四国・中国地方の百名山3座 名峰に登る、信仰と自然が息づく登山ガイド

四国・中国地方には、日本百名山に選ばれた山が3座あります。大山や石鎚山、剣山など、西日本を代表する名峰がそろい、山岳信仰や火山地形、海を望む絶景など、多彩な魅力にあふれています。

この記事では、四国・中国地方の百名山をすべて紹介。標高や難易度、登山シーズン、アクセス、山名の由来など、登山前に知っておきたい情報をわかりやすくまとめています。登山計画の参考に、ぜひ活用してください。

2025年4月14日 更新

百名山とは?

「日本百名山」とは、作家・深田久弥氏が著書『日本百名山』で選定した、日本を代表する100座の山々のことです。標高の高さだけでなく、「品格・歴史・個性」という基準で選ばれており、それぞれが地理的・文化的な意味を持つ名峰として知られています。

四国・中国地方の百名山一覧

四国・中国地方からは全部で8座が選出されており、信仰の山や火山地形、海を望む展望など、多彩な自然の表情が楽しめるのが魅力です。鋭い稜線や原生林、高山植物が彩る稜線など、四国・中国の百名山ならではの変化に富んだ登山が味わえます。

※本記事で紹介する山名と山の番号は、深田久弥著「日本百名山」で紹介されている山名および順番とは異なります

92.大山(剣ヶ峰) / だいせん(けんがみね)
93.剣山 / つるぎさん
94.石鎚山(天狗岳) / いしづちさん(てんぐだけ)

92.大山(剣ヶ峰)|1,729m|上級

海抜1709mの中国地方最高峰。自然や歴史、魅力いっぱいの本格コース

大山は、中国地方最高峰の山で、鳥取県側からは「伯耆富士」、島根県側からは「出雲富士」とも呼ばれる秀麗な山容を誇る名峰です。山頂からは、日本海に突き出すように伸びる弓ヶ浜半島の雄大な海岸線を一望でき、そのスケール感は圧巻です。

また、白山火山帯に属し、古期の成層火山にできたカルデラに新期のトロイデ型火山が重なってできた複合火山で、地質的にも注目される存在です。また、古代から霊山として崇められ、出雲風土記には「大神岳(おおかみのたけ)」として記されています。

東西に長く鋭く延びる稜線は「カミソリの刃」とも形容され、登攀意欲をかき立てられる景観ですが、崩落の危険性が高く、最高峰の剣ヶ峰への縦走ルートは現在通行できません。滑落事故も多発しており、登山ルートは必ず指定されたコースを守ることが求められます。

四季を通じて登山者が訪れる大山。山頂からの360度の大展望と、歴史ある山岳信仰の風景が重なり合う、特別な一座です。

■都道府県:鳥取県
■登山シーズン:5月~11月
■名前の由来:秀麗な山容と日本海に突き出した独立峰であることから、古代より霊山として信仰を集め、出雲風土記に大神岳として登場しているが、恐らくこれに由来すると思われる。また大山一帯の峰々の名は、ほとんど山岳仏教の用語に因む。別名伯耆富士。なお山陰地方では山を「セン」、峠を「乢(タワ)」と呼んでいる。
■アクセス:米子自動車道・溝口ICから約10km。
■駐車場:約70台。12月1日から3月31日まで閉鎖)と、南光河原(なんこうがわら)駐車場(無料、冬期は有料。約40台)があります。

93.剣山|1,955m|初級~上級

リフトで一気に山上へ。気軽に大パノラマを味わえる山

剣山は、白山以西の西日本では石鎚山に次ぐ標高1,955mを誇る高峰で、四国・徳島県を代表する名山のひとつです。祖谷(いや)の秘境ともいわれる徳島の山々の最奥に位置しながらも、登山道やリフトの整備により、比較的アクセスしやすい山としても知られています。

名前から険しい印象を受けるかもしれませんが、山頂はなだらかで広く、開放感のある風景が広がっています。ミヤマクマザサをはじめとした高山植物も多く、自然環境が保護された穏やかな雰囲気の中で山歩きが楽しめます。

深い山並みと静かな空気に包まれる剣山は、四国の自然とやさしく向き合える、魅力ある一座です。

■都道府県:徳島県
■登山シーズン:4月~11月
■名前の由来:頂上にある宝蔵石の下に安徳天皇の御剣を埋め、これをご神体とした説と、頂上下にある高さ35mの巨石が剣の形をしているからという2説がある。
■アクセス:徳島自動車道・美馬ICから約40km。
■駐車場:登山口近くに見ノ越駐車場(無料、第 3 を合わせて約200台)あり。
剣山

94.石鎚山(天狗岳)|1,982m|初級

修験者になった気分でクサリをクリアしていこう

石鎚山は、標高1,982mと白山以西の西日本では最高峰にあたり、四国の脊梁山脈をなす石鎚山系の主峰としてそびえる存在感のある山です。古くから山岳信仰の対象として親しまれ、「西の霊峰」とも呼ばれてきました。

1970年に石鎚山スカイラインが開通したことでアクセスが向上し、春から秋にかけての週末には多くの登山者やハイカーでにぎわいます。

断崖が連なる鎖場や、迫力ある岩稜が連続する山容は登山者にとって大きな魅力であり、信仰の雰囲気とスリリングな登山体験が共存する、四国を代表する百名山です。

■都道府県:愛媛県
■登山シーズン:4月~11月
■名前の由来:山岳宗教「石土毘古神」を古くから祭っていたので石鎚山と呼ばれるようになったという。一般には南尖峰・天狗岳・弥山の三山を総称して石鎚山と呼ばれている。弥山に石鎚祠がある。
■アクセス:松山自動車道・いよ西条IC から約25km。 松山自動車道・いよ小松ICより約30km。
■駐車場:石鎚登山ロープウェイ山麓下谷駅入口に有料駐車場あり(500台)

四国・中国地方の百名山で、信仰と大自然が息づく山旅へ

四国・中国地方の百名山は、西日本ならではのスケールの大きな自然と、古くからの山岳信仰が息づく独自の魅力を備えています。鋭い岩稜や静かな森、開放感のある稜線、そして遠くに広がる海の眺め――それぞれの山にしかない景色が、訪れる人を迎えてくれます。

西日本の大自然と向き合う時間は、日常を離れて心を整える旅でもあります。四国・中国の百名山から、あなたにとっての“また登りたくなる山”を見つけてみてください。

登山地図ナビアプリ
山と高原地図ホーダイ
山と高原地図ホーダイ
登山のための専用地図
60年以上の実績を誇る「山と高原地図」がスマホで使える!各山の専門家の現地調査に基づいた信頼できる登山情報アプリ。
登山道、コースタイム情報、コースの見どころ、山小屋や水場など登山者に必須の情報がすべて掲載!