九州の絶景・登山スポット10選 登り応えのある名峰と世界遺産の大自然

全国有数の存在感を放ち、登山に最適な山を多く有する日本屈指の名山の宝庫「九州」。

世界遺産・屋久島の「宮之浦岳(みやのうらだけ、標高1936m)」をはじめとして、標高1000m後半を誇っている「くじゅう連山」や「霧島連山」など、絶景が楽しめる山域を数多く有しています。

今回は気軽に登山を楽しめる郷土の里山から、登り応えのある日本百名山のロングコースまでご紹介!

遠方からも訪れる価値が大いにある、飽くなきネイチャーワールドが待っています。感動できること間違いなしなので、ぜひ一度歩いてみてはいかがでしょうか。

2025年3月18日 更新

九州の絶景登山スポット1. 秀峰・薩摩富士。下山後は砂蒸し風呂も楽しみな「開聞岳」(鹿児島県指宿市)

日本百名山の選定基準には、標高の高さも指標にされており、標高1000m以下の百名山は全国に2座しかありません。そのうちの1座が、鹿児島県指宿(いぶすき)市の「開聞岳(かいもんだけ、標高924m)」です。薩摩富士とも称される、秀麗な山容が特徴で、地元ハイカーに愛されています。市内のどこからでも姿を見られる、指宿のシンボルです。

登山道は「かいもん山麓ふれあい公園」からの1ルートのみ。螺旋状に山麓を回り込みながら登っていきます。 片道は約2時間30分 / 往復4km弱と、比較的登りやすい内容ながら、後半は東シナ海を見渡す大パノラマが素晴らしく、九州最南端にある山の情緒を感じさせるでしょう。下山後は、麓の指宿温泉で「砂蒸し風呂」へ入るのが定番の楽しみ方です。

コースタイム:かいもん山麓ふれあい公園→(約10分)→開聞岳2合目登山口→(約40分)→4合目→(約20分)→5合目→(約50分)→仙人洞→(約30分)→開聞岳山頂

九州の絶景登山スポット2.自然の鼓動を感じる。日本離れした絶景が広がる「阿蘇山」(熊本県阿蘇市)

熊本県にある「阿蘇山」は、厳密にいうと一つの山ではなく、阿蘇五岳と呼ばれる5つの峰と、その火口原や外輪山(※1)を含む名称。つまるところ、阿蘇市全体が一つの山といっても過言でなく、日本屈指の壮大なカルデラ地形(※2)を作り上げています。その中で、火口近くまで走る山岳道路・阿蘇のパノラマラインの「草千里」が、阿蘇五岳への登山拠点となります。

(※1)外輪山:火山の中心部を取り囲むように発達する外周部の山のこと。
(※2)カルデラ地形:火山の活動によってできた大きな凹地のこと。

火山活動や噴火警戒レベルによって、登山道の通行可否が変わるので、事前に阿蘇市のホームページを確認して登りましょう。烏帽子岳(えぼしだけ、標高1337m)や杵島岳(きしまだけ、標高1326m)は、草千里から片道1時間ほどで登頂することができます。山頂に広がる、圧倒的な山岳美は、阿蘇山ならではの絶景です。

アクセス:JR豊肥本線阿蘇駅から産交バス阿蘇山西駅行きで40分、終点でロープウェーに乗り換え4分、火口西下車すぐ
コースタイム:草千里→(約1時間)→烏帽子岳山頂、草千里→(約55分)→杵島岳山頂

九州の絶景登山スポット3. 兄弟伝説が残る。天草諸島随一の大展望の山「太郎丸嶽・次郎丸嶽」(熊本県上天草市)

ともに九州百名山に選ばれている、熊本県の「太郎丸嶽(たろうまるだけ、標高281m)」と「次郎丸嶽(じろうまるだけ、標高397m)」。太郎・次郎の兄弟愛を物語る伝説から、このような名前が付けられました。ややマニアックな山ではありますが、わざわざ遠くから訪れたい野趣あるパノラマ登山道が魅力です。

麓の今泉地区(太郎丸・次郎丸嶽登山口)から太郎丸嶽を経由して、次郎丸嶽へ登れば片道2時間15分ほど。標高は300〜400mとそれほど高くはありませんが、特に次郎丸嶽の山頂周辺からは360度の大展望が広がり、有明海の多島美や、遠く島原半島まで見渡すことができます。太郎丸嶽山頂から仰ぎ見る、次郎丸嶽の山容も低山とは思えない迫力です。

コースタイム:太郎丸・次郎丸嶽登山口(登山専用駐車場)→(約1時間)→太郎丸・次郎丸嶽分岐→(約25分)→太郎丸嶽山頂→(約15分)→太郎丸・次郎丸嶽分岐→(約35分)→次郎丸嶽山頂
備考:駐車場は無料です。
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太郎丸岳
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次郎丸岳

九州の絶景登山スポット4. 冬に咲く花ぼうろが美しい。島原半島の独立峰「雲仙普賢岳」(長崎県島原市)

島原半島中央部に位置する独立峰「雲仙岳(うんぜんだけ)」。妙見岳や国見岳など三峰五岳からなる火山群の総称で、主峰は「普賢岳(ふげんだけ、標高1359m)」。一般的には、雲仙普賢岳と呼ばれています。長崎のトレードマークと言えるこの山は、雲仙ロープウェイが運行しており、四季折々美しい景色を見せてくれるため、ハイカーの人気が高いです。

中でも一番おすすめの季節は冬。一気に冷え込んだ日には、地元では”花ぼうろ”という名称で親しまれる、美しい「霧氷(むひょう、※3)」を鑑賞できます。登山口の仁田峠から普賢岳山頂までは、約1時間20分と負荷も軽く、初心者でも雪山登山を楽しむことが可能。片道どちらかロープウェイを使うことで、より難易度を下げることもできますよ。

(※3)霧氷:空気中の水分が、過冷却によって木々へ付着する現象

コースタイム:仁田峠→(約30分)→あざみ谷→(約50分)→雲仙普賢岳山頂

九州の絶景登山スポット5. 九州の屋根をパノラマ大縦走。牧ノ戸峠から百名山「久住山」へ(大分県くじゅう町)

九州本土最高峰「中岳(なかだけ、標高1791m)」をはじめとして、標高1700m級峰がいくつも連なる「くじゅう連山」。”九州の屋根”と呼ばれる、大迫力の山岳地帯を形成しています。中でも「久住山(くじゅうさん、標高1786m)」は、その主峰にして、日本百名山にも選ばれている山。全国各地から多くの人が足を運び、九州屈指の人気を誇っています。

くじゅう連山は広い山域のため、日帰りでなく1泊2日で登る人も多いです。山中に泊まる場合、坊ガツル野営場か法華院温泉山荘で宿泊できます。登山道は数々整備されていますが、おすすめは牧ノ戸峠コース(片道約2時間15分)。沓掛山(くつかけやま)を越えると、美しい稜線歩きが続き、山頂では阿蘇方面を見渡す、果てしない大平原が広がります。

コースタイム:牧ノ戸峠(登山口)→(約25分)→沓掛山→(約50分)→扇ヶ鼻分岐→(約30分)→久住分かれ→(約30分)→久住山山頂
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くじゅう連山<久住山>

九州の絶景登山スポット6. 荒々しくも美しい霧島連山。えびの高原から主峰「韓国岳」周回(鹿児島県霧島市)

宮崎県・鹿児島県の県境に位置している「霧島連山」。2018年に発生した新燃岳(しんもえだけ)の噴火は記憶に新しく、九州を代表する活火山群として知られています。そのうち最高峰の「韓国岳(からくにだけ、標高1700m)」は、日本百名山に選ばれており、えびの高原(標高1200m)から片道1時間40分ほどで登頂することが可能です。

登山道は火山らしいゴツゴツとした荒涼な道。終始展望がひらけており、山頂近くまで至ると、瞳のような大浪池(おおなみいけ)や、南東には霧島連山の東端にあたる「高千穂峰(たかちほのみね、標高1573m)」まで見渡せます。往路か復路で、韓国岳避難小屋と山頂をつなぐルートを選べば、まるで天空の道を歩いているような山岳情緒を感じられるはず。


コースタイム:えびの高原→(約40分)→硫黄山火口展望所→(約25分)→5合目→(約35分)→韓国岳山頂→(約50分)→韓国岳避難小屋→(約55分)→えびの高原

九州の絶景登山スポット7. 苔むす森を越えた先に。世界遺産の大自然を一望する「太鼓岩」(鹿児島県屋久島)

九州の中でも隔絶した、世界遺産の自然を有している「屋久島」。定番の縄文杉以外にも、トレッキングで訪れたい山やスポットが点在しています。その中で、人気が高いのが「太鼓岩(たいこいわ、標高約1050m)」。もののけ姫のモチーフになったとも言われている、苔むす悠久の森・白谷雲水峡(しらたにうんすいきょう)の最奥にある展望岩です。

白谷雲水峡の入り口から片道約2時間。まるで妖精でも現れるような、神秘的な森を進み、岩々に繁茂する鮮やかな苔に癒されます。屋久島の自然を象徴する杉の大樹や、屋久シカに出会うこともしばしば。辻峠(つじとうげ)から傾斜のある登りを経て、太鼓岩の上に立てば、屋久島の最高峰・宮之浦岳(みやのうらだけ、標高1936m)を一望する、息を呑む絶景が広がります。

■太鼓岩
住所:鹿児島県熊毛郡屋久島町宮之浦
アクセス:宮之浦港から種子島・屋久島交通白谷雲水峡行きバスで40分、終点下車、徒歩2時間15分(冬期は運休あり)
コースタイム:白谷雲水峡入り口(白谷広場)→(約55分)→白谷山荘→(約40分)→辻峠→(約15分)→太鼓岩

九州の絶景登山スポット8. 洋上のアルプスの最高点。神の宿る屋久島を感じる「宮之浦岳」(鹿児島県屋久島)

九州の最高峰である屋久島「宮之浦岳(みやのうらだけ、標高1936m)」。付近の永田岳や黒味岳などと合わせて”洋上のアルプス”の異名をもち、登山愛好家が一度は登りたいと憧れる山です。屋久島内陸部の最奥に位置しているため、1泊2日以上で登るのが一般的。初心者の方は、屋久島公認のネイチャーガイドにツアーをお願いすると良いでしょう。

登山道はいくつかありますが、荒川登山口からの王道ロングルート(片道約9時間)は一度は歩いてみたいところ。屋久島を代表する「縄文杉」を通過し、天空の稜線へと取り付く、山岳情緒あふれる内容です。山頂では天気が良ければ、山から海までの一続きの自然が広がり、稀に雲海がみられることも。”神々の宿る島”を体感する絶景が待っています。

コースタイム:荒川登山口→(約45分)→小杉谷集落跡→(約40分)→楠川分かれ→(約1時間45分)→ウィルソン株→(約1時間25分)→縄文杉→(約1時間)→新高塚小屋→(約2時間)→平岩→(約50分)→焼野三叉路→(約30分)→宮之浦岳山頂

九州の絶景登山スポット9. 東洋一のマッターホルン。世界遺産の自然を突き進む「モッチョム岳」(鹿児島県屋久島)

東洋一のマッターホルンと呼ばれる屋久島「モッチョム岳(本富岳、標高940m)」。地元の方以外には、あまり知られていない郷土の山ですが、山頂はユネスコの世界遺産区域内に位置しています。登山道は傾斜がきつく、総じて負荷の高いコースではありますが、海から山に至るまで、屋久島の大自然を味わうことができ、海を垂直に見下ろすような山頂の大パノラマが魅力です。

登山口は大瀑布「千尋滝(せんぴろのたき)」の横から。登山道は終始、木の根か岩の上を歩く内容のため、足元が滑らないように注意が必要です。年間の半分ほどは雨が降る「屋久島」ならではの自然の情緒を感じさせます。途中には万代杉やモッチョム太郎といった、杉の大樹に出会えるのも魅力。手付かずの自然を行くアドベンチャーなルートです。

コースタイム:千尋滝(登山口)→(約1時間25分)→万代杉→(約35分)→モッチョム太郎→(約30分)→神山展望台→(約30分)→モッチョム岳山頂
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モッチョム岳

九州の絶景登山スポット10. 最果てキリシタンの島の情緒を感じる。福江島のトレードマーク「鬼岳」(長崎県五島列島)

長崎県の西方に位置する「五島列島」。その主要な五島の一つ・福江島のシンボルとして知られているのが「鬼岳(おにだけ、標高315m)」です。300年前の噴火によって形成された、全山草原の美しい丘陵の山で、気軽にハイキングを楽しむことができます。登山口の鬼岳天文台で、福江港から車で10分ほど。登山道を1周しても約1時間30分の内容です。

展望がひらけているため、スタートから五島灘の美しい海を見渡せるパノラマが魅力。山頂からは久賀島(ひさかしま)や奈留島(なるしま)といった島々を一望できます。風がなびくと草原は一層趣深く、最果ての風情を醸し出してくれるでしょう。かつて迫害を免れて、遠く五島列島まで移住をしたという、隠れキリシタンの姿が想起されるようです。

コースタイム:鬼岳天文台駐車場(登山口)→(約40分)→鬼岳山頂
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鬼岳

九州の絶景登山で心をリフレッシュ!雄大な自然を満喫しよう

標高2,000mを超える山はないものの、九州には絶景登山を楽しめる山々が数多く存在します。世界遺産「屋久島」をはじめとする手つかずの自然が広がるエリアは、広大で奥深く、一度では歩き尽くせません。

また、阿蘇山や霧島山など、今も活動を続ける活火山が多いのも九州の登山の魅力。ダイナミックな自然を肌で感じながらの登山は、スリルと感動を味わえます。リスクマネジメントの重要性も高まりますが、何度訪れても新たな発見があり、登山者の探究心を刺激してくれます。

九州ならではの絶景と登り応えのある山々を、ぜひ体験してみてください!

取材・写真・文 : 土庄雄平

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