【3泊4日以上】の登山コースガイド

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検索結果24件中  21-24件
  • 音更山から石狩岳、化雲岳を経て天人峡温泉へ縦走

    音更山から石狩岳、化雲岳を経て天人峡温泉へ縦走

    大雪山を縦走する場合、入山と下山の際の交通が最大の問題となります。このコースの場合、行きは層雲峡発でタクシーを使い、帰りは天人峡温泉泊でバス停まで送迎してもらい旭川に出るのが現実的でしょうか。3日目のヒサゴ沼以外避難小屋はなく野営指定地でのテント泊。いずれも9月でも水が取れます。登山道の大部分でササやハイマツに覆われ、特に2日目はヤブが濃い道を通ります。 1日目:ユニ石狩岳登山口〜ブヨ沼野営指定地 ユニ石狩岳登山口から十石峠を目指します。最初は作業道跡の広い道を緩やかに、やがて道が細く急登となり、あたりに岩が目立ち始めます。展望の良い広場に出ると十石峠です。峠の反対側に下る道は廃道となりましたが、かつては名前の通り十勝側と石狩側からの登山道が出合う場所でした。 目的地のブヨ沼は峠の分岐を左に進みますが、初日は行程が短く時間に余裕があるのでユニ石狩岳を往復するのも良いでしょう。十石峠からはハイマツの尾根歩きです。いくつかピークを踏んでやや下ると、ブヨ沼を過ぎた鞍部にブヨ沼野営指定地があります。水場は看板に従って沢を下った先です。 2日目:ブヨ沼野営指定地〜大沼野営指定地 長い1日となるので早立ちします。まずは音更山まで。一つピークを越え吊り尾根を渡ると早速急登が待っています。標高差200mを一気に稼ぎ、チシマツガザクラが目立つ広い山頂部に出ます。奥の高まりが音更山山頂です。ここから石狩岳を経てニペの耳まで東大雪の主脈を歩くことになります。右手には表大雪がずっと見えている展望の縦走です。音更山からの岩場の下りは道が分かりづらく、ペンキや道標などもほとんどありません。視界が悪い時は要注意です。(シュナイダーコース分岐から石狩岳までは石狩岳(シュナイダーコース)(コースガイド)参照) 東大雪は静かな山が多く、その中でも石狩岳から沼ノ原までは特に人の少ない区間です。石狩岳からニペの耳に連なる稜線は細く、左右にうねるように続きます。大雪山では他にない山並みです。尾根の右手側、斜面が落ちていく先は石狩川の源流部。その向こうに大沼の水面が目立つ沼ノ原。五色岳まで続く広く緩やかな尾根とトムラウシ山も見えています。川上岳・ニペの耳とピークは踏まずわずかに巻きます。一度見えなくなったニペソツ山が再び現れたあたりで下りに入ります。一旦登り返して岩の目立つピークに立ち、展望が良いのもここで終わり。すぐにダケカンバが現れ笹が目立ち出します。滑りやすい急坂下りの始まりです。鞍部付近は「根曲り廊下」と呼ばれ、ササが密生して歩きにくいことで有名です。たまに刈り払いが行われ、直後は歩きやすくなりますが、数年で元通りとなってしまいます。 急な登り返しを終え小さな湿原に出ると石狩岳分岐です。標識は置かれているものの文字が読めなくなっており、示す方向もよくわかりません。細い青棒が立てられているのでそれに従い、緩やかに下っていくと今度は大きな湿原、沼ノ原に出ます。分岐で木道に乗り左手に進みます。池溏越しにトムラウシ山を見ているとすぐに大沼に到着。沼のほとりが大沼野営指定地入口です。増水時はテントを張れなくなることもあるので要注意。 3日目:大沼野営指定地〜ヒサゴ沼避難小屋 歩行時間的には3日目に天人峡まで下りてしまうこともできますが、ヒサゴ沼はぜひ一度泊まりたい場所です。 大沼から木道を歩き、わずかに下ると9月でも水量の豊富な五色の水場です。泥の急登を越え、尾根を乗越し沢に出ます。ここから沢沿いに標高を上げていきます。左右を木々に挟まれた狭い流れの場所と、広く雪渓が残る伸びやかな場所を繰り返します。雪渓が消えたところから順にお花畑となり、やがて流れが途絶え、最後のお花畑を過ぎると、ササとハイマツの登山道となります。途中から木道歩きとなりますが、かなりの区間で木道が壊れていて、そこにササが被さり足元が見えなくなっているので危険極まりない状態です。緩やかに登っていくとやがてトムラウシ山が見えてきます。ホソバウルップソウが咲く湿地を過ぎると五色岳に到着です。(五色岳から化雲岳を越えてヒサゴ沼分岐までは旭岳からトムラウシ山、十勝岳へ縦走 2日目(コースガイド)参照) ヒサゴ沼分岐から左手の木道に進み、遅くまで雪渓の残る斜面に出ます。進む方向を示してくれるものはないので、視界不良時は要注意。雪がなくなった後は敷設された階段が壊れかけているのでこちらも注意が必要です。晴れていれば眼下にヒサゴ沼、そのほとりに三角屋根の避難小屋、正面にトムラウシ山が見えます。沼まで下りて分岐を左に進めばヒサゴ沼避難小屋です。水は7月なら小屋のそば、8月なら分岐のあたり、9月になるとヒサゴ沼西端の大きな雪渓尻と、季節が進むごとに少しずつ小屋から離れていきます。人気のある避難小屋ですが管理人はいません。利用者同士譲り合って使いましょう。野営指定地はぬかるみやすいので場所選びは慎重に。 4日目:ヒサゴ沼避難小屋〜天人峡温泉 東西に長いヒサゴ沼の東側にはニペソツ山が見えていて、そこから射す朝陽が沼西端の雪渓を赤く染めます。風があたりにくい地形なので、水面が鏡のようになり朝焼けの山が映ることもあります。 化雲岳まで昨日のルートを登り返します。小化雲岳までは高山植物を左右に見ながら歩きやすい道が続きます。「小さい」という意味のアイヌ語を冠する通り小さなポン沼からは表大雪がきれいに見えます。小化雲岳の山頂からそれるように登山道は第二公園に向かって下ります。第二公園は地図上に表記があるものの、実際には標識もなく公園と呼べるような場所もありません。ハイマツの根が張り出し段差が多く、水が少ない時でも歩きにくい場所ですが、雨の後は一面に水が流れその中を歩かざるをえません。ハイマツの根も段差も流れの下で見えなくなるので危ない場所です。 沢状の登山道が終わるとやがて木道が現れ第一公園に着きます。湿原の向こうに旭岳・白雲岳が見え景色も良い場所です。 第一公園から急斜面を下り滝見台までは深い森の中の尾根歩き。滝見台にはベンチが置かれ、いよいよ人里が近付いてきました。ここから見える羽衣の滝は北海道最大の落差270mを誇ります。天人峡温泉に向けて急な坂を九十九折りに下り、化雲岳登山口で舗装路に出ます。左に進むと公共駐車場があり、橋を渡れば温泉宿です。
    大雪山を縦走する場合、入山と下山の際の交通が最大の問題となります。このコースの場合、行きは層雲峡発でタクシーを使い、帰りは天人峡温泉泊でバス停まで送迎してもらい旭川に出るのが現実的でしょうか。3日目のヒサゴ沼以外避難小屋はなく野営指定地でのテント泊。いずれも9月でも水が取れます。登山道の大部分でササやハイマツに覆われ、特に2日目はヤブが濃い道を通ります。 1日目:ユニ石狩岳登山口〜ブヨ沼野営指定地 ユニ石狩岳登山口から十石峠を目指します。最初は作業道跡の広い道を緩やかに、やがて道が細く急登となり、あたりに岩が目立ち始めます。展望の良い広場に出ると十石峠です。峠の反対側に下る道は廃道となりましたが、かつては名前の通り十勝側と石狩側からの登山道が出合う場所でした。 目的地のブヨ沼は峠の分岐を左に進みますが、初日は行程が短く時間に余裕があるのでユニ石狩岳を往復するのも良いでしょう。十石峠からはハイマツの尾根歩きです。いくつかピークを踏んでやや下ると、ブヨ沼を過ぎた鞍部にブヨ沼野営指定地があります。水場は看板に従って沢を下った先です。 2日目:ブヨ沼野営指定地〜大沼野営指定地 長い1日となるので早立ちします。まずは音更山まで。一つピークを越え吊り尾根を渡ると早速急登が待っています。標高差200mを一気に稼ぎ、チシマツガザクラが目立つ広い山頂部に出ます。奥の高まりが音更山山頂です。ここから石狩岳を経てニペの耳まで東大雪の主脈を歩くことになります。右手には表大雪がずっと見えている展望の縦走です。音更山からの岩場の下りは道が分かりづらく、ペンキや道標などもほとんどありません。視界が悪い時は要注意です。(シュナイダーコース分岐から石狩岳までは石狩岳(シュナイダーコース)(コースガイド)参照) 東大雪は静かな山が多く、その中でも石狩岳から沼ノ原までは特に人の少ない区間です。石狩岳からニペの耳に連なる稜線は細く、左右にうねるように続きます。大雪山では他にない山並みです。尾根の右手側、斜面が落ちていく先は石狩川の源流部。その向こうに大沼の水面が目立つ沼ノ原。五色岳まで続く広く緩やかな尾根とトムラウシ山も見えています。川上岳・ニペの耳とピークは踏まずわずかに巻きます。一度見えなくなったニペソツ山が再び現れたあたりで下りに入ります。一旦登り返して岩の目立つピークに立ち、展望が良いのもここで終わり。すぐにダケカンバが現れ笹が目立ち出します。滑りやすい急坂下りの始まりです。鞍部付近は「根曲り廊下」と呼ばれ、ササが密生して歩きにくいことで有名です。たまに刈り払いが行われ、直後は歩きやすくなりますが、数年で元通りとなってしまいます。 急な登り返しを終え小さな湿原に出ると石狩岳分岐です。標識は置かれているものの文字が読めなくなっており、示す方向もよくわかりません。細い青棒が立てられているのでそれに従い、緩やかに下っていくと今度は大きな湿原、沼ノ原に出ます。分岐で木道に乗り左手に進みます。池溏越しにトムラウシ山を見ているとすぐに大沼に到着。沼のほとりが大沼野営指定地入口です。増水時はテントを張れなくなることもあるので要注意。 3日目:大沼野営指定地〜ヒサゴ沼避難小屋 歩行時間的には3日目に天人峡まで下りてしまうこともできますが、ヒサゴ沼はぜひ一度泊まりたい場所です。 大沼から木道を歩き、わずかに下ると9月でも水量の豊富な五色の水場です。泥の急登を越え、尾根を乗越し沢に出ます。ここから沢沿いに標高を上げていきます。左右を木々に挟まれた狭い流れの場所と、広く雪渓が残る伸びやかな場所を繰り返します。雪渓が消えたところから順にお花畑となり、やがて流れが途絶え、最後のお花畑を過ぎると、ササとハイマツの登山道となります。途中から木道歩きとなりますが、かなりの区間で木道が壊れていて、そこにササが被さり足元が見えなくなっているので危険極まりない状態です。緩やかに登っていくとやがてトムラウシ山が見えてきます。ホソバウルップソウが咲く湿地を過ぎると五色岳に到着です。(五色岳から化雲岳を越えてヒサゴ沼分岐までは旭岳からトムラウシ山、十勝岳へ縦走 2日目(コースガイド)参照) ヒサゴ沼分岐から左手の木道に進み、遅くまで雪渓の残る斜面に出ます。進む方向を示してくれるものはないので、視界不良時は要注意。雪がなくなった後は敷設された階段が壊れかけているのでこちらも注意が必要です。晴れていれば眼下にヒサゴ沼、そのほとりに三角屋根の避難小屋、正面にトムラウシ山が見えます。沼まで下りて分岐を左に進めばヒサゴ沼避難小屋です。水は7月なら小屋のそば、8月なら分岐のあたり、9月になるとヒサゴ沼西端の大きな雪渓尻と、季節が進むごとに少しずつ小屋から離れていきます。人気のある避難小屋ですが管理人はいません。利用者同士譲り合って使いましょう。野営指定地はぬかるみやすいので場所選びは慎重に。 4日目:ヒサゴ沼避難小屋〜天人峡温泉 東西に長いヒサゴ沼の東側にはニペソツ山が見えていて、そこから射す朝陽が沼西端の雪渓を赤く染めます。風があたりにくい地形なので、水面が鏡のようになり朝焼けの山が映ることもあります。 化雲岳まで昨日のルートを登り返します。小化雲岳までは高山植物を左右に見ながら歩きやすい道が続きます。「小さい」という意味のアイヌ語を冠する通り小さなポン沼からは表大雪がきれいに見えます。小化雲岳の山頂からそれるように登山道は第二公園に向かって下ります。第二公園は地図上に表記があるものの、実際には標識もなく公園と呼べるような場所もありません。ハイマツの根が張り出し段差が多く、水が少ない時でも歩きにくい場所ですが、雨の後は一面に水が流れその中を歩かざるをえません。ハイマツの根も段差も流れの下で見えなくなるので危ない場所です。 沢状の登山道が終わるとやがて木道が現れ第一公園に着きます。湿原の向こうに旭岳・白雲岳が見え景色も良い場所です。 第一公園から急斜面を下り滝見台までは深い森の中の尾根歩き。滝見台にはベンチが置かれ、いよいよ人里が近付いてきました。ここから見える羽衣の滝は北海道最大の落差270mを誇ります。天人峡温泉に向けて急な坂を九十九折りに下り、化雲岳登山口で舗装路に出ます。左に進むと公共駐車場があり、橋を渡れば温泉宿です。
  • 三面登山口から相模山へ

    三面登山口から相模山へ

    朝日スーパー林道から奥三面ダムを過ぎ、さらに舗装された道路を8キロほど進むと林道終点の駐車場と三面登山口に到着します。かつての里の暮らしを感じられるわらび畑を抜けると平らなブナ原生林へと入っていきます。平四郎沢までは、2022年の豪雨で被災した箇所にロープが設置されています。 平四郎沢にはかつては名物の一本吊り橋が架けられていましたが、現在は一旦沢まで下り渡渉した後登り返します。崖のような斜面をロープを頼りに登り下りする難所です。荒天時には通行不可になりますので注意が必要です。永久橋の深沢橋を渡ると三面避難小屋に着きます。豊富な水を利用できる快適な避難小屋です。 翌早朝、暗いうちに出発し主稜線を目指します。永久橋で三面川本流を渡り足場の悪い斜面を通過すると、あとはひたすらヤセ尾根の急な登りが続きます。フトデ峰まで来ると楽になり、道陸神峰避難小屋に着きます。屋根だけある簡易シェルターのような小屋ですが土間と囲炉裏があり、野性的な一夜を過ごすにはよいでしょう。 道陸神峰からは、はるか彼方の主稜線まで脈々と伸びる尾根が見通せます。ブナ林の中の「仙野平」「鶴の一声」を過ぎ「中山峰」「沼倉峰」と灌木帯になっていきます。残雪のある時期以外では水場は期待できない「大上戸泊場」を過ぎ、蟻の戸渡りのような岩場を超えると大上戸山山頂です。存在感溢れる相模山と近づいてくる主稜線の眺めは格別です。 相模山は、「サ神」と称する山の神、水の神の領域で、かつての三面山人衆にとって狩猟禁断の山とされ、山頂が見えれば笠を脱いで拝礼し、熊やカモシカがその領域へ逃げれば狩りを断念したそうです。右手に西朝日岳、左手には以東岳へと伸びる主稜線を、眼下には三面川と岩井又沢の源流域に広がるブナ樹海を見渡せます。 相模山を超えると善六池があります。遅くまで雪渓が残り、高山植物が豊富な場所で、どっしりとした以東岳がその水面の背景に映えます。南側のガッコ沢には秋でも雪渓が残っていることがあります。気持ちの良い草原地帯を登り上げると北寒江山に着き、狐穴避難小屋はもう目の前です。山上のオアシスで疲れを癒しましょう。 下山は、往路を戻ります。アップダウンを繰り返しながら高度を下げていきますが、道陸神峰から三面避難小屋までは特に慎重に下りましょう。登山口までは3時間ほどですが、平四郎沢の渡渉などもあり、最後まで気を抜くことができない山行となります。 2022年8月3日の豪雨災害により、登山口までの道路は現在も通行止めが続いています。開通の目途は立っていない状況ですが、村上市では毎年登山道の刈り払いと整備をしています。今から約40年前に奥三面ダム建設に伴い消滅した三面集落の人々の、生活の糧の場であった領域であり、奥山に入る重要な尾根道である三大峰の一つである本コースを残したい、守りたいという思いを感じずにはいられません。
    朝日スーパー林道から奥三面ダムを過ぎ、さらに舗装された道路を8キロほど進むと林道終点の駐車場と三面登山口に到着します。かつての里の暮らしを感じられるわらび畑を抜けると平らなブナ原生林へと入っていきます。平四郎沢までは、2022年の豪雨で被災した箇所にロープが設置されています。 平四郎沢にはかつては名物の一本吊り橋が架けられていましたが、現在は一旦沢まで下り渡渉した後登り返します。崖のような斜面をロープを頼りに登り下りする難所です。荒天時には通行不可になりますので注意が必要です。永久橋の深沢橋を渡ると三面避難小屋に着きます。豊富な水を利用できる快適な避難小屋です。 翌早朝、暗いうちに出発し主稜線を目指します。永久橋で三面川本流を渡り足場の悪い斜面を通過すると、あとはひたすらヤセ尾根の急な登りが続きます。フトデ峰まで来ると楽になり、道陸神峰避難小屋に着きます。屋根だけある簡易シェルターのような小屋ですが土間と囲炉裏があり、野性的な一夜を過ごすにはよいでしょう。 道陸神峰からは、はるか彼方の主稜線まで脈々と伸びる尾根が見通せます。ブナ林の中の「仙野平」「鶴の一声」を過ぎ「中山峰」「沼倉峰」と灌木帯になっていきます。残雪のある時期以外では水場は期待できない「大上戸泊場」を過ぎ、蟻の戸渡りのような岩場を超えると大上戸山山頂です。存在感溢れる相模山と近づいてくる主稜線の眺めは格別です。 相模山は、「サ神」と称する山の神、水の神の領域で、かつての三面山人衆にとって狩猟禁断の山とされ、山頂が見えれば笠を脱いで拝礼し、熊やカモシカがその領域へ逃げれば狩りを断念したそうです。右手に西朝日岳、左手には以東岳へと伸びる主稜線を、眼下には三面川と岩井又沢の源流域に広がるブナ樹海を見渡せます。 相模山を超えると善六池があります。遅くまで雪渓が残り、高山植物が豊富な場所で、どっしりとした以東岳がその水面の背景に映えます。南側のガッコ沢には秋でも雪渓が残っていることがあります。気持ちの良い草原地帯を登り上げると北寒江山に着き、狐穴避難小屋はもう目の前です。山上のオアシスで疲れを癒しましょう。 下山は、往路を戻ります。アップダウンを繰り返しながら高度を下げていきますが、道陸神峰から三面避難小屋までは特に慎重に下りましょう。登山口までは3時間ほどですが、平四郎沢の渡渉などもあり、最後まで気を抜くことができない山行となります。 2022年8月3日の豪雨災害により、登山口までの道路は現在も通行止めが続いています。開通の目途は立っていない状況ですが、村上市では毎年登山道の刈り払いと整備をしています。今から約40年前に奥三面ダム建設に伴い消滅した三面集落の人々の、生活の糧の場であった領域であり、奥山に入る重要な尾根道である三大峰の一つである本コースを残したい、守りたいという思いを感じずにはいられません。
  • 【朝日軍道】長井葉山から大朝日岳へ

    【朝日軍道】長井葉山から大朝日岳へ

    朝日軍道とは、戦国時代、上杉の居城米沢と自領の庄内を結ぶ連絡道として、他国の領土を通らずに行き来するために直江兼続が開削した山岳道路です。草岡(長井市)から葉山、大朝日岳、以東岳、高安山を通り鱒渕(鶴岡市)へと続く、全長65㎞にのぼるルートの大半が現在の縦走路ですが、中でも南側の起点である草岡登山口から中沢峰までの間には数々の遺構が確認できます。 長井市草岡の中里バス停から小学校の脇を通り、縄文時代の居住地跡やキャンプ場などの施設がある古代の丘を抜け、「梨の木平のナシ」近くの林道を入っていくと大石大明神の石碑があります。ここから登山道になりますが、沢の中を通ったり左岸から右岸へ渡ったりと最初は分かりにくいので地形と印を見極めながら進みます。間もなく「荷馬車が通れる」くらい道幅の広い道が九十九折に続き、「オケサ堀」に出ます。江戸時代に作られた、深く掘られた用水路跡です。比較的若いブナ林を登って行き、嘉永堰を横切ると勧進代コースと合流します。さらに直進すると昭和堰入口の分岐です。左に進むと昭和堰を辿るコースですが、直進し葉山山荘に向かいます。この辺りでも朝日軍道の道跡を確認することができます。翌日の長丁場に備えて、葉山山荘に宿泊します。時間に余裕があるので奥ノ院まで往復します。祝瓶山、吾妻連峰と飯豊連峰が展望でき、いかにもかつての葉山修験の聖地といった雰囲気の場所です。 葉山から中沢峰までの間は、樹林帯の中の起伏の少ない緩やかな道です。いくつか湿原を通り「四ツブナ清水(水場なし)」、「八形峰」、「熊の相撲場」を過ぎると、林床に目立った下草のない不思議な雰囲気の「木立草原」に出ます。山腹をトラバースしていくと「御殿御小屋平」と「卯の花清水」があります。軍道の宿場だったのでしょうか、幕営したくなるような広場です。「杖切坂」を登ると中沢峰分岐で、その先80歩ほど行くと三角点のある中沢峰山頂です。分岐に戻り急斜面を下って行き、ブナの低木帯に入っていきます。前御影森山を超えて御影森山山頂に至ります。大朝日岳へは、まだまだ長い尾根が続いています。展望の良い尾根を進んで大沢峰を過ぎると、ハイマツとチングルマなどの高山植物がきれいな平岩山に至ります。分岐を右へ進み下っていきますが、砂礫風衝地で視界不良時には道を見失わないように注意します。大岩がゴロゴロしている場所を過ぎると急登が始まります。アルペン的景観の偽ピークを越え、子砂利の急斜面をジグザグ登り切ると大朝日岳山頂です。山頂から辿ってきた長い道のりを振り返ると感慨深くなります。北へ下ると大朝日岳山頂避難小屋です。 翌日早朝に小屋を発ち、往路を戻ります。一日で下山もできますが、ゆとりを持って葉山山荘にもう1泊すると良いでしょう。
    朝日軍道とは、戦国時代、上杉の居城米沢と自領の庄内を結ぶ連絡道として、他国の領土を通らずに行き来するために直江兼続が開削した山岳道路です。草岡(長井市)から葉山、大朝日岳、以東岳、高安山を通り鱒渕(鶴岡市)へと続く、全長65㎞にのぼるルートの大半が現在の縦走路ですが、中でも南側の起点である草岡登山口から中沢峰までの間には数々の遺構が確認できます。 長井市草岡の中里バス停から小学校の脇を通り、縄文時代の居住地跡やキャンプ場などの施設がある古代の丘を抜け、「梨の木平のナシ」近くの林道を入っていくと大石大明神の石碑があります。ここから登山道になりますが、沢の中を通ったり左岸から右岸へ渡ったりと最初は分かりにくいので地形と印を見極めながら進みます。間もなく「荷馬車が通れる」くらい道幅の広い道が九十九折に続き、「オケサ堀」に出ます。江戸時代に作られた、深く掘られた用水路跡です。比較的若いブナ林を登って行き、嘉永堰を横切ると勧進代コースと合流します。さらに直進すると昭和堰入口の分岐です。左に進むと昭和堰を辿るコースですが、直進し葉山山荘に向かいます。この辺りでも朝日軍道の道跡を確認することができます。翌日の長丁場に備えて、葉山山荘に宿泊します。時間に余裕があるので奥ノ院まで往復します。祝瓶山、吾妻連峰と飯豊連峰が展望でき、いかにもかつての葉山修験の聖地といった雰囲気の場所です。 葉山から中沢峰までの間は、樹林帯の中の起伏の少ない緩やかな道です。いくつか湿原を通り「四ツブナ清水(水場なし)」、「八形峰」、「熊の相撲場」を過ぎると、林床に目立った下草のない不思議な雰囲気の「木立草原」に出ます。山腹をトラバースしていくと「御殿御小屋平」と「卯の花清水」があります。軍道の宿場だったのでしょうか、幕営したくなるような広場です。「杖切坂」を登ると中沢峰分岐で、その先80歩ほど行くと三角点のある中沢峰山頂です。分岐に戻り急斜面を下って行き、ブナの低木帯に入っていきます。前御影森山を超えて御影森山山頂に至ります。大朝日岳へは、まだまだ長い尾根が続いています。展望の良い尾根を進んで大沢峰を過ぎると、ハイマツとチングルマなどの高山植物がきれいな平岩山に至ります。分岐を右へ進み下っていきますが、砂礫風衝地で視界不良時には道を見失わないように注意します。大岩がゴロゴロしている場所を過ぎると急登が始まります。アルペン的景観の偽ピークを越え、子砂利の急斜面をジグザグ登り切ると大朝日岳山頂です。山頂から辿ってきた長い道のりを振り返ると感慨深くなります。北へ下ると大朝日岳山頂避難小屋です。 翌日早朝に小屋を発ち、往路を戻ります。一日で下山もできますが、ゆとりを持って葉山山荘にもう1泊すると良いでしょう。
  • 雲取山から甲武信ヶ岳へ

    雲取山から甲武信ヶ岳へ

    1日目は鴨沢から雲取山まで、詳細は鴨沢から雲取山へ(コースガイド)を参照してください。 2日目は雲取山から笠取小屋へ。雲取山山頂から急坂を南西に下りきった三条ダルミで、三条の湯からの道を合わせます。右手尾根上の主脈縦走路を行くと、広々とした草原の狼平に着きます。尾根上を緩やかに登り、所々木製の桟道を踏んで三ッ山を巻くと、北天のタル。ここから飛龍山の東面を巻き小祠のある飛竜権現に着きます。飛龍山山頂へは右手斜面のやや不明瞭な踏み跡を往復します。 飛竜権現から直進するとすぐ左手に好展望の禿岩があるのでぜひ立ち寄りましょう。原生林の中を下り、岩清水を過ぎると大常木山との鞍部の大ダルで、ここから大常木山と竜喰山の南面を巻いて将監峠に着きます。すぐ下に将監小屋があります。山ノ神土で道が3本に分かれます。右は和名倉山、左は南面の巻き道ですが、尾根通しに行く中央の道を登り、展望のない唐松尾山に着きます。やがて水干と笠取山への分岐に出て、尾根に上がり、狭い笠取山山頂を踏んで、急坂を下ります。この先カラマツの植林と展望の開ける気持ちの良い道を歩けば、こぢんまりした笠取小屋に到着です。 3日目は笠取小屋から雁峠分岐まで登り返し、草原の道から林の中を下って雁峠へ。このあたりは、7月にはレンゲツツジが美しい所です。燕山から古礼山を過ぎるまでは、原生林の尾根の概ね北側を巻き気味に歩きます。雁坂小屋への道を分けて鞍部より少し登り返すと日本三大峠の1つ、展望の良い雁坂峠です。さらに雁坂嶺から縞枯れの樹林を過ぎ、再び急坂を登りきると破風山。風化した花崗岩塊とツガの灌木が相まって、日本庭園とも呼べる所です。急坂を下りきると、鞍部に破風山避難小屋が建っています。ここから最後の辛い登りを上りきった分岐から木賊山北面の巻き道を進むと、15分ほどでようやく甲武信小屋です。 4日目の最終日は、小屋から甲武信ヶ岳を往復します。晴れていれば富士山、南アルプスの眺めが素晴らしい山頂です。展望を満喫したら、木賊山を経て戸渡尾根を下ります。次第にツガの原生林帯の下りになります。1869m峰肩の分岐をまっすぐ南の徳ちゃん新道へ。道はシャクナゲのトンネルとなり6月の開花期には素晴らしいところです。急斜面の道を下り、周囲がカラマツ林になると新道入口に降り立ち、広い道を30分で西沢渓谷入口バス停です。
    1日目は鴨沢から雲取山まで、詳細は鴨沢から雲取山へ(コースガイド)を参照してください。 2日目は雲取山から笠取小屋へ。雲取山山頂から急坂を南西に下りきった三条ダルミで、三条の湯からの道を合わせます。右手尾根上の主脈縦走路を行くと、広々とした草原の狼平に着きます。尾根上を緩やかに登り、所々木製の桟道を踏んで三ッ山を巻くと、北天のタル。ここから飛龍山の東面を巻き小祠のある飛竜権現に着きます。飛龍山山頂へは右手斜面のやや不明瞭な踏み跡を往復します。 飛竜権現から直進するとすぐ左手に好展望の禿岩があるのでぜひ立ち寄りましょう。原生林の中を下り、岩清水を過ぎると大常木山との鞍部の大ダルで、ここから大常木山と竜喰山の南面を巻いて将監峠に着きます。すぐ下に将監小屋があります。山ノ神土で道が3本に分かれます。右は和名倉山、左は南面の巻き道ですが、尾根通しに行く中央の道を登り、展望のない唐松尾山に着きます。やがて水干と笠取山への分岐に出て、尾根に上がり、狭い笠取山山頂を踏んで、急坂を下ります。この先カラマツの植林と展望の開ける気持ちの良い道を歩けば、こぢんまりした笠取小屋に到着です。 3日目は笠取小屋から雁峠分岐まで登り返し、草原の道から林の中を下って雁峠へ。このあたりは、7月にはレンゲツツジが美しい所です。燕山から古礼山を過ぎるまでは、原生林の尾根の概ね北側を巻き気味に歩きます。雁坂小屋への道を分けて鞍部より少し登り返すと日本三大峠の1つ、展望の良い雁坂峠です。さらに雁坂嶺から縞枯れの樹林を過ぎ、再び急坂を登りきると破風山。風化した花崗岩塊とツガの灌木が相まって、日本庭園とも呼べる所です。急坂を下りきると、鞍部に破風山避難小屋が建っています。ここから最後の辛い登りを上りきった分岐から木賊山北面の巻き道を進むと、15分ほどでようやく甲武信小屋です。 4日目の最終日は、小屋から甲武信ヶ岳を往復します。晴れていれば富士山、南アルプスの眺めが素晴らしい山頂です。展望を満喫したら、木賊山を経て戸渡尾根を下ります。次第にツガの原生林帯の下りになります。1869m峰肩の分岐をまっすぐ南の徳ちゃん新道へ。道はシャクナゲのトンネルとなり6月の開花期には素晴らしいところです。急斜面の道を下り、周囲がカラマツ林になると新道入口に降り立ち、広い道を30分で西沢渓谷入口バス停です。