箱根山〈金時山〉登山ガイド 公時神社コースを歩き富士山の名勝を堪能
神奈川県と静岡県の県境に位置し、箱根の外輪山の中で最も北にある「金時山(きんときやま・標高1,212m)」は、富士山の眺望で名高い山。日本三百名山や関東百名山に選ばれており、登りやすいコースとアクセスの良さから、初心者をはじめ日帰り登山に訪れる人が数多くいます。
本記事では、麓の公時神社(きんときじんじゃ)から山頂へ向かう初心者向け登山コースをご紹介。実際に歩いた体験をもとに、服装や持ち物、下山後の立ち寄りスポットをまとめました。
目次
箱根山〈金時山〉の見どころ 金太郎ゆかりの山で絶景を満喫

山頂から富士山の雄姿を存分に眺められるのが、金時山最大のポイントです。山頂の眺望を美しく望むなら、登山シーズンは空気の澄んだ冬がおすすめ。南側には芦ノ湖や大桶谷、箱根外輪山が広がり、登山道の途中には、それらの眺望を楽しむポイントもあります。
金時山は坂田金時(金太郎)ゆかりの山で、名前の由来にもなっています。道中には金太郎伝説にちなんだスポットが点在。金太郎の物語に触れながら登っていきましょう。
箱根山〈金時山〉へのアクセス 車・公共交通機関での行き方
登山口の起点となる公時神社は、車またはバスでアクセスが可能です。ここでは、それぞれの詳しいアクセス方法をご案内します。
車でのアクセス

御殿場ICから国道138号を東へ進むと、約20分で公時神社に到着。公時神社の入口付近には金時公園駐車場があります。料金は無料でトイレも設置してありますが、駐車台数は約10台と少ないため、早朝に到着しておくと安心です。

金時公園駐車場が満車の場合、道路の向かい側にある金時山登山口駐車場を利用してください。料金は1日1,000円で、帰るときに精算機で支払います。
電車・バスでのアクセス
最寄り駅はJR御殿場線・御殿場駅で、箱根登山バス箱根桃源台行きに乗車すると、約20分で金時神社に到着します。運賃は片道730円。
高速バスでのアクセス
都心からアクセスする場合、バスタ新宿発の高速バス「小田急ハイウェイバス 新宿-御殿場・箱根線」の利用がおすすめ。御殿場駅を経由して、約2時間で公時神社入口にアクセスすることができます。運賃は片道2,400円。
箱根山〈金時山〉登山コース詳細 公時神社と山頂を往復するシンプルな初心者向けルート

今回ご紹介するのは、公時神社登山口を出発し、公時神社を経由して山頂を目指すシンプルなコース。山頂からは往路をたどって公時神社へ戻ります。コース上には分岐点が1つしかなく、道標も頻繁に設置されているため、道迷いの心配はありません。
コース全長は4.3kmと短めですが、傾斜が急で、岩場や木の根が露出している箇所があります。体力に自信がない人はゆっくりと歩き、無理のないペース配分で登りましょう。特に疲労がたまる下山時は、足元に注意が必要です。
タイムスケジュール
コースデータ
・難易度:ふつう(岩場、ロープあり)
・歩行距離:4.3km
・所要時間:3時間50分(休憩含む)
・最大高低差:519m
・トイレ:金時公園公衆トイレ、金時山山頂トイレ(料金200円)
・登山客の数:ふつう
登山記録メモ(12月上旬)
・時期:12月上旬
・天候:晴れ
・気温:最高9℃/最低0℃
・体感メモ:登りはじめは風も冷たく寒い。登り始め、頂上付近は体も火照り、日が当たりあたたかく感じる
公時神社登山口から登山スタート 公時神社で安全祈願を済ませ登山道へ

駐車場で装備と服装を整えたら登山スタート。金時公園駐車場に向かってすぐ左手にある道路を進み、まずは麓の公時神社を目指します。

歩き始めてすぐ、公時神社の社務所が見えてきました。ここでは御朱印やお守り、絵馬、おみくじを販売しています。

社務所の向かいにある鳥居をくぐり、拝殿で登山の安全を祈願。登山道は拝殿の右手から続いており、神社を出発すると本格的な登山が始まります。

入念にストレッチを行ったのち、登山道に足を踏み入れます。登り始めは緩やかな道が続き、気持ちの良い樹林帯の中を進んでいきます。

登山道はところどころ階段が整備されていますが、過度に手が加えられている印象はなく、大自然の中を自由に探索しているような気分になりました。地面には木の根や岩場が混ざっているので、一歩ずつ足元を確かめながら歩きます。
登山道の見どころ 金太郎伝説を体感

金時山の登山道には金太郎にまつわるスポットが点在しており、登山を通して伝説を体感できるのが魅力。

歩き始めてすぐ、公時神社の裏手に「金時手毬石」がありました。この岩は金太郎が幼いころに手毬にして遊んだと伝えられています。

さらに進むと「金時蹴落石」の看板が立っています。すぐ近くに落石のようなものは見当たらなかったため、コースから少しそれた道に入ってみました。

道に入るとすぐに金時蹴落石を発見。この巨岩は金太郎が力試しのために山頂から蹴落としたと言われています。身長よりも大きな岩の迫力に、金太郎の怪力がうかがえます。

木で作られた小さな橋を渡ります。金時山は、道標・階段が最小限だけ設置されているのが特徴。自然の景観を損なわない登山道が、心地よく感じられました。

10分ほど歩いた先で一度道路に出ます。正面に続く登山道へ進むため、ここを横断します。車の通りがあるので、渡るときは必ず左右を確認してください。
ここから山頂までは1時間弱。この先は傾斜が増し、足元も不安定で気が抜けない場面が続きます。登るときは勢いをつけすぎず、ゆっくり進むことを意識しましょう。

地面が少し窪んだ狭い山道が続き、周囲には藪と雑木林が生い茂っています。絶景でよく知られる金時山ですが、登山道での植生の違いや景観の変化を楽しめるのも魅力のひとつです。

少しひらけたスペースに到着すると、巨大な岩と、それを支えるたくさんのつっかえ棒が現れました。
この岩は「金時宿り石」。金太郎が育ての親である山姥とともにここで暮らしていたという伝説があります。かつては一つの巨岩でしたが、昭和6年頃に突然割れてしまったそうです。

少し休憩したら、金時宿り石の左側に続く道を進んでいきます。この階段は上がるにつれて急になるので、気をつけましょう。

金時宿り石を越えた先には道標が設置されていました。案内に従い、「金時山」と書かれている方へ向かいます。

樹林帯に入るとさらに傾斜がきつくなり、足場が荒れて歩きにくい場面が続きます。特に階段と木の根は滑りやすいため、転倒に注意してください。

途中、木々の開けた場所から、青く輝く芦ノ湖が姿を見せてくれました。美しい自然に力をもらいながら、険しい登山道をゆっくり登っていきます。
分岐点に到着 急傾斜を越えて山頂へ

分岐点に到着です。仙石原や明神ヶ岳方面へ続く登山道が合流します。ここから山頂まで約20分、道標の案内に従って左へ進み、山頂を目指しましょう。

しばらく階段が続きます。地面が濡れていると滑りやすいので足元に注意してください。木と木の隙間からわずかにのぞく景色を見て、山頂が近いことを実感しました。

頭上の木々がなくなり視界が開けると、左側に箱根外輪山の稜線が望めました。くっきり浮かぶ山肌と尾根が、雄大な山々の美しさを際立たせています。
景色を見てリフレッシュしたら、再び歩みを進めて山頂へ。ラストスパートをかけて登っていきます。

さらに進んだ先、右側に目を向けると、木々の間から相模湾が望めました。落葉した12月上旬ならではの景色と、冬山特有の澄み渡る空気が、海の美しさを一層際立たせています。

階段の終わりが見えると、前方から柔らかな光が差し込んできました。山頂が目前であることを実感し、絶景への期待が胸いっぱいに広がります。
金時山山頂に到着 富士山の威容と箱根の大自然を一望

登山開始から1時間35分、金時山山頂に到着です。山頂標識の後ろに堂々とそびえる富士山は圧巻の光景。登頂した登山客を迎えるその端正な姿に、しばらく目を奪われてしまいます。

南側の展望も開けていて、箱根外輪山を縫うように穏やかな稜線が続いています。眼下には外輪山に囲まれた芦ノ湖と大桶谷が一望でき、大自然を見下ろす大パノラマは箱根随一の名勝です。

頂上のトイレはしっかりとした造りの小屋で、安心して使用できます。料金は200円で先払い。

山頂には食事をできるスペースもあります。今回は「元祖 金太郎茶屋」に入店。ここではうどんやおでん、みそ汁などの軽食をはじめ、おしるこや甘酒、ホットコーヒーなどの甘味やドリンクまで、疲れた体に染み入るメニューがそろいます。

名物の「大粒なめこ入りみそ汁(600円)」は、長野県から仕入れた大きななめこを丼ぶりいっぱい味わえます。具だくさんで、疲労を芯から癒やしてくれました。
絶景を堪能したら下山開始 公時神社まで来たルートを戻る

山頂からの絶景に名残惜しさを感じつつ、下山を開始します。来たルートを引き返して、再び公時神社まで戻りましょう。

分岐点まで戻ってきました。行きの道では気づきませんでしたが、「金時神社方面」と書かれた看板が足元に設置されていました。

疲労がたまっている下山では注意力や集中力が鈍り、転倒や滑落の危険が高まります。勢いに任せず、足元の地形をしっかり確認しながら一歩ずつ丁寧に下りましょう。

山頂からおよそ1時間、無事に公時神社に下山しました。登山道の多彩な景観や金太郎伝説、そして山頂からの絶景を存分に楽しみ、充実した山旅となりました。
箱根山〈金時山〉登山におすすめの服装・持ち物まとめ あると便利な携帯品を紹介
岩場や階段の多い登山道を歩く金時山では、転倒・怪我などのアクシデントに備えたグッズが欠かせません。気温や天候の変化に合わせた服装の管理も大切です。
ここでは、金時山登山に適した服装と持ち物をまとめました。特に登山歴の浅い方は備えを万全にして、登頂から下山まで安全・安心に過ごせるよう対策しておきましょう。
箱根山〈金時山〉の基本的な服装イメージ

箱根山〈金時山〉の標高差や天候の特徴を踏まえ、適した服装と持ち物をまとめました。
・ベースレイヤー(インナー)
・速乾性のある長袖シャツ(速乾ロンT)
・登山パンツ
・薄手のフリース(山頂付近は雨風で体感温度が下がりやすいため、1枚あると快適)
・登山用ソックス
・足元はトレッキングシューズ、またはソールのしっかりした運動靴
標高1,212mの山頂は冷え込むため、フリースなどの羽織れるものを用意します。登山道は滑りやすいところが多いため、登山靴はしっかり紐を結んで足を安定させましょう。
箱根山〈金時山〉に持っていきたいアイテムリスト

以下は日帰り登山における基本装備の一例です。初心者向けの箱根山〈金時山〉ですが、コースにはさまざまな危険が潜んでいます。怪我や体調不良、悪天候に備えて必要なものはしっかり準備しましょう。
必携アイテム
・飲み物(500ml~1L以上、夏は多めに)
・軽食・行動食(チョコやナッツなど手軽に食べられるもの。夏は塩分補給タブレットなども便利)
・タオル、手ぬぐい
・日焼け止め、帽子(つば付きが便利)
・レインウェア(急な雨に備えて必ず携行)
・スマートフォン+モバイルバッテリー
・地図アプリまたは紙地図(オフラインでも確認できるもの)
あると便利な装備品
・トレッキングポール
・登山用グローブ
・サングラス
・虫除けスプレー
・クマ鈴、ホイッスル
・携帯トイレ、ティッシュ、ゴミ袋
・エマージェンシーシート
・救急セット(絆創膏、常備薬など)
足元が不安定な場所では捻挫や転倒のリスクがあるため、応急処置用のアイテムを充実させておくと安心です。
箱根山〈金時山〉下山後に立ち寄りたい温泉・グルメ・観光情報まとめ
金時山の麓には温泉・グルメスポットが点在しています。ここでは下山後に立ち寄りたいおすすめ観光スポットを3つご紹介します。
FUJIMI CAFE

「FUJIMI CAFE」では、開放感あふれる店内で富士山を眺めながらここでしか味わえないオリジナルメニューが楽しめます。静岡県産あしたか牛100%のパテを使ったFUJIMI BURGERをはじめ、地元食材をふんだんに使ったこだわりメニューが人気。
アクセス:JR御殿場線 御殿場駅から箱根登山バス箱根桃源台行で15分、乙女峠で下車後徒歩すぐ
営業時間:10:30~16:00(閉店16:30)
休業日:木曜
公式HPはこちら
富士八景の湯

乙女峠の中腹に位置する「富士八景の湯」は、富士山麓と箱根外輪山の大パノラマを一望する絶好のロケーションが魅力。源泉100%の天然温泉で登山後のこわばった体をほぐし、箱根の自然美を眺めれば、心身ともに癒されますよ。
アクセス:JR御殿場線 御殿場駅から無料送迎バス(GSKバス)で20分
営業時間:10:00〜20:00(閉店21:00)
休業日:第2・4木曜(祝日の場合は営業)
公式HPはこちら
福乃家

「福乃家」では、北海道産そば粉を100%使用した、香り高くコシのある蕎麦が味わえます。麺類はもちろん、御殿場太陽チキンを使用した天丼も人気。蕎麦・うどん・丼が一度に味わえるお得な平日限定メニューは、登山後のご褒美にぴったりです。
箱根山〈金時山〉登山のよくある質問

Q. 箱根山〈金時山〉は初心者でも登れますか?
A. 主要な4つのコースはすべて初心者でも登ることができ、距離や高低差、縦走ルートも含め、自分の体力に合わせたコースが選べます。
Q. 箱根山〈金時山〉の展望スポットはどこにありますか?
A. 山頂からは富士山と箱根の景色が一望できます。コース上にも展望スポットが点在するので、散策しながら探してみてください。
Q. 箱根山〈金時山〉はどの季節に登るのがおすすめですか?
A. 景色がより美しく望める冬がおすすめです。空気が澄んでいて遠くまで見渡せるうえ、雲がかかりにくいため、富士山の姿を見られる可能性が高くなります。ただし、山頂は気温が低くなるため、防寒対策は万全にしておきましょう。
Q. 箱根山〈金時山〉の、登頂から下山までの所要時間はどれくらいですか?
A. 公時神社の往復コースを初心者が登る場合、登頂1時間30分、下山1時間5分が目安です。体力に自信がなければ休憩時間を多めに見積もって登山計画を立てると安心です。
登山箱根山〈金時山〉登山で箱根随一の絶景を堪能

金時山山頂から望む富士山と箱根の大パノラマは、他では味わえない格別のもの。それまでの疲れを一瞬で忘れさせてくれる絶景で、登山ならではの達成感や充実感を味わうことができますよ。
コースの総距離は短く気軽に登りやすい一方で、急こう配や岩場が多く、険しい登山道はしっかりと手ごたえも感じられるのもポイント。多彩なコースから周回や縦走まで登り方を選択できるのも金時山の魅力で、何度訪れても感動できる名山です。
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