険しさの中にも彩りを添えてくれるのも魅力。厳しい表情と繊細な自然をあわせ持ち、登山者を惹きつける名峰です。
■登山シーズン:5月~10月
■名前の由来:伊那谷から望むとウツギの木に似ていることから名付けられた。
■アクセス:中央自動車道・駒ヶ根ICから約3km。菅の台からバスに乗り換え、しらび平へ。
■駐車場:菅の台バスセンター周辺に有料駐車場あり。
御嶽山|3,067m|初級〜中級

御嶽山は古くから御嶽信仰の中心として崇められ、多くの登山者や信徒を引き寄せてきました。最高点の剣ヶ峰には御嶽教の神殿が立ち、夏には神官が常駐して祈祷を行うなど、今もなお信仰の山としての姿を色濃く残しています。山頂からの展望は雄大で、東に木曽山脈や南アルプス、西に北アルプスを望み、空気の澄んだ日には白山や乗鞍岳まで見渡すことができます。
2014年の噴火以降、山頂直下には慰霊碑やシェルターが整備され、安全対策が進んでいます。王滝口や黒沢口など複数の登山ルートがあり、体力や経験に応じて選べるのも魅力です。標高3,000mを超える高山でありながら、比較的整備された登山道を通じて、信仰と自然の両方に触れられる稀有な山で、歴史と荘厳さを感じながら登ることができます。
■登山シーズン:6月~10月
■名前の由来:古くは「みやま」「みたけ」と呼ばれ、やがて御嶽信仰の広がりとともに定着。親しみを込めて「木曽の御嶽山」とも呼ばれる。
■アクセス:中央自動車道・伊那ICから国道361号・19号経由で約60km。
■駐車場:御岳ロープウェイ鹿ノ瀬駅に無料駐車場あり(約1,500台)。
恵那山|2,191m|初級

中央アルプスの最南端にそびえる恵那山は、山頂部が広くなだらかで、どっしりと落ち着いた雰囲気を漂わせています。登山道はブナやミズナラの森に包まれ、野鳥の声や風に揺れる木々の音に耳を澄ませながら歩けるため、静かな山歩きを楽しみたい人に最適。途中には展望台が設けられ、天気に恵まれれば南アルプスの峰々や中央アルプスの稜線が大きく広がり、標高以上に迫力ある景色を味わえます。
標高2,000mを超える高山でありながら、複数の登山口が整備されており、ルートを選べば初心者でも挑戦しやすいのが魅力。人気の神坂峠ルートはアプローチも短く、日帰りで登れる手軽さがあります。一方で、長大な縦走路を利用すれば体力派も満足できる歩き応えがあり、登山経験に応じて楽しみ方を選べる山です。静けさの中に展望と歴史が息づく、奥深い名峰です。
■登山シーズン:5月~11月
■名前の由来:胞衣を納めた伝説にちなみ「胞山」とも記された。別名も多く、古くから信仰登山が盛んであった。
■アクセス:中央自動車道・中津川ICから国道19号経由で約20km。
■駐車場:神坂峠に無料駐車スペースあり(約10台)。
中央アルプスの百名山で四季の自然と出会おう

中央アルプスの百名山は、夏の高山植物、秋の紅葉、冬に残る雪渓など、四季折々に異なる景観を楽しめます。ロープウェイで手軽に登れる木曽駒ヶ岳、岩稜歩きが魅力の空木岳、信仰の歴史を感じる御嶽山、森の静けさに包まれる恵那山。それぞれが違った魅力を持ち、経験や体力に合わせて選べるのも安心です。
ただし、気象の急変や林道規制が登山計画を左右するため、事前に最新情報を確認することが大切です。紙の登山地図とGPSアプリを併用し、安全で楽しい登山を心がけましょう。
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