富山登山ガイド 南総里見八犬伝ゆかりの地を歩き、絶景と見どころを満喫

千葉県南房総市に位置し、関東百名山のひとつである「富山(とみさん・標高349m)」。長編戯作『南総里見八犬伝』の舞台として知られ、山中には物語に登場する名所が点在しています。低山ながら房総半島や東京湾の絶景が美しく、初心者でも気軽に楽しめるスポットです。

今回は、富山の北峰・南峰を巡る初心者向けコースを実際に歩き、特徴や見どころをご紹介。おすすめの服装や持ち物、下山後に立ち寄りたい観光スポットまで、富山を満喫するための情報をまとめました。

2026年3月9日 更新

富山の魅力 低山ながら見どころ多彩な千葉の名山

北峰(金毘羅峰・標高349m)と南峰(観音峰・標高342m)の二つの峰からなる富山。北峰にある展望スポットからは、鋸山や房総丘陵の山並み、東京湾、富士山の雄姿が望めます。

山一帯が曲亭馬琴の小説『南総里見八犬伝』の舞台で、山中には物語に登場する「伏姫籠穴(ふせひめろうけつ)」や「里見八犬士終焉の地」などの名所が点在。登山を通して聖地巡礼が楽しめるのも魅力です。

富山へのアクセス方法

今回のコースの起点は、富山麓にある「南房総市営駐車場」です。富津館山道路の鋸南富山ICをおりたら、県道184号線を南下。突き当りで左折して県道258号線に合流したあと、すぐ右手に南房総市営駐車場があります。利用料金は無料です。

電車でのアクセス

最寄り駅はJR内房線の岩井駅。そこから徒歩約20分で南房総市営駐車場にアクセスできます。

富山登山コース詳細 南房総市営駐車場から北峰と南峰を巡る周回コース

今回ご紹介するのは、富山の南西麓にある南房総市営駐車場を起点に、北峰と南峰を巡る周回コースです。駐車場を出発したら、まずは伏姫籠穴と里見八犬士終焉の地を巡って北峰へ。さらに南峰を経由し、福満寺へ下山して南房総市営駐車場まで戻ります。

全長は6.3km、所要時間は約3時間30分と短く、初心者でも挑戦しやすいコースです。ただし、山頂手前の登山道はあまり整備されておらず、落ち葉や倒木、急傾斜などで歩きにくくなっています。ロープが設置された場所もあるため、転倒や滑落には十分注意し、必ず装備を万全にして登りましょう。

タイムスケジュール

南房総市営駐車場(16m)→【15分】→伏姫籠穴(80m)→【1時間】→里見八犬士終焉の地(313m)→【10分】→富山北峰(349m)→【10分】→富山南峰(342m)→【45分】→福満寺(38m)→【10分】→南房総市営駐車場(16m)

コースデータ

・難易度:ふつう(ロープあり)
・歩行距離:6.3km
・所要時間:3時間30分(休憩含む)
・最大高低差:333m 
・トイレ:伏姫籠穴入口、里見八犬士終焉の地(簡易トイレ)、福満寺
・登山客の数:ふつう

登山記録メモ(2月中旬)

・時期:2月中旬
・天候:くもり
・気温:最高13℃/最低8℃
・体感メモ:涼しく過ごしやすい気候、薄手のアウターで快適

南房総市営駐車場を出発 伏姫籠穴で大自然の空気に癒される

市営駐車場を出発し、北峰を目指して登山スタート。駐車場向かいの横断歩道を渡り、真っすぐ進みます。本格的な登山道が始まる前に、ウォーミングアップを兼ねて住宅街を歩きましょう。

進んだ先にはY字路があり、正面には富山遊歩道・伏姫籠穴への行き先を示す看板が設置されています。案内に従って右の道へ、小中学校を左に見ながら進んでいきます。

住宅街を抜けると草木が多くなり、次第に登山道らしい景観へ変わっていきます。南房総ならではの菜の花畑も現れ、目を楽しませてくれました。

駐車場から歩き始めて約15分で、1つ目の中継地点である「伏姫籠穴」の入り口に到着。入口には駐車場とトイレがあるため、登山の起点や拠点に最適なスポットです。

南総里見八犬伝ゆかりの地である伏姫籠穴は、入口から5分ほど歩いた先にあります。登山コースを外れて少し寄り道をしてみました。

伏姫籠穴入口の門をくぐった先は、深い静けさに満ちています。2月でもうっそうと茂る草木を見て、まるで別世界へ足を踏み入れたかのように感じられました。

しばらく階段を上がっていくと、「伏姫舞台」がありました。八角形の展望台で、八本の柱には八犬士の名前が刻まれています。

舞台の先、岩に挟まれた狭い階段を上に登ると、伏姫籠穴と書かれた石碑が見えてきました。道はここで行き止まりのようです。

階段を登りきると、「入」という字のように重なり合った岩を発見。伏姫籠穴に到着です。ここは里見八犬士の母である伏姫と、愛犬の八房が籠っていた場所とされています。

高さ1mほどの穴は意外と広さがあり、奥には文字が刻まれた八つの玉が置かれていました。

伏姫籠穴を出発 荒れた登山道を慎重に進む

八犬伝スポットを十分に満喫したら、再び登山コースへ。道標の案内に従い、山頂を目指して進みます。

途中、草木の隙間からは農業用のため池「合戸堰(ごうどせき)」が見られます。周囲を山林に囲まれた秘境の水辺スポットで、ため池の満水時に放水される姿が、滝のように見えることから「合戸の滝」とも呼ばれています。

伏姫籠穴から約20分。ここで整備された道は終わり、山頂までは荒れた登山道が続きます。改めて装備を確認し、足を踏み入れましょう。

登山前日に降った雨の影響で、土がぬかるみ、足元がかなり不安定になっていました。狭い道は崖側に向かってやや傾いているため、地面を確かめながら慎重に歩きます。

木の根が隠れていたり、ごつごつした岩が埋まっていたり、この辺りは特に荒れていて転倒や転落の危険が高くなっています。下山でこのルートを通るのは避け、南峰方面から安全に下りましょう。

傾斜が険しく足場が狭い場所にはロープが設置されていました。ロープを頼りに登る際は、必ず安全を確かめてから手にとってください。

所々に階段が現れます。登りやすい反面、足元は滑りやすいため、一歩ずつ足場を確かめながら登ります。

人がギリギリ通れるほどの狭い道に入りました。山奥でしか味わえない景観を楽しみつつ、スリル満点な登山道を慎重に進んでいきます。

正面は行き止まりのように見えましたが、大きな丸太の上からロープがぶら下がり、奥に登山道が続いていました。ロープを使って丸太をまたぎながら登り、左奥に見える登山道へ。

山頂手前の分岐点に到着 里見八犬士終焉の地と北峰へ

開けた場所に出ると、山頂手前の分岐点に到着。左は北峰、右は南峰に道が続いていました。まずは最高峰である北峰を目指し、左の道を進みます。

途中にある小さな東屋は、富山のパワースポット「愛の鐘」。1999(平成11)年に皇太子ご夫妻が訪れたことから「愛の山」として有名になり、この鐘が作られたそうです。

愛の鐘の後ろには、樹齢300年以上の「ボタン杉の巨木」が佇んでいます。別名「縁結びの大杉」とも呼ばれ、こちらも強い縁結びのパワースポットです。

愛の鐘とボタン杉を通り過ぎてすぐ、2つ目の中継地点「里見八犬伝終焉の地」に到着しました。

東屋からの眺望は見事。眼下に岩井駅前の市街と東京湾を見渡せました。ここは八犬士が最後に姿を消したとされる場所で、物語の聖地巡礼スポットとしても楽しめます。

山頂手前、ラストスパートをかけて階段を登っていくと、登山道のすぐそばに金毘羅宮が祀られていました。無事に登山を終えられるよう、安全を祈願します。

金毘羅宮の少し先に、最後の分岐点が現れます。正面の広場ではなく、右に続く細い坂道の先が北峰です。まずは北峰へ登りましょう。

富山北峰・金毘羅峰に到着 絶景を堪能して南峰・観音峰へ

登山開始からおよそ1時間45分、富山の最高峰である北峰・金毘羅峰に到着です。山頂標識の奥には穏やかな山並みが広がり、登山の達成感とともに心が癒されました。

山頂手前の分岐点まで引き返し、先ほども目にした広場へ。ここは富山で一番の展望スポットで、広々としたスペースで休憩しながら絶景を堪能できます。

小さな展望台「十一州一覧台」に登ると、360度の大パノラマが目の前に広がりました。

正面には南房総の街並みや東京湾、三浦半島の姿。北西に鋸山、東に房総丘陵を一望できます。よく晴れた日には東京湾越しに富士山の雄姿も望めるそう。

北峰からの絶景を十分に堪能したら、南峰を目指して下山を開始しましょう。来た道を引き返し、分岐点まで戻ります。

北峰と南峰の分岐点まで戻ってきました。右の道が今まで登ってきたルート。南峰へ向かうため、真っすぐ進みます。

途中で道が分かれ、右側のベンチの横に続く階段を登ります。落ち葉や枯れ木で滑りやすくなっているので、ここも気を抜かずに登っていきましょう。

階段を登りきったあと、道なりに進むと正面に観音堂が現れます。

南峰に向かうには、観音堂の左手前にある細い道へ進みます。

観音堂周辺は荒れているため道が分かりにくく、ここでコースを迷う登山客が多くいます。地図と周囲の状況をしっかり照らし合わせてから進んでください。

登山開始からおよそ2時間10分で、標高342mの南峰・観音峰に到着。南峰側に眺望はありませんが、深い自然に囲まれた山頂標識の前で深呼吸をすると、心が安らぎます。

南峰から下山開始 福満寺を経由して南房総市営駐車場に戻る

南峰から下山開始。しばらく階段が続きます。疲労がたまりやすい頃合いなので、転倒や怪我に十分注意し、足元をよく確認しながら下りましょう。

所々で木々の隙間から展望が開け、つかの間の景色に癒されます。

開けた場所に出ると、長く続いていた階段が終わりました。少し休憩をとりながら、ここで軽くストレッチをしておくのがおすすめです。

コンクリートの道をひたすら下っていくと、分岐点を発見。次の目的地「福満寺」方面に続く左の道を進みましょう。

木々が次第に少なくなり、住宅街が見えてきました。登山が終わる名残惜しさを感じながら登山口を抜けます。

福満寺に到着しました。無事に下山できたことに感謝を込めてお参りしていきましょう。

南房総市営駐車場まで戻ったら、登山終了。短いコースでしたが、数々の名所やスリル満点の登山道があり、心ゆくまで登山を満喫できました。

富山登山におすすめの服装・持ち物まとめ あると便利な携帯品を紹介

標高が低く初心者でも登りやすい富山ですが、体温調節ができる服装管理や、怪我や体調不良に備えた装備は欠かせません。

ここでは、富山登山でおすすめの服装と持ち物をまとめました。登山前にリストをチェックして、快適で安全な山歩きを楽しみましょう。

富山の基本的な服装イメージ

・ベースレイヤー(インナー)
・速乾性のある長袖シャツ(速乾ロンT)
・登山パンツ
薄手のフリース(山頂付近は雨風で体感温度が下がりやすいため、1枚あると快適)
・登山用ソックス
・足元はトレッキングシューズ、またはソールのしっかりした運動靴
・アウター

低山で比較的気温が高い富山は、素早く体温調整ができる重ね着がベスト。また、雨上がりの登山道はとても滑りやすくなっているため、ソールのしっかりとしたシューズで登りましょう。

富山に持っていきたいアイテムリスト

以下は日帰り登山における基本装備の一例です。怪我や体調不良、悪天候に備えて必要なものはしっかり準備しましょう。

必携アイテム

・飲み物(500ml~1L以上、夏は多めに)
軽食・行動食(チョコやナッツなど手軽に食べられるもの。夏は塩分補給タブレットなども便利)
・タオル、手ぬぐい
・日焼け止め、帽子(つば付きが便利)
レインウェア(急な雨に備えて必ず携行)
・スマートフォン+モバイルバッテリー
・地図アプリまたは紙地図(オフラインでも確認できるもの)

あると便利な装備品

トレッキングポール
・登山用グローブ
・サングラス
・虫除けスプレー
クマ鈴ホイッスル
・携帯トイレ、ティッシュ、ゴミ袋
・エマージェンシーシート
救急セット(絆創膏、常備薬など)
・テーピング

山頂付近の登山道があまり整備されておらず、怪我や転倒の恐れがあります。救急セットは多めに携行しておくと安心。また、体重を支えるトレッキングポールがあると歩きやすいです。

富山下山後に立ち寄りたいグルメ情報まとめ

富山周辺の南房総エリアには、新鮮な地元食材を使った絶品メニューが楽しめるグルメスポットが点在しています。ここでは、富山の下山後に立ち寄りたいレストラン・カフェを3つご紹介します。

保田漁協ばんや

「保田漁協ばんや」では、地元で朝とれたばかりの新鮮な海鮮料理を漁協特価で堪能できます。旬の魚介が水揚げされ、その日の仕入れによって変わる四季折々の海鮮メニューが魅力。刺身や煮つけ、天ぷら、フライなど豊富に揃い、どれもボリューム満点です。
※併設の高濃度炭酸泉「ばんやの湯」は令和7年8月末より休業中です

住所:千葉安房郡鋸南町吉浜99-5
アクセス:鋸南保田ICから車で5分
営業時間:9:30~17:00(閉店17:45)、土・日曜、祝日は~18:45(閉店19:30)
休業日:無休、新館は火曜休
公式HPはこちら

香豆珈琲(コウズコーヒー)|coffee&tarte tatin

「香豆珈琲|coffee&tarte tatin」は、築130年の古民家をリノベーションした、木のぬくもりが感じられるお店。店主こだわりのコーヒーはコクがありながらすっきりとした味わいで、冷めてもおいしい一杯です。時間を気にせず滞在できるので、コーヒーを片手に登山の疲れをゆっくりと癒したい人におすすめ。

住所:千葉県富津市金谷3867
アクセス:鋸南保田ICから車で10分
営業時間:9:00~17:30(閉店18:00)
休業日:水~金曜
公式HPはこちら

鈴屋

富津名物の竹岡式ラーメンを食べるなら、発祥の店とされる「鈴屋」へ。真っ黒な醤油ダレのスープはインパクト抜群で、麺によく絡む力強い味わい。食べ応え抜群の絶品チャーシューとたっぷりのネギが、麺やスープの旨みをさらに引き立てます。南房総を訪れたらぜひ味わいたいメニューです。

住所:千葉県富津市竹岡92
アクセス:富津金谷ICから車で10分
営業時間:10:30~なくなり次第終了
休業日:水~金曜
公式Xはこちら

富山登山のよくある質問

Q. 富山は初心者でも登れますか?

A. 富山はコース全長が短いため、初心者でも気軽に楽しめます。ただし、山頂付近の登山道は荒れていて、急傾斜のロープ場などがあります。装備は万全にして臨みましょう。

Q. 富山の展望スポットはどこにありますか?

A. 最高峰である北峰手前に設置された「十一州一覧台」からは、鋸山や館山の街並み、東京湾越しの富士山まで一望できます。山頂手前にある「里見八犬士終焉の地」からも絶景が楽しめます。

Q. 富山はどの季節に登るのがおすすめですか?

A. 眺望が良く空気の澄んだ冬がおすすめ。標高が低く平均気温が高いため、猛暑となる夏は避けるのが無難です。

Q. 富山には通行止めのコースはありますか?

A. 伏姫籠穴から北峰までの登山道は危険な箇所が多く、台風や大雨の影響により通行止めになる場合もあります。事前に最新の登山状況を確認してください。

絶景と聖地巡礼が楽しめる見どころ満載の富山登山

緑が深く、豊かな自然に包まれた富山。最高峰の北峰から望む南房総の穏やかな山並みと、展望台から見渡せる絶景は格別です。また、山中に点在する南総里見八犬伝ゆかりの地を巡れば、まるで物語の世界に入り込んだかのような体験ができます。

短時間で絶景や名所が楽しめ、初心者でも十分に楽しめる一方、ロープ場などの険しい場所もあります。登山に慣れていない人は、必ず装備や服装を万全に整えてから安全に登山を楽しみましょう。見どころ満載の富山で、心に残る山歩きを楽しんでみませんか。

【もしもの時のために・・・】紙地図も携行しよう

 

 

登山歴1年の編集者。週末は山に出かけて、スマホで風景を撮るのが楽しみです。自然の中で出会う光や空の色に夢中になり、気づけばカメラロールは山と愛猫の写真でいっぱいに。最初は不安もありましたが、今では自分のペースで歩けるようになってきたのが嬉しいです。これから登る方が安心して楽しめるように、わかりやすく丁寧な登山記事をお届けします。
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