鹿児島で登りたい山7選 霧島山・屋久島・開聞岳をめぐる登山ガイド

鹿児島県は、南北に長く広がる地形と火山活動によって、多彩な登山スポットに恵まれています。霧島山をはじめとする火山群、薩摩半島の開聞岳、錦江湾を望む高隈山、そして世界自然遺産・屋久島の名峰まで、スケールの大きな自然と豊かな植生を楽しめるのが魅力です。
本記事では、日帰り登山から縦走登山まで楽しめる鹿児島を代表する7つの山をご紹介。初心者でも挑戦しやすい山から健脚向けの名峰まで、それぞれの魅力と実用情報をまとめました。
目次
開聞岳(924m、百名山) 薩摩富士と呼ばれる優美な独立峰

薩摩半島の南端にそびえる開聞岳(924m)は、鹿児島の登山スポットの中でも特に日帰り登山が人気の山で、均整のとれた円錐形の山容から「薩摩富士」と呼ばれています。登山道は山をぐるりと一周するように続く一本道で、登り約2時間半〜3時間、下り約2時間が目安。手頃な標高ながら全行程が上りで体力を要しますが、山頂に立つと錦江湾や指宿市街、遠く屋久島や種子島まで一望できます。
指宿市街地から近く、観光と組み合わせて訪れやすいのも魅力。四季を通じて登山者に親しまれる、鹿児島を代表する名山です。
難易度:初級〜中級
登山シーズン:通年
名前の由来:「開門岳」とも書かれ、海に門を開く形からとされる
アクセス:JR指宿駅からバスで登山口へ
駐車場:登山口に駐車場あり
霧島山(韓国岳・新燃岳・高千穂峰) 火山の景観と神話を歩く

宮崎・鹿児島にまたがる霧島山は、鹿児島を代表する登山スポットで日帰り登山にも人気があります。韓国岳(1,700m、百名山)、新燃岳(1,421m)、高千穂峰(1,574m、二百名山)を中心とする火山群で、それぞれ異なる魅力があります。
韓国岳は霧島連山の最高峰で、大浪池や桜島を望む大展望。新燃岳は現在も活動を続けており、火山活動による入山規制があるため事前確認が必須です。高千穂峰は「天孫降臨」の神話ゆかりの山で、山頂に天の逆鉾が立ち信仰を伝えています。
登山口は高千穂河原や大浪池登山口が一般的。韓国岳は往復約3時間で比較的登りやすく初心者も挑戦可能。高千穂峰は急登が続き往復4〜5時間ほどかかりますが、山頂からの景色は格別です。霧島温泉や神社参拝と組み合わせて、自然と文化を体験できるのも大きな魅力です。
難易度:初級〜中級(高千穂峰は健脚向け)
登山シーズン:春〜秋(冬は積雪に注意)
名前の由来:山麓に霧が立ち込めることから
アクセス:JR霧島神宮駅からバスで登山口へ
駐車場:高千穂河原・大浪池登山口に駐車場あり
高隈山(大箆柄岳・御岳) 錦江湾を望む南九州の秀峰

大隅半島にそびえる高隈山は、鹿児島の登山スポットの中でも日帰り登山で本格的な稜線歩きを楽しめる山群です。大箆柄岳(1,236m、三百名山)と御岳(1,182m)を中心に、深い森と鋭い稜線が連なり、健脚者に人気があります。
登山道からは錦江湾と桜島、さらには霧島山や開聞岳まで一望でき、特に大箆柄岳の山頂からの展望は格別。標準コースタイムは往復で約6時間と歩きごたえがありますが、豊かな植生と大隅半島の自然を堪能できる静かな登山スポットです。
難易度:中級
登山シーズン:春〜秋
名前の由来:山容や地名に由来
アクセス:JR鹿児島中央駅から車で登山口へ
駐車場:登山口に駐車場あり
栗野岳(1102m) 霧島連山の外れに位置する静かな山

霧島連山の北端にそびえる栗野岳(1,102m)は、鹿児島の登山スポットの中でも日帰り登山におすすめの静かな山です。火山活動の名残を感じさせる地形や、周辺に温泉が点在しているため、登山と観光を組み合わせて楽しめます。
山頂までは往復2〜3時間ほどで、登りやすいコースが整備されていて初心者にも人気。一部急登もありますが、山頂からは霧島連山や桜島を一望でき、開放的な展望を味わえます。
難易度:初級〜中級
登山シーズン:春〜秋
名前の由来:地名「栗野」に由来
アクセス:JR栗野駅から車で登山口へ
駐車場:登山口に駐車場あり
冠岳(516m) 薩摩の霊山として信仰を集める

いちき串木野市にある冠岳は、鹿児島の登山スポットの中でも日帰り登山に適した霊山です。西岳(516m)、東岳(487m)、中岳(396m)の三山で構成され、古くから修験道の行場として知られています。登山道沿いには石仏や史跡が点在し、歴史を感じながら歩けるのも魅力です。
山頂からは錦江湾や甑島を望む展望が広がり、往復1〜2時間ほどで気軽に楽しめます。観光とあわせて訪れやすく、自然と文化を同時に味わえる山です。
難易度:初級
登山シーズン:通年
名前の由来:山容が冠に似ていることから
アクセス:JR串木野駅から車で登山口へ
駐車場:冠岳園地に駐車場あり
宮之浦岳(1,936m、百名山) 屋久島の最高峰で日本百名山

世界自然遺産・屋久島の主峰、宮之浦岳(1,936m)は九州最高峰にして日本百名山のひとつ。高山植物や苔むした森、花崗岩の巨岩に彩られた登山道は、まさに自然の宝庫です。
代表的なルートは淀川登山口からの往復で約9〜10時間。荒川登山口からは縄文杉を経由する長時間ルートもあり、いずれも健脚者向け。日帰り登山も可能ですが十分な体力と計画が必要です。
山頂からは屋久島全体と洋上に浮かぶ島々を望む大パノラマが広がり、全国から登山者が訪れる憧れの山となっています。
難易度:上級
登山シーズン:春〜秋(冬は積雪あり)
名前の由来:地名「宮之浦」にちなむ
アクセス:安房港からバスで淀川登山口へ
駐車場:登山口に駐車場あり
永田岳(1,886m) 野生の島を望む展望台

宮之浦岳(1936m)と並び屋久島の主峰群を形成する永田岳(1,886m)は、島の西側に位置する屋久島第二の高峰。山頂からは東シナ海やウミガメの産卵地として知られる永田浜を望むことができ、野性味あふれる景観が広がります。
永田岳登山は宮之浦岳からの縦走ルートで訪れるのが一般的で、所要時間も長く健脚者向け。静かな山域でありながら、屋久島ならではの大自然を体感できる特別な山です。
難易度:上級
登山シーズン:春〜秋
名前の由来:永田地区にちなむ
アクセス:淀川登山口から宮之浦岳経由で縦走
駐車場:淀川登山口に駐車場あり
鹿児島の登山を安全に楽しむために

鹿児島には、開聞岳や霧島山のように火山の雄大さを味わえる山から、高隈山の稜線歩き、世界自然遺産・屋久島の宮之浦岳や永田岳まで、バラエティ豊かな登山スポットがそろっています。初心者は手頃に登れる冠岳や栗野岳、達成感を味わえる開聞岳から始め、体力に自信がついたら霧島山や高隈山、屋久島の名峰に挑戦するとよいでしょう。
火山活動や天候によって入山規制が行われる場合もあるため、事前の情報確認は必須です。地図を携行し、最新のルート状況を確認できる「山と高原地図ホーダイ」アプリを活用しながら、安全で快適な登山を楽しみましょう。

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