関西で登山初心者におすすめ!絶景が楽しめる名山5選

登山初心者でも安心!関西で登れる名山を探しているあなたへ。アクセスがよく、絶景も楽しめる日本百名山・二百名山・新百名山の中から、登山初心者にもぴったりな5つの山を厳選しました。

関西には、美しい自然と歴史、文化が調和する名峰が点在しています。今回は、それぞれの山の魅力や歩きやすさ、見どころを初心者目線でわかりやすくご紹介。本格的な登山への第一歩として、週末のリフレッシュや四季の移ろいを楽しみに、関西の名山へ足を運んでみませんか?

2025年4月28日 更新

関西で登れる名山を知ろう|百名山・二百名山・新日本百名山とは?

 
新緑にアカヤシオが映える大台ヶ原山 

山の世界では、日本百名山を中心に、登山者に親しまれる様々なラインナップの百名山が存在します。最初に、「日本百名山」「日本二百名山」「新日本百名山」という3つの分類を目安に、それぞれの登山スタイルや難易度の違いを整理していきましょう。

日本百名山|登るなら一度は挑戦したい絶景と歴史の山々

 
立ち枯れと笹が織りなす、大台ヶ原山の幻想風景 

『日本百名山』は、登山家・深田久弥が1964年に選定した山々で、標高1,500メートル以上で文化的・自然的魅力が重視されています。登山の難易度は様々で、富士山や槍ヶ岳、大雪山といった有名な高峰のほか、地域の象徴となる低山も含まれ、全国にバランスよく分布しています。

登山者の間では「百名山ハンター」として全山登頂を目指す人も多く、日本の登山文化を象徴する存在。山の品格や歴史も重要な選定基準となっています。

日本二百名山|静かな絶景を味わえる、知る人ぞ知る名山

 
雪山入門としても人気の高い金剛山 

『日本二百名山』は、百名山に続く101〜200番目の山々で、地域性が強い名峰や地元で親しまれている山が選ばれています。東北や九州など、百名山では取り上げられなかった山も多く、知名度こそ低いものの、静かな登山を楽しめる個性溢れる山々が並びます。

百名山の山々に比べて、マイナーな山の場合は、道迷いや登山道の整備状況に注意が必要な場合もあり、経験と計画性が求められる側面もあります。

新日本百名山|地域の魅力と自然が詰まった身近な山たち

 
亀岡方面を見下ろす、京都名峰・愛宕山からのパノラマ 

『新日本百名山』は、登山家・岩崎元郎が1997年に発表したリストで、中高年向けに登りやすい山々を選定しています。このリストには日本百名山から52座が含まれ、残りの山々はアクセスが良好で登山道が整備されている山が取り上げられている点が特徴。

標高や知名度だけでなく、各地の自然や文化的価値も重視され、初心者にも易しい山々が揃っています。

さて、ここまで日本百名山、二百名山、新日本百名山それぞれの特徴を見てきました。これらの情報を踏まえ、ここからは関西エリアで初心者におすすめしたい名山を紹介していきます。

最初にご紹介するのは、関西で圧倒的人気を誇り、絶景と歩きやすさを兼ね備えた「金剛山」。二百名山にも選ばれており、初心者でも安心して登山を楽しめることができる名峰です。

おすすめの山① 金剛山(大阪・奈良)|初心者にも優しい関西屈指の絶景登山【二百名山】

 
夜景を眺めるナイトハイキングも人気の金剛山 

金剛山(標高1,125m)は、大阪府と奈良県の県境に位置する関西屈指の登山スポット。南海電鉄・河内長野駅からバスが出ており、大阪方面からのアクセスも良好です。

四季折々の自然が楽しめて、気軽に日帰りで訪れられると、年間を通じて多くの登山客に親しまれています。

 
10分ごとに更新されるライブカメラの静止画を、ホームページ上で見られる楽しさも! 

王道の千早本道コースに加えて、歩き応えのある太尾尾根ダイヤモンドトレール周回コースまで揃っており、初心者から上級者まで幅広く楽しめるのがこの山の一番の魅力。山頂にはライブカメラが設置されています。

春の新緑、夏の涼しさ、秋の紅葉と、自然の移り変わりも豊かで、大阪・奈良近郊で気軽に自然と触れ合える貴重な名峰です。

立ち寄りスポット:金剛山ツツジオ谷コースで氷瀑めぐり

 
氷瀑になりきらない姿も一期一会の自然の表情 

金剛山の冬の風物詩といえば「氷瀑」。なかでもツツジオ谷コースは、凍った滝をめぐる静かな人気ルートです。登山道沿いには「ニノ滝」や「腰折滝」など複数の滝が点在。厳冬期に入ると水が氷結し、青白く透き通る氷の彫刻のような絶景が広がります。

 
気象条件次第で現れる、雪の花が咲くような霧氷の並木道 

気温や天候により凍り方が異なるため、まさに自然との一期一会。1〜2月が見頃で、静けさの中に響く足音と澄んだ空気が気持ちを引き締めてくれるでしょう。

滑りやすいルートのため、アイゼンや防寒装備は必須。冬の登山初心者にはややハードですが、慎重に歩けば達成感も大きく、金剛山の冬の魅力を体感できるコースです。

おすすめの山② 愛宕山(京都)|絶景と歴史に触れる関西人気登山スポット【新日本百名山】

 
表参道コースはたくさんの登山者が行き交う定番コース 

京都市の北西に位置する愛宕山(標高924m)は、古くから「火伏せの神」として信仰を集めてきた霊山。杉並木に包まれた山頂には、静かに愛宕神社が鎮座し、火災除けのご利益があると伝えられています。

登山口は嵯峨野・清滝にあり、京都駅や嵐山駅からバスでアクセス可能です。清滝バス停からすぐの「表参道コース」は、約4km・標高差約900mとやや急な道のりですが、整備された登山道を進めば2〜3時間で山頂に到着します。

 
山頂に鎮座する愛宕神社に、登頂と同時に参拝 

頂上からは京都盆地や比叡山を望む雄大な景色が広がり、登頂の達成感もひとしお。愛宕神社の社務所では登山のお守りが人気を集めています。

また、愛宕山は“本能寺の変”直前に明智光秀が登ったと伝えられ、歴史的な背景に思いを馳せることができる場所としても要注目。自然と信仰が融合した、京都らしい魅力を持つ山です。

愛宕山

立ち寄りスポット:京都一周トレイル「錦雲渓」

 
コースの道中で出会った心洗われるような光芒 

京都一周トレイルの中でも特に人気を集める「錦雲渓」は、愛宕山の山麓から紅葉の名所・高尾へと続く約3kmの渓谷道。清滝バス停から愛宕山への登山口とは別のルートを選ぶと、市内とは思えない秘境感に包まれ、変化に富んだ景観が楽しめます。

 
水面に映る紅葉が美しい、静寂の渓谷「錦雲渓」 

前半は岩場を歩くアスレチックな道、中盤では清流に架かる橋が現れ、紅葉シーズンには渓流が赤や橙に染まります。水面に映る紅葉も風情たっぷり。終盤には整然とした杉林が広がり、静けさと美しさに心が癒されます。

短い距離ながら束の間の非日常が味わえる、京都ならではのトレイルを満喫しましょう。

錦雲渓
住所:​京都府京都市右京区嵯峨清滝町​

おすすめの山③ 伊吹山(滋賀)|頂上から絶景パノラマが広がる初心者向き【日本百名山】

 
壮大なカルスト地形の先に、圧巻の琵琶湖パノラマ 

滋賀県と岐阜県の境にそびえる伊吹山(標高1,377m)は、近畿圏で親しまれる日本百名山のひとつ。古くから薬草の産地として知られ、夏には色とりどりの高山植物が咲き誇り、花の名山としても人気です。

滋賀県側から登る表登山道は、標高差約1,100mの本格的なルートながら、整備が行き届いているのがポイント。登山の達成感とともに雄大な琵琶湖の眺望が楽しめます。

 
天空の散策を楽しむような、山頂駐車場からの周回コース 

一方、伊吹山ドライブウェイを利用すれば、山頂近くまで車でアクセス可能で、気軽に山上の景色を楽しむこともできます。山頂からは琵琶湖対岸の比良山地や白山、御嶽山まで望むことができ、その眺めは圧巻。また、山上には伊吹山弥勒堂があり、古代から信仰を集めてきた神聖な空気も漂う名峰です。

※滋賀県米原市からの伊吹山登山道は、2023年7月の豪雨による土砂崩れで通行止めとなっています。復旧作業が進められており、2025年夏頃に再開予定。それまでの間は、伊吹山ドライブウェイの山頂駐車場から登頂するルートを利用してください。

立ち寄りスポット:醒井宿で涼やかな梅花藻観賞

 
水面に真っ白な花畑を作り上げる、夏の風物詩・梅花藻(バイカモ) 

伊吹山の表登山道登山口から車で約20分、中山道61番目の宿場町として栄えた醒井(さめがい)宿は、清らかな地蔵川沿いに古い町並みが残る風情あふれる観光スポットです。この川は「居醒の清水」を源とし、7月〜9月にかけて白く可憐な水中花・梅花藻が咲き、涼やかな風景をつくり出します。

 
散った百日紅(サルスベリ)との共演を見られることも 

水温は年間を通して約14℃と一定で、希少な淡水魚・ハリヨも生息。川面をのぞいて梅花藻の可憐な姿を撮影したり、冷たい清流で手を洗ったり、ひんやりとした癒やしが体感できる避暑スポットとしておすすめです。

醒井宿の梅花藻
住所:滋賀県米原市醒井

おすすめの山④ 大台ヶ原山(奈良・三重)|歩きやすいルートと神秘の絶景【日本百名山】

 
独特の世界観を漂わせる、台高山脈の主峰・大台ヶ原山 

奈良県と三重県の県境に位置する大台ヶ原山(最高峰:日出ヶ岳1,695m)は、日本有数の多雨地帯として知られ、その豊かな自然環境からユネスコの「エコパーク」にも認定されています。登山道はよく整備されており、初心者でも安心してトレッキングを楽しめるでしょう。

 
息をのむ絶景!大蛇嵓の先に広がる断崖のパノラマ 

大台ヶ原ドライブウェイの終点から出発する人気の「東大台コース」は、日出ヶ岳、正木峠、牛石ヶ原、大蛇嵓(だいじゃぐら)といった絶景ポイントをめぐる約9kmの周回ルート。特に大蛇嵓付近では、切り立った断崖から望むスリル満点のパノラマが待ち受けています!

初夏にはシロヤシオやアカヤシロの花々が山を彩り、秋には燃えるような紅葉が山全体を染め上げます。原生的な自然と、その神秘的な雰囲気が感じられる関西屈指の名峰です。

立ち寄りスポット:秘境・大杉谷の名瀑布群

 
静けさと迫力が共存する、秘境・大杉谷の登山道へ 

大杉谷は三重県大台町、大台ヶ原山の東山麓に位置する渓谷で、年間4,000mmを超える降水量は屋久島にも匹敵します。

雨と時間が生み出した壮大な地形は、黒部峡谷・清津峡と並び「日本三大渓谷」に数えられ、「日本の秘境百選」にも選定。1936年に吉野熊野国立公園に指定され、1940年には登山道が整備されました。

 
息をのむ美しさ。連なる瀑布が魅せる七ツ釜滝の景観 

片道約16kmの登山道は、七ツ釜滝をはじめとする名瀑を眺めながら進むスリリングなルート。初級者向けではなく、中級者〜上級者向けの内容ですが、原生林と断崖、渓谷美が織りなす絶景の連続は、登山愛好家の心を掴んでやみません。

大杉谷
住所:三重県多気郡大台町大杉
入山期間:4月下旬〜11月上旬、冬季閉鎖
電話番号:0598-78-3338(大杉谷登山センター)

※注意事項が多いため、事前に公式HPをご参照ください
>> 公式ホームページ

おすすめの山⑤ 八経ヶ岳(奈良)|霊山ならではの絶景に出会える初心者向けルート【日本百名山】

 
立ち枯れの木々が神秘的な雰囲気を醸す八経ヶ岳 

奈良県南部の山深くに連なる大峰山(最高峰:八経ヶ岳1,915m)は、修験道の開祖・役行者(えんのぎょうじゃ)により開かれた霊山として知られ、今も修験者たちが修行を行う神聖な山域です。

山全体は「大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)」という長大な縦走路で構成され、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部にも登録されています。一般登山者に人気なのは、行者還トンネル西口からのコースで、途中には弥山を経由し、約3時間半で関西最高峰の八経ヶ岳に到達可能。

 
時折漂う霧が修験道の山の情緒を高めてくれる 

原生林の中を歩き、時に厳しい登りもありますが、山頂からの大展望や、シロヤシオやオオヤマレンゲなどの高山植物に癒される道のり。時折立ち込める霧が、山の神秘性をより一層引き立ててくれます。

宗教的な意味合いと手つかずの自然が融合した、神秘的な魅力を湛(たた)えた山です。

立ち寄りスポット:洞川温泉と街並み散策

 
大峰山とともに賑わった洞川温泉の街並み 

奈良県天川村にある洞川(どろかわ)温泉は、標高約820mの山あいに湧く歴史ある温泉地です。修験道の聖地・大峯山の登山口に位置し、古くから行者たちの疲れを癒してきました。風情ある旅館街が軒を連ね、どこか懐かしい雰囲気が漂います。

 
秘境の温泉地として愛好家からも人気が高い洞川温泉 

泉質は弱アルカリ性の単純温泉で、肌あたりが柔らかく体の芯まで温まるのが特徴。登山後の疲れを癒すのにもってこいです。日帰りで利用できるのは、洞川温泉ビジターセンターと旅館「角甚」の2施設。露天風呂を楽しみたいなら、前者がおすすめです。

洞川温泉の街並み
奈良県吉野郡天川村洞川

絶景を楽しみながら関西の名山に登ってみよう

 
苔に癒される、幻想的な大峰山の山上風景 

豊かな自然、歴史、文化を感じることができ、各山が独自の魅力を持っている関西の名峰。またアクセスも便利で、初心者から上級者まで幅広い登山者が楽しめる山々が揃い、訪れるたびに新たな発見があります。

今回紹介した山々をきっかけに、ぜひ自分だけの山旅に出かけて、日常を忘れ、心身ともにリフレッシュするひとときを過ごしてみてくださいね。

 

取材・撮影・文章:アウトドアライター土庄雄平

登山地図ナビアプリ
山と高原地図ホーダイ
山と高原地図ホーダイ
登山のための専用地図
60年以上の実績を誇る「山と高原地図」がスマホで使える!各山の専門家の現地調査に基づいた信頼できる登山情報アプリ。
登山道、コースタイム情報、コースの見どころ、山小屋や水場など登山者に必須の情報がすべて掲載!