大和葛城山登山ガイド 初心者から楽しめる北尾根コースとダイヤモンドトレールで絶景&自然旅

関西百名山の一つ、大阪府と奈良県の県境付近に位置する大和葛城山(やまとかつらぎさん)は、標高959mからの見晴らしのよさと豊かな自然が魅力の山。登山道は麓から山頂までいくつにも分岐し、よく整備されたコースは初心者でも気軽に登ることができます。

本記事では、初心者から楽しめる「北尾根コース・ダイヤモンドトレール」を実際に歩いた体験をもとに、大和葛城山の特徴や登山のポイントをご紹介していきます。展望スポットなどの見どころをはじめ、おすすめの服装や持ち物、観光スポット情報をまとめました。

2025年12月25日 更新

大和葛城山登山の魅力と見どころ 圧巻の大パノラマと四季折々の景観

大阪府の最高峰である大和葛城山。山頂では360度に視界が開け、登頂後の大パノラマは多くの登山客を魅了します。南西方向には大阪平野が眼下に広がり、北側には近畿の山々、東側には奈良盆地と大峰山系が見られます。

山頂エリアの多彩な植生も見どころ。春にはサクラやツツジ、カタクリの花などが見頃を迎え、初夏になるとナツツバキとアジサイが美しく咲き誇ります。秋には紅葉とススキ、冬は霧氷と、四季ごとに魅力的な景観が楽しめる山です。

大和葛城山へのアクセス 車・公共交通機関での行き方

主要な登山口は、ロープウェイの乗り場である「葛城登山口駅」のすぐ隣。登山口付近には駐車場とバス停があり、車、公共交通機関のどちらでもアクセスできます。

車でのアクセス

南阪奈道路の「葛城IC」または京奈和自動車道「御所南IC」からアクセスします。どちらもロープウェイ登山口までは約20分。

駐車場は葛城山第1~第3駐車場を利用。料金は普通車で1日1,000円です。春のツツジのシーズンは特に混雑し、昼頃には満車になるため、早めに到着しておくのがおすすめ。

電車・バスでのアクセス

公共交通機関の場合、最寄り駅の「近鉄御所駅」からバスでアクセスします。奈良交通「葛城ロープウェイ前行き」に乗車すると、約20分で登山口前の「葛城ロープウェイ前」に到着します。運賃は片道340円。

バスは季節運行があり、ピークシーズンには運行便が増えるため、事前に時刻表を確認しておきましょう。

大和葛城山登山コース詳細 北尾根コースを往復する初心者おすすめルート

今回ご紹介するのは、ロープウェイ葛城登山口駅から北尾根コースを登り、ダイヤモンドトレールに合流して山頂を目指す、大和葛城山への代表的な登山ルート。山頂からは自然研究路を経由し、再び北尾根コースに戻る往復コースです。

登山コースは標高差があり、急登や階段、歩きにくい岩場もあります。無理のないペース配分で、こまめに休憩を取りながら登りましょう。

タイムスケジュール

葛城登山口駅(315m)→【30分】→展望台【1時間10分】→ダイヤモンドトレール分岐点→【40分】→大和葛城山(959m)→【30分】→北尾根コース分岐点→【1時間10分】→葛城登山口駅(315m)

コースデータ

・難易度:ふつう(岩場・階段あり)
・歩行距離:7.4km
・所要時間:5時間5分(休憩含む)
・最大高低差:644m 
・トイレ:葛城山駐車場ロープウェイ葛城登山口駅横、山頂手前、白樺食堂横
・登山客の数:多い

登山記録メモ(11月上旬)

・時期:11月上旬
・天候:曇りのち雨
・気温:最高10℃/最低15℃
・体感メモ:朝方や登りはじめは肌寒いが、登り始めると体が火照り、アウターはいらなくなる

ロープウェイ葛城登山口駅からスタート

ロープウェイ葛城登山口駅に着いたら準備をして登山スタート。駅の右側にある道をまっすぐ進むことで、登山口へ向かうことができます。

ロープウェイ駅には小さな売店や自動販売機があり、登山直前に飲み物を調達したり、お土産を買うこともできます。

登山口は鳥獣対策のため、柵扉が設置されています。出入りの際は必ず扉を施錠してください。柵扉付近に掲示されているのは登山コースの案内MAP。登山道に入る前に確認しておきましょう。

登山道に入ると、すぐに木々に囲まれた自然の中へ。緩やかな山道でウォーミングアップがてら、まずは展望台に向かって歩みを進めます。

歩き始めて10分ほどで、分岐点と道標が現れました。今回は北尾根コースを歩くため、案内に従って右の道へ進みます。左の道は櫛羅(くじら)の滝コースで、こちらも初心者に人気のルート。取材当日は、櫛羅の滝コースへ続く道は通行止めになっていました。

北尾根コースのはじめは階段や急登が続き、普通のペースで登ると足に負荷がかかります。さらに足元は木の根や岩があり滑りやすいため、ゆっくり一歩ずつ登りましょう。

他の登山客も多いため、道幅が狭い箇所で時間がかかりそうな場合は、譲り合って進んでいきます。

展望台でひと休み 御所市街を眺めながら水分補給

登山口から30分ほどで前方が開け、見晴らしの良いスポットに到着。ベンチで休憩を取り、左遠方に広がる御所市街を眼下に眺めながら水分補給を行います。

ここから山頂までは休憩所がないため、しっかりと体力を回復させておきましょう。

登山を再開。まずはダイヤモンドトレールを目指します。展望スペースから先は、岩場や階段、両側が削られた狭い道が繰り返し現れます。

山奥へと続く細い道は、まるで冒険しているような気分。自然が生み出した地形を歩く楽しさを感じられます。足元が不安定で滑りやすいため、慎重に登りましょう。

しばらく進んでいると、ヒノキ林に囲まれた緩やかな道に出ます。

その先へ行くと道幅が一気に狭くなり、大きな石や張り出した木の根の上を登っていく区間が続きます。

険しい足場を越えると、緩やかな尾根の道に入りました。真っすぐ伸びたヒノキ林を眺めつつ、柔らかな日差しを浴びながら歩いていきます。

しばらく尾根を進むとまた険しい道が出現。木の根っこを足に掛けて登っていきます。まれに足場が不安定な場合があるため、体重をかけるときは細心の注意を払いましょう。

道幅が広めの場所に出ました。この辺りはアップダウンも少なく、ほっと一息つきながら歩ける区間です。

ダイヤモンドトレールと合流

展望台から1時間40分でダイヤモンドトレールとの合流地点に到着しました。ここから左へと進み、大和葛城山の山頂を目指しましょう。

ダイヤモンドトレール(通称ダイトレ)は、金剛葛城山系の稜線を縦走する長距離自然歩道。奈良県の屯鶴峯(どんづるぼう)から大和葛城山や金剛山などを経由して、大阪府の槇尾山(まきおさん)までの全長約45kmを結んだ、関西を代表する登山ルートです。

ダイヤモンドトレールを進んでいると、分かれ道が見えてきます。真っ直ぐ行くと、頂上まで残り1kmの階段が多い道、左に行くと頂上まで残り1.4kmの階段が少ない道です。案内板があるので分かりやすいですね。今回は階段多めの道を進みます。

緩やかな道を少し進んだ後、長く続く階段が見えてきました。案内板に書いてあったので覚悟はしていましたが、想像よりもキツそうで圧倒されます。気合いを入れて登りましょう。

大きな広場に着くと、右手に「葛城高原ロッジ キャンプ場」が見えてきます。オールシーズンで利用でき、ダイヤモンドトレール縦走の拠点として訪れる登山客もいるそう。ログハウス風の客室やかも鍋などの名物料理が楽しめ、大和葛城山の自然をゆっくりと堪能できるスポットです。

キャンプ場を通り過ぎた先には「白樺食堂」があり、さらに奥へ進むと左側にトイレ、右側に道標と山頂への分岐点が現れます。

道標の案内に従って分岐を右に進み、山頂を目指します。ここから山頂まで残り100m。

最後の登りに入ると、前方や左右の展望が一気に開け、広々とした登山道に。絶景が待つ山頂はすぐ目の前です。ラストスパートで登り切りましょう。

大山葛城山の山頂に到着 360度のパノラマビューを堪能

登山開始から約2時間20分、山頂に到着です。青空や雲がぐっと近くに感じられ、登頂の喜びと開放感で心が満たされます。周辺の山肌や稜線を眺めると、自然の雄大さやスケールの大きさに圧倒されました。

山頂標識の前で記念写真を楽しんでいる登山客も多く、大和葛城山が人気な理由がわかります。

眼下に広がる大阪平野と、遠くに連なる山々が織りなすパノラマビューは圧巻。奈良盆地や遠くに大峰山系も見え、全方位に見どころが広がっています。晴れて空気がよく澄んだ日は、大阪市街地やあべのハルカス、関西国際空港まで望めます。

山頂標識があるエリアから、前述の食堂やトイレがある場所へ戻り、さらに奥の方へ進んでいくと「葛城高原ロッジ」がありました。ここではかも鍋やかも丼を食べることができます。

葛城高原ロッジのすぐ横のエリアから見えるのは、隣の山の金剛山。

お腹が空いていたので、今回は山頂付近にある白樺食堂で食事をしました。カレーを注文。疲れた体が癒されていくのがわかります。

白樺食堂のテラスからも絶景を眺めることができますよ。

自然研究路を歩いて、北尾根コースへ戻り下山

存分に眺望を楽しんだら、下山を開始します。体力に不安があったり体調がすぐれない場合は無理をせず、山頂から麓の登山口までのロープウェイを利用しましょう。

今回の下山は、ダイヤモンドトレールではなく「自然研究路」を歩いて北尾根コースまで戻るルート。

少し歩くと分かれ道に行き着きます。そのまま真っ直ぐ進むとロープウェイ駅にいくことができますが、今回は左側の自然研究路に進みます。

ダイヤモンドトレールとは違って比較的緩やかな道が続くため、ゆったり歩くことができますよ。

北尾根コースとの合流ポイントは、この案内板が目印です。ここから先は、登ってきた道と同じルートでの下山となります。

順調に下山していると、雷の音が聞こえ、徐々に雨が降ってきました。濡れて寒くなってしまう前に、カッパを着用します。

登山口まで戻ってきた頃には雨も止み、太陽が顔を覗かせてくれました。

ロープウェイ葛城登山口駅に戻り、大和葛城山登山終了です。険しい箇所もいくつかありましたが、山頂まで多彩な景観を楽しみながら登ることができました。

大和葛城山登山におすすめの服装・持ち物まとめ あると便利な携帯品を紹介

標高差がある大和葛城山は、麓と山頂で気温差が大きく異なるため、重ね着しやすい服を準備しましょう。秋~冬の晴天時の日帰り登山であれば、以下の服装が目安です。

大和葛城山の基本的な服装イメージ

・ベースレイヤー(インナー)
・速乾性のある長袖シャツ(速乾ロンT)
・登山パンツ
薄手のフリース(山頂付近は雨風で体感温度が下がりやすいため、1枚あると快適)
・登山用ソックス
・足元はトレッキングシューズ、またはソールのしっかりした運動靴
・アウター

大和葛城山に持っていきたいアイテムリスト

以下は日帰り登山における基本装備の一例です。よく整備されていて歩きやすい大山でも、怪我や体調不良、悪天候に備えて必要なものはしっかり準備しましょう。

必携アイテム

・飲み物(500ml~1L以上、夏は多めに)
軽食・行動食(チョコやナッツなど手軽に食べられるもの。夏は塩分補給タブレットなども便利)
・タオル、手ぬぐい
・日焼け止め、帽子(つば付きが便利)
レインウェア(急な雨に備えて必ず携行)
・スマートフォン+モバイルバッテリー
・地図アプリまたは紙地図(オフラインでも確認できるもの)

あると便利な装備品

トレッキングポール
・登山用グローブ
・サングラス
・虫除けスプレー
クマ鈴、ホイッスル
・携帯トイレ、ティッシュ、ゴミ袋
・エマージェンシーシート
・救急セット(絆創膏、常備薬など)
・テーピング

大和葛城山下山後に立ち寄りたい温泉・グルメ・観光情報まとめ

大和葛城山の麓には、下山後にぴったりの観光スポットが点在しています。登山口からアクセスしやすい御所駅周辺の、おすすめ温浴施設やグルメスポットをご紹介します。

御所宝湯(GOSE SENTO HOTEL)

昔ながらの浴槽に本格的なフィンランド式サウナ、露天水風呂を備えた「御所宝湯(ごせたからゆ)」は、懐かしさと新しさを同時に感じられる銭湯です。サウナと水風呂を行き来する交互浴が気軽に楽しめ、自律神経を整えることで登山後の回復とリフレッシュに効果的。

住所:奈良県御所市御国通り2-361-5
アクセス:JR和歌山線 御所駅から徒歩3分
営業時間:14:00〜22:00(土・日曜、祝日は11:00~)
休業日:第2・4水曜
公式HPはこちら

モリソン万年筆&カフェ

「モリソン万年筆&カフェ」は、長年親しまれていた「モリソン万年筆」の跡地をリニューアルし、昼はカフェ、夜はバーとして営業中。モダンレトロな町屋の建物が魅力で、万年筆が並ぶ店内では、当時の雰囲気に包まれながら食事が楽しめます。

住所:奈良県御所市西町1069
アクセス:JR和歌山線 御所駅から徒歩5分
営業時間:11:30~15:00、18:00~22:00(L.O.)
休業日:月曜不定休、火曜
公式HPはこちら

新地入船

住宅街の一角に佇む「新地入船」は、昭和20年創業の老舗うどん店。名物の「カレーうどん」は、初代から受け継がれる秘伝のカレー粉と、旨味たっぷりのダシを混ぜ合わせたスープが絶品。スパイシーでありながらまろやかさのある味わいが体に染みわたり、体の芯から温まります。

住所:奈良県御所市御国通り1-1117-3
アクセス:JR和歌山線 御所駅から徒歩2分
営業時間:11:30~14:00(L.O.)、17:00~22:00(L.O.)、土曜、祝日は11:30~22:00(L.O.、夜は麺がなくなり次第閉店)
休業日:日曜(春・秋の行楽シーズンは無休)
公式HPはこちら

大和葛城山登山のよくある質問

Q. 大和葛城山は初心者でも登れますか?

A. いくつか険しい箇所も存在しますが、基本的には登山道がよく整備されているため、初心者でも安心して登ることができます。ただし、標高差があり歩行距離が長いため、無理のないペースで歩きましょう。体力に自信のない人は、下山はロープウェイを利用するのもおすすめです。

Q. 大和葛城山の展望スポットはどこにありますか?

A. 山頂エリアでは大阪平野や奈良盆地、近畿の山々、大峰山系まで見渡せる、360度の大パノラマが楽しめます。北尾根コース途中にある展望スポットでは、休憩をしながら奈良県御所市街を眼下に見下ろすことができます。

Q. 大和葛城山はどの季節に登るのがおすすめですか?

A. 四季折々の景観が楽しめますが、山頂の植生が見頃となる春から初夏がおすすめ。積雪や樹氷が見られる冬も人気ですが、低体温症など多くの危険を伴います。雪山の場合は十分な装備を整え、必ず経験者と一緒に登りましょう。

Q. 大和葛城山のロープウェイの運行情報について教えてください

A. 麓の登山口のすぐ隣にある「葛城登山口駅」と、山頂の葛城天神社付近にある「葛城山上駅」から乗車できます。所要時間は約6分で、乗車中は山肌を彩るツツジやススキ、冬には樹氷といった美しい景色を楽しめます。運行時間は9:10〜17:00、運賃は片道950円です。

大和葛城山登山で雄大な自然風景に包まれる

今回ご紹介した北尾根コースは、開放感あふれる眺望や多彩で美しい植生など、大山葛城山ならではの魅力にあふれたルート。特に山頂から望む360度の大パノラマは、長い登山道を登り切ったあとでしか味わえない感動に包まれます。

総距離が長く標高差もありますが、登山初心者にとって挑戦しがいのある山です。ぜひ大山葛城山の自然を体いっぱいに感じながら登山を楽しんでくださいね。

【もしもの時のために・・・】紙地図も携行しよう

 

 

金剛・葛城 生駒山・紀泉高原 2025
登山歴1年の編集者。週末は山に出かけて、スマホで風景を撮るのが楽しみです。自然の中で出会う光や空の色に夢中になり、気づけばカメラロールは山と愛猫の写真でいっぱいに。最初は不安もありましたが、今では自分のペースで歩けるようになってきたのが嬉しいです。これから登る方が安心して楽しめるように、わかりやすく丁寧な登山記事をお届けします。
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